サツマンゲリオン ~ 碇シンジが預けられた先が少しだけ特殊だった県/件   作:◆QgkJwfXtqk

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 適格者(チルドレン)として世界の為にエヴァンゲリオンを駆る子ども。

 だがそれは決して安全な事ではない。

 開発黎明期からエヴァンゲリオンに携わっていた最初の適格者(1st チルドレン)である綾波レイは、開発時から度々、重体(命に係わるレベル)規模の怪我を負う事が多かった。

 幼少期から厳しい戦闘訓練を重ねた最良の適格者(2nd チルドレン)たる惣流アスカ・ラングレーですら、使徒との戦いでは少なからず怪我をし、入院する事もあった。

 そして最強の適格者(3rd チルドレン)たる碇シンジも、使徒との戦闘後に入院する事があった。

 だからこそ、新たなる適格者(子ども)を守る為に新操作システム(Bモジュール)の開発をしなければならない。

 その様に、NERV総司令官である碇ゲンドウは、オブザーバー参加した国連安全保障理事会の対使徒特別会議で熱弁を振るったのだ。

 無論、弁舌だけではない。

 碇ゲンドウは精力的に列強各国(安全保障理事会理事国)を回り政治的交渉を持っていた。

 対象は、第2次E計画に基づいて選ばれた ―― 志願した第2期適格者(セカンドステージ・チルドレン)候補生に身内が居る有力者たちであった。

 第1次選考が終わり、本格的な訓練が始まている第2期適格者(セカンドステージ・チルドレン)候補生たち。

 現実的に、使徒との命がけの戦いが迫ってきていると言える。

 ()()()()()()()()

 ご子息、ご息女、お身内が晒す命の危険性を下げたくはありませんか? と言う風にだ。

 極秘での接触。

 その際に碇ゲンドウは、部外秘のエヴァンゲリオンの戦闘情報や適格者(チルドレン)の怪我、或いは死亡危険性を開示していた。

 そして、実の息子も危険に身を投じている等と臭い芝居をしてまで共感(シンパシー)を得て、Bモジュール開発予算を確保したのだ。

 巧緻とも言える手管だった。

 

 

『第2次E計画、その補正予算の確保、素早くやり遂げた事は称賛に値する』

 

『左様。これは紛う事無き成果と言えよう』

 

『………しかし、目標の8割か。現状でこれ以上は高望みであろう。見事だ碇』

 

 SEELEのメンバーも今回ばかりは碇ゲンドウの手腕をほめちぎる。

 頓挫する可能性が高まっていた人類補完計画、即ち人類の種としての進化と欧州(コーカソイド系ヨーロッパ)の世界史への復権の可能性が蘇ったのだ。

 喜ぶのも当然であった。

 尤も、褒められている碇ゲンドウの表情は微妙であったが。

 息子たるシンジを出汁に使ったのだ。

 否、使うのは別に構わない。

 問題は、さも心配している等と言う様な、言わば息子を愛しているかのようにふるまった事だった。

 愛妻家と呼ばれるのは認めてよい。

 だが、妻である碇ユイの愛を無条件で独占していたシンジを愛せるかと言われれば、難しい。

 そもそもとして、自分の顎を砕いた相手(ドメスティックバイオレンスな息子)なのだ。

 思い出した碇ゲンドウが微妙な気分になるのも当然と言えた。

 

 兎も角。

 そんな碇ゲンドウを置いて、SEELEの会議は進む。

 SEELEのメンバーは各国その他で重鎮の席にある者たちなのだ。

 暇をしている訳では無いのだから。

 

『開発は可能な限り進めている』

 

『幸い、生体部品に関しては、今回の第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオン向けに開発された技術で何とかなるだろう』

 

『装甲材に関しては、14機分の予備部品としてであれば如何様にも誤魔化せる』

 

