私コレ絶対主人公の相棒ポジションだよね?   作:アイリスさん

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011 覚醒……!?  ぴょん

居ないっ……ドコにも!陽里先輩が!

現場に到着したのは良いですけど、こんな高い壁に囲まれた袋小路で人間が消えるなんて有り得ますか!?ホントにドコへ行ったんですか。

考えられる可能性としては、この場所に入って来た陽里先輩を拘束して壁の向こうに持ち上げられるような罠みたいなモノが張ってあった、とかでしょうか……。

 

こんな時間こんな場所に来るくらいです、陽里先輩は誰かに呼び出されたに違いありません。きっとそうです。例の動画の関係とか……万が一、億が一の可能性として、陽里先輩が動画の撮影主に好意を持ってたとかで呼び出されてホイホイ付いて行った結果誘拐されて……。

ああああ昨日ボクがあのマンションに踏み込んでさえいれば事前に防止出来たかも知れなかったのに!ボクの馬鹿馬鹿馬鹿!!

 

とっ、兎に角です。何か手掛かりになるようなものを見付けないと。出来るなら誘拐じゃ無い証拠とかあれば少しは安心出来るのに。やっぱりボクが無理矢理にでも陽里先輩にGPS付きスマホをプレゼントしておけばこんな事には……。

 

…………!!

あれは陽里先輩が着けてたヘアピン!

クンクン、スーハースーハー、うん、間違いありません。陽里先輩の匂いがします!こんな道路の端、コンクリートの壁の側に落ちてるとは。これはやはりこの壁を越えて連れ去られたって事でしょうか。不味い、早く助けないと。一先ず瀬場さんに連絡を……。

 

あれっ!?スマホが圏外になってる!?何でですか、この辺に電波の通じない場所なんて無かった筈です!まさかボクのスマホ壊れましたか!?全くよりにもよってこんな時に……………………へっ?何ですかこれ?顔をあげたら視界一面白黒?世界から色が消えた?ボクの目、病気か何かになっておかしくなったんでしょうか?いやでもスマホもボクの肌も服もちゃんと色があるのに、それ以外は白黒?そんな視覚障害とかありますかね?

 

っ!?何ですか今の!?もの凄い音と衝撃!?一体何が起こってるっていうんですか!念の為確かめに行ってみましょう。音は確か袋小路を出た大通りの向こう……。

 

向こうの大通りの道路の真ん中、クレーター?の中心から少しだけ右に逸れた辺りにボクに背中を向けて立ってる赤い髪の誰かが居るっ!いやあれは間違い無く陽里先輩!あの動画と同じ格好をしてる!

 

「陽里先輩!!」

 

ボクの声に気付いたみたいですね、陽里先輩がこっちに振り向きました。良かった、どうやら無事だったみたいです。

 

「…………月ちゃん!?どうしてっ!?」

 

なんか陽里先輩、凄く驚いてますね。撮影中に急に現れたからでしょうか……あれ?陽里先輩の衣装、動画の時と違って随分汚れてますね。あちこち損傷してるし。まあエッチな感じの破れ方じゃ無いのでいいんですけど。演出、とかですかね?

 

いやいやいや、演出って!?こんな一面白黒の世界が演出なわけ無いですよ!何ですかコレ!?まさか神隠しとかそういう類いの……あれ?もしかして陽里先輩って本物のそういう怪異と戦ってたりするんでしょうか……?

 

あっ、遥か向こうから何かが陽里先輩に向かって飛んで来るっ!陽里先輩、危ない!

