サツマンゲリオン ~ 碇シンジが預けられた先が少しだけ特殊だった県/件   作:◆QgkJwfXtqk

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 日本。

 第3新東京市地下、NERV本部技術開発局第3管理棟。

 常であればエヴァンゲリオン向けの各種装備の開発製造を担当するそこは、今、かつてのE計画第1号(エヴァンゲリオン建造)棟と呼ばれていた姿を取り戻していた。

 即ち、第2次E計画下で整備の決定した第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオンの建造だ。

 かつて最初のエヴァンゲリオンが生み出され、そして実験機であるエヴァンゲリオン零号機や試験機であるエヴァンゲリオン初号機が生み出された場だ。

 そこで今、新しいエヴァンゲリオンが作り上げられていく。

 制御システムの構築。

 生体部品の培養。

 装甲の形成。

 とは言えソレらは今までのエヴァンゲリオン建造と全く同じでは無い。

 エヴァンゲリオンと第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオン、一見すれば外見や構造は同じである。

 だが制御システムなどの本体部分は勿論であるが、その運用構想も全くの別物なのだ。

 そして、建造の手順に関しても別物となっていた。

 今までの建造経験と、実戦投入したエヴァンゲリオンの運用実績を基にした効率化が図られた結果であった。

 特に生体部品(素体パーツ)に関しては、運用実績 ―― 破損したエヴァンゲリオンの修理作業の積み重ねによる蓄積が大きかった。

 そのお陰で個々の部品のユニット化と、組付け後の培養結合と言う新境地(ブレイクスルー)に至れたと言えるだろう。

 これによって、6機の第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオンの建造ペースは計画時よりも更なる加速を成し遂げる事となったのだ。

 尚、第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオンに関しては2種類が整備される事となっている。

 α型。

 此方はNERV本部地下に廃棄、安置処分されていた試験素体などの部品を流用して建造するモデルであり、4機が予定されている。

 NERV本部で1機。

 建造試験も兼ね、他の3機に先行する形で建造される。

 この経過を見ながらNERV中国支部で1機、NERVアメリカ支部で2機が建造されている。

 共に順調に建造は行われていると言う。

 β型。

 此方の2機は正規量産型エヴァンゲリオン(エヴァンゲリオン4号機)を基に、各部の設計を第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオンの規格へと修正(簡素化)した機体である。

 建造はNERVドイツ支部が担っている。

 

 第1次E計画に基づいて建造され就役している4機のエヴァンゲリオンと、建造中4機。

 併せて14機のエヴァンゲリオンが来年度中には就役する見込みであった。

 今までの整備速度が何だったのかと思う程の速度と言えるだろう。

 技術的蓄積もあったが、何より、N()E()R()V()()()()()()()()()()()()()簿()()()()()の果たした役割が大きかった。

 特に制御系は製造コストもさることながら、精密部品の集合体であるが故に製造に極めて時間を必要とするのだ。

 そこを大幅に短縮できたのだ。

 ある意味で当然の結果であった。

 

 

「んふっ」

 

 技術開発局第3管理棟管制執務室で、作業の進捗状況を見ていた赤木リツコは思い出し笑いをした。

 NERV総司令官碇ゲンドウに対し、第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオンの建造スケジュールは相当な前倒しが可能になりましたと告げた時の事を。

 それを可能とした原動力は、NERVドイツ支部に帳簿から抜け落ちる形で備蓄されていたエヴァンゲリオン9機分の部品の流用ですと告げた時の、何かが抜けた様な反応()をだ。

 赤木リツコは碇ゲンドウの情人として人類補完計画に関わっている。

 だからこそ、最初に9機分のエヴァンゲリオン用部品と言う帳簿外の備蓄と言う事の意味を誤解しなかった(チンと来ていた)

 だが、ソレに気付かなかった振りをしていた。

 ()()()()()()()()()()

 もっと露悪的に言えば、()()()()であった。

 第2次E計画に絡んで連日連夜の徹夜作業が続き、疲れ果てていたのだ。

 コロコロと変わる計画概要に怒りを蓄え、その焔が無定見な国連(パワーゲームの徒)の要求を唯々諾々と呑むSEELEだの碇ゲンドウにも向けられた(延焼した)結果と言えた。