 現時点で配備予定となっているエヴァンゲリオンは15体。

 正規のエヴァンゲリオンが8体。

 簡易(第2期)のエヴァンゲリオンが6体。

 そして試験用エヴァンゲリオンが1体。

 この15体のエヴァンゲリオンに於いて、真にSEELEの支配下にあると言えるのはNERV本部に配置される6体のみであった。

 残る9体は3()()()N()E()R()V()で管理される事となっていた。

 エウロペアNERV。

 アメリカNERV。

 ユーラシアNERV。

 共にNERVの名を冠しているが人類補完委員会では無く安全保障理事会(マジェスティック・トゥウェルブ)が管理するNERVだ。

 有事(使徒出現時)にはNERVの指揮下に入るとされており、運用などもNERVの各支部が人材を提供する形となっているが、予算や人事も含めてNERVとは別組織となる事が予定されている。

 即ち()

 将来の人類補完計画発動時、邪魔をされる可能性が高い組織であった。

 

 人類補完計画は、この激変した地球環境に於いて凋落した欧州(コーカソイド系ヨーロッパ)の、人類自体の強制進化による復権が最大目標であった。

 人類 ―― Lilithの子に与えられた知恵の実。

 知恵の実の力で人類は此処まで進歩し、地球の支配種となる事が出来た。

 だがそれだけでは、大災害(セカンドインパクト)によって荒廃した地球では生きていく事は難しい。

 だからこそ、Adamの子に与えられた命の実を得る必要があるのだ。

 再誕(ネオンジェネシス)

 人類は完全な存在に生まれ変わり、そして真の地球の支配者となるのだ。

 それが神への道、人類の福音となる人類補完計画。

 だが、その過程でどうしても避けて通れぬモノがある。

 再誕する為に必要な、古き人の形を脱ぎ捨てる一時的な人類のL()i()l()i()t()h()()()()()である。

 

 SEELEは狂人の集団ではない。

 だから、大多数の人類が還元と言う過程に対して拒否感を示すであろう事も理解していた。

 だから、拒否を許さずに強行する積りであった。

 だから、SEELEの僕たるNERV(碇ゲンドウ)の管理下に無いエヴァンゲリオンが脅威であるのだ。

 

 第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオンを儀式用のエヴァンゲリオンへと改装、転用する事も当初は考えられていたが、その作業を国連安全保障理事会理事国に悟られてしまえば、邪魔されるのは目に見えていた。

 一次的な還元を恐れるからでは無い。

 より生々しい理由があった。

 即ち、政治だ。

 旧理事国(欧米グループ)であれば賛同する可能性が高いが新理事国は違うだろう。

 新理事国が勃興できた理由は、旧理事国などの古くからの列強の没落があればこそなのだから。

 古い支配者の復権を認める愚か者は居ない ―― そういう話だ。

 

『Bモジュールによる新しいエヴァンゲリオン。完成が楽しみであるな』

 

『左様。簡易品のエヴァンゲリオンは歯牙にも掛けぬことになるであろう』

 

 自信満々に言うSEELEメンバー。

 それは論拠の無い自信などでは無かった。

 それ程の可能性をBモジュール主制御システムとして搭載したエヴァンゲリオンは秘めているのだ。

 これはBモジュールの概念発案者である葉月コウタロウや、その概念を推し進めたディートリッヒ高原。

 或いは形而上生物学からのアプローチを行って技術的問題の解決に尽力している真希波マリと言ったNERVアメリカ支部技術開発局の主要メンバーで行わせた概念検討に於ける結論であった。

 エヴァンゲリオン4号機の様にBモジュールを後から組み込むのではなく、制御システム全体をBモジュール搭載を前提とする形で改めて設計したエヴァンゲリオンは、次世代型(アドバンスド)エヴァンゲリオンと呼ぶに相応しい性能を発揮できるだろう、と。

 少なくとも第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオンは歯牙にもかけず、正規量産型(第1期)エヴァンゲリオンとも互角に戦えるとされていた。

 只、流石に精鋭(エース)であるシンジとアスカの駆るエヴァンゲリオン初号機とエヴァンゲリオン弐号機に()戦する事は事実上不可能(無理無茶無謀を通りこす)とされていたが。

 

 最後の1点にそこはかとない不安を覚えるが、それ以外に於いてSEELEメンバーの満足のいく結論であった。

 