 

「月ちゃん逃げてっ!!…………イプレっ!!」

 

『任されたぴょん!』

 

陽里先輩が叫んだと同時、左の方からエメラルド色の小さい何かがボクの方へと向かって来ます。何ですかあれ、小人?なんか頭にウサミミが付いてるんですけど。語尾にぴょん、ってちょっと安直じゃないですかね。そこはかとなく怪しい……。

 

 

 

★☆★☆★☆

 

今度はよりにもよって月ちゃんなの!?何でワタシの関係者ばっかり!月ちゃんも魔力持ち……これワタシのせいじゃないよね!?ワタシの魔力に影響されて月ちゃんも魔力持ちになっちゃった、とかじゃ無いよね?無いって言って。

 

はっ!?そんな考えは置いとかなきゃ。今は月ちゃんが避難する時間を稼がなきゃ。あのカマキリモドキの注意をワタシだけに向けないと。

月ちゃんとそっちの位置へと向かったイプレを背にして、魔法の杖(グレネードランチャー)の先端に溜めたオレンジ色の魔力が幾つもの細いレーザーとなってカマキリモドキへと走る。威力は劣るけど普通の魔力弾より拡散弾の方が見た目も派手だし注意は引ける。勿論、月ちゃん達が居る方向とは別の、右斜め後方へと走ってカマキリモドキを引き付けるのも忘れない。

 

「お前の相手はワタシだよ!」

 

拡散弾が大した威力が無いのは理解してるみたいで、カマキリモドキはそれを避けようとも払おうともせずにワタシの方へと飛んで来る。あらゆる方向から走る全弾がカマキリモドキの全身に命中するけどかすり傷一つ無い。くっそぅ、ちょっとくらい傷付きなさいよ!

 

「陽里先輩っ!」

 

って月ちゃんの声。ちょっと!?何でそこで目立つような事するの!?って月ちゃんの居る場所、さっきと同じ位置!?どうして逃げて無いの!?

あ、カマキリモドキの視線が月ちゃんの方に向いた……クソッ、絶対行かせないよ!

 

月ちゃんの方へと進路を変更して飛ぶカマキリモドキに並走しながら、ワタシは魔力弾を何度も撃ちつつ走る。変身してるお陰で相当速く走れてる筈だけど、カマキリモドキとワタシとの差が縮まらない。ワタシの攻撃が効いてる様子も無い。魔力弾が当たる直前にカマキリモドキの被弾箇所の体表がうっすらと黄緑色に光ってるから防御魔法らしきものを展開してるっぽい。ホンット厄介。でも何とかアイツを止めないと月ちゃんが……流石にアイツの攻撃はイプレの防御結界じゃ受け止められそうに無いし。

 

「このっ、このっ、止まれぇぇえ!!」

 

何度も撃つけど変わらずカマキリモドキは止まらない。そうしてるうちにカマキリモドキと月ちゃんとの距離がどんどん詰まっていく。イプレが月ちゃんに防御結界を張って……違うそうじゃ無いよ!月ちゃんを連れて逃げてってば!その場に留まらないでって!

 

そうして走っていると不意にゾクッ、と何かを感じた。何、今の。なんか嫌な予感が……。そう思った瞬間。カマキリモドキは急旋回して真っ直ぐワタシの方へ。ヤバい、さっきまでより速いっ!

 

直後、衝撃。

耐えきれず地面に右膝をつくワタシ。

カマキリモドキの振り下ろした鎌を咄嗟に受け止められた自分を褒めてあげたい。ワタシを中心に直径数十mくらいのクレーターが出来る。これよく耐えられたよね、魔法少女頑丈過ぎるでしょ。いやまぁ体じゅうに痛みが走ってるけど。もしもダメージ肩代わりしてくれる魔法少女の衣装が無かったらグロ映像になってた所だろうね。

 

「ぐっ……ぐぐぐっ」

 

まさか月ちゃんに注意を向けさせて油断したところで一気に距離を詰めて襲ってくるとは。カマキリモドキの癖に頭使うとか。

にしてもなんて馬鹿力。振り下ろされた鎌を止めるので精一杯どころか完全に押されてる。このままだと鎌が…………あれ……カマキリが鎌を使う時って……もしかしてこのままだと……。

 

くっそう……ぐぎぎぎ……駄目だ、重すぎて押し返せない!

状況を打開しなきゃって思う前に、カマキリモドキがワタシの右掌を大顎で叩き付けた。そのせいでワタシはグレネードランチャーを地面に落とす。カマキリモドキがすかさずそれを蹴って、グレネードランチャーは後方へと飛んでいった。コイツッ!

