OK深海棲艦収容所   作:クリンク所長の手帳

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昔みたコメディドラマがyoutubeで見れなくなったのに悶々としてたら艦これと化学反応を起こして爆発しました。

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 [LAUHS HL]


第1話 クリンク所長が着任しました!(前編)

  

 

 ボーンホルム島

 

 最大都市は島の西岸にあるネレで、人口は1万5千人ほど。

 

 主な見どころといえば「ハンメルシュス」の協会跡地や「エステルラース」などに代表され、島内に数多く見られる円形協会など。

 

 主要な産業は農業、特に畜産が盛んで、その中でもデンマーク産の良質なブルーチーズの半分はこのボーンホルムで生産されている。 

 

 絵に書いたような実に牧歌的な島である。

 

 

 

 

..........................が、しかし

 

 

 バルト海の宝石と称される一見なんの変哲もない平和な島には、誰も知らない、否...誰にも知られてはならない秘密が隠されているのだ。

 

このボーンホルム島の周りには幾つかの小島がある。

 

 その内の一つ、クリスチャンと名の付いた島にその秘密は隠されていた。

 

 人類の最大の敵であり忌まわしく怖ろしい「深海棲艦」

 

 それをあろうことか生け捕りにし、理由不明にも収容する狂気の施設、その名も..........

 

 

 

OK深海棲艦収容所
 

   

 

 

                        

 

 

 「大佐、そろそろボーンホルムに着きますよ、起きてください大佐」

 

 「うん?」

 

 個人秘書ヘルガの声で目が覚める。

 

 寝ぼけ眼で眼鏡をかけ直して窓を見れば、燦々と輝く太陽を反射してきらめくエメラルドグリーンの海とボーンホルム島が見えた。

 

 海軍の活躍により癪だがシーレーンを取り戻しつつあるとはいえ、未だ物資輸送に護衛船団を組まねばならない外洋と比べ、四方をほぼ陸に囲まれたバルト海はかわらず平穏を保っている。

 

 「それと朝食ですわ大佐」

 

 ヘルガの目配せでウェイターがにこやかにカートを押して隣に来ていたのに気付く。

 

 「おはようございます大佐殿、お食事の用意が出来ましたよ」

 

 「うむ」

 

 腕時計に目を落とすと8時10分前、シートから少しずり落ちた体を起こすと背中の骨がポキポキと小気味よく音を立てた。

 

 そんなことをしている間にウェイターがカトラリー類、続いて白い陶磁器製の皿に乗った料理を整然と置いていく。

 

 「飛行艇から美しい景色を眺めながらの美味しい食事もこれが最後ですね大佐」

 

 名残り惜しそうにヘルガが言う。

 

 私はといえば飛行機の旅はウンザリしている。

 

 まあ確かに金持ちのビジネスマンや党の幹部ぐらいしか到底乗れない大型飛行艇での空の旅に最初、多少ワクワクしたのだが...いかんせん2日間も箱詰めだと流石に腰にくる。

 

 「空の旅が気に入ったようだねヘルガ?」

 

 「と言うより今から赴く場所に対して不安が大きいのが理由ですわ大佐」

 

 「意見には私も同意せざるおえんねぇ...」

 

 最後の朝食に舌鼓を打ちつつ、何故こんな事になったのかもう一度2日前の出来事を思い出す。

 

 

2日前中央政府官庁にて

  

 

 

 「おめでとうクリンク大佐ぁ、今日から君はボーンホルムの捕虜収容所の所長に左せ、いや栄転だぁ。」

 

 ヴィルヘルム街の中央政府官庁の1室。

 

 ピッカピカの大理石の上に新品同様のコーヒーテーブルと革張りのソファが配置され、名前を言うのも恐れ多いお方の肖像画がデカデカと壁に鎮座されあそばせる応接室で交わされる右手を上げるお決まりの挨拶。

 

 ソファにフォルクスワーゲン級のデカい尻をドスンと収めたと同時に私の上司、ブルクハルター将軍にかけられた言葉にポカーンとなる私。

 

 「ぼ、ボーンホルム?大佐?」

 

 「ウム、たった今君は私の権限で2階級特進し大佐となった、重ねておめでとぅ」

 

 (2階級特進...え、2階級も!?)

