サツマンゲリオン ~ 碇シンジが預けられた先が少しだけ特殊だった県/件   作:◆QgkJwfXtqk

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 NERV本部の切り札、エヴァンゲリオン初号機の出撃。

 だがそれは勇壮さなど欠片も無い光景であった。

 元より、第13使徒との戦いで大破状態に陥っており、片腕が無い。

 又、修理作業の為に装甲の大半が外されており、その代わりに保護帯が包帯の様に機体を覆っている有様であった。

 当然、肩のウェポンラックの兵装も撤去されている。

 固定武装など一切ない、只、EW-12(マゴロク・エクスターミネート・ソード)を1つだけを装備して(持って)いるだけなのだ。

 

 間違っても、出撃できる状態ではなかった。

 にも拘わらず、何も出来ない儘に子どもを乗せて戦場に送らねばならない。

 それは整備に関わる人間にとっては、ある種の罪であると思える事ですらあった。

 後姿だけは、綺麗なその姿勢だけはいつも通りのエヴァンゲリオン初号機を、忸怩たる感情を抱えて見送るのであった。

 

「機付き長、急いで退避しませんと!」

 

「判ってる」

 

 部下の進言に、悔しげな表情を隠せない吉野マキ。

 不完全な状態のエヴァンゲリオンに子どもを乗せて戦場に送る。

 にも拘わらず、大人である自分は安全な場所に退避せねばならない。

 理性では、ソレが判っていても、簡単に受け入れられる話では無かった。

 大人であるが故に。

 とは言え、上からの命令を拒否する事は出来ない。

 NERV本部地下(ジオフロント)施設群も使徒の攻撃、その余波で甚大な被害を出しているのだから。

 被害の深刻さは、非戦闘配置(ほぼ全ての)スタッフに全力での避難命令が出ている所に現れていた。

 今までの使徒とは桁が違っている。

 それが第14使徒であった。

 

 ()()()()()()()()

 整備班は無事に第14使徒との戦闘を生き延びねばならぬのだ。

 整備班の人間が倒れると言う事は、エヴァンゲリオンを整備出来る人間が居なくなる ―― 次に備えれる人間が居なくなる事を意味するからだ。

 それが理解出来ない程に吉野マキは無責任では無かった。

 

「急ぐわよ」

 

 出撃するエヴァンゲリオン初号機と碇シンジに後ろ髪を引かれつつ、吉野マキは部下と共に全力で避難を始めるのだった。

 

 

 

 何時もとは違うエヴァンゲリオン初号機。

 それは外見を見てでは無い、繋がる事(シンクロ)によって操縦者のみが判る事であった。

 だがシンジはそれを受け入れる。

 

せんにゃならんたっで(やらなければならない)じゃっで(なら)チェストじゃっがよ(吶喊あるのみか)

 

 誰に言う訳では無く、呟くシンジ。

 やらねばならぬ事がある。

 人類の敵たる使徒が現れ、相方たる惣流アスカ・ラングレーと仲間が戦っている。

 4対1での闘い。

 なれど戦況は衆寡敵せずとはならず、不利となっている。

 それだけの敵なのだ、第14使徒とは。

 

『シンジ、やれるの?』

 

 アスカからの通信。

 シンジに目を合わせている余裕が無く、常にない真剣な顔で第14使徒を睨みつつエヴァンゲリオン弐号機を操っている。

 そんな状態でも尚、シンジには通信を繋いできている。

 乙女であった。

 シンジは薄く笑みを浮かべて答える。

 

「やるよ」

 

『そっ、アンタがそう言うなら、そうなんでしょう。信じたからね』

 

「任せて」

 

 発進口から出るエヴァンゲリオン初号機。

 シンジは最初から最大戦速で機体を走らせた。

 その選択が正しいとばかりに、発進口へと第14使徒の粒子砲が叩き込まれた。

 爆発。

 焔を背に走るエヴァンゲリオン初号機。

 EW-12(マゴロク・エクスターミネート・ソード)の鞘、その電磁ロックを解除して一閃させる。

 その挙動で鞘を捨てる。

 保持が片腕と言うこともあり、シンジは刀身の背をエヴァンゲリオン初号機の肩に乗せた、八相めいた構えで走る。

 

