私コレ絶対主人公の相棒ポジションだよね?   作:アイリスさん

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020 月子「あっぶな‥先輩が単じゅn‥もとい純粋で助かりました」

 

「すぅ……すぅ……」

 

フローリングに敷かれたカーペットの上にアヒル座りしてるワタシの太股に頭を乗せて、月ちゃんが静かに寝息をたててる。所謂膝枕だね。ワタシが今履いてる薄手のロングスカートの上から月ちゃんの頭の体温が伝わってきてほんのり温かい。気持ち良さそうに眠る月ちゃんの頭を、起きないようにそっと右手で撫でる。『おい月子お前絶対起きてるだろ今すぐボクと代われぴょんんん!』じゃないよ全くイプレうるさい。月ちゃんが起きちゃうでしょうが。

 

「ちょっとイプレ静かにしてよ」

 

『陽里は甘ちゃんだぴょん!コイツ絶対起きてるぴょん!陽里の太股ハァハァ堪能してるに決まってるぴょん!』

 

「あのねイプレ。月ちゃんを何だと思ってるの?」

 

月ちゃんはまだ中1の子供、しかもワタシと同性なんだからイプレみたいに変態行為に走るわけないでしょ。

 

『何だとって……同士に決まってるぴょん』

 

「あのねぇ……イプレは月ちゃんと会ったばっかりだから分からないかも知れないけどね?月ちゃんは優しくて他人思い、それでいて助けが必要な子に手を差し伸べる事が出来るとっっっても良い子なんだよ?イプレみたいな駄目妖精と一緒にしないでくれる?」

 

月ちゃんを起こさないように、努めて声のトーンを落としてイプレに諭す。イプレと月ちゃんが同士なんて失礼極まりないよ全く。月ちゃんが某白いのに黒い空間移動能力者みたいな変態なわけないでしょうが。アニメの見過ぎだよ。

 

あ、月ちゃんが寝返り打っ……丁度月ちゃんの顔がワタシの股間の所に埋もれてるんだけど。ちょっと恥ずかしいけどまぁ同性同士だしさっきも言った通り月ちゃんまだ子供だしいっか……でもこれ月ちゃん大丈夫かな?苦しくない?

 

『陽里こそ月子と長いクセに鈍感力高過ぎぴょ…………ちょっ!?やっぱ月子起きてるだろぴょん!代われぴょん!ボクも陽里の股間に顔埋めたいぴょん!』

 

おいっ!!この変態いい加減シメなきゃ駄目だね。

 

「狸寝入りなわけないでしょ。月ちゃんだって勉強とかトア様との謁見とか色々あって疲れてるんだよ。いい加減にしなよ?それより本当にもう隠してる事無いんだろうね?」

 

言いながら、ワタシは月ちゃんの頭を撫でていない左手に持った魔法の杖(グレネードランチャー)をイプレに向ける。テーブルの足にロープでグルグル巻きに縛られた状態のイプレが『ヒエッ』って奇声をあげた。

 

『ああああるわけ無いぴょん!もう何も隠してないぴょん!あったとしてもボクが完全に忘れてる事柄だぴょん!』

 

「どーだかね。自分の素性すら隠してたヤツの言う事信じられると思う?」

 

先代のソアレルイはヨーロッパに居たって事すらワタシ達には言って無かったんだし。しかもソアレルイを探す為にヨーロッパじゃなくて日本に来た理由が言うに事欠いて『折角人間界に行けるのにサブカルの聖地に行かないとか馬鹿の所業ぴょん!!』だよ?信じられると思う?魔法少女になったワタシや月ちゃんの住んでる街にピンポイントに来てるのに。絶対隠してる理由とかあるよね。イプレが妹の筈のトア様より王位継承権が低い理由とか……いやまぁ能力的にはどう考えてもトア様の方が上だろうけど。

 

『オーケーその件は謝るぴょん。ボクが悪かったぴょん。だから銃口向けるのは止めにしようぴょん』

 

早口でそう捲し立てるイプレを睨み付けつつ、仕方なく杖を下ろす。一発くらい浴びせたい所だけど月ちゃんを起こしちゃうからね。

 

そうだ、あと1つ聞いておかないと。

 

「そういえばさ、変身カードってもう1つあったりはしないの?」

 

『もう1つって……流石にあるわけ無いぴょん』

 

無いのかぁ。月ちゃんの見た夢が本物の先代ルニの記憶とかだったのなら、あの場にもう1人人間が居た筈なんだよね。鏡面世界内じゃイプレ達妖精は本来の姿を維持出来ない、怪我とかで消耗してるなら余計にって話だし、ならきっと人間の女の子。月ちゃんの見た夢って先代ソアレルイの最後の場面っぽいし、最終決戦の、しかも鏡面世界内に居た人間……危険な場所に只の子供を連れてくるとは思えない。魔法少女がもう1人居たって考えた方が自然っていうか。ま、トア様の様子からしても妖精に伝わってる昔話も色々改竄されてる可能性があるしイプレが知らなくても仕方無い、のかな?せめて夢の女の子がどんな衣装を着てたか月ちゃんから見えてればヒントになったかも知れないのになぁ。

