私コレ絶対主人公の相棒ポジションだよね?   作:アイリスさん

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019 流石にキナ臭くなってきたぴょん

 

人間界側との話を終え。

トア王女殿下は先程から椅子に座って黙って考え込んだままである。無理もない。ソアレルイが単身で戦った、という話が事実ではないかも知れないのだ。

 

「……ダナスティは陽里様の戦闘の様子を見ていたのですよね?」

 

トアたんのその問いに、我輩は頷く。実際はこの目で直に見たわけではなくイプレの実況スレで、ではあるがそれは些事であろう。

 

「確かに見てはいたのではあるが……我輩達からすれば上位デーモンを倒せるというだけで異次元の実力であるが故に思い至らなかったのである」

 

実際は『アカリン……ハァハァ』とか思って見ていたので疑問を持つような心境にならなかっただけなのであるが、そんな事間違っても口には出せないのである。まあ、ソアレルイが我輩達と比較して異次元の実力なのは確かであるが。

 

「そう……ですか。ワタクシもソアレルイならば上位デーモンの一体や二体程度なら簡単に蹴散らすような実力なのだとばかり思っていたのですが……。どうやらワタクシ達が聞かされていたお伽噺は現実のそれとは別物と考えなくてはならないようです」

 

トアたんは訝しげな表情で焦点を中空に漂わせながら再び考え込んでおられる。アッその表情も良いであるな不敬に当たらないのであれば画像に残したいくらいである。アッアッ

 

「ダナスティ、これから……ダナスティ?聞いていますか?」

 

「……ハッ!?ももも勿論である!」

 

あっぶねぇ、トリップしかけたである。トアたんを無視とか危うく極刑に値するところであった。

 

「あの……今の状況が状況ですしダナスティ達がワタクシを()()()()()で見ていた事はこの際気付かなかった事にしますので。せめて仕事中は真面目にやってもらえませんか?」

 

はぁ、と溜め息を漏らしつつトアたんがそう口にしておられる。王女殿下を邪な目で見るとかアレな妄想をするとか不敬罪であるからな。魔王の侵攻で国民が心身共に疲弊している今の状況で無かったら見逃してはもらえなかったであろう。トアたんにハァハァする事で明日への活力を何とか得ている者も少なくないであるからな。形はどうであれ現状国民の支えになるなら多少の事は目を瞑ろうという御慈悲であるか。

とはいえハァハァする許可は頂けたのである!ヒャッホゥ!!今日の仕事を終えて帰宅したら早速スレ民に報告&アッアッするのである!

 

……あ、いや待てよ?これもしかして我輩、トアたんにドン引かれてる可能性が……。

 

「う、承ったのである」

 

辛うじて返事は返せたが結構ショックである!もう今日は溜め込んだトアたんとアカリンのアレな画像でハッスルするしかないのである!

 

「話を戻します。ダナスティ、貴方はスレッドを利用している方々にお伽噺に関する事を何でも良いので提供してもらえるよう呼び掛けて下さい。民間伝承や、それこそ祖父祖母から聞いたような昔話程度でも構いません。ワタクシ達が聞かされてきた魔法少女の話と少しでも違う事があれば」

 

「承った」

 

「それから。魔導バリアの外なので危険ではありますが王立図書館へ出向いてもらえますか?もしかしたら焼け残った書物が有るかも知れません」

 

「それも承ったのである」

 

我輩遠ざけられてる?とかちょっと思ったであるが違うか。もしかすると真実が書かれた書物が残っている可能性もあるであるからな。とはいえ我輩達が知っているお伽噺以外の事が書かれたモノなど存在しているのかは疑問であるが。

それにしてもソアレルイが単身で魔王を倒した事が真実で無かったとしたら、当時の王族は何故そのような嘘を残したのであろうか?やはりトアたん以外の王族の考えは理解できないのである。

 

「ワタクシは御母様にお話を伺ってみます。ワタクシ達の知らない事実を知っているかもしれませんので」

 