『どうする?』

 

「中和は上手く行ってる?」

 

『この距離じゃ、正直、上手く行って無い』

 

 今、エヴァンゲリオン弐号機と第14使徒との距離は約1000m前後。

 近距離から中距離の間といった具合だ。

 アスカとエヴァンゲリオン弐号機にとって得意と言える間合いでは無いが、第14使徒の近接装備 ―― 鞭めいて繰り出される帯状(幅広)の武器に対処するにはこの距離を必要としていた。

 それでも、エヴァンゲリオン弐号機は肩のウェポンラックなどのコアでは無い部分に被弾し、破損していた。

 何とも厄介な第14使徒であった。

 並の、鞭めいた武器であれば間合いの内側に潜り込むと言う対処も出来るのだが、第14使徒が振るう帯めいた鞭は伸縮を自在に出来るのだ。

 死線を飛び込えた積りで死地と言う事に成りかねない危うさがあった。

 しかも、顔と思しき造形の眼窩から粒子砲を乱射しているのだ。

 第14使徒は誠にもって厄介極まりない相手であった。

 

「行こう」

 

『行くわ』

 

 第14使徒の攻撃を回避しながら会話するシンジとアスカ。

 その会話によどみは無い。

 躊躇も無い。

 誠に厄介極まりない第14使徒。

 とは言えそれは、シンジかアスカが1人であった場合の話なのだ。

 覚悟を決めた人間が2人と揃えば、出来ない事は無い。

 それだけの自信と、そして相手への信用をシンジとアスカは共に抱いていたのだ。

 

 2人の会話を葛城ミサトは口を挟む事無く聞いている。

 全幅の信頼、そして責任者として全ての引責を覚悟しての事でもあった。

 否、せめて責任は取らせて欲しいと思って居た。

 子どもを戦場に放り込んだ、大人としての意地であった。

 

『じゃ、前衛は__ 』

 

「今度は僕が行く」

 

『正気!? そんな状態で………』

 

()()()()()。あの使徒、まだ隠し玉を持って無いとは限らないから」

 

『………Verstehe(理解したわ)

 

 

 共に口にしない事が1つ。

 間合いに切り込むまでの間、第14使徒の攻撃を吸収する前衛が無事である可能性は極めて低いと言う事である。

 まだ子ども。

 14歳と言う子どもが覚悟するには余りにも凄惨なソレを、葛城ミサトは俯いたままに聞いていた。

 会話の聞こえている第一発令所の誰もが歯を噛みしめていた。

 碇ゲンドウすらも、サングラス越しにも判る厳しい表情をしていた。

 

 

『じゃ、代わりに今夜のAbendessen(夕食)は私が作ってあげる』

 

ドイツ式(冷菜食)?」

 

『日本式よ。パンとソーセージ、それにチーズね』

 

「どこが日本式だよ」

 

『日本の、食パンを使うからに決まってるじゃない』

 

 軽口を叩き合いながら、吶喊に向けて機体を寄せていく2人。

 対して第14使徒は粒子砲を散発的に発砲してくる。

 牽制なのだろう。

 

 綾波レイと渚カヲルのエヴァンゲリオンは、その隙に遮蔽物 ―― 半壊している発進口に潜り込んでいた。

 装備の換装である。

 シンジとアスカが吶喊と腹を決めた事を阿吽の呼吸で理解した綾波レイが、武装を至近距離用のEW-31(フレームランチャー)から支援射撃の可能な(中距離戦にも対応できる)EW-22D(強化型パレットガン)への変更を決めての事だった。

 渚カヲルの方は、射撃によって弾倉が寂しくなっていたEW-22B(バヨネット付きパレットガン)の交換であった。

 常日頃は余裕ある笑みを浮かべている渚カヲルも、今は汗を掻いて真剣な表情となっていた。

 

『初陣がコレとは、いやはや、NERV本部は人使いが荒いよ』

 

