イナズマイレブンに似た世界に転生した件について 作:よしたろうex
GW中に一気に書いてしまいたい気持ちです。
ファールによるフリーキックから試合が再開する。と同時に俺達は神楽の作戦通りに動く。成功するといいが……。
神楽がボールを持ち上がっていくところに、敵のDFがブロックに向かう。それを見た神楽は、DFがスライディングしてくる前に新島先輩にパスを出す。パスを受けた新島先輩は同じように、スライディングを受ける前に磯貝にパスを出す。
(これは…………。)
お、川淵がなにやら考え込んでいるな。こっちの作戦に勘づいたか?
(なるほどな……。私達はボールを奪うふりをして足を狙いスライディングを仕掛けている。だったら相手と接触する前にボールを回してしまおう。そしてスキを見て得点を狙う、相手の考えはこんなところか。だが、私達もその作戦は何度も体験した。)
川淵が手を挙げると、相手のフォーメーションが変化する。なんとゴール前のDFが上がってきており、俺達のチームの前線近くには常に敵プレイヤーがいる状態になった。
(これで相手は前にボールが出せなくなる。仮に出したとしたら確実に誰かからスライディングが飛んでくる。故に相手はバックパスしか出せない。そうなれば、チーム全体でラインを上げラフプレーのプレッシャーで身動きを取れなくさせる。どちらにしろ君たちはこれで終わりだ。……心苦しいがな。)
とか考えているんだろうか。相手のフォーメーションチェンジを見る限りそう考えていそうだな。まあ8割ほど当たってはいるんだが、残念。残りの2割がこの作戦の肝なんだよなぁ。
回ってきたボールを、川淵と神楽の思惑通りに後ろに回す。
「東雲先輩!」
「薬師寺ちゃん!」
「うん!」
そしてついにGKである薬師寺先輩の元まで、ボールが回ってくる。追い詰めた、そんな表情を浮かべながらポジションをとる川淵達に対し、余裕の笑みを浮かべボールをキープする薬師寺先輩。お互いに相手の出方を伺うような膠着状態の中、1つの人影が素早く動き出す。
「影狼君!」
「けっ!もっとマシなパスを寄越しやがれ!」
悪態をつきながら薬師寺先輩からのパスをを受けるのは、人影こと影狼先輩だ。影狼先輩は膠着状態になる少し前から気付かれないようにラインを下げ、相手の集中が薬師寺先輩に向いた途端薬師寺先輩の前まで猛スピードで走ってきたのだ。
このプレイは予想外だったようで若干動揺していたが、すぐに持ち直す川淵。
(だからどうしたというのだ。ゴール前でボールを受け取ったところで、私達のゴールには届かない。状況は何も変わっていないではないか。慌てることはない、作戦を続行すれば何も問題ない。)
「悪いな、お前達の考えていることはすべてお見通しだ(神楽が)。まんまと思惑通りに動かされたな。」
「……なに?どういうことです?」
「こういうことさ、加賀美!行くぞ!『バウンドフレイム』!」
そう叫んだ影狼先輩は、なんとゴール前から『バウンドフレイム』を放つ。炎を纏ったボールは楽郷イレブンに触れさせることなく相手ゴールへと突き進む。
「な、何をしようと言うのです!」
ゴールまでは随分と距離がある。たとえ前のめりになっているDFが止められずとも、ロングシュートでもない必殺シュートならば田中が止めてくれる。そんなことを考えていそうな川淵はボールを目で追った途端、驚愕の表情を浮かべる。何故ならそこには、楽郷中のゴールへと走るキラの姿があったからだ。
そう、これが俺達の作戦だ。敵が前へ出てくるところを突いて、ゴール前からFWへのダイレクトパスを通す。だからキラは、オフサイドにならないよう影狼先輩が『バウンドフレイム』を撃ったあとでゴールへ走り出していたのだ。あとはキラが『バウンドフレイム』を受け止めるだけだが……。
最後のDFを抜き去りゴールまでの障害はGKだけとなった状態になったキラは、しばらく走ったあと俺達の方へ振り返り『バウンドフレイム』を迎え撃つ体制を取る。そして飛んできたシュートに対し、蹴り返すような形でトラップを試みる。
