京浜第3シェルターのアイツ 作:FD一枚ケルベロス
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
アルトリアは覚醒した。
咆哮が上がる。
被っていた帽子が吹き上がるマグネタイトの本流で吹き飛ばされ、物質化した風がその周囲に渦巻いて、形を得ていく。
装着していた鎧はより幻想的に。
装着していた聖剣はより神秘的に。
両親譲りの碧眼はより深い色を讃えながら輝き、額には四葉を思わせる紋様が浮かび上がる。
\カカカッ/
| 種族 | 英雄 | アーサー | LV55 | 属性NATURAL-LIGHT |
| 相性耐性 | 物理にとても強い 魔法にやや弱い |
「
聖剣を抜き放つ。
怒りを込めて、憎悪を込めて、魔人を消滅させんと光の聖剣が引き抜かれる。
「
| 特殊スキル | 敵全体に100%属性の特大ダメージ+高確率で瀕死(神聖判定)*1 |
光の奔流がマタドールを含む場を蹂躙した。
後方のビルが光の刃に引き裂かれて、砕け散る。
「はぁ、はぁ」
圧倒的な威力だった。
振り抜いた先には全てが灰燼と化して、後ろにいたはずの悪魔共でさえ粉微塵に砕け散っている。
「あは」
騎士王は勝利した。
「アハハ」
彼女は帰還した。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
アーサー王はブリテン島に再臨した。
アルトリア・エヴァンスは両親を失った涙を流して、アーサー・ペンドラゴンと崇拝される悪魔は歓喜した。
笑いながら泣いて。
哭きながら微笑っている。
「あ、アルトリア……」
「お嬢様!」
義姉と慕った女性の声も、父が付けてくれた
何もかも遅すぎて/何もかも間に合ったからこそ。
少女/王は、泣き/笑う。
「残心もないとは素人かね?」
その笑い声がピタリと止んだ。
アーサー王が硬直しながら、前を見る。
粉塵が赤い衣に拭われて、かき消えていた。
| 種族 | 魔人 | マタドール | LV87 | 属性NEUTRAL-CHAOS |
| 相性耐性 | 氷結反射 物理・銃・破魔・呪殺耐性 即死無効 |
| 命中回避・4段階に上昇中 |
\カカカッ/
魔人マタドールが現れた。
「……嘘だ」
聖剣の一撃で滅ぼされない魔人がそこにいた。
「馬鹿な! お嬢様の聖剣が……!?」
「当たらなければ何の効果もあるまい?」
折れた自分の左腕を右手に掴み、赤のカポーテを翳しながら、骸骨の顎が震えて笑う。
今にも死にかけたボロボロの骸骨。
アーサー・エヴァンスとモルガン・エヴァンス、そして共に闘った戦士たちによる死闘の証。
だというのに、数秒数えてマタドールは不思議そうに告げた。
「かかってこないのかね」
「!!」
アルトリアが聖剣を、パーヴァンシーが竪琴のような弓を、カヴォスが唸りを上げて牙を剥き出しにする。
三人とも闘志を失ったわけでもなく、己が両親を、主を奪われた増悪に胸は焼かれている。
だがそれ以上に、その感情すらも凍りつかせるほどに魔人は桁外れだった。
今にも死にかけた姿であっても、立ち向かうことを失念するほどに。
「マタドール!!」
「貴公が我が名を呼んでも死にはしない」
カラカラと顎を打ち震わせ、銃痕の刻まれた帽子を傾ける。
わかりやすく告げるのならば。
魔人は肩をすくめた。
「力を示せ。彼ら戦士のように」
「BOW!」
| フォッグブレス | 補助特技 | 敵全体の回避率と命中率を2段階ダウン |
「旋風陣!」
| 旋風陣 | 疾風魔法 | 敵全体に疾風相性の大ダメージを与える |
「マハブフーラ!」
| マハブフーラ | 氷結魔法 | 敵全体に氷結相性の魔法中ダメージを与える |
カヴォスが命中・回避を下げるブレスを吐き出し、二人の悪魔少女がすかさず魔法を魔人へと叩きつける。
マハガルダインを超える疾風系最強の魔法に、
計算はある。
覚醒した
シキガミたるパーヴァンシーは当然の手癖として得意とする氷結魔法を選択した。
現地人とは遥かに異なる転生者と、それの相棒であるシキガミは悪魔の
それに魔人は
軽やかに風を回避し、氷結にニヤリと嘲笑った*3。
「は?」
反射された氷結を、恵まれた改良耐性で無効化してなお、パーヴァンシーは驚愕した。
こんなことが、悪魔相手になかったからだ。
いつだって相手の防御なんて貫いて、精々あっても軽減されるぐらいで、反射なんてなかった。
「遅い」
――疾風の咆哮――
「遅い」
――疾風の咆哮――
「二手にて返し終わる」
真紅の残像と共にカヴォスが血しぶきを巻き上げた。
| ソウルドレイン | 特殊特技 | 敵単体からHP・MPを吸収する。ニヤリ時威力上昇 |
物理耐性を吸収まで高めたシキガミの耐性を万能にて踏み躙る。
雄々しく吠えたけていたカヴォスの肉体が半ば命が抜けたように倒れ込む。
それに伴いマタドールの傷が癒えていくが、まだ浅い。
それは威力が足りないのではなくシキガミ本体の
「どうした、まさかこの程度で死するつもりか? 先の二人ならばまだ耐えたぞ?」
騎士王が踏み込む。
――マタドールは顔をしかめた。
「
輝ける聖剣を携えて。
――闘牛士は息を吐いた。
「
勝利を振りかざした。
| 特殊スキル | 敵全体に100%属性の特大ダメージ+高確率で瀕死(神聖判定)*4 |
避けられた。
「血のアンダルシア」
| 血のアンダルシア | パッシブ | 消費MP - | マタドール専用スキル。 敵の物理攻撃を回避したとき、次の連動効果が発動する。 「敵全体に4回、クリティカル率50%の物理属性ダメージを与える」 このスキルは反撃効果の発動を無視する。最大練度の場合物理回避率が自動上昇する |
「散りたまえ」
衝撃が走る。
カヴォスがアルトリアを
衝撃が奔る。
耐えきれないと悟ったパーヴァンシ―がアルトリアの
衝撃が疾走る。
対物反射の甲冑を<貫通>して、少女が血反吐を漏らす。
剣閃が突き刺さる。
「貴公は弱い」
侮蔑と共に騎士王とした完成された少女は敗北に吹き飛ばされた。
――まだだ。
「ぁ」
吹き飛ばされ、聖剣がこぼれ落ちる。
ゴロゴロとと転がりながら、手を握りしめる。
「ああ」
地面に弾む、大地の上で弾む。
それでもまだ原型を保っている。
――まだだ。
「ぁ、あ」
両親が用意してくれた鎧は、甲冑は騎士王の敗北を齎しても、少女の身体は守った。
物理無効を貫通されてもその防御力は、少女を守ろうとした防護はまだ命脈を繋いで。
「ああああああ」
――立ち上がれ。
歯を食いしばれば、耐えられる。立ち上がれる。
「あああああああああああああああああ」
一流の戦士ならば、救世主なら、騎士王ならば立ち上がれ。
食いしばって、手を動かせ、剣を取れ。
聖剣を握りしめろ。
お前が
歯を食いしばれ
「ぁ、ぁあああん、あああぁぁぁん」
れなかった。
「やだよぉ」
少女は、アルトリアは泣いていた。
二十にも満たない少女は、両親が死んだ事に、泣いていた。
喚き立てる