サツマンゲリオン ~ 碇シンジが預けられた先が少しだけ特殊だった県/件   作:◆QgkJwfXtqk

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 本日、自主的にエヴァンゲリオンの訓練に参加する事とした惣流アスカ・ラングレー。

 その理由は碇シンジであった。

 森の中で見た剣術(薬丸自顕流)の修練を見て、改めてシンジの実力 ―― エヴァンゲリオンでの戦闘能力を見て見たくなったのだ。

 第3(サキエル)第4(シャムシエル)第5(ラミエル)と立て続けに3体の使徒を屠って見せたN()E()R()V()()()()()()()()、その実力をだ。

 競う相手(ライヴァル)としてシンジをアスカは強く意識しての事だった。

 

 尚、NERV本部戦術作戦部支援第1課、エヴァンゲリオン操縦者(パイロット)の管理と支援を担当する部門は、アスカの我儘(自主練習)に良い顔はしなかった。

 アスカの中学校への就学は決して安易な話では無かったのだから。

 NERVドイツ支部から届けられた人物考課表から、他人に対する攻撃性の緩和や協調性の涵養といった情操教育がアスカには必要であると判断し、戦術作戦部作戦局(訓練重視の主流派)の反対を押し切って決めた事であったのだから。

 だが、現状を危機的状況であると言い、早期に戦闘態勢(パイロット間の協調体制)確立の必要性があると言い、更にはアスカは己が学士号を所持しているのだと反論した結果、支援第1課が折れたのだった。

 

 本日のシンジが受ける訓練プログラムは、エヴァンゲリオンとのシンクロ訓練と戦闘訓練(デジタル演習)を主軸に、座学としてエヴァンゲリオンと対使徒迎撃要塞第3新東京市の機能教育が加えられたモノであった。

 訓練プログラムの内容を知ったアスカは、目を剥いて驚いた。

 その瞬間まで、シンジの事をNERV本部が非公開で用意(訓練)していた秘密兵器だと認識していたからである。

 シンジが受ける座学は、エヴァンゲリオンに習熟したアスカにとっては初歩の初歩めいた内容であったからだ。

 それでも最初は何かの意図があるのか、或いはジョークであるのかと疑っていたが、座学に対してシンジが真摯に真剣に取り組んでいるのを見て、認識を改めた。

 真実であると理解したのだ。

 NERV本部がシンジに関して行っている公開情報が正しいのだと。

 第3使徒襲来時がNERV本部に初めて訪れた日であり、第3使徒とエヴァンゲリオン初号機に搭乗して対峙した日が初めて搭乗した日であるのだ、と。

 その事にアスカは衝撃を受けた。

 同時に、シンジへの評価を改めた。

 怒りを覚えた?

 舐めるなと憤慨した?

 違う、全く違う。

 唯々感嘆し、敬意を抱いた。

 訓練も心の準備も無しに実戦に放り込まれた、只の一般人が剣術の訓練だけを頼りに世界を守らんが為に献身したのだから。

 深く頷いた。

 そして認めた。

 碇シンジとは実に天晴であり、自らの相手(ライヴァル)とするのに不足はないと満足すらしたのだった。

 全力で勝ちに行く、と。

 闘争意欲が、更に燃え上がる。

 

 尚、全くの余談ではあるが、初陣後にシンジが碇ゲンドウに鉄拳と肘を振るって重傷を負わせた事に関しては関係者各位に厳重な緘口令が出されており、NERV本部の外に漏れる事は無かった。

 結果、シンジが持つ激しい部分をアスカが知る機会は失われ、ただ勇敢な人間であるとシンジを評価する事となる。

 この少し先まで。

 

 

 

「おじゃまするわよっ!」

 

 軽い口調と共に、エヴァンゲリオンのデジタル演習管制室に入ってきたのは葛城ミサトであった。

 NERV本部戦術作戦部作戦局局長代行、即ちNERV本部の軍事部門の統括等と言う重責を担う忙しい立場にいる女性であったが、シンジが訓練を受ける際などは必ず顔を出すようにしていた。

 それは自分の責任を理解し、同時にシンジへの責任を感じているからこそであった。

 

「どう、調子は?」

 