 

「その辺りもトア様達が調べてくれたら何か分かるかな?」

 

『難しいと思うぴょん。そんな資料あったらとっくに見付けてる筈ぴょん。冷静に考えるとそのカードも色々とおかしい点はあるけど分かるかは不明ぴょん。例えば剣は分かるけど、銃とかロケランとかって妖精の歴史には存在してないぴょん。ボクも人間界のサブカルで初めて知ったくらいぴょん』

 

やっぱり超古代文明的なアレなのかな?妖精界のオーパーツ的な。

 

「当時の妖精達の技術の結晶、だっけ?その辺はワタシとしては変な副作用とか無いなら別にいいけど」

 

某魔法少女みたいに魔じ……怪物になったりしなければいいよ。そんなのがあったら安心して戦えないもんね。

 

『ボクは不満だぴょん。副作用の1つくらいあっても良かったぴょん。例えば魔法少女になる代償に発情しちゃって所構わずオ○ニーせざるを得ないようになる、とかぴょん!』

 

「それ某エロゲじゃん!?絶対嫌だよそんなの!」

 

某柑橘類ソフトさんのオ○ニー系魔女ヒロインかっての!ホントなんでこの変態王子はそんなんばっかり知ってるかなぁ!

 

って、思わず声張り上げちゃったよ!月ちゃん起きなかったかな……ホッ。良かった寝てる。

 

「全く、月ちゃんも居るのに。18禁ゲームの話とかホントやめてよね」

 

「…………そうだぞイプレ。中学生に18禁ゲームの話などするな。教育上よろしくないだろう」

 

あ。佳織帰って来てたんだ、えへへ。

 

「先生、お帰りなさい」

 

「ああ、すまんな。もう少し早く帰れていれば王女との話に私も居てやれたんだがな」

 

『やっと帰って来たぴょん!?佳織、これ解いて欲しいぴょん!』

 

佳織はイプレとワタシを交互に見る。それから「やれやれ」って溜め息。「どうせイプレがろくでもない事をしたんだろう。もう少しそのままでいろ」って言って洗面所へと歩いて行った。うーん、流石の教師の洞察力。

 

『ちょっ、そんな殺生なぴょん!』

 

……にしても3人目の魔法少女って実際居たのかな?アニメとかだと中盤以降とかに出て来たりするんだけど。

 

あ、「ふぁ~あ……」って月ちゃんの欠伸が聞こえた。起きたみたいだね。佳織にトア様との話の内容伝えたらワタシ達は帰ろっか。そろそろいい時間だしね。

 

「グエヘヘヘ……陽里先輩を堪能できて最高の時間でしたね。それにしても何で陽里先輩は18禁ゲームだって特定できたのか……スマホすら持ってない筈なのに……まさかやっぱり男とか……いやでも……」

 

「ん?月ちゃん、今何か言った?」

 

「いえ。陽里先輩、膝枕ありがとうございました。良く眠れましたよ」

 

うんうん、ゆっくり出来たみたいで良かった。今のワタシじゃこんな程度でしか恩を返せないからね。

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

ワタシ達が変身して佳織の部屋まで押し掛けた事は月ちゃんがイプレに睨みを利かせつつ「妖精のお姫様に話がしたいって呼ばれたから」って誤魔化してくれたお陰で怒られなくて済んだ。いやホント月ちゃん様々。うーん、月ちゃんからの借りがどんどん増えていく……ワタシ人生経験3倍の筈なのに……。

 

まあそれは置いておこう。今はイプレが見つけたっていうデーモンの事だよね。

佳織には病み上がりなんだから大人しくしてろって止められてるけど放っては置けないよ。

 

『ホントに佳織に黙ってていいのかぴょん?起こして知らせるなら今なら間に合うぴょん』

 

「いや良くはないけど……デーモンは放って置けないでしょ。後で一緒に怒られようよ」

 

『ボクも巻き込まれてるじゃねーかぴょん……まあ今回は仕方ないぴょん。それにしても月子は返事無いぴょん。グッスリみたいだぴょん』

 

左肩にイプレを乗せて、第一形態に変身したワタシは深夜の街を駆ける。月ちゃんは良く寝てるみたい。イプレにはヘアピン越しに寝息が聞こえてるって。やっぱり疲れてたんだね。寝かせておいてあげたいけど万が一を考えると来て欲しい所。ワタシが火力不足なばっかりに……。

それと人の姿は今の所無いけど一般人には見付からないように気を付けないと。

 

『向こうだぴょん。向こうの森に魔力を感じるぴょん。インプレメンターレ!』

 

イプレが右手を翳すと、ワタシの足元に紫色の魔法陣が広がる。瞬間、周りの景色が白黒に変わる。これでデーモンも鏡面世界に来ただろうし、一般人が巻き込まれる事態は回避出来た筈。

 

「居たよ!あそこ!」

 

ワタシの視線の遥か先、木々が開けた広場になってる場所にデーモンが一匹立ってる。カップルとか巻き込まれたら大惨事だっただけに少しだけ安堵。

頭はヘビとかの爬虫類っぽいね、体は人型だけど。

 

『先手必勝ぴょん!』

 

「分かってるよ!」

 

走ったまま、右手に持った銃口(杖の先端)に魔力を収束させて……食らえっ!