 

 普段は不機嫌なブルドックのような面持ちの将軍が満面の笑みでデップリと肥えた手で拍手を送りつつ、未だ理解の追いついていない私を引き離すように言葉を続ける。

 

 「今から3日後に君はボーンホルム島の離れ小島に設営されたOK収容所に所長として到着する予定だぁ」

 

 「お言葉ですが将軍、たった3日でバルト海は...せめて一週間ほど猶予を頂けると...」

 

「なあに安心したまえ、荷造りは既に此方で済ましたし君の個人秘書にも既に連絡済みだからなぁ」

 

 「はぁ、左様ですか」

 

 「なんだ、栄転だと言うのに嬉しくないのかぁ?」

 

 「いえっ!?そ、そんな滅相もございません!嬉しくて...う、嬉しすぎて感無量でございます!!」

 

 と、口では言ったものの、いきなりの昇進、しかも何も身に覚えもなく、ゴマすら擦らずに異例の二階級の昇進に長年の勘が警鐘を鳴らす。

 

 「ホントにぃ?」

 

 「ホントに!ホントに嬉しいデス!」

 

 しかし悲しいかな、私は自分より偉い人間に対しては胡麻擦りの本能が「胡麻擦りスマイルを浮かべてご機嫌を取れ」と勝手に命令を下すので私は悲しき性に従って相手のご機嫌を伺いつつ、にこやかイエスマンにならざる負えないのだ。

 

 「なら良ぃ」

 

 将軍が上着の胸ポケットからシガレットケースを取り出し太い指で器用に一本抜いて口に加え、先っちょを私の方にズイッと顔をあげて向ける。

 

 すかさず私が片膝をついて流れるような手捌きで右手に準備していたライターに左手を添え、向けられた煙草に火を点けると将軍は満足そうにソレを吹かす。

 

 「相変わらず用意が良いなクリンクゥ」

 

 「勿論ですとも将軍」

 

 お褒めの言葉をもらったら笑顔で肯定、ササッとライターをポケットにしまって愛想よい笑顔を保ちつつ両手を擦る。

 

 滑稽と言うなかれ、こうやって私は上司や党の上級幹部にゴマを擦って陸軍で絶賛吹き荒んでいる左遷の嵐に吹き飛ばされずに済んでいるのだ。

 

 話を戻そう、今回に限ってはどう考えても昇進だの栄転なんかに見合う事はしていないし、今更だが将軍から収容所の所長になれと言われただけで、正式な命令書も職務の具体的な内容すら聞かされてはいない。

 

 誰がどう見聞きしたって不自然すぎる。

 

 そもそも収容所だと?

 

 我が国は「何処の国」とも戦争などしてはいないし、まさか海軍が相手をしてるという深海棲艦とか言う化け物が捕虜になぞなるはずもないだろうし。

 

 ということは大方、海軍へ「東部戦線送り」になった陸軍の脱走兵を捕虜として収容してるのかもしれない。

 

 今や国民の評価総ざらいで猫の手も借りたい海軍と違って陸軍はなんの活躍の場も与えられず、経費の削減に次ぐ削減で私の様に上手く立ち回っていないとアッという間に海軍へ「東部戦線送り」にされて仕舞う始末なのだ。

 

 そして不本意に送られた兵士は当然不満があるわけで...完全に憶測だがブルクハルター将軍は脱走兵を再び海軍に取られないように。

 つまり人的リソースを少しでも取り戻すことで海軍とのパワーバランスをなんとか保ちたいのかもしれない。

 

 推測の域は出ないし、私の経験上この将軍がそれだけで満足するはずが無さそうではあるが、軍内の政略争いというのは間違いなさそうだし、それなら今回の指示も合点がいく。

 

 何度か煙草を吹かした後、将軍はゆっくりとした口調で話を続ける。

 

 「そんな君を手放すのは惜しいが...コレは陸軍としての沽券がかっているのだぁ」 

 

 確かにこの時ブルクハルター将軍は沽券、つまり陸軍の面目に差し障る非常にデリケートな内容とであると言った。

 

 いよいよ私の推測が真実味を帯びてきたが、さっきも言った通り将軍はそれ以上の詳しい話を何もしてくれない。

 

 「沽券と申しますと?」

 

 「みなまで言わすな行けばわかるぅ」

 

 そう言って将軍が扉を2回コツコツと叩くと腕章をつけた黒ずくめの男(後に密警だと名乗った)に有無を言わさず連行され、あれよあれよと先に連行されていた秘書のヘルガと共にボーンホルム島行きの飛行艇に乗せられてしまっていた。

 

 

 

 朝食を終え、更に1時間後...