 近くにいた、顔見知りの技術開発部スタッフ(平職員)へと声を掛ける。

 地位相応では無い、葛城ミサトの年齢相応めいた軽い調子(フランクな態度)は、NERV本部と言う年若い人間が中心となっている組織では効果的であったが、今日ばかりは違っていた。

 声を掛けられたスタッフも、それ以外のスタッフも誰もが固唾をのんで管制室中央のディスプレイを見ていたのだから。

 

「ん?」

 

 何事であるかと、釣られてディスプレイを注視した。

 其処には、紫紺のエヴァンゲリオン初号機と深紅のエヴァンゲリオン弐号機が真っ向から鎬を削る様な戦いをしている様が映し出されていた。

 一進一退、引き込まれる様な戦いとなっている。

 シンジのエヴァンゲリオン初号機は、いまだ完成していない日本刀型武器(マゴロク・エクスターミネート・ソード)を振り回している。

 アスカのエヴァンゲリオン弐号機は、此方も開発段階である両手持ち大型戦斧(スマッシュバルディッシュ)を振り回している。

 人の武の理を越えた、エヴァンゲリオンと言う規格外の存在(身体)によって実現した、人間では出来ない動きで戦っているのだ。

 それは、共に嵐の化身(モーターヘッド)の如き様相であった。

 

「凄いわね」

 

 こんなモノを見れば、惹き付けられてしまうのも当然。

 実戦経験も持った葛城ミサトをして、そう思うレベルの戦いであった。

 ただ同時に、違和感も覚える。

 シンジのエヴァンゲリオン初号機の動きが、以前とは異なっている様に見えるのだ。

 何がと、言葉に出来る訳では無いが、何かが違って感じられた。

 指揮官として、違和感を理解する為にまじまじと戦いを注視する葛城ミサト。

 だが、把握する前にスタッフの側が葛城ミサトに気が付いた。

 

「あ、葛城さん?」

 

 少し軽い調子で驚きの声を上げたのは、このデジタル演習を統括する技術開発局第1課訓練室 ―― 訓練関連を統括する部門のトップである阿多古カズキ技術少尉であった。

 それまで手元のパソコンで何やら情報を纏めていたらしい。

 立ち上がろうとしたのを手で制する。

 

「そのままそのまま。私は珍客なんだから気にしないで。それより、中々に盛り上がってるわね?」

 

「はい、惣流さんが碇君に良い刺激を与えています」

 

「刺激って、へぇ、どんな感じで?」

 

 興味深く問いかけた葛城ミサトに、阿多古カズキは手元のパソコンを示しながら言った。

 アスカの乗るエヴァンゲリオン弐号機とのデジタル演習が始まってエヴァンゲリオン初号機の動きが、シンジの操縦が劇的に変化を始めているのだという。

 それは、従来のエヴァンゲリオン初号機を拡張された人間の如く認識し操るのではなく、汎用ヒト型決戦兵器(人造人間エヴァンゲリオン)と意識しての運用であった。

 機能を使うとも言う。

 

 エヴァンゲリオンは、汎用ヒト型決戦()()とされている様に、兵器としての様々な機能が与えられている。

 代表的なモノで言えば、両肩に設置されている兵装パイロンだ。

 通常であれば右肩側には内臓兵装としてEW-11(プログレッシブナイフ)を搭載し、左肩側には操縦者の好みに応じた装備が搭載されている。

 アスカのエヴァンゲリオン弐号機であれば近接戦闘火力である4連装ニードルガンが搭載されており、或いは綾波レイのエヴァンゲリオン4号機は準中距離兵装として開発中の単分子ワイヤーソー搭載が予定されていた。

 だが、エヴァンゲリオン初号機は違った。

 大型のEW-11C(プログレッシブダガー)を腰裏側に搭載する関係で、空いている両肩の兵装パイロンであったが、シンジの()()によって今現在は何も搭載されていなかったのだ。

 戦闘時にはアレコレと考えすぎたくない(無こよかひっとべ)と思っての事であった。

 それが、使う様になりつつあると言う。

 アスカとの模擬戦闘を重ねる中で様々なオプションを選択したりもしているのだと言う。

 

「へー、あのシンジ君が」

 

