私コレ絶対主人公の相棒ポジションだよね?   作:アイリスさん

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024 ボクの扱いが不当だぴょん!おかしいぴょん!

「御母様」

 

病気で療養中とはいえ、王妃が滞在しているにしては質素な部屋。それでも下級貴族のそれよりは豪華ではある。

天蓋付きの清潔な白の寝台に、落ち着いたアンティークの家具。窓には遮光カーテンが引かれているので外から御母様の姿は見えない筈。

 

世話役の侍女に支えられてその寝台から上半身を起こした御母様は、病的に血走った瞳でワタクシを睨むように見据える。

 

「クローディアス。ヴィエティは殺したの?ヤツの首は何処かしら?」

 

「申し訳ございません、御母様。魔王はまだ……」

 

言い淀んだワタクシの返事に、御母様の瞳が鋭くなった。

 

ワタクシの直ぐ後ろに控える侍女が半歩ほどワタクシに近付く。

この彼女の役目は、万が一の場合に身を挺してワタクシの命を守る事。ワタクシは現状仮だがこの妖精国の元首。対して御母様は王妃とはいえ王家の血は受け継いでいない外様。ワタクシと御母様、最悪の事態になった場合にどちらを優先するのかは考えるまでも無い。

 

「まだ……?まだヤツを殺せていないというの!?あんな小娘一匹ごときも潰せていないの!?」

 

激昂。

御母様は。変わられてしまった。御父様が亡くなった頃はまだまともだった。御兄様達が魔王に殺されてからは、すっかり精神を病んでしまわれていた。

 

「申し訳ございません。ですが御母様。ルミナ・ソアレルイとルミナ・ルニを見付ける事が出来ました。近い将来、彼女達がきっと魔王を打ち倒してくださいます」

 

「……そう。ソアレルイとルニが…………。成る程。それは良い知らせ。ならばクローディアス、魔法少女の力を借りてヴィエティを生け捕りにしなさい」

 

「生け捕り……ですか?」

 

無茶だ、と思う。陽里様と月子様の力を借りたとしても魔王を無力化して捕らえるなど。それどころか今のままでは勝算は薄い。それもあって話を聞ければと思ったのだけれど。

 

「ヴィエティを捕らえたら国中を引き回して、張り付けにして、国中の民の慰み者にして……くふふふふ……私自らが首を切り落としてくれる」

 

そう口にした御母様は、まるで悪役のように口角を吊り上げて瞳をギラつかせていた。やはり何か話を聞き出せるような精神状態では無い、か。出来れば少しくらいはまともに戻っていて欲しかった所だったけれど。

 

「クローディアス。早くヴィエティを捕らえて来なさい。一刻も早く妖精国の平穏を取り戻しなさい」

 

「……………………はい、御母様」

 

明らかな私情。明らかな復讐心。

……このまま表舞台から隠居していただく方が、民の為かも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『で、トアの方はどうだったぴょん?』

 

『残念ながら、御母様からは新しい情報はありませんでした。書庫の方も特には』

 

深夜。

昼間に御母様と会った事を思い出しながら、ワタクシはモニター越しに人間界の御兄様と連絡を取っていた。何故か『私は怪我して大量出血したばかりの陽里に無理をさせました』というプレートを首から下げて正座して足をプルプルさせている御兄様と。それとその隣の神谷様と。

 

『やれやれだぜ、ぴょん。こっちは進展があったぴょん』

 

「何がやれやれ、だ。お前は芦田に無理をさせただけで何もしていないだろうが。……申し訳ありません王女殿下。コイツの事は一先ず置いておくとして。進展、という程の事では無いのですが」

 

ワタクシは良いと言ったものの、神谷様は言葉を崩さない。御兄様が仰るには、てぃーぴーおー?を弁えているのだとか。

 

『……いややっぱりおかしいぴょん!トアとボクの扱いが違い過ぎるぴょん!』

 

「一国の王女様と駄目妖精が同じ扱いになるわけが無いだろう。イプレ、貴様少し黙っていろ。話が進まん」

 

『辛辣ぴょん!!』

 

はぁ……御兄様……。

エッチなのを自重してもらってちょっとアレな思考を少しでもマトモな方向に向けて頂けたら妖精界でも指折りだし王位継承権もワタクシの下なんて事にはならなかったというのに。