 

「陽里先輩っ!!」

 

「月ちゃん……いいから逃げて!」

 

せめて月ちゃんだけでも逃がさなきゃ。あんな他人思いの良い子がこんな事に巻き込まれていいわけが無い。月ちゃんが逃げるまでの時間くらいは何とか粘らないと…………!?!?、痛いっ!!

 

ワタシが月ちゃんの方へと視線を向けたほんの一瞬に。カマキリモドキの鋭い大顎がワタシの左肩に食い込んでいた。鎖骨に噛み付かれてるっ!痛い!痛い!痛い!

左肩の衣装に急速にヒビが入っていく。待って待って、これ衣装が破壊されたらワタシの左肩が……。

 

バキンッ、って音と共に左肩の衣装が砕ける。同時に大顎がワタシの左肩に突き刺さって……鈍い音を立てて噛み千切った。鋭さ故か左肩はパックリと割けて血が溢れてくる。鎖骨もものの見事に綺麗に切断されていた。

 

「あ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ」

 

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いっ!!肩がっ、肩がぁ!!

 

力を失った左腕は呆気なく鎌に捕らえられて、同時に右腕も鎌に拘束された。鎌で押さえられてる部分は万力で絞められてるみたいに痛いし抜け出せない。何か無いの!?状況打開の策とか!?

 

「…………イプレ!!助けて!!」

 

蹴り飛ばされたグレネードランチャーを回収するしかない。ワタシは全く動けないからイプレに持って来てもらうしか……。

 

『今行くぴょん!』

 

イプレがグレネードランチャーの所へと走って回収。よし、後はそれをワタシに早く渡し……イプレっ!?

グレネードランチャーを持ったままのイプレに黄緑色の魔力弾が直撃して、後方へと吹き飛ばされた。このカマキリモドキ、遠距離攻撃も出来たの!?不味い、もう打つ手が無い。

 

カマキリモドキの大顎がワタシの首に向かって来る。咄嗟に仰け反ったワタシの首の付け根辺りに顎が噛み付いた。痛い、それに苦しい……。辛うじて頸動脈の辺りに噛み付かれるのは回避出来たけど、このまま首の付け根の部分の衣装が破壊されたらワタシの首は……。

 

二度目も、思えば短い人生だった。前世を足しても四十年くらいか。せめて今世は長生きしたかった。二度も早く死ぬなんてワタシ、そんなに悪い事したのかな。前世の前世で大罪人とかだったのかな。また痛みと苦しみの中で死ぬの、嫌だなぁ。

 

 

 

首元の衣装が砕けて、大顎の先端がワタシの皮膚に刺さったと思った瞬間。突然拘束していた鎌が両方とも外れて、ワタシはドサリという音と共に地面に尻もちをついた。事態が全く飲み込めなかったワタシだけど、取りあえず右手を首元に這わせる。どうやらほんの少し、大顎の先端が皮膚を貫いた程度みたい。まるで吸血鬼にでも噛まれたみたいな小さな丸い点のような傷が二つ。そこから微かに血が滲む程度だった。良かった、首は無事だった。

それにしても一体何でワタシを離したんだろう。カマキリモドキは……あれ?距離を取って向こうに居る。何で?ん?何か左の鎌から黄緑色の液体みたいなのが流れてる?あ、左鎌の付け根辺りに傷が……じゃああれってもしかして体液?

 

……え?ワタシがあれだけやって傷一つ付かなかったカマキリモドキが?一体何があったの?

 

 

 

 

 

「後はボクに任せてください、陽里先輩」

 

声がした右の方へと視線を向けた。そこにはワタシの第一形態と似たデザインの、黄色を主体にして白の混じった、フリフリのミニスカートのドレスに黄色のロングブーツ姿の、ツーサイドアップになった金色の髪に変わった月ちゃんが立っていた。その右手には刀身が金色に輝くレイピアが握られている。

 

「月…………ちゃん?」

 

「はい。ボクの魔法少女(ルミナ・ルニ)の力で、陽里先輩を必ず守ってみせます」

 

 




陽里「ワタシのピンチに月ちゃんが覚醒……ああ、そういう事かぁ、ワタシじゃなくて月ちゃんかぁ」(察し)
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