ヒカリちゃんはキングと遊びたい 作:SSKキング
「あ、タツマキちゃんだー! ひっさしぶりーー! (会議の時、見てたけど)」
ぱぁっ、と花開く様な輝いた笑顔を見せるのはヒカリ。
そんな姿を見たサイタマは、首を大きく傾けていた。
「知り合い?」
「え? うんっ、そうだよ。お茶友達ってヤツかな? あ~~~勿論、
「ふーん」
日頃から、キングの本体? 的な活動をしている影のヒーローがヒカリ。(影でヒカリとはこれ如何に?)
なので、ヒカリ本人が言う【本体】で活動している時間は基本的に少ない。
だから、今回の様に、美味しい美味しいスイーツ店巡り等をする時は、本体?……正体? 的な設定で盛大に楽しむ。
その道楽の際に、タツマキとの出会いがあった。
因みに、体格はタツマキと似たり寄ったりな体型に変身しているから本当に同学年のお友達~と言う感じで回りからは観られていた。ただ、戦慄のタツマキの名を持つ彼女だから、結構騒ぎになったりもしていたが。
サイタマは、そう言えばスイーツ巡り以外にも色々とやる! って言ってたなぁ……と思い返す。
それと、ヒカリにはちゃんと友達いたんだなぁ……自分の周りにはキングと押掛弟子のジェノスだけ……、と何だか哀愁漂う雰囲気になってしまっていた。元々、コミュ力の高さは言うまでも無いし、数々の店舗では顔なじみになってると言う話だし。
———陰のヒーロー設定じゃなかったのか?
と、今更ながらサイタマは脳裏で毒付くのだった。
そうこうしている内に、タツマキが宙を飛んでこちらへと接近してきた。
「何でアンタがこんな所に居るのよ!? ってか何で宇宙船の中から出てきてんのよっ!? 大丈夫だったの??」
ヒカリに友達~と紹介されたのはウソでは無かった様子。
あの傍若無人、我儘が服を着て歩いている様なタツマキからは、中々想像が出来ない様に心配する声が上がっていた。
ある者が記憶を辿ってみると……ここまで心配し、感情を露にするのは姉妹であるB級トップヒーロー 地獄のフブキだけではないだろうか。
そして、S級トップクラスのヒーローであるタツマキにそこまで目を賭けられるあの少女は一体何者なのか? と注目はヒカリにも向かれる。
「えへへ。だいじょぶだいじょぶ! えっと、ほらほら、この
「お、おじっっ!!?」
色々と考え込んでいたサイタマの脳内に、いつもどうでも良い声や音は右から左へ華麗に受け流す都合の良い脳みそしてるのに、どうもヒカリ関係の口撃は煽り耐性0にまでなってしまう様なのだ。
「おいコラぁぁ!! 誰がオジサンだ!! オジサン!!」
「それでねそれでね! ほら、これA市のスイーツ店のおじちゃんがくれたタルトなんだけど! それにおばちゃんがくれたのもあるよー」
「話聞けや!! つか、よくそんなモン持ってられたなぁ、お前!」
懐から取り出したるは、サービスだと持ち帰らせてくれた美味しい美味しいスイーツの皆さん。ヒカリの様に輝いてる……のは気のせいじゃないのだろう。
あのボロスとの一戦……戦いになってたかどうかは別にして、サイタマとボロスの戦いの最中、周囲に巻き散らかされた衝撃波はトンデモ無かった。何せ、サイタマのお金……ではなく、月の石が軽く粉微塵になって空気中に消えていった程だったから。
……まあ、ヒカリはそれなりに離れていたし、あの月の石が壊れてしまったのもボロスの一撃から出る衝撃波を至近距離で受けてしまったので壊れるのは必然。比べる物を間違えてる様な気がするが。
「ふーん。……で、そっちのアンタの方は何で宇宙船に乗ってたワケ? B級の。確か集会場に来てたわよね?」
ヒカリの事は一先ず置いといて、懐疑的な視線をサイタマに向け始めるタツマキ。
ヒカリが嘘を言う様な人物ではないのはタツマキも良く知っている。……数少ない友達で、ある意味タツマキに賭けられている
ただ、ヒカリの真の意味での実力を知る人物~と言う訳ではない。
彼女の正体を知るのは現時点でたった2名しかいないのだ。
「お前、ソレ俺にもくれ」
「えー、どーしよっかな~~」
「つーか、顔どんだけ広くなってんだよ。どんだけ広げる気だよ。店主のおっさんおばさんは兎も角、いつの間にかヒーロー内にまで届いてるし。最初の設定何処いった?」
「設定言わないでよ、無粋ってヤツだよそれ。タツマキちゃんとは以前の怪人騒動……えーっと、扇風機? みたいな変なのがお菓子屋さん襲ってて、そこであったのが初めてで———」
「そんな話聞いてねぇし」
サイタマは、そんなタツマキの疑問? 問? に対して華麗にスルー。
——む……無視?