「くうぅ……!」
「頑張って、加賀美さん!」
流石に距離が離れているとはいえ、影狼先輩の必殺シュートを止めようとしているのだ。キラのやつ、大丈夫だろうか……。
そんな俺の心配をよそにキラの足とボールは激しくぶつかり合い、……そしてしばらくするとボールは小さく跳ねキラの足に収まった。どうやら、俺の心配は気鬱だったようだ。
「……よし!」
「はっ!アッサリと止めてくれんじゃねぇか!」
「行けー!キラ!」
ボールを完全に抑え込んだキラは向き直り、俺たちの声援を背に必殺シュートを放つ。
「『ダークトルネード』!」
キラの放ったシュートを前に、敵のGKは臆さずボールを睨みつけた後、右手を刃物のようなものに変形させる。
「これ以上点はやらん!うおぉぉぉ!『キラーブレード』!」
そしてその変形させた右手でボールを切り裂くように止めようとする。……しかし、悲しいかな。『キラーブレード』は原作においてもかなり威力の低い技だ。あいつが相当上手くないとキラの『ダークトルネード』は止められない。
少しの間拮抗していた2つの技は、GKの『キラーブレード』が弾かれる結果で終わり、俺の予想通りキラのシュートはゴールへと入っていった。
「よし、やったぞ!これで同点だ!」
「ナイスですわ!影狼先輩!加賀美さん!」
「な、なんだと……!?そんなバカな……!私達は踊らされていたというのか……!」
川淵は信じられないといった表情で暫く呆然と立ちすくした後、神楽の方へと歩いていく。
(認めざるを得ないな……。勝ちにこだわっている私達よりも、楽しんでサッカーをしている彼女たちのほうが実力が上だということも……。)
「貴方は……、貴方達はどうしてそんなに強いんですか……?」
「え?」
「私達は勝つために練習を重ねてきた……。勝つためならばどんな卑怯なこともやってきた……。それなのに、貴方達は軽々しく私達を越えてくる……。……いったい何故です!貴方が悔いを残さないようにプレイしているのは知っています!しかしそれだけでは貴方達が強い理由にはならない!」
「え、ええ!?そんなこと聞かれても分からないですわよ……?」
神楽はそう答えたあとしばらく考えるような素振りを見せ、静かに口を開く。
「……まぁ、わたくしがしていることは単純ですわ。サッカーが好きで楽しくて、だからこそ上手になりたくて努力する。そしてその努力で壁を越えたとき上手になっていくと同時に楽しいと思う感情が湧いてくる。そしてさらに上手になろうと努力する。わたくしはこれの繰り返しでここまで来たんですのよ。」
なにをそんな当たり前のことを。そう言おうとした川淵は、直後言葉を失った。
(当たり前のこと……?違う、違うだろ……!私達はそれすらも出来ていなかったのではないか!?そうだ、監督が来る前だってそんな状態だった!努力しても努力しても壁が越えられなくて、そのたびにイライラして、いつの間にかサッカーを楽しむ気持ちが失われていた!そうだ、そしてそのイライラから抜け出したくて悪魔に魂を売ったんだ………。私が心のどこかで引っかかっていたのはこれだったんだな……。私達は壁を越えたんじゃない、壁を見ないようにしていただけだったんだ……。あの頃の私達に、壁を越えようとする諦めない心があれば、今の状況は変わっていたんだろうか……。)
「この答えでいいかしら?」
「………はい。聞きたかった答えでした。」
「そう!それは良かったわ!」
神楽は嬉しそうにに微笑むと、チームメイトの元へと戻っていく。
「………ありがとうございます。おかげで私達の進む道が見えました。」
神楽に聞こえるか分からないような声量で呟いた川淵の目には強い意志が宿っていた。
……さて、同点にまで追い付いたんだ。あの監督も流石に焦るだろ。そう思い俺はあの監督を見た。……見てしまった。そこには不機嫌そうな顔をしている監督がいた。しかし俺は、その不機嫌そうな顔の中に獰猛に獲物を狙う捕食者の笑みを見つけてしまった。
ゾクッ!