『問題は工期か………』

 

『年内は不可能、そういう事だな?』

 

「はい。現在、エヴァンゲリオンの製造プラントは全て稼働状態にあり、生体ユニットの培養は早くても年明け2月の着手になると思われます」

 

『第2次E計画の余波か。こればかりは仕方あるまい』

 

 予算が付いたとしても、そもそも製造に関わる部分が埋まってしまっていては不可能なのだ。

 又、(スーパー・ソレノイド)機関の研究と開発が難航している点も、儀式用エヴァンゲリオンの製造に掛かれない理由でもあった。

 出力の問題ではない。

 出力だけであれば、新開発の(ノー・ニューク)機関でも短時間であれば同じような出力を出す事が出来る。

 又、エヴァンゲリオン用として開発中のA.Tフィールドによる位相差を利用した相転移(インフレーション)機関なども有望な動力源であった。

 だが、それらでは駄目なのだ。

 出力が足りないのだ。

 機体を動かす為ではない。

 人類補完計画を遂行するのに足りないのだ。

 人類補完計画、その儀式の際には9基の(スーパー・ソレノイド)機関を同時臨界に到達させる事によって共振突破現象(ハウリング・バースト)を引き起こし、圧倒的出力によって地球全体を包み込めるA.Tフィールドを生み出さねばならぬのだから。

 

『鍵は揃いつつある』

 

『先ずはその点を喜ぼう』

 

『その日を可能な限り前倒しする事を願う』

 

『全ては人類補完計画の為、人類の新たなる夜明けの為に』

 

『碇、君の尽力を期待する』

 

「はい。全てはSEELEの為に」

 

 

 

 碇ゲンドウの他は誰もいないNERV本部総司令執務室。

 SEELEとのデジタル会議を終えた疲労感から、椅子の背もたれに力なく体重を預ける。

 何時も近くにいる冬月コウゾウも今日は出張の為、NERV本部は勿論、日本からも離れていた。

 NERVアメリカ支部だ。

 Bモジュールの開発現場の確認と、人員の再配置に関する業務の為であった。

 現在、BモジュールはNERVアメリカ支部のみで行われている。

 碇ゲンドウは勿論、SEELEの直接管理でも無い支部なのだ。

 しかも今後はアメリカNERVとの同居関係になるのだ。

 機密保持、或いはNERV本部に対して開発情報の隠蔽などをさせない為の処置が必要と言う事であった。

 

 開発の責任者である葉月コウタロウは、NERVアメリカ支部技術開発局局長でもある為、NERV本部への異動(移籍)は難しいだろう。

 現局長である赤木リツコよりも、才能は兎も角として年齢と実績が上なのだ。

 妙な軋轢が生まれかねない。

 であれば残るはディートリッヒ高原か真希波マリか。

 才覚に於いて甲乙つけがたいが、出来ればディートリッヒ高原であって欲しいと言うのが、碇ゲンドウの気分であった。

 愛妻たる碇ユイの愛弟子を自称する真希波マリは、正直な気分として面倒くさい相手だからだ。

 碇ユイがエヴァンゲリオンに消えた実験、その詳細を知った際に声高(ヒステリック)に碇ゲンドウを批判して来たのだ。

 それ以来、事務的な会話はする。

 だが常に刺々しい目で見て来るのだ。

 勘弁してくれと言うのが正直な気分だと言えるだろう。

 

 嫌な事を忘れる様に、碇ゲンドウは目を閉じる。

 

D'où venons-nous ?(われわれはどこからきたのか) Que sommes-nous ?(われわれはなにものか) Où allons-nous ?(われわれはどこへいくのか)

 

 時おり、碇ユイが呟いていた言葉。

 自分の様な凡夫と違い、先を見ていた才女だったのだと、時おり碇ゲンドウは思い出して呟くのであった。

 もう一度、碇ユイと逢う事だけが碇ゲンドウの目的だ。

 その先など考えた事も無かった。

 嘗ての野心、栄達と言う夢。

 それらの全てが、手段であった筈の碇ユイによって無価値へとなったのだ。

 薄汚い野良犬の様な六分儀ゲンドウが、人である碇ゲンドウに生まれ変わったのだ。

 成ってしまったのだ。

 だからこそ碇ゲンドウは碇ユイを求めていたのだった。

 