『無駄口は叩かない』

 

jawohl(了解)、お姫様』

 

『………何を言ってるの』

 

 無駄口めいた事を言いつつも、作業は丁寧に、かつ素早く行っていく2人。

 その事を当然の事として受け入れているシンジとアスカ。

 最前線で戦う相棒が互いであるが、同時に、その背に綾波レイが居る事を決して疑っては居なかった。

 それだけの()があった。

 

『準備、終わったわ』

 

『なら行こうかしらね』

 

 まるで気負いのない、ピクニックでも楽しもうかと言うアスカの声。

 それにシンジは少しだけ笑って、最後に葛城ミサトに声を掛ける。

 

葛城サァ(葛城さん)よかな(良いですよね)?」

 

 儀式めいた最終確認。

 葛城ミサトは静かに受け入れる。

 

『良いわ。許可します。それからシンジ君、アスカ、レイ、カヲル君。みんな全員、無事に帰って来て』

 

 それは願い。

 葛城ミサトのみならず、子ども達の後ろに居るしかない大人たちの総意。

 アスカは笑い飛ばす。

 

『あったり前じゃない!』

 

 

 

 

 

『カウント! 3…2…1…Now! ぶっ叩け!!』

 

 威勢のいい葛城ミサトの発令。

 その瞬間、4機のエヴァンゲリオンは一斉に攻撃へと転じた。

 バラバラに動いて射撃を開始するエヴァンゲリオン4号機とエヴァンゲリオン6号機。

 一塊となって突進するエヴァンゲリオン初号機とエヴァンゲリオン弐号機。

 EW-12(マゴロク・エクスターミネート・ソード)を背負う様に構えているエヴァンゲリオン初号機。

 続くエヴァンゲリオン弐号機はEW-24(N²ロケット砲)を右の片腕で構え、左腕でEW-17(スマッシュトマホーク)を持っていた。

 両手持ちでは無いEW-24(N²ロケット砲)では命中の精度が期待出来ないが、それは距離を詰める事で補えるとの判断だ。

 それよりは至近距離へと迫った際、即、斬り込める武器を優先しての事であった。

 

「キェェェェェッ」

 

-オォォォォォッォオォォォォォォォォン!-

 

 シンジの猿叫に合わせてエヴァンゲリオン初号機が吼える。

 顎部ジョイントは、既にロックされていない。

 対するアスカも鬨の声と共に走る。

 

『フラァァァァッ』

 

 顎部の無いエヴァンゲリオン弐号機であるが、代わりに爛々と4つの目を開いている。

 あふれ出たA.Tフィールドが実体化し、粒子の如く後ろへと流れていく。

 正に殺意が具現化したかの様な情景。

 

 一瞬だけ、第14使徒は反応に迷った。

 接近してくる2機のエヴァンゲリオンも脅威であるが、遠方の2機による射撃もA.Tフィールドが段々と中和されつつあり全くの無視をするには厄介となっていたからだ。

 

 迷い。

 ただ一瞬の停止。

 

 だが、それが第14使徒にとって最悪の結果を産んだ。

 迫られたのだ、エヴァンゲリオン初号機とエヴァンゲリオン弐号機に。

 迎撃の為、最大火力たる眼窩の粒子砲を発砲する。

 悪手だった。

 被弾上等と覚悟を決めたシンジは、エヴァンゲリオン初号機の()半身を焼かれながらも最小限度の動作で回避して見せていた。

 アスカは幼子の様にシンジの背を信じ、エヴァンゲリオン弐号機を右へと動かしたのだ。

 遠くのジオフロント内壁が派手に破損するが、それだけの事が全てであった。

 少しだけ進路の軸がズレたエヴァンゲリオン初号機とエヴァンゲリオン弐号機。

 それを(チャンス)とばかりにアスカはEW-24(N²ロケット砲)の残弾を一気に撃ち切った。

 

 直撃。

 