 

 

 

 飛行艇は空港に降りずエンジン不良を理由(実際は私達を降ろすため)にクリスチャン島の近くに着水、私とヘルガは一緒に着いてきた密警に促されるまま近くで待機していたと思しき艀に乗り換えた。

 

 艀には野戦服を着用した兵士が二人に敬礼をして直立していた。

 

 「お待ちしておりました大佐、私はパウル・ハウサー伍長、あっちの船頭はヨーゼフ・ディートリヒ上等兵」

 

 それに対して私は右手を軽く上げて彼らを労う。

 

 「出迎えご苦労、伍長」

 

 役目を終えたのだろう密警はそのまま飛行艇に残り、我々は艀で小さな漁港に毛が生えた程度の港に到着、近くで待機していたベンツのV170の隣に立つ運転手にさっきと同様に敬礼を交わしの後部席にヘルガと乗り込む。

 

 ベンツの前には護衛でも担っているのか対空照準器付きのMG34が車載されたキューベルワーゲンが止まっていて、それに先導されること10分少々、申し訳程度に土で舗装された道路の先に灰色のコンクリート壁に囲まれた物々しい雰囲気の収容所が見えてきた。

 

 「大佐、本当に栄転なんですよね?」

 

 僅かに怯えを含んだ眼差しで服の袖をギュッと掴むヘルガの手を握って子供をあやすように彼女を諭す。

 

 「彼らの制服を見たかね、あれは紛れもなく陸軍の野戦服だ。それにもし左遷されたのならばあんな金持ち御用達の飛行艇なんぞに私達を乗せるものか」

 

 彼女に言い聞かせるついでに自分にも言い聞かせ、更に運転手も巻き込む。

 

 「なあ、君そうだろ?君は陸軍出身だな?」

 

 「Ja大佐、わたしは陸軍に志願しました」

 

 威勢良く帰ってきた運転手の返事に幾分か沈み気味だった車内(主に後部座席)の空気が軽くなって心なしか息をするのが楽になった。

 

 「なあ言ったろヘルガ、これは間違いなく栄転だぞ!」

 

 「そう...ですか」

 

 それでもやや腑に落ちない面持ちのヘルガを機にかけてやりたいところだが、

 高さ2メートル程の有刺鉄線付きコンクリート製の壁とグリーンに塗られた箱形の詰め所と赤と白の車止め開閉バーが配置された営門がもう目と鼻の先なのに気づいて、バックミラーで軍帽を正し、朝食にトッピングされていたパセリの葉が歯に付いていないか入念にチェックする。

 

 人の上に立つ物として身だしなみには目上に胡麻を擦る時と同様に気を遣わねばならない(もちろん部下にも同様に媚びろ言いたいわけではないぞ!)。

 

 車が止まり、番兵が詰め所の窓から運転席と後部座席を確認すると備え付けの受話器を手に取った。

 

 少しの間の後、バーが開き、敬礼をする番兵を尻目に車は門を抜けた。

 

 「大佐殿、あの隊列が見えますか?」

 

 運転手の指差す方におよそ20数名ばかしの小さな隊列が見えた。

 

 「あれがこの収容所の全職員です。と言ってもあそこに居るのは今自由に動ける隊員がってだけで皆昨日かおととい着いたばっかりでして、バタバタしてるのを合わせると3倍くらいになりますかね?」

 

 「ほう随分と大所帯じゃないか、私達の仕事が大変じゃなければいいが...」

 

「それについてはご安心ください、ここの職員を束ねてるマックス・シュルツ軍曹は凄い人ですから...いやまあ厳密に言うと人ではありませんが」

 

 「なんだって?」

 

 「いえ、何でもありません大佐」

 

 「?」

 

 「それより着きましたよ大佐。先んじて、着任おめでとうございます。」

 

 「うむ、ありがとう」

 

 車が隊列の側で止まり扉が開く

 

  

Achtung!(気をつけ)

 

 

 車の扉が開くと同時に可愛らしい号令の声に合わせてロングコートをまとった兵士達...と少女(少...年か?)が一斉に銃(あの子が持ってるのは...銃なのか?)を捧げる。 

 

 ところで奥の木製プレハブに揃いも揃った血色が悪い奴らはここの収容者だろうか?

 

 ん~~?何だあの横断幕は?

 

 [OK シュウヨウジョ ヘ ヨウコソ]

 

 うむ、あれは恐らく日本の文字だろうか?

 

 あいにく生粋のゲルマン民族である私には全く読めんが、恐らく歓迎してくれているのだろう...少なくともクタバレとかハゲとか胡麻擦り野郎とは書かれてはいないハズ。

 

 それに囚人の血色が死人より悪いのもきっと11月なのに露出度の高い服を着てるせいだそうに違いない。

 

 ...なんでそんな破廉恥極まる格好してるのかは触れないでおこうと思う。

 

 あと島だからか、遠目に複数の沿岸砲が収容所の周りを囲うように置かれているのだが...なんでアレこっち側に向いとるんだ?