何だったら目も合わせてないし、存在を認識もしてない様な素振りさえ見せてる。
ピキリッ……と、何かに触れそうになってしまった。
でも、一応はヒカリを助けたようだし、ヒカリの知り合い? かもしれない。その辺りを考慮して、もう一度だけ話を聞こうとする大人な面も向ける。
「もう一度、聞くわよ。アンタは何で———」
落ち着かせて、深呼吸も軽くして、ムカつかない様に怒らない様に再度聞こうとしたのだが……。
「先生! ご無事でしたか!?」
「あ、ジェノスか」
「ジェノス~おつかれさま~~!!」
ジェノスが割って入ってくる。
因みに、あまり絡みがこれまで無かったかもしれないが、ジェノスもヒカリとは顔見知り、顔馴染みである。
ジェノスがサイタマ邸(勝手に住んでるマンション)に住み着くよりも前からヒカリはサイタマのゲーム友達? みたいな感じで家に出入りしていたのを知っているからだ。
ただ、強さについては全く知らない。
サイタマと共に有る……と言うだけである一定の評価をジェノスの中でしている。
あの家に関して言えば サイタマ>キング>ヒカリ と言った感じだろうか。
あの家には弱者はいない!! と言うのがジェノスの考えであり、師匠の友達であるなら相応の敬意は払っていたりもしているのだ。
「敵の大将は片付けたんですか?」
「あぁ~、結構強かったよ。マジで。過去一かもな。だってワンパンで死ななかったし。何なら再生したし」
「一発で終わらせてたら、月の石も壊れなかったかもしれないのにね~~。こういう時に裏目っちゃうのがサイタマ! って感じだ♪」
「うぐっっ!! う、うるせーな! どーせどーせ、月の石なんてそこまで大した価格って訳じゃ……」
「月の石ですか? 確か1g=60万円相当、だったかと」
「―――――――――――――――」
「何故月の石が? あの宇宙船に乗ってたのですか?」
「それはね~~~」
完全に蚊帳の外にされてしまったタツマキ。
ここらで限界突破。
「いい加減話を聞きなさい!!」
轟ッ! と持ち前の超能力を使った訳でもないのに、声量だけで周囲を震わせる程の怒声をタツマキはサイタマに、ついでにジェノスに対しても向ける。
「どうやったか知らないけど、単独で乗り込んで何を勝手な事やってるの!? ヒカリだって危なくなったら私の携帯番号教えてるんだから、かけてくれば良いじゃない! そっちのハゲはB級! B級の分際ででしゃばるんじゃないわよ!! アンタなんかいなくても私1人で十分だったんだから! このハゲ! このハゲ―――!!」
ハゲハゲ連呼した後は、タコ、ゆでたまご、電球、アボカド、間抜け顔、妖怪、虫……と罵声のレパートリーが豊富だ。……少々精神年齢と肉体年齢が=で結ばれた気がするが。
「タツマキちゃんタツマキちゃん。ほ~ら、これ飲んで飲んでっ」
「ちょっと! まだ言い足りな————………ズズズッ」
ひょい、と取り出したるは、ローズヒップティー。
落ち着きますよ~♪ と差し出されて、その香りが鼻腔に入り……あっという間に虜になって。
ずずず………、と飲み始めた。
「やーヒーローネーム新候補! 沢山貰って良かったね~サイタマ?」
「いや、良くねーだろ。何がネームだ。まんま罵倒の嵐じゃねぇか」
子供の様な悪口オンパレード(サイタマ視点ではタツマキは間違いなく子供)
何処からツッコめば良いか、正直面食らってる所ではある……が。
「俺の先生に罵倒。許せませんね。……いかがいたしましょう? 先生」
「あー、うん。何か言ってやってくれ。大人として」
「了解」
ジェノスが一歩前に出た。
確かにサイタマを心酔していると言っても良いジェノスが、今の罵倒……幼稚とはいえそんなものを聞いて胸中穏やかではいられないだろう。
人でも殺しそうな顔つきになっていて、紅茶を楽しむタツマキの方へ向かった。
「おい糞餓鬼。誰に向かって生意気な口聞いてんだ? ぶちのめすぞ」
何処のヤ〇ザだ? どこの組の舎弟だ? と言いたくなるジェノスの文言。
紅茶を楽しんでいて、暫くは落ち着いていたタツマキだったが、基本的には彼女は瞬間湯沸かし器。
「誰が餓鬼——————ですって?」
ドンッッ!