 エヴァンゲリオン弐号機による第14使徒のA.Tフィールド中和が十分な効果を発揮できる距離に詰められたのだ。

 ここぞとばかりに弾を撃ち込むエヴァンゲリオン4号機とエヴァンゲリオン6号機。

 射線と、エヴァンゲリオン初号機とエヴァンゲリオン弐号機の進路が重ならぬ様に細心の注意を払って動いた綾波レイの努力が実を結んだ結果であった。

 手持ちの弾を数秒で撃ちきったエヴァンゲリオン4号機とエヴァンゲリオン6号機。

 全身を穴だらけとされた第14使徒。

 そこに先ずはエヴァンゲリオン初号機が斬り込んだ。

 八相から蜻蛉へ、そこから更に天へと伸ばしての斬撃。

 

「キィィィィエィッ!!」

 

 第14使徒を真っ二つにする勢いだ。

 だが、そこで終わらない。

 エヴァンゲリオン弐号機だ。

 

『フラァァァァァァッ!!』

 

 暴威暴力そのものと言った勢いで振り下ろされるEW-17(スマッシュトマホーク)

 その刃先が第14使徒の弱点(コア)を叩き割る ―― 割れない。

 暴露していたコアを、保護する様にカバーが護ったのだ。

 

『しゃら臭いっ!』

 

 もう一発、とばかりにEW-17(スマッシュトマホーク)を振り上げたエヴァンゲリオン弐号機。

 その瞬間、第14使徒が()()()

 閃光。

 だがアスカは委細構わず、振り抜く。

 だが当らない。

 否、振り抜けない。

 それは、誰もが目を奪われたその瞬間、第14使徒は脱皮した結果だった。

 それまでのユーモラスささえ漂わせていた準人型の姿を捨てて、エヴァンゲリオンにも似た細身の体が生まれたのだ。

 その両腕がEW-17(スマッシュトマホーク)の切っ先を掴まえたのだ。

 新形態となった第14使徒、その剛腕がエヴァンゲリオン弐号機を持ち上げ、そしてぶん投げた。

 

『なっ!?』

 

 流石に反応できないアスカ。

 だが第14使徒は一切の躊躇なく追撃を行う。

 眼窩の粒子砲だ。

 昏い眼窩がギラりと光った瞬間、アスカは自分の死を想像した。

 

『シンジィッ!?』

 

 悲鳴。

 或いは願い。

 その声は届く。

 

「アスカァッ!!」

 

 捨てられた第14使徒の体の側に切っ先を捕らえられていたEW-12(マゴロク・エクスターミネート・ソード)を捨てたエヴァンゲリオン初号機が、第14使徒を殴り飛ばす。

 派手に吹っ飛ぶ第14使徒。

 逃がさぬとばかりに奔るエヴァンゲリオン初号機。

 中段、腰の横へと引き絞られた拳は、弓の如きであった。

 だが拳が放たれるよりも先に、第14使徒が振り返り、そして粒子砲を放ったのだ。

 

「っ!?」

 

 第14使徒のA.Tフィールドが中和されていると言う事は、エヴァンゲリオンのA.Tフィールドも中和されていると言う事なのだ。

 爆発した。

 

 

 

 

 

 ひと際強烈な粒子砲の射撃は、NERV本部の機能を一瞬だけ奪った(シャットダウン)

 一瞬だけ電気の消えた第一発令所。

 ジオフロントからの振動が直撃し、轟音が響く。

 悲鳴を上げる人間が多くいたが、それでも机に齧りついてまで任務から逃げなかった。

 子どもが、シンジ達がこの衝撃の爆心地で、その発生源たる第14使徒に真っ向から立ち向かっているのだ。

 大人として逃げれる筈が無かった。

 

101(エヴァンゲリオン初号機)、通信途絶!?」

 

「被害状況っ!!」

 

102(エヴァンゲリオン弐号機)、自己修復Mode入ります。パイロットのバイタル確認!」

 

 喧騒。

 

「画面、回復します!!」

 

 青葉シゲルの叫び声に、全ての人間の耳目が中央のモニター集まる。

 ノイズ交じりの画像。

 爆煙、土埃混じりの画像。

 それが風によって吹き払われる。

 そこに浮かび上がったのは右腕を失ったエヴァンゲリオン初号機であった。

 