 

 うん...中々エグみの強い違和感があるものの、全て無視して振る舞うことに決めた。今決めた。

 

 そうしないと何故か左遷とか、左遷とか、あと左遷とかいう嫌な単語が頭にチラつくのだ。

 

 「温かい出迎えに感謝する諸君、どうか楽にしてくれ。ブルクハルター将軍の命で今日からこの収容所の所長に着任したウィルヘルム・クリンク大佐である...」

 

 隊員たちに無難な演説で手短に済ませて最後に右手を高らかに上げて「国家元首万歳!」とお決まりの掛け声で締めくくると、それに合わせて彼らは海軍式の敬礼で......アイェ!?海軍?海軍ナンデ!?!?

 

 栄転(左遷) 東部戦線送り エンドレス痴話 

 

 嫌な言葉がアップグレードされて鮮明に頭に浮かび面食らってる真っ最中、更にあの少年(希望的観測)がカットインの如く前に出て...

 

 いや!まだだ!!まだ終わってない!

 

 海軍と言えば艦娘!そうだ、ここには男ばかりで娘っ子1人居ないじゃ...

 

 「Guten tag. クリンク大佐」

 

 ああ、目の前に居た。だってよく見たらズボン履いてないんですもの...スカートも履いてないけど。

 

いや、まだこの娘が艦娘だと決まったわけじゃない!

 

 おお、聖ペテロよどうかこのお嬢さんが艦娘じゃありませんように!

 

 いやそもそもマックスは男性名、娘っこに付けるような名前では無い!

 

 確か私の昔の上官「マックス・シュルツ艇長」もゴリゴリの男だったのだからこんな可愛らしい少女にマックスなんて名前あり得るはずもないのだ。

 

 「私は駆逐艦のZ3マックス・シュルツよ」

 

 うんダヨネ、艦娘って沈んだ船のスピリット受け継いでるもんね、名前もそのままマックス・シュルツよね。

 

 そう言えば昔、空軍と同士撃ちした挙げ句、機雷に接触して沈んだマックス・シュルツって駆逐艦聞いたことあるなぁ。

 

 しっかあぁぁし!!!

 

「ははは、そうかマックスちゃん?ところで君たちの軍曹殿は何処かな?さっきからそれらしい姿が見えないんだが?」

 

 「マックス...ちゃん?」

 

 しかし艦娘に軍の階級が与えられるとか聞いたことが無い!

 

 だからこの娘が例えマックス・シュルツであっても、今日たまたま駆逐艦のマックス・シュルツが遊びに来ているだけで、マックス・シュルツ軍曹は別に居るかもしれないじゃあないか!

 

 おお、聖ペテロよ、どうか別にシュルツ軍曹がこの中にいますように!

 

 左遷されたなんて絶対に認めんぞ私はッ!

 

 心の中で叫びつつ少女をスルーして困惑のする隊員達の襟元を一人づつ確認するも、誰一人として軍曹の階級を着いていない。

 

 するとまたもや少女が私の前に立ちはだかる...今度は自らの顔写真付き従軍手帳を持って。

 

 「私がこの収容所の看守長、駆逐艦Z3 マックス・シュルツ軍曹よ大佐さん」

 

 若干呆れの混じった目つきで発した何気ない一言が、私にとっては死刑を宣告されたも同然なことをシュルツ軍曹は知らないのだろう。

 

 立ち眩みで崩れそうになる体を秘書に支えられ、口をパクパクさせてショックを受ける私にシュルツ軍曹は首を傾げて頭に疑問符を浮かべるばかりだった。

 

 

                        

 

 

 

人物紹介

 

 

・ウィルヘルム・クリンク大佐

(ニカイキュウトクシンウレシー(棒読み))

 

【挿絵表示】

 

・Z3マックス・シュルツ

(収容所唯一の艦娘、昔の上官と名前が一緒でちょっと気まず)

・ブルクハルター将軍

(野心あふれる陸軍の将軍。意外と情に厚い...思ってた時期が私にもありました)

 

【挿絵表示】

 

・看守たち

 (狙撃手、無線手、機関銃手、砲兵、酒保etc)

・ヘルガ(見目麗しい私の個人秘書)

 

【挿絵表示】

 

 




英語版ならhogan's heroesで売ってるんですが、日本語版は全く見つからないんですよねぇ...ちなみにシュルツ軍曹がコミカルで好きでした。が、こっちのシュルツさんとは色々と真反対なんですよねぇ...
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