 尚、9機分の機材に関して説明を受けていないので叱責される可能性は無いと計算した上での(暴挙)であった。

 そして赤木リツコの明晰な頭脳が行った計算(予測)は、現実と殆ど誤差が無かった。

 小さな誤差は、腹を立てた碇ゲンドウに襲われたと言う事であったが、何時もの如く返討にしたのだから問題は無い。

 

 情事の余韻に赤みの差した肌。

 その上に白衣だけを引っ掛けた姿でNERV総司令執務室の豪奢なソファで煙草を吸う ―― 碇ゲンドウ(ノックアウト状態の情夫)を尻に敷いた赤木リツコはまぎれもなく勝利者(捕食者)であった。 

 と言うか、今回はいつも以上に搾り取っていたのだ。

 最初は強気の顔をした碇ゲンドウが、最後は情けない顔で呻きをあげていたのだ。

 赤木リツコのオンナの部分が滾ったのも仕方のない話であった。

 男としての沽券に関わるとばかりに必死になった(情けない)姿が実に可愛らしかったと赤木リツコは、下腹部に手をあてて淫蕩に笑う。

 かつて碇ユイは碇ゲンドウを指して可愛い人だと評したと言う。

 或いは、碇ユイも自分と同じように碇ゲンドウを見ていた(愛していた)のかもしれない。

 であれば、仲良くなれるかもしれない。

 そんな事を考えていた。

 

 と、ポケットの煙草を探す。

 無い。

 

「仕方ないわね」

 

 笑う赤木リツコ。

 NERV総司令執務室で吸いつくしていたのだ。

 勝利の煙草は実に美味しかった。

 その背に投げかけられる声。

 

「機嫌が良さそうね」

 

 親友(マブ)だ。

 

「あらミサト? どうしたのこんな時間に」

 

 既に日は沈んでいる。

 日勤者の配置(シフト)は終わっている時間だ。

 NERV本部では特に用の無い場合、管理職者も早期の帰宅が命じられていた。

 使徒が来た場合、寝ずの対応すら要求されるのだ。

 その対価、とでもいうべき業務指示であった。

 今、葛城ミサトの作戦局は急ぎの仕事を抱えていない。

 であれば家に帰ってビールでもかっ喰らっているべき時間であった。

 

随伴(エスコート)でドイツに行ってる支援第1課の課員から第1弾の報告書(レポート)が来たんで、()()()()()

 

「ん?」

 

 満面の笑みを浮かべた葛城ミサトが差し出してきたのは、ヨーロッパでの碇シンジと惣流アスカ・ラングレーの動向(同行)報告書だ。

 クリップボードを受け取った際の一瞥で、赤木リツコもニンマリと笑った。

 

「あら、あらあらあら」

 

「ね、んふふふふふ」

 

 悪い女の笑みをする2人。

 感情の共鳴。

 さもありなん。

 クリップボードに添付されている写真は、休暇(バカンス)で訪れたと思しきどこか高原っぽい場所の湖畔での記念撮影だった。

 上品な防寒外套を着ている2人。

 寒いのだろう、2人の間にある手はしっかりと握り合っていた。

 指と指とを絡める様に。

 

「アスカ、満面の笑みね」

 

「シンジ君も、このはにかみ顔は滅多に見られないわね」

 

 写真は他にもあった。

 200名もの第2期適格者(セカンドステージ・チルドレン)候補生、そして教官たちと一緒の記念撮影もある。

 全員が制服を着ている(おめかししている)

 シンジもアスカもだ。

 表には出せないが、第2期適格者(セカンドステージ・チルドレン)候補生にとっては良い思い出になっただろう。

 そして一番最後に画像が荒い写真が1枚。

 

「あら?」

 

「一番の傑作よ」

 