 思索の海に沈む碇ゲンドウ。

 と、それを現実に戻す音がした。

 圧搾空気音。

 NERV総司令執務室の扉が開いたのだ。

 

「司令、報告が御座いますわ」

 

 前触れ(アポイントメント)も無しにこの部屋へと来れるたった2人の腹心の1人。

 赤木リツコだ。

 手には書類の束があった。

 だが、その顔は少しばかり常日頃の理知的なものから離れていた。

 

「ああ、ご苦労」

 

 煤けた声で返事をする碇ゲンドウ。

 全てを察していた。

 今日も敗北の日(尻に敷かれる日(物理)であった。

 

 

 

 

 

 CGで簡略化されて表示される世界を疾駆するエヴァンゲリオン3号機。

 デジタル演習だ。

 無論、搭乗しているのは鈴原トウジである。

 動きは実に滑らかであった。

 手にはEW-22B(バヨネット付きパレットガン)を装備している。

 

 その演習空間を、管制室の大画面で見ている葛城ミサト。

 大画面の隣の小さなディスプレイには、エヴァンゲリオン3号機と鈴原トウジの状態(コンディション)が表示されている。

 全てが良好であった。

 葛城ミサトは1つ、頷いてから口元(ヘッドセット)のマイクのスイッチを入れる。

 

「トウジ君、大分慣れて来たわね」

 

『はい、何とかやれとりますわ!』

 

()()()()()?」

 

『今の所、感じまへんで』

 

 ディスプレイ越しに見る鈴原トウジの顔にも緊張感は浮かんでいない。

 真剣ではあっても、力んだ風には見えない。

 安堵する様に笑う葛城ミサト。

 

「それは結構」

 

 葛城ミサトが慎重な態度を見せている理由は、エヴァンゲリオン3号機が操作システムの改修を行ったばかりの為であった。

 使徒の襲来、その間が空いていたお陰での事だ。

 所謂近代化改修。

 NERV本部で建造中の第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオンを基にしたモノであった。

 目的はBモジュールの利用領域 ―― 制御領域の拡大であった。

 従来のType-Ⅲが思考制御(シンクロ)の補助としてBモジュールを使っていたのに対し、今回の近代化改修ではその関係が逆転したのだ。

 Bモジュールに対して曖昧な形で目的を指示し、その目的達成をBモジュールが計算し実行すると言う形になるのだ。

 Type-Ⅲbと命名されたソレは、エヴァンゲリオンの操縦を大幅に簡素化するものであった。

 言ってしまえば、Type-Ⅱは全てを操縦者の自由()に出来る手動(マニュアル)制御。

 対するType-Ⅲbは、大まかな部分をBモジュールが担う自動(オートマチック)制御であるのだ。

 訓練の短い儘で実戦投入される鈴原トウジや第2期適格者(セカンドステージ・チルドレン)の様な促成栽培の操縦者にとってはある種の天祐であった。

 否、葛城ミサトら大人たちにとっても同じだ。

 将来的な万能(細かい制御能力)よりも、操縦者の自由になれる部分が少なくあっても戦えると言う事の方が大事なのだから。

 

「なら次の段階に進むわよ。射撃訓練、要領は前と同じだからやってみて」

 

『やってみますわ!』

 

 デジタル化して再現された第3新東京市で、過去の使徒を再現した標的(ターゲット)に攻撃を開始するエヴァンゲリオン3号機。

 その様は、シンジやアスカの動かし方に比べれば物足りないものであったが、綾波レイのエヴァンゲリオン4号機には近い動きであった。

 鈴原トウジが手本としているのが綾波レイであり、エヴァンゲリオン4号機であるのだから当然とも言えた。

 

「悪く無いですね」

 

 副官役の日向マコトは、感嘆する様に言った。

 葛城ミサトも頷く。

 