と言う轟音を聞いたかと思えば、気付いた頃にはジェノスは吹き飛んでいた。
精神安定剤となっていた紅茶のおかげで出力は多少落ちている様だが、それでも超高威力。ジェノスが成す術無く吹き飛ばされた程の。
そして、まるで
「私はアンタより年上よ! 覚悟しなさい、次はアンタよBきゅ「はーい、お代わりだよ~!」………ズズズズ」
見事にタツマキをコントロールして見せるヒカリをに目が点になるのはS級ヒーローの面々。実力は折り紙付きだが、その傍若無人な性格には四苦八苦。ただでさえ問題児が多いS級において、纏まるモノも纏まらない原因の1つ。(と言ったらガチギレされる)
なので、是非とも彼女をタツマキ専属の御目付に~~と、童帝が画策しようとしたその時。
「(……ヒカリ氏~~~、ヒカリ氏~~~~!!)」
「およっ? ……あ、そーだった」
ドッドッドッドッドッ————————!!
物凄いキングエンジンが周囲に響き渡ってきた。
忘れていた事がある。宇宙船の残骸、全て落としたつもりだったが、実はそうではない。
まだ地味に浮いていた破片があるのだ。
だから、キングは律儀にも手を挙げ続けて空中で固定している(フリ)をしていたんだが……、そろそろ真面目に限界。
「ほいっ、と」
それに気付いたヒカリは、にこっ、と笑みを浮かべて歯を見せると指先を操り、そのまま高級住宅地の1つへGO。
超高級ハウスの数々が潰れて、億と言う金が綺麗に潰れてガックリと絶望している面々の中、唯一被災を免れた!! と心の中でガッツポーズしていた協会貴族(笑)がその瞬間崩れ落ちたのはまた別の話。
宇宙人襲来。
狙われたA市。
それは歴史的大事件として連日報道。
そして、ジャーナリストとしての使命を全うした1人のカメラマンが大々的に表彰もされた。あのキングが宇宙船を食い止めている場面、半分以上を消し飛ばした場面、一般市民を、無辜の民の家を守る為に破片を抑えてくれた場面(協会貴族は別)。
全部綺麗に保存していて、連日人々を飽きさせなかった。
宇宙船が襲来した事、地球外生命体を確認したと言う歴史的事実なぞはとっくに忘れ去り、改めて人類の守護者としてキングへの賞賛が湧き起こり続ける。
とうのキングは頭を悩ます結果となり、引きこもりに磨きがかかった。
高級住宅地に落ちた宇宙船に関しては、メタルナイトの集団? がどこからともなく現れて、移動。ついでに,ヒーロー協会本部は更に強固な建物とする為に強化改築を行う事で一致。……どうせ潰れた家を元に戻すのに財力を使うのなら、ヒーロー協会そのものをデカい家にしてしまえば良い、と考えた者が多かったからだ。
何より、あの規模の怪人……宇宙人が現れた事。キングの力を目の当たりにした事もあって、ヒーロー協会以上の安全地帯はこの地球上どこにもない、と認識したのが大きかった。
私財投入を惜しまず、鉄壁の要塞に加えて、キングの守護。
勿論、周囲の目もあるのでしっかりと新しい道路等を作ってどの町にも迅速に駆けつけれる様にした。
A級以上の希望したヒーローたちにも移住する権利を与えられているが、定員が今の所あるので、目下競い合い中である。
「お会計5800円でございます」
「どうぞ」
「はい。確認出来ました。ありがとうございます、またお越しくださいませ」
TVゲーム専門店 パズー。
無事目的のブツを得た男の名はキング。
地上最強、地球最強の名をほしいままに、今日もひっそりと息を殺して歩いていた。
と言うのは誤った事実。
ガラスハートの平均的一般男性。ただ心臓の音だけが常人離れしているだけの普通な男である。
ちょっとした穴場で、何より周囲に人が少ない場所にある数少ない憩いの場。
過大評価の極みと言う頂きを経験した今———本当の意味で安らげるのはもう二次元以外にあり得ないのだ。
「ようやく、何事も無く、無事に買えた……。新作ゲーム初回限定版【どきどきシスターズ】」
……流石に、ヒカリが家にちょくちょく来るので、美少女系フィギュア等は置いてないが……、美少女系ゲームくらいは許して貰いたい。
恋愛シミュレーションゲームは絶対に1人でするから。
「今日はヒカリ氏も来ないらしいし……、怪人警報も出てない。うむうむ。久しぶりにテンション上がってきた………。ほんと、大変だったもんなぁ……」
じわり、と目に涙が溜まる……。
宇宙戦争? を終わった後のひっきりなしのメディアの取材。
それがある度に、ゴーストタウンであるZ市へと逃げて撒いてを繰り返して………大変だった。
それまで怪人に出会ってないから、ある意味マシだったのかもしれないが、それでも心労がハンパじゃないのだ。
だからこそ、今日めいっぱいこのゲームを楽しむ。
でも、キングはやっぱり解ってなかった。
いや、解りたくなかった、現実逃避していた、と言うのが正しい。
安息の日、安寧の日と言うものは、幻想であると言う事……。
自分が居る世界は修羅の世界であると言う事。
けたたましい機械音と共に、地を踏み荒らしながら近づく機会兵器が直ぐ後ろに迫ってきた……。
流石にそんな頻繁にはタツマキちゃんとTタイムはしないです(笑)
ヒーローですからw