【本編完結】サツマンゲリオン ~ 碇シンジが預けられた先が少しだけ特殊だった県/件 作:◆QgkJwfXtqk
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Bモジュールの本格的開発に際して、NERVアメリカ支部から移籍してきたのはディートリッヒ高原であった。
名前からは判らないが日本国籍の純ドイツ人であった。
母親が
性格は、一言で言えば温厚。
そんな印象を葛城ミサトは抱いていた。
場所は、上級者用歓談休憩室たる
「初めまして。ディートリッヒ高原です。日本に帰ってくるのは久しぶりですので、判らない事も多いとは思いますがよろしくお願いします」
如才なく操る日本語、言葉遣いにも
非
「ようこそ、NERV本部へ!」
場を代表してにこやかに言う葛城ミサト。
ディートリッヒ高原は赤木リツコに次ぐ技術開発局
挨拶、そして握手をしていく。
そして、併せて第2次E計画に関連する行事 ―― ジャパンNERVが予定している
何時、使徒が襲来するか判らぬ状況でディートリッヒ高原の歓迎会など不可能であるし、そもそも夜に集まろうとしてもローテーションで配置に就いている人間も多いが為、中々に難しかったのだ。
だが、ディートリッヒ高原は局長代行と言う重鎮となる人間である為に顔合わせは大事である為、この様な部長級以上の人間を集めての会と相なったのだった。
ジャパンNERVとNERV/NERV本部との関係性は薄い。
だが
そもそもジャパンNERVたちは世界の主要国たる国連
即ち、葛城ミサトらの属するNERVを管理する
その人類補完委員会に対する指揮権と予算とを握る国連安全保障理事会であるのだ。
である以上は、NERVが配慮せざるを得ないのも当然であった。
取り敢えず、
その為、中心となったのはNERVの新装備 ―― エヴァンゲリオン3号機と
ある意味で
とは言え、両機は余り似ていない。
本質もそうであるが、外観も似ていないのだ。
汎用人型決戦兵器の名前通りに主力
対して
構成要素としての役割は、前線にあって使徒のA.Tフィールドを中和する事である。
最大の相違点は胸部装甲だ。
厚みが3倍以上となっており、
その他も、股間や肘膝に手首回りまで分厚い装甲構造体が設置されていた。
だがそれは重装甲化を目的としての事では無い。
逆に、装甲防御力と言う点では正規量産型エヴァンゲリオンの7割程度に落ちていた。
これは正規量産型エヴァンゲリオンで採用されている、防御力と可動域を両立させると言う高性能な1万2千枚もの特殊装甲を
理由は高コストだから。
高い装甲強度と可動域を持たせる為の柔軟性とを両立させると言うのは、途方もなく高コストなのだ。
しかもメンテナンスも大変である。
劣化を防ぐ為、可能な限りL.C.Lに漬けて置く必要があると言う難物でもあった。
L.C.L環境下での保管に関しては、生体部品の劣化を防ぐと言う意味でも重要であるのだが、
赤木リツコが真っ先に削ったのも当然と言う話であった。
全身を、全方位に対する防御力を発揮できる1万2千枚の特殊装甲で守るのではなく、今までの戦歴から被弾率の高い場所を優先的に保護できる装甲に切り替えると言うのは、実に合理性であった。
尚、技術開発局の人間には、全体的な防御力の低下を危惧する声もあったが、予算と工期の壁がその声を封殺した。
それよりは大型の、
近接戦闘をしない、と言う運用の前提を考えれば妥当とも言えた。
結果、
精悍なアスリートめいた細身に見える正規量産型エヴァンゲリオン。
対して
そこには、腰回りの供えられた砲射撃戦用の折り畳み式
更に、背中には発電用の大型
「出せと言われれば出すけど、余り面白く無いわね」
不満顔で述べる葛城ミサト。
出す事は別に問題は無い。
既にエヴァンゲリオン3号機以外の正規量産型エヴァンゲリオンも公開はしている。
機密保持と言う問題は無い。
だが、感情は別だった。
「ウチのエバーが
概ね、葛城ミサトの発言に対して反論する向きは無い。
せいぜいが
誰もが似た感情を抱えていた。
性能だけを言えば、NERV本部の擁する正規量産型エヴァンゲリオンが優秀であるし、実績ある
だからと言って、虚仮にされるのはごめん被ると言う気分であった。
「だが、碇司令からは最大限の
常日頃の飄々とした雰囲気の無い声で反駁したのは、多忙な特殊監査局第1課課長に代わって出席した加持リョウジであった。
制服をキッチリと着て無精ひげも無いのは、特殊監査局第1課の看板を背負えばこその姿であった。
尤も、この場に於いては特殊監査局第1課の人間としてではなく
場が開かれる前、碇ゲンドウに呼び出され、直接に指示されていたのだ。
碇ゲンドウは、最近は
それ程に最近の赤木リツコは強かった。
「そういう意味で我々には拒否権は無いわね」
赤木リツコは憂鬱げに言う。
完成した
エヴァンゲリオン3号機はまだ良い。
NERVは発足以来、正規量産型エヴァンゲリオンの世界規模での展開と運用の準備を営々と行ってきた。