背筋が凍る。息が止まる。体が恐怖する。あの笑みが見えてしまったのは先程も不気味な笑みを浮かべているのを見てしまったせいだろうか。俺は気付いてしまった。あの不機嫌そうな顔は演技だ。あの女の本心はきっとあの笑みの中にあるんだ。そこまで考えたところで、頭の中で危険信号が鳴る。彼女は勝利にこだわる影山とは違う。もっと別の狂気だ。彼女は危険だ。これ以上関わるべきではない。
そう理解していても、体は金縛りにあったように動かなかった。
「かずやー!今後の作戦話すから集まってって言ってるよー!」
と、そんなときキラの声が聞こえてきた。その瞬間金縛りは消え、恐怖も自然と無くなっていった。どうやら緊張が解けたようだ。キラに感謝しながら、一刻も早く彼女の近くにいたくないがために、駆け足でみんなの元へと向かった。
「なんて無様なの?貴方達は。」
普段は微笑みを浮かべている大澤監督も、このときばかりは呆れたような表情で話しかけてくる。
「川淵くん?貴方は自分の役割を理解していないのかしら?」
「………。」
「……だんまりなのね。いいわ、川淵くん。貴方はいまこの瞬間からキャプテンを辞めなさい。」
キャプテンを辞めろ。その言葉にみんなの中に少なからず動揺が走る。しかし私は反論はしない。そんなことよりももっと大事な話を切り出す瞬間を待っているからだ。
「後田中君?貴方も分かっているの?この2点の責任は貴方に大きくあるのよ。」
「う!す、すみません……。」
「……はぁ。もういいわ。GKは崎原君と交代よ。」
「!?そんな!待ってください監督!」
抗議の声を上げる田中を無視して監督は話を進めていく。しかしチームメイト達は次々と下される容赦のない指示に、ただただ困惑することしかできていない。実際、交代を告げられたベンチの崎原も何がなんだかわからないといった表情だ。だが私の中には戸惑いはない。やっぱりか、といった感情で埋め尽くされている。
「ーーーー以上がこれからの作戦よ。分かった?」
「………監督。お話があります。」
「……何かしら、元キャプテン君?内容によっては貴方もフィールドから外すことになるけれど。」
軽く脅しのこもった返事だが、その程度では私の決意は止められない。
「率直に申し上げます。私はこれ以降監督の指示には従いません。」
「………なんですって?」
世界が凍る。監督の目が心臓を貫くような鋭さになり、地獄のような寒さが辺りを包み込む。それはまるで死を目の前にしているかのようだ。皆の目が、これ以上余計なことを言うなと言っている気がする。
……しかしそれでも、私の中で燃える決意の火を消すことは出来なかった。ダメだ、ここで立ち止まっては。
「聞こえなかったようなのでもう一度申し上げます。私はこれ以上貴方の命令は聞けません。」
「……っ!何を言っているのか分かっているの!?私がいなければ貴方達はーーー」
「はい。確実に負けるでしょう。」
「だったらなぜ……!」
「それでも、負けるとしても私は……。私はこれ以上悔いが残る勝利はいらない!目の前の壁から目を背けたくない!私は私達の純粋な力だけで勝ちたいんです!!」
「………。」
黙って話を聞く大澤監督を尻目に、私は振り返ってチームメイト達に対して語りかける。
「皆もそうだろう!?勝利を望みつつも心のどこかで分かっていたはずだ!私達が望んでいたものはこんなものじゃないって!………だけど怖かったんだよな。監督が、そしてそれ以上に負け続ける日々に逆戻りすることが。」
その言葉に皆は下を向く。そうだ、皆だって私と同じ気持ちのはずだ。ただ、改善しようとして動いた結果さらに状況が悪化するのが怖かったんだ。……だけど、それじゃあダメなんだ。結局何も変わらないんだ。
「私達は勝利という高すぎる壁から目を逸らし続けていた。……その結果がこれだ。………なぁ、皆で戻らないか?壁をみんなで一生懸命越えようとしていたあの頃に。」
私の問いかけに対し、皆は下を向いたまま誰一人として声を発しようとはしなかった。話すタイミングを間違えたか……?そう思い焦りだした私に1人声を掛けるものがいた。
「俺は………、俺は戻りたい!もうこんなサッカー俺はしたくない!俺達も相手も辛いサッカーなんてやっててなんの価値があるっていうんだ……。」
「田中……。」
私に声をかけたのはGKの田中だった。彼は震えながらも、勇気を振り絞って私に声を掛けてくれたのだ。