確かに王妃様ならば何か知っている可能性もあるのである。何せ魔導バリアの場所も起動方法も王妃様から伺ったであるからな。とはいえ王妃様は病床の身。あまり負担は掛けられないのである。

 

「ですが先に魔導バリアの維持に向かいましょうか。ダナスティ、付いてきて下さい」

 

そう言ってトアたんは立ち上がり、出口へと向かう。我輩も急ぎ向かって、扉を開ける。流石に国王代理であるトアたん自身に扉を開けさせるわけにはいかないのである。

 

部屋の外で控えていた所謂メイド服(スカート裾がロングの普通のやつである)侍女長が「王女殿下、お供致します」と我輩達の後を付いてくる。この白髪つり目眼鏡のバB……オッホン、年配の女性である侍女長はトアたん幼少の頃より仕えているベテランである。駄目王子達が健在であった頃からずっとトアたん派であった人物。魔王の侵攻時も我輩達と行動を共にしていたお陰でこうして今もトアたんの傍に仕えているのである。言動がアレなイプレにとっては不倶戴天の敵である。

 

お供、と言っても魔導バリアの制御システムがある部屋は煉瓦造りの通路を挟んだ真正面。我輩は一歩下がってトアたんの右に控え、侍女長が左に控える。トアたんは我輩達より一歩だけ前に出て、左掌を侍女長の方へと向ける。侍女長がトアたんの左手中指の先に針をチョン、と刺すと、微かに血が滲んでくる。

 

これは必要な作業である。目の前の銀一色の扉にはドアノブの類いは一切付いていない。こうしてトアたんの王家の血を付着させる事によってしか開かないのである。

トアたんが左手中指の先端を触れさせると、扉は音も無く右側にスライドして開いた。トアたんを先頭に我輩達も部屋の中へと入る。

 

中は何も無い、15m四方の立方体状の一面銀色……総ミスリル銀の部屋である。天井、床を含め壁一面に魔法陣を構成する紋様が彫り込まれていて、部屋の中央には上部にトアたんの顔くらいの大きさの赤い宝玉が乗った1m程のミスリル銀製のポールが立っている。

 

トアたんが赤い宝玉に両手を乗せ、集中。トアたんの魔力色はピンクである。可憐なトアたんのイメージにぴったりだと我輩もスレ民達も思っているのであるが、トアたん本人は少しばかり気にしている。第一王子に『王族の威厳に欠ける』と言われたせいであろう。亡くなったとはいえ絶対許さんであるぞあの第一王子め。

そのピンク色の魔力がトアたんの体全体を包み、それが両手を伝って赤い宝玉へと流れていく。

 

流れ込んだトアたんの魔力がポールの下に造られた何かの魔導器によって魔導バリアに適した人造(我輩達は妖精だから妖造と称するべきであろうが混乱するので人造で通すのである)魔力へと変換される。確かこの人造魔力は当時の王の魔力をベースにしたらしい、とトアたんが言っていたのである。これも王妃様から聞いた事らしいのである。

 

「……いつ見ても不安になる色ですね」

 

トアたんがポツリ、と呟いた。確かに何というか、胸の奥がザワつく色であるな。これが当時の王の魔力に近い色であるか。トアたんやイプレが赤系統の色なのもやはり王族の血が関係しているのであろうな。

変換されて赤黒い血のような色となった魔力は、部屋を覆う紋様に染みるように伝わっていって全体に行き渡って光を放ち始める。うむ、どうやら正常に動いているようであるな。

 

むっ、イカンイカン。つい目を離してしまった。

トアたんの様子は……。額に脂汗。表情には苦痛の色が滲み始めている……不味いであるぞ!

 

()()()()()()!」

 

そうトアたんが口にした直後。我輩はトアたんの両手首を掴んで宝玉から引き離した。

トアたんはその場に崩れるように倒れ込んで、動けそうにもなく。弱々しく息をしている。クッ、我輩が少し目を離したせいである!