 思わず、と言った感じで感嘆を漏らした葛城ミサト。

 使徒戦は勿論、綾波レイのエヴァンゲリオン4号機との模擬戦闘でもシンジは自分の戦闘スタイルの基本を変えようとはしなかった。

 エヴァンゲリオン初号機を自分の手足の延長線上として、人間の拡張存在(巨大化した人間)として操っていたシンジが変わりつつあるのだと言う。

 だが、その感慨に浸れる様な時間が葛城ミサトに与えられる事は無かった。

 甲高く、そして特徴的な警報音が鳴り響いたのだから。

 誰もが音源であるスピーカーを見上げた。

 葛城ミサトは親の仇を見るかのように睨んだ。

 

「敵襲!?」

 

 それは、NERV本部の中央コンピューターMAGIによる判定 ―― 高確率で使徒が第3新東京市襲来する事を告げるものであったのだから。

 聞いた人間のスイッチが切り替わる。

 指揮官としての顔で葛城ミサトは矢継ぎ早に命令を発する。

 

「演習は終了! 阿多古少尉、パイロット両名に急いで休息を取らせて。詳細が判明するまでは第3種戦闘配置で良いわ」

 

「はいっ!」

 

 阿多古カズキも、それまでの優し気な雰囲気をかなぐり捨てた表情で敬礼を返していた。

 

 

 

 

 

 NERV本部第1発令所では、情報の精査確認作業が進められていた。

 今回の使徒を発見したのは洋上で哨戒(対使徒ピケット)任務にあたっていた巡洋艦はるな(UN-JF CG HARUNA)であった。

 イージスシステム搭載艦として強力な対空監視能力を有しているが、使徒 ―― 不明目標は水中で発見されていた。

 油断なく水中情報の収集にも注力していたお陰とも言えた。

 尚、本来は太平洋方面に向けた音響監視システム(SOSUS)の整備も予定されては居たのだが、予算が第3新東京市の対使徒迎撃戦闘能力の拡張に傾斜配分されていたが為、国連軍の支援を貰っている状況であった。

 

 はるなの発見した海域に、センサーを満載した高速偵察機(HF-UAV)が急行して情報を収集する。

 はるなには使徒のパターンを収集できるセンサー群が搭載されていなかった為である。

 NERVの管理下で哨戒任務に就く艦艇、特に主力となる事が予定されている新鋭のくなしり型哨戒艦(KUNASIRI-Class OPV)群には順次、搭載に向けた改修が行われていたのだが、はるなは国連軍にとって貴重なイージスシステム艦であり恒常的な供出(NERVへの出向)の予定が無い為であった。

 

 

ブーメラン05(HF-UAVの識別符号)、目標海域に入ります」

 

 高速偵察機を管制する作戦局の作戦偵察課から上がってきた情報を読み上げる青葉シゲル。

 本来は外部組織との情報共有や精査を担当する調査情報局第1課に属する青葉シゲルであったが、NERV本部の慢性的な人手不足、特に第1発令所勤務可能な第2級機密資格(GradeⅡ Access-Pass)所持者が少ない為に、手すきの場合には各種の管制官(オペレーター)役を担うのであった。

 戦略情報部所属という同世代の中では抜群の優秀選抜者(エリート街道組)と言って良い青葉シゲルであったが、気安く骨惜しみしない性格故に、自ら買って出たのだった。

 

「波長確認。ブーメラン05とMAGIの情報共有(データリンク)、正常作動中を確認」

 

 青葉シゲルに合いの手を入れる様に、日向マコトが声を上げる。

 此方は肩に力が入っていると言うか、鯱張った様な強い緊張感を漂わせていた。

 自分が使徒との闘いの口火となる、その意識があればこそであった。

 

「受信データを照合開始を確認………波長パターン、出ました! パターン青(BloodType-BLUE)、目標を使徒と確認!!」

 

「来る時は連続だな」

 

 泰然自若といった風で第1発令所第1指揮区画中央に立つ冬月コウゾウは、片目を閉じたままに呟いた。

 人の都合など使徒は気にしない、そう言わんばかりであった。

 第1指揮区画の誰もが振り返っている。

 指示を待っている。

 総司令官碇ゲンドウも、軍事総括の葛城ミサトも居ない今の第1発令所では、冬月コウゾウこそが命令権限者なのだから。

 そして、()()()()()()()()()()()()()()

 

 一呼吸置いて、それから両目を開いて強く命令する。

 