 葛城ミサトの声に誘われ、マジマジと写真を見る赤木リツコ。

 赤木リツコは知る由も無いが、それはシンジがギード・ユルゲンスと試合した会場であった。

 シンジは試合の防具を身に着けており、手にはウレタンを巻いた竹刀がある。

 試合直後の写真だった。

 アスカはシンジからはぎ取ったと思しき防具(ヘルメット)を左手に持ち、右手でがっちりとシンジの首を掴んでいる。

 画像が荒く遠いが故に明瞭には判らぬが、2人の顔はどう見ても接触()していた。

 

「アスカ、やったわね」

 

 やらかした。

 そういうイントネーションで嘆息する赤木リツコ。

 それを葛城ミサトは指を左右に振って否定する。

 

「シンジ君の()

 

「あら、あらあらあら」

 

 じっと見れば判る。

 竹刀を持たない反対の手がしっかりとアスカの腰に回しているのが。

 

「まさか、シンジ君が覚醒した(思春期に目覚めた)というの!?」

 

「っぽいわ」

 

「まさか、そのまま!?」

 

 思わずといった勢いで、とても人前で出来ない形に指を動かす(ハンドサインをする)赤木リツコ。

 少しばかり、疲れが溜まっていた様だ。

 

「大丈夫、セーフ(清いお付き合い)っぽいわ」

 

「それは何より」

 

 割と真剣に安堵の息を漏らす赤木リツコ。

 好きあった男女の事であり、一般には下世話(大きなお世話)に類される話であるが、事、シンジとアスカに関してはそうは言えないのだ。

 2人が適格者(チルドレン)であるからだ。

 エヴァンゲリオンを動かすには、その操作システムの(Typeの違い)を問わず、適格者(チルドレン)が機体と繋がる(シンクロする)必要がある。

 心で繋がるのだ。

 心、思春期の少年少女の繊細な心。

 何らかの切っ掛けで心が変わってしまえばどうなるか判らない ―― まだ人類はエヴァンゲリオンの全てを知ってはいないのだからだ。

 その状況下で、対使徒戦の二枚看板を失う訳にはいかないのだ。

 とは言え2人を物理的に離すと言うのも論外であった。

 その結果、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 誠に儘らぬと言うものであった。

 

「という訳でリツコ、乾杯とお神酒を捧げに行かない?」

 

「全く。仕方がないわね」

 

 理由はどうでも良い、取り合えず飲みたいと言う様な葛城ミサトの本音(副音声)、キッチリと理解して呆れる様に言う赤木リツコ。

 だが口元は笑っていた。

 笑いながら赤木リツコも仕事を終わらせる準備に取り掛かる。

 判らぬモノは、祈って忘れる。

 科学の徒たる赤木リツコも、使徒と言う常識外を見続けた結果、最近では随分と柔軟(テキトー)になっていたのだった。

 

 赤木リツコの動きの意味を違えず理解した葛城ミサトは、ウッキウキの笑いを顔に載せて部屋から出ていく。

 

「車、何時もの出入り口に回しとくわよ」

 

「宜しく」

 

 NERV本部は実に平和な時間を謳歌しているのであった。

 

 

 

 

 

 




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デザイナーズノート#11(Ⅱ)(こぼれ話)
 ギード・ユルゲンス、当初の予定より拗れ果てた感のある敵役。
 最初はもう少し、こう、愛嬌のある配置予定だったんだけども、TV版の惣流アスカ・ラングレーの人格形成時に圧力掛けるなら、こういう感じだよナァ とばかりに今のキャラクター
 尚、取り巻きA(アルヴィン・マイネッケ)取り巻きB(バルナバス・ネッツァー)は絵にかいた様な三下moveをしてくれて、本当にありがとうとしか言いようが無い。
 ま、この子たちも章名(オルフェンズ)の通り、シンジやアスカ、他の候補生などと一緒で片親の居ない哀しい身の上なんだけ、何て言うか、ソレを駄目なモノで補った感。
 ムツカシーネー

 尚、リッちゃんが美味しい空気を吸い過ぎで在る(お
 だが、今なら言える。
 美女が白衣一枚引っ掛けただけの格好で、情事の余韻を漂わせるアンニュイな表情で煙草を吸うとかメッチャやばない?
 もうね、性癖に来るワー
 ドーンですわ、どーん!!!

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