 

話を戻すと。

神谷様によると、どうやら約二千年前の魔王と魔法少女が最後に戦った場所が分かったとの事で。

 

「伊集院に確認してもらいまして。イタリアのヴェスヴィオ火山に間違い無さそうです」

 

ヴェスヴィオ火山。ポンペイという都市を滅ぼした噴火の時期が魔王と魔法少女の戦った時期と重なるらしい。何でも月子様がルミナ・ルニの嘗ての記憶らしき夢を見たとの事で。グ●グルアース?というモノで景色を確認してもらったらしい。現在地から動かずに遠く離れた場所の景色を確認できるとは、科学というのも侮れない。

 

「ですから古代ローマ、或いはその周辺都市に範囲を絞って調べれば何か分かるかも知れません」

 

『成る程。それでしたらそちらはお任せしても大丈夫でしょうか?』

 

「出来る範囲でになりますが引き受けましょう」

 

これで魔法少女に関して何か分かるかも知れない。妖精界の、都合の良い御伽噺話ではなく。人間界から見た魔法少女の真実が。

 

『……フッフッフッ。ボク魔王の正体分かったかも知れないぴょん』

 

視界の端でダレていた御兄様が、何か思い付いたかのように急にほくそ笑みだした。あ……これは駄目な時の御兄様の感じが。正しい可能性もゼロではないので一応聞くけれど。

 

『魔王の正体……それは多分陽里か月子の同級生ぴょん!』

 

「何だと?」

 

神谷様が御兄様を睨む。当然だろう。魔王は神谷様の教え子の中にいると発言したのだ。教え子を疑われたとあれば怒りもする。

 

『魔法少女に憧れる平凡な少女の前にマスコットが現れて「してみるかい?変身」「キミには選ばれし力がある」とか言って半ば強制で変身させて、残念!実は魔法少女じゃなくて悪の魔王でした!マスコットも悪の手先だった!って感じぴょん!』

 

つまり、魔王も実は被害者だと?変身すると意識も悪に染まる、とか?無理があるのでは?上の御兄様達は魔王に殺されているわけだし、普通なら怖くなってワタクシ達妖精や魔法少女に助けを求めるのでは?

……というか御兄様も陽里様を強制的に変身させていたような……。

 

「つまりお前達とは別に悪の妖精が居るという事か?」

 

『そうだぴょん!魔王はきっとこれから目隠しプレイとか触手プレイとか三角木馬とかでSMプレイ攻撃してくるんだぴょん!』

 

……ワタクシ分かった。やはりこれは御兄様のいつものだ。

 

『あなたのハートにトラ●スマジア、ぴょん!』キリッ

 

「よく分からんがイプレがふざけているのは分かった。正座1時間延長だな」

 

『ちょっ!?そんな殺生なあばばばbbbbb』

 

神谷様にすがり付こうと体勢を崩した御兄様は……痺れた足を刺激してしまったようでその場で身悶え苦しんでいる。全く、妖精界の未来が懸かっているのに。御兄様はどうしてこうネタを挟まないと話が出来ないのだろうか。

 

『では神谷様』

 

今夜はこのくらいで、とモニターを切ろうとしたワタクシに、神谷様が「ああ、それと」と一つ忠告を残した。

 

「先程王女殿下が仰っていた『魔王を倒して平和が戻ったら公に人間界と交流する事を考えている』というのは少し待った方がいいでしょう。そちらと違い此方は多数の国があり思考も宗教も様々。悪意や野望を持った国もある。それに此方では国際条約で未成年の戦争への参加は制限されています。私もそちらの事情は理解はしますが納得はしていませんよ、芦田達の事」

 

『はい……本当に申し訳ありません』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日のところは通信は終えた。

耳が、痛い。けれど魔法少女が居なければデーモンに太刀打ち出来ない現状、未成年だからといって陽里様達に頼らないという選択は出来ない。

今だって魔導バリアが無かったらとっくの昔に王都は瓦礫の山に変わっていただろうし、ワタクシだって生きては居なかっ…………魔導バリア?