……そしてその声を皮切りに1人、また1人と賛同の声を上げる。気付けば反対するものは1人もいなかった。
「これは………。」
「監督、これが私の……いや、これが私達楽郷イレブンの意見です!もう一度だけ言います。私達は貴方の下では戦いません!」
1つの燃え盛る火はやがて燃え広がり、絆という大きな炎となって凍てつく空気と対峙する。しばらく睨み合っていた私と監督だったが、やがて監督が呆れたような表情を浮かべる。
「はぁ……。これ以上はダメね……。いいわ、好きにしたら?」
「!それじゃあ………。」
「ええ。私はもう口出ししないわ。だって私は今この瞬間、サッカー部の監督を辞めるもの。」
「………辞めるんですか?」
「だって貴方達にもう興味は無いもの。これ以上ここにいても無意味よ。」
そう言うと、大澤監督はさっさと校舎の方へ消えていった。思っていた以上にすんなりいったため拍子抜けしてしまった私の後ろでは、チームメイト達の喜びの声で溢れかえっていた。
……まぁ、いいか。こうして大事なものを取り返せたんだから……。
……なんか向こうのベンチめっちゃ盛り上がってないか?……ん?なんか向こうの監督が校舎に戻っていったな。……なんか川淵がこっちに来てるんだが?そして俺達の前に立つといきなり頭を下げてきた。
「天竜イレブン。今までの危険なプレイを謝罪します。すみませんでした。私達の心が弱かったばかりに、貴方達を危険な目に合わせてしまいました。信じてもらえるかは分かりませんが、私達は心を入れ替え正々堂々と貴方達に挑みます。」
「??……ああ。分かった。じゃあ正々堂々やろう。」
「なんと……。心優しい言葉、感謝します。貴方達天竜イレブンのことを、私達楽郷イレブンは永遠に忘れることはないでしょう。」
そう言うと、川淵は清々しい顔で自軍のベンチへ戻っていく。ちなみにチームの代表として受け答えした新島先輩は、終始頭に疑問符を浮かべていた。まあ、川淵と少しとはいえ一番会話した神楽も疑問符を浮かべているからしょうがないところもあると思う。……それでも、あの監督の動きから大体の予想はつくけどな。
「なんかよく分からんが、どうやらさっきまでのラフプレーはしないようだ。皆、ここから先は試合に集中するぞ!」
新島先輩が上手く締めたあと、試合が再開する。監督が消えたあとの楽郷中は、前に比べて戦術も拙く技術不足なサッカーだった。しかし先程よりも気迫が物凄く、そこだけならば俺達は圧倒されていた。総じて先程よりも戦いづらく、厄介な相手となっていた。……それでも戦術と技術の差は歴然であり、徐々に相手を追い詰めていった。そして後半残りわずか、2-2で同点といったところで影狼先輩にボールが渡り、シュートチャンスが訪れる。
「てめぇらは良くやったよ。お前らの敗因は俺達が相手だったことだ。」
影狼先輩はボールを足に載せ胸まで上げると、ボールを残して足を一瞬にして下げ、横から蹴りを入れ闇のパワーを溜め込む。
「『デスソード』!」
そして、その闇のパワーが溜まったボールを手で弾き出しシュートする。
『デスソード』じゃないか!影狼先輩『デスソード』が使えたのか。言ってくれても良かったのに。
「うおおお!『キラーブレード』!ぐわぁぁぁ!!」
『デスソード』は敵のGKが繰り出した『キラーブレード』をいともたやすく打ち破り、勝ち越しとなる1点を上げる。
………そしてここで試合終了を告げる笛が鳴った。
「やった!やったよ、神楽ちゃん!勝ったんだよ僕達!」
「……ええ!」
ふぅ、結果は2-3か。序盤リードされたときはどうなることかと思ったが、上手いこと立て直せたな。
楽郷イレブンの方を見ると、落ち込んではいるもののどこかスッキリとしたような顔付きだ。この試合の勝敗以上に、あの監督から逃れられたのが大きいのだろうか。川淵もどこか砕けた笑みで仲間達と会話したあと、こちらに歩いてくる。
「完敗です。貴方達は今まで戦った中で1番強いチームでした。」
「……まだまだこれからだろう?お互いに。」
「……!」
新島先輩の返答に川淵は少し驚いた後、握手しながら深く頭を下げ戻っていった。川淵も根は真面目なんだろうな。少し周りに流されやすいところがあるがために、あんなことになってしまっただけで。