 

慌てて寄ってきた侍女長が抱き起こそうとトアたんに手を伸ばした瞬間、トアたんは横になったまま「う゛っ……お゛ぇぇぇぇえ゛」と普段は決して発しないであろう呻き声と共に胃の内容物を吐き出す。夕飯は殆んど口にしていなかったせいか、吐瀉物は水分と少しの固形物。血は吐いていないようであるな……少しばかりホッとしたである。

 

「近衛隊長!何をしているのですか!もっと早く王女殿下をお助けしてくださらないと!」

 

バBa……じゃなかった、侍女長が我輩にそう言って詰め寄る。うむ、流石にこれは我輩のせいであるな。弁解はしないのである。

 

「はぁ、はぁ、ダナ……スティ……」

 

横になって踞ったままのトアたんが何か言っているであるが声が小さくて聞き取れないのである。侍女長がトアたんの口元に耳を寄せて内容を聞こうとしているであるな。

因みに吐瀉物は既に浄化されて消えている。部屋全体にクリーン系統の魔法が掛かっているせいである。この赤い宝玉は触れた者の魔力を際限無く吸い尽くす危険物。しかも吸い出されている本人の意思では手を離せず、外から助けねばならない。欠陥品等ではなくこれが仕様というとんでもない代物である。

元々は部屋の鍵こそ王族限定ではあったがこの宝玉の使用者は誰でも良かったらしい。それを今の五代前、であったか?その王が王族以外使用出来ないよう改良したらしい。

 

トアたんは『これを造った当時の王は民など消耗品で幾らでも代えがきくモノだとでも思っていたのでしょう。民は魔導バリアの動力源、程度の認識だったのでしょうね』と言っていたであるな。であるから泣き喚いても漏らしても吐いても大丈夫なように、それこそ死んでも平気なよう部屋全体にクリーンが掛かっている鬼畜仕様。

 

魔力とは魂の力の具現である。この宝玉はその魂が精製した魔力ばかりでなく、魂そのものの力まで吸い尽くす危険物。トアたんにこれ以上負担を掛けたくは無いがそれでも魔王から民を守る為には使うしかないのが現状である。

 

「はぁ、はぁ、ダナスティ……を……はぁ、はぁ、外へ」

 

何とか声を振り絞っているらしく、やはりトアたんの言葉は我輩には聞き取れない。しかし侍女長にはどうやら聞こえたようで、それに何故かハッとしたような表情をしている。

 

「近衛隊長!部屋から出て下さい!今すぐに!」

 

「何故であるか侍女長殿!王女殿下を放置して退室など出来ないであるぞ!」

 

流石に動けないトアたんを置いて出ていくなど出来るわけがない。我輩はトアたんを寝室まで運ぶべく近づい……ん?トアたんが泣いてるのである!ガチ泣きしてるのである!ま、まままさか我輩そこまで嫌われてしまったであるか!?

 

……いや、何か違うのである……トアたんのドレスの股間の辺りから何か水の染みが広がって…………あっコレヤバいのである。そうであったか。宝玉に魔力を急激に、必要以上に吸い取られたせいで体に力が入らなくて筋肉が弛緩して……つまりはお漏らし……トアたんの聖水……状況が状況なだけに喜べないのである……。ドレスの染み含めてクリーンの魔法でキレイに消えるであろうが……よりにもよって我輩のような野郎の前で漏らしたショックは消せないであろうな……。

 

「ですから……グスッ……ワタクシは……ヒック……外へと……グスッ……」

 

「王女殿下、お気を確かに!…………近衛隊長、覚悟は宜しいですね?」

 

……あっコレ我輩死んだわ。

 




美少女なお姫様にゲロ吐かせた挙げ句お漏らしさせる最低な作者がいるらしいですよ


徐々に背景が見えはじめる。

次回はアオダイショウのデーモン戦。
イプレ『いいぞもっとやれぴょん!』
月子「惜しい、もう少し!もう少し下ですよ!」
陽里「ちょっと二人とも何言ってんの!?」
的な内容になる……予定?
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