「……そうね…………」

 

 同意はする。

 だが、葛城ミサトの表情は優れない。

 簡単に戦力化が出来るとは、別の言い方をすれば簡単に子どもを戦場に放り込む事になったと言う事なのだ。

 指揮官としては割り切らねばならぬことであるが、簡単に割り切れるものでは無かった。

 葛城ミサトは私生活でも子ども達(シンジとアスカ)と距離が近い為、特にそう思う所があった。

 そして同時に、第2次E計画が実戦段階に突入する事を示していた。

 大人の、政治の都合で戦場に放り込まれる新しい(子ども達)

 何とも醜い話であろうか。

 現実の救いの無さ(クソッタレ具合)を噛みしめる葛城ミサト。

 その耳朶に無慈悲な現実を叩きつける言葉を吐く者が居た。

 

「これで、第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオンと第2期適格者(セカンドステージ・チルドレン)の戦力化の目途が立ったって事になるわね」

 

 赤木リツコだ。

 その姿を恨めし気に見る葛城ミサト。

 鉄面皮でそれを無視し、日本政府からの要請(オーダー)を続ける。

 

「来月には、第2東京市のジャパンNERVでお披露目をしたいそうよ」

 

「お披露目、お披露目ネェ」

 

 馬鹿野郎(クソっ喰らえ)と言う発音でお披露目と言う葛城ミサト。

 本当に政治だった。

 

ウチの施設(NERV松代支部)にジャパンNERVの看板張り付けて、第2期量産型(セカンドシリーズ)エヴァンゲリオンに汎用支援機(ジェットアローン3)のお披露目か。でも適格者(チルドレン)の用意できるの?」

 

「さぁ?」

 

「ウチの子たち(チルドレン)は駄目よ、断ってるわよね?」

 

「ええ。ミツキが()()()()わ」

 

「笑って?」

 

()()()

 

 両手、人差し指をこめかみの横で立てて見せる赤木リツコ。

 意味するものはツノ。

 鬼が出た、そう言う事だ。

 

 広報部の担当が日本政府の交渉担当から先のプロモーション(適格者の情報公開)を褒められ、乗せられ、シンジやアスカの臨席を認めようとしていたのだ。

 否、口約束で認めていた。

 だから厳罰に処される事となった。

 減棒2割を6ヵ月。

 及び2階級(部長補佐から平局員への)降格処分である。

 天木ミツキは一切容赦しなかった。

 そして、口約束を盾に交渉を図った日本政府の担当者に対しては、組織としての結論であるかのように個人的願望を口にした結果、処分しましたと言って突っぱねていた。

 躊躇や容赦と言うモノが一切ない、天木ミツキの交渉術(Yesかハイ以外は認めない)であった。

 

「アホね」

 

「ええ」

 

 頷き合う2人。

 その表情は共に、子どもの為なら碇ゲンドウとも話し合う様な女傑(ブン殴ってみせる肝っ玉)相手に阿呆な事をするものだと苦笑していた。

 

「面倒ね」

 

「ええ」

 

「飲みに行く?」

 

「悪く無いわね」

 

 自分が負うべき責任の範疇は兎も角、その外にある何ともやりきれない現実のストレス。

 その発散は重要であった。

 酒と加持リョウジ、或いは碇ゲンドウで発散している2人であるが、それだけで発散しきれるものではないのだ。

 

「ミツキも呼ぼうか」

 

「そうね、褒めてあげるのは大事かもね」

 

「んじゃ日本酒が美味しい店にしましょ」

 

 笑っている2人。

 そんな2人の向こうにあるディスプレイには、縦横に駆け回ってEW-22B(バヨネット付きパレットガン)を放つエヴァンゲリオン3号機が映っていた。

 NERV本部は平常運転であった。

 少なくとも、この時は。

 

 

 

 

 

 




2023.1.7 文章修正

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 これが2022年の最終更新になります。
 読んでくださった皆様、本年ありがとうございました。
 感想までくださった方々に至っては、唯々、感謝あるのみです。
 サツマンゲリオン、来年もよろしくお願いします。

 では!

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