「っ!?」

 

 悲鳴、或いは息を飲むスタッフたち。

 相互にA.Tフィールドを中和し合って無防備な状態で受けた粒子砲は、エヴァンゲリオン初号機の右腕をはじけ飛ばしていた。

 残った肩口は赤く灼熱化し、融解し果てていた。

 

「シンジ君!?」

 

 葛城ミサトすら思わず、悲鳴めいた声を漏らしていた。

 

 だが、エヴァンゲリオン初号機は外野(第一発令所)を無視して走り出す。

 その走る軌跡を追って、乱射される粒子砲。

 第14使徒は当然ながらも健在であった。

 

 轟音。

 振動。

 無尽蔵なエネルギーを感じさせる勢いで、乱射される粒子砲をエヴァンゲリオン初号機は獣めいた動きで俊敏に交わしていく。

 

-オォォォォォッォオォォォォォォォォン!-

 

 咆哮。

 

 

 シンジの操縦とは思えぬ、獣めいた動き。

 そこに冬月コウゾウは1つの回答を得た。

 

()()()()()()()()()

 

 漸くか、そう状況の危機的さを忘れて安堵めいた気分となっていた。

 だが総司令官席に座っている碇ゲンドウの表情は厳しい。

 

「そうかな」

 

「………どうした?」

 

「いや、シンジがアレくらいで()()()()()()? と思ってな」

 

「ばかな___ 」

 

 その時、伊吹マヤが声を上げた。

 101(エヴァンゲリオン初号機)との通信回復、との。

 第一発令所の耳目が集まった。

 

「状況は?」

 

 問う葛城ミサト。

 問われた伊吹マヤは、何とも言えない顔で首を縦に振っていた。

 全てを察した葛城ミサトは、

 

「でしょうね……」

 

 とだけ言った。

 エヴァンゲリオン初号機もシンジも、被害は甚大なれどもいまだ健在であった。

 

 唖然と言う表情となった冬月コウゾウ。

 

「そういう事だ」

 

 碇ゲンドウの表情、そして声は果てしない諦観の色が浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 鋭い痛み、そして熱感。

 だが、シンジは止まらない。

 

「イィィィィッ!!」

 

 食いしばった歯の隙間から吠えながら、エヴァンゲリオン初号機を操る。

 逃げる為、では無い。

 まだ前に進む為に。

 自棄めいた捨て身(特攻)、では無い。

 攻撃の為であった。

 避けて。

 避けて。

 避けて避けて避けて。

 そして攻撃に転じる。

 顎部ジョイントが壊れる位に大きく開いたエヴァンゲリオン初号機の口元。

 それが細身となった第14使徒の喉元に食らい付いた。

 使徒は人間とは違う。

 喉元が弱点となるとは限らなかった。

 だが、それでも使徒の動きを止めるのであれば()()であった。

 吹き出す紫めいた使徒の血。

 だがエヴァンゲリオン初号機は止まらない。

 更に更に噛み込んでいく。

 食らい付き、肉片や血をまき散らしながら噛みついていく。

 抵抗しようと、両腕でエヴァンゲリオン初号機を排除しようとする第14使徒。

 圧倒的な膂力でエヴァンゲリオン初号機を捻りつぶそうとする。

 シンジ1人、エヴァンゲリオン初号機1機であれば勝てなかったかもしれない。

 

「アスカ!!」

 

 だがシンジは独りでは無いのだ。

 

『シンジ!!』

 

 エヴァンゲリオン弐号機が奔る。

 両腕で腰だめにEW-11C(プログレッシブダガー)を構えての攻撃。

 加速、そしてエヴァンゲリオン弐号機の全質量を乗せた一撃は、第14使徒の耐えうる限界を超えていた。

 閃光。

 

 

「使徒、沈黙__ 」

 

使徒反応(BloodType-BLUE)、消滅を確認!」

 

 日向マコトと青葉シゲルの報告。

 その瞬間、第一発令所は歓声が爆発した。

 NERV本部は最大の危機を乗り切る事に成功したのだった。

 

 

 

 

 

 


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