「宜しい。総員、第2種戦闘配置!」

 

 大学教授を経てGEHIRNに参加、そしてNERVの副司令官と言う経歴を持った冬月コウゾウであったが、なかなかどうして見事な指揮官ぶりを見せるのであった。

 

 

 

 

 

 エヴァンゲリオン格納庫(ケイジ)に隣接して設けられた、操縦者(チルドレン)向けの作戦伝達室(ブリーフィングルーム)

 60㎡程の空間に置かれた3つの椅子に、シンジとアスカ、そして綾波レイが座っている。

 その正面には葛城ミサトが、副官めいて日向マコトを連れて立っている。

 他、壁際には国連軍からの連絡官も立っている。

 

「先の戦闘によって第3新東京市の迎撃システムは大きなダメージを受け、現在までの復旧率は51%。実戦における稼働率はゼロといっていいわ」

 

 ハキハキとした声で説明していく葛城ミサト。

 その声に応じて、日向マコトが手元の端末を操作し、大型のモニターに第3新東京市の迎撃要塞都市としての機能群を表示させる。

 その約半分が、赤い機能不能の色に塗りあげられていた。

 第5使徒戦の影響 ―― 乱射された加粒子砲の直撃、及び余波の被害であった。

 NERVとしても最優先での機能回復を図ってはいたのだが、如何せん、余りにも被害が大きすぎた。

 その酷さは、機能回復工事を行う上で必要な工程表(ロードマップ)の作成すらにも時間が掛かったと言う点に現れていた。

 ここまではシンジ達にも伝えられている事だった。

 だが、改めて第3新東京市の迎撃システムの状況を図として見れば、その酷さは改めて良く判ると言うものであった。

 

 シンジは己がもう少し上手く出来なかったかと唇を引き締め、アスカは頼るべきモノの現状の手酷さに顔を顰めていた。

 綾波レイだけは、落ち着き払った平素の顔を崩していなかった。

 三者三様の反応。

 チラリとそれを確認した葛城ミサトは言葉を続ける。

 

「したがって今回は、上陸直前の目標を水際で叩く! 初号機ならびに弐号機が前衛を担当、交互に目標に対し波状攻撃を実施」

 

 シンジとアスカがハキハキとした声で同時に了解との声を上げる。

 戦意に不足はない。

 

「4号機は後衛を担当、中距離からの火力支援を実施」

 

「了解」

 

 綾波レイの静かな声。

 だがそれが戦意不足の類でない事は、目を見れば判る。

 この、物静かな少女は自らの成すべき事を成すだろう、そう葛城ミサトは信じる事が出来た。

 

「結構。では、出撃!」

 

 

 

 巨大なエヴァンゲリオン輸送専用の、全てが巨大に作られた鉄道。

 そもそも500tを超える、15m近い全幅のエヴァンゲリオンを輸送しようと言うのだから巨大であるのも当然であろう。

 重量を分散する必要もあって4つの線路を並列に用意されている、巨大輸送システムなのだから。

 関わる人間から、軍艦すら陸送出来ると言われる程の代物であった。

 

 エヴァンゲリオン3体とその装備が運ばれていく。

 その様を第1発令所の正面モニターで見ながら、冬月コウゾウは青葉シゲルに問いかける。

 

「そう言えばエヴァンゲリオンの、初の域外戦闘(第3新東京市外での戦闘)だが、政府の方はどうだったかね?」

 

此方の状況(第3新東京市の要塞機能低下)は理解してますから、A-18条項の発令に関しても受け入れるとは言ってます。只、渋い顔はしてました」

 

「仕方が無かろう。戦闘予定区域は一昨年に土地改良事業が漸く終了したばかりと聞いている。政府としては頭の痛い話だろうよ」

 

 使徒の襲来予想コース、その水際は水田や畑が広がる田園地帯だった。

 お陰で一般市民の人的、資産的な被害は抑える事が出来るだろう。

 だが、田畑には壊滅的な被害が出るであろう事は簡単に予想された。

 使徒とエヴァンゲリオン3体が戦うのだから。

 500tを超える存在が、第3新東京市の様に地盤改良をされていない場所で跳ねまわれば、その結果は言うまでもないだろう。

 折角、セカンドインパクトの被害から回復させた田畑が、それこそ地図を書き直すレベルで被害を受ける ―― 灰燼に帰する可能性さえあると思えば、愛想笑いすら浮かべたくなくなるのも人情と言うものであった。