 

オレンジ色の魔力弾が真っ直ぐ飛んでいき、蛇?のデーモンに直撃。よしっ、て左手で小さくガッツポーズをとる。もう慣れて来たもんね、流石に外さないよ。

 

くっ、デーモンは殆んどダメージ受けてないみたい。ホント通常火力もう少し上がらないものかね。

 

「イプレは離れてて」

 

『了解ぴょん』

 

イプレが近くの木の枝に飛び移ったの確認して、ワタシもイプレから大きく離れる。出来るならワタシも早く帰って寝たいし第二形態に変身して速攻で終わらせてやる!

 

あっ、デーモンが動きだした……なにアレ。歩かずに地面を滑って動いてる気持ち悪い。あ、木に登り始めて枝と葉で見えなくなった。アレ何してるんだろ。ワタシの狙撃から隠れたとか?え?もしかして見た目の傷の無さに反して結構効いてたりする?……よしっ!今日は余裕で行けそうだね!

 

あの木の裏に回り込んで強烈なのをお見舞いしてやる!待ってなよ!

 

『陽里、危ないぴょん!』

 

走り出した直後。イプレの声が聞こえたのとほぼ同時に、ワタシの背中に衝撃。とはいえソアレルイの衣装の装甲は抜けなかったみたいでダメージは殆んど受けてない。体勢を崩して前方に転がったワタシは、慌てて起き上がって後方を見る。

えっ……蛇?型のデーモンが居る?何で?どうやってワタシの後ろへ回ったの?さっき確かに前方の木に登って、そこから動いた様子は一切無かったのに。まさかステルス能力とか瞬間移動とか?そうなると流石に対処が厳しいよ。時間制限のある第二形態を使うなら魔力砲を確実に当てられるような状況まで持っていかないと。

 

「イプレっ!早く月ちゃんを起こして呼んで!」

 

『今やったぴょん!もうすぐ来るぴょん!』

 

申し訳ないけど月ちゃんを頼らないと。やっぱりソアレルイ(ワタシ)だけじゃ不足なのか……。

 

あっ、デーモンがまた近くの木に登って身を隠した。次は?一体何処から来る?どうしよう、なるべく視界が利くように遮蔽物の少ない場所で戦う?いやそれより何処か壁のある場所に移動して攻撃してくる方向を絞った方がいいか。なら何処か都合の良さそうな場所まで移動して……。

 

『後ろだぴょん!』

 

「えっ!?」

 

振り返ったけど間に合わず、何かの塊がワタシ目掛けて降って来る。思わず顔を庇うように両手を出して……。直後バシャンッ、って何かの液体がワタシの頭から掛かった。手を出していたお陰で顔や胸の辺りは濡れなかったけど、肩や鎖骨なんかはバッチリ浴びちゃった。何!?何の液体!?まさか毒とか!?ってかワタシの体とか髪とか大丈夫!?

 

『大丈夫だぴょん!髪とか顔とか皮膚とか()無事だぴょん!』

 

……ん?()ってどういう……うん?液体を浴びた部分の衣装が溶けて無くなってる……?

えっ、待って何これなんでどういう……。

 

バシャンッ

 

あっ冷たっ!お腹周りに思いっきり浴び……えっ!?胴体の部分の衣装丸々無くなってる!?さっき庇ったお陰で胸の所だけ残ってて上がビキニみたいになってる!?お腹とか鼠径部のちょっと上の辺りまで見えちゃってるんだけど!?何これぇえええ!?

 

『うぉぉぉぉお!エロ同人展開来たぴょん!!』

 

こんな時にふざけんな!イプレ後で絶対殺す!!

 

「大丈夫ですか陽里先ぱ……!」

 

あっ月ちゃんの声がする!良かった思ってたより早かっ……いや待って何か嫌な予感!

 

「バリエラっ!」

 

予想通りワタシの下半身に直撃コースで飛んで来た液体が、一瞬早くワタシを囲むように現れたオレンジ色の円錐形の魔力に弾かれて地面に落ちた。危なっ!ガチでワタシの衣装ひん剥きに来てるじゃん!?月ちゃんがソアレルイの魔法使う夢見てくれて助かった!

 

『あああああ!もうちょっとだったのに何で防御するぴょん!大人しく全部溶かされろぴょんんんんん!』

 

「惜し……じゃなくて危なかったですね陽里先輩!」

 

本音くらい隠せこの変態王子!それと。

 

「月ちゃん……?今「惜しい」って言いかけてなかった?ねぇ?」

 

「まさかですよ。魔法で防いだからヨシッ!って言ったに決まってるじゃないですか」

 

……だよ、ねぇ。ワタシの聞き間違いだよね。うん。

 

にしてもこの格好じゃ攻撃食らったら大ダメージに……そっか、それが理由か!さっき攻撃してワタシがノーダメージだったからだ!

 

 




いやぁ思ったより前半部分が長くなりましたが何とか戦闘まで行けました。

月子はちょっとだけ口が滑りました。
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