 

魔導バリアは確か、約二千年前の魔王の侵攻の時もあったと聞いた。これは、おかしい。

魔王が魔導バリアを突破出来ないというのは妙だ。何故なら、御伽噺話内では妖精界は魔王に滅ぼされる寸前だった筈だから。確かに今は危機だけれど、魔導バリアが魔王の侵攻を食い止め硬直状態。絶体絶命という状態までは達していない。ならば二千年前も今と同じ状況だった筈で。

 

そういえば。魔王は人間界を積極的に侵攻してはいない。魔力を帯びていない人間界の質量兵器では魔王やデーモンにはダメージを与えられないから征服は容易な筈なのに。適度に数体の上位デーモンを出現させて……陽里様達の足止めをしている?人間界に魔法少女を縫い付けておいて心置き無く妖精界に集中する為?それとも他に目的が?

 

痛ッ。

そんな事を考えていた最中、不意に左足首にチクリと痛みが。スカートの裾を少しだけ捲って確認してみると、何か小さいモノ……多分虫か何かに噛まれたような微かな傷と、少しばかり滲む血が。それと、視界の端で黒く小さな何かが二匹ばかり走って扉の下の隙間から出ていくのが見えた。

虫に噛まれたのは久し振りかも知れない。幼少時代にお転婆をした以来の……。

 

直後。勢いよく扉が開いて、慌てた様子でダナスティが入ってきた。

 

「王女殿下!大丈夫であるか!」

 

「虫に足を噛まれましたが……どうかしましたか?」

 

「どうもこうも無いであるぞ!これを!」

 

やけに興奮したダナスティの手の中には、先程ワタクシを噛んだであろう虫が一匹、潰された状態で有った。恐らくダナスティが踏み潰したのだろう。見た事の無い虫……。

 

「これが何か……?」

 

「これは蟻なのである!人間界の虫であるぞ!」

 

理解できた。

魔王の配下に侵入を許した、という事だ。しかも。一匹には逃げられたという事は、少量とはいえワタクシの血を持っていかれ……。

 

「ダナスティ、すぐに魔導バリアへの通路の閉鎖を!文字通り虫一匹近付けてはなりません!」

 

「承ったのである!」

 

ダナスティは一目散に扉から出ていった。人間界に魔法少女を縫い付けておいたのはまさか陽動……本命は魔導バリアの破壊工作……不味い。今バリアを失ったら、妖精界は終わってしまう。どうか、どうか間に合って。

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

「へぇ……それで古代ローマと周辺都市に絞られたのか」

 

学校の屋上で。月ちゃんとお弁当を食べながら話す。因みに魔法少女活動は一週間禁止にされました。佳織に滅茶苦茶怒られたからね、仕方ないね。どのくらい血を失ったら死ぬのかとか、人間は思った以上に簡単に死ぬ、とかお説教された。前世で刺されて出血多量で呆気なく死んだ身としては反論の余地は無かったよ。

 

「らしいですよ。ウチで調べさせておきますよ。その方が早いですし。ボクの夏休みの自由研究に使うとか言っておけば大丈夫でしょう」

 

だよねぇ。これは伊集院家に調べてもらった方が早い。流石に現地やら研究機関やら飛び回るわけにはいかないもんね。

 

「あ、司彩ちゃんのお父さんに頼むとかは?確か考古学者だよね?ワタシ今日寮に帰ったら頼んでみようか?」

 

「……いえ、司彩に迷惑かけるのも悪いですし、ボク達だけで良いでしょう」

 

あれぇ?月ちゃんってば、司彩ちゃんが絡むと最近なーんかつれない感じになる気がするんだよねぇ。うーん……ハッ!?そうか!

 

「月ちゃん、もしかしてヤキモチかな?」

 

「ブフォっ!?ちっ、ちちち違いますよ!?」

 

うんうん。月ちゃんってば、愛いヤツめ。仲の良い先輩が他の子と仲良くしてるの見て寂しくなっちゃったか。

 

「大丈夫大丈夫。ワタシは月ちゃんの事大好きだよ?」

 

「すっ!?」って発した月ちゃん、後ろに倒れ込んだ!?っと、地面に激突寸前のところを間一髪支えた。ふぅ、セーフ。

 

……あれっ?月ちゃん、気絶してる!?ちょっと!?おーい、月ちゃん、確りして!おーい!




月子、向こうから来られる耐性無し。

魔法●女にあこがれて、がアニメ化とは大丈夫なんですかね。内容的な意味で
マジアベ●ゼが動くところが見られるけど
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