川淵が去ったあとは試合の感想など言い合っていたが、そんな中神楽が何かに気付き駆け寄っていく。そんな神楽が気になり目で追うと、そこにはグラウンドに降りてきた神楽のお父さんである東大さんが立っていた。
「お父様………。」
「…………神楽。お前は本気でサッカーをしているんだな?」
「はい。そのことには嘘偽りはありませんわ。」
東大さんの問いかけに即答する神楽。そんな真っ直ぐな神楽の目を見続けていた東大さんは、やがて根負けしたかのように息を吐く。
「本当のことを……言おう。神楽、お前にスポーツをやらせたくなかったのは、跡継ぎの勉強に集中させるためなどではない。」
「………えっ?」
神楽も、そして才治も呆気にとられたような顔をしている。まぁ、今までそれが原因だと思っていたわけだしな。違うって言われたらそりゃあビックリするわな。ちなみに俺もビックリしているし、何も分かっていない。
そこから東大さんはぽつぽつと話し始めた。大事な一人娘に怪我をさせたくなかったこと。そのために少しでも怪我をする可能性のあるスポーツをやらせたくなかったこと。才治を近くに置くのもそのためだということ。この試合が終わり次第、神楽に監視を置く事を考えていたということ。
「お父様…………。」
「だが、今日の試合を見て考えが変わった。私は間違っていたんだな……。神楽は私の前ではあんな生き生きとした顔はしていなかった……。私は神楽の安全を考えているつもりでいたが、実際は私の不安を取り除く事しか考えていなかったんだな。神楽自身の気持ちを何も考えていなかった………。」
「……それでも、私のためを思って言ってくれていたのは感謝しますわ。そのうえでお願いです。サッカーを続けさせてください。」
「ああ、もちろん認めるとも。娘が怪我をする悲しみより、娘が生き生きとしている姿を見る嬉しさのほうが大きいんだ。」
「!!ありがとうございます、お父様!!」
「やったね、神楽ちゃん!!」
おお!東大さんが認めたぞ!これで神楽はサッカーが続けられるんだな。やっぱり楽しむ姿を見せたのは正解だったな。
皆も同じ気持ちなのか、神楽の周りに集まって祝福している。そんな中、少しだけ遠くにいた新島先輩に東大さんが話しかける。
「君がキャプテンだね?」
「あ、はい。天竜中サッカー部キャプテンの新島徹です。」
「新島君、これから先は私達天王寺グループが全面的に支援しよう。金銭的なことでもいいし、困ったことがあったら何でも言ってくれたまえ。」
「えっ!そんな、悪いですよ!」
「なに、遠慮するな。学生の内は大人の好意には甘えておきたまえ。神楽の件のお礼だよ。」
「そんな……。………いえ、分かりました。もし何かあれば相談させてもらいます。」
「うむ。大船に乗ったつもりでいたまえ。」
……なんか向こうの方でとんでもない話をしているが、聞かなかったことにしよう。今はただ取り敢えず勝利を噛み締めたいんだ。そう思い、俺は神楽を囲う皆の輪の中に入っていった。
(あーあ。結構上手いこといってたんだけどなぁ。ちょっと早まったかな〜。)
楽郷中の入り口辺りを大澤は悠々と歩いていた。彼女は楽郷中サッカー部を去った後、そのままの勢いで楽郷中の教師も辞めていた。サッカー部に居場所が無くなった時点で、彼女には楽郷中にいる理由はないのだ。
(上を黙らせてさっさと辞めたまでは良かったけど、これからどうしようかしら。………まあストックあるし、無くなるまでには次が見つかるでしょ。)
そんな彼女の近くに、1台の黒い車が現れる。その中から降りてきた黒服の男は、威圧的な体格をしながらも低い態度で大澤に話しかける。
「失礼します。大澤様でよろしかったでしょうか?」
「………あら、貴方は………。何?私が必要にでもなったの?」
静かに、しかし確実に歯車は狂い始めていく。
・キラーブレード
アニメ未登場。主に尾刈斗中のGKであるじゅうぞうなどが使用。ボールを切り裂く豪快な技だが、威力は滅茶苦茶低い。威力は当然下の下。
・デスソード
原作では三流さんことつるぎが使用。GOの中でも有名な技。つるぎの代名詞とも呼べる技だが、味方になってからはあまり使っている印象もないため敵のときのほうがイメージが強い。威力は下の中。
鶴巻君ほぼ出番無かったですけどラフプレーが起こるたびに怒ってました。その都度磯貝が鎮めての繰り返しだったので描写しませんでしたが。