だからこそ陸送も出来るし空輸だって余裕だ。
だが、
陸送用の装備も建造途中であり、空輸機に至っては
正規量産型エヴァンゲリオン用の
輸送するべき
量産性を上げる為の諸々の設計変更による結果であった。
誠にもって赤木リツコの計算外であった。
とは言え
その最優先要求を果たしただけだと、赤木リツコは自分に責任は無いとばかりにソッポを向いていた。
兎も角。
エヴァンゲリオン3号機を
エヴァンゲリオンを動かすには
「公開は駄目よ?」
にべもなく断言するのは天木ミツキだ。
場に居る誰もが反論しない。
そもそも目を合わせようとしない。
只、広報部部長が少しだけ背筋を震わせていた。
「とは言え、行かねばならない。現場で強く言われたら___」
「私が行くから問題は無いわ」
「………そうだな」
その為の
現場にいる佐官、それも中佐と言う上位者階級を帯びた人間が居る。
実に暴力と言えるだろう。
「とは言えウチが舐められるのも困るから、トウジ君には
「仕方がないわ」
葛城ミサトの言葉に、天木ミツキも肩をすくめながら同意する。
下手な格好を鈴原トウジにさせていた場合、
NERV本部と日本政府の関係は決して悪く無いのだが、とは言え組織と組織。
備える事は大事なのだ。
天木ミツキも
配慮の一環として
大人の配慮と言う奴が子どもの幸せに直結する訳では無い。
そう言う話であった。
尚、綾波レイは余り徽章を保持していない。
体の
徽章が読める人間であれば、綾波レイを舐める事は無い。
その意味において、鈴原トウジは舐められやすい立場であると言えるのだ。
大人が配慮するのも当然、そう言う話であった。
尚、配慮された鈴原トウジは、ひーひー言いながら大人は大変やナァ などと零していた。
批判しない理由は、徽章を取れば
子どもと言う奴も、実に現金なのであった。
特に、最近は一緒に出歩く様になった洞木ヒカリと一緒に遊ぶ軍資金を稼ぐ必要が出たから仕方のない話であった。
付き合っている訳ではないが、男の甲斐性として金は全部出したい。
鈴原トウジも実に男の子であった。
NERVドイツ支部に於いて
第2選考が行われたのだ。
まだ正式決定では無いのだが、能力としては
訓練は継続されていたが、その合間にNERVドイツ支部で建造中の
まだ14歳前後の子ども達であったが、政情の不安定な地域から来た子どもの多くは
対して心底から
特に戦闘訓練を熱心に受ける者が多かった。
シンジとアスカと言う
そしてシンジとギード・ユルゲンスの試合後に行われた懇親会で言葉を交わして知ったのだ。
目指すべき目標として恥じぬシンジとアスカと言う
エヴァンゲリオンを駆る
その中には、相田ケンスケも含まれていた。
「久しぶり、シンジ」
「
懇談会の終わりしなに、シンジの元に行った相田ケンスケ。
自分とシンジが同級生であったと言う事は隠す事では無いが、大っぴらかに自慢する事でも無い。
そう言う風に思う様になっていた結果だった。
「何とか、だよ」
肩をすくめて、ついて行くので精一杯だと笑う相田ケンスケであったが、シンジは素直に褒める。
「
「ぼっけじゃなくて?」
「
果敢である事も大事だが、目的の為に努力するのも大事だと言うシンジ。
その意味を噛みしめ、頷く相田ケンスケ。
やる気があっても体が付いていかねば無意味であり、であるからこその修練なのだろう。
体を鍛える事は、体に余裕ができる事を意味する。
常であれ急場であれ、体力に余裕があれば深く考えて動く事が出来るし、連続して対応する事も出来るからだ。
自分の、
体を使う訓練で体中の体力を使い果たし、ヘトヘトになっても座学は免除されない。
最初は相田ケンスケのみならず多くの
よくよく考えれば当たり前なのだ。
エヴァンゲリオンを駆って対峙する使徒は、戦いに疲労したからと「
実際、シンジは気を抜けば1撃でエヴァンゲリオンを撃破可能な火力を持つ第5使徒との戦いで、幾度もの被弾と被害から尋常では無い痛みを味わいつつ、だが1時間以上も戦い抜いたのだ。
その凄惨とも言える戦いの様は、
兎も角。
第5使徒と
それは、
真面目な話も大事だが、シンジも相田ケンスケもまだ子どもなのだ。
ボソッとばかりに笑う話を入れる。
「所でシンジ、オメデトウ。結婚まで秒読みか?」
少しばかり悪い笑顔だ。
それは相田ケンスケがアスカの事を完全に吹っ切れた証拠でもあった。
が、言われたシンジはそれ所では無い。
「
「いやー あんな公衆面前で熱ーいキスしたんだぜ? もうお前、その道以外があるものかよ」
顔を真っ赤にするシンジ。
言われればその通りとしか言いようが無い。
そして何より、絶対にアスカの父親であるヨアヒム・ランギーに話は届くだろう。
NERVドイツ支部の
「
夜のランギー家家族会議を思い、深く嘆息するシンジ。
笑う相田ケンスケ。
それは実に青春であった。
2023年 あけましておめでとうございます。
今年もサツマンゲリオン、よろしくお願いします。