 

「確かに。ようやく米の収穫がセカンドインパクト前に戻りつつあると言ってた位ですからね」

 

「そういう事だ。ここは碇の息子たちが上手くやってくれる事を祈ろうではないか」

 

 

 

 

 

 使徒の上陸を前に、エヴァンゲリオン内部で待機する3人の子どもたち(チルドレン)

 せめての憂さ晴らしに通信回線が開かれており私語が許されているのだ。

 とは言え、綾波レイは口数の少ない少女であるが為、自然と会話するのはシンジとアスカになっていく。

 アスカも、同僚と言う事で綾波レイとのコミュニケーションを図ろうとはするのだが、中々に難しい所があって、早々に匙を投げていた。

 そんな状況でのシンジとアスカの会話であるが、世間話的なものとは言いづらかった。

 それ程にお互いを知っている訳でもなければ、そもそも戦闘開始までの時間はもう限られているのだから。

 だから、お互いの得物についての話題になっていた。

 エヴァンゲリオン初号機が持つ長大な武器、EW-14(ドウタヌキ・ブレードⅩⅢ)だ。

 

「アンタそれ、本当に振り回せるの?」

 

 挑発的、懐疑的な物言いをするアスカ。

 それも仕方のない事だろう。

 エヴァンゲリオン初号機が装備するEW-14は、余りにも大きすぎた。

 大きく、分厚く、重い、鋼の塊であった。

 

 デジタル演習では散々に見たし、斬られもしたが、とは言えそれが実物として見るとなればやはり違っていた。

 ()意めいたモノが漂っていた。

 

 標準的なエヴァンゲリオン用の白兵装備、例えばEW-11(プログレッシブナイフ)の様な高振動粒子の刃が対象を分子レベルで切断する様な機能は付与されていない。

 ただ只管に頑丈な、鈍器のような武器であった。

 只、アスカの声に応じてNERVドイツ支部が開発したEW-17(スマッシュトマホーク)が純然たる鈍器めいた戦斧であるのに対し、EW-14は刃先の交換が可能となっていた。

 戦闘での摩耗を前提にしての事だ。

 EW-17は使い捨て(消耗後は廃棄)を前提とし、EW-14は手入れ(メンテナンス)を考えていた。

 設計者の思想の相違、と言えた。

 

『大丈夫、この感覚なら斬れるよ』

 

「………そう、なら言っとくけど、くれぐれも足手纏いになるようなことは、しないでね!」

 

『うん、大丈夫』

 

 落ち着いたシンジの声、アスカは目を見た。

 そこに曇りは無く、強い自負があった。

 出来る、と言う。

 だからアスカは信じた。

 

 

 だが現実は非情だった。

 

 

 第7使徒が着上陸した。

 第3使徒の様な人型めいた姿、指揮官である葛城ミサトは戦闘開始を宣言。

 その命令と共に

 エヴァンゲリオン弐号機が、自らが一番槍をせんと宣言して先行、攻撃を図る。

 戦斧の如きEW-17を両手で握って疾駆する姿は、正に赤い暴力であった。

 大地を抉りながら突き進む、その背に続行するエヴァンゲリオン初号機。

 

『フィールド全開!!』

 

 シンジが吼えた。

 使徒のA.Tフィールドをエヴァンゲリオン2体がかりで弱体化させ、アスカの攻撃を成功させようと言うのだ。

 その声に背を押される様に、アスカはEW-17を一閃させる。

 真っ向正面からの唐竹割りな一撃。

 使徒は真っ二つだ。

 

『お見事!』

 

 シンジの称賛に気を良くするアスカ。

 称賛こそ自分に相応しい、そう思っているのだ。

 だが、その気分に水を差す声が。

 綾波レイだ。

 

『いえ、まだよ』

 

「はぁっ!?」

 

 アスカが視線を通信画面に動かそうとした瞬間、上半身を真っ二つにされた使徒は、そのまま裂けきって2体の使徒へとなった。

 

『なんてインチキ!!!』

 

 葛城ミサトが吼えた。

 

 

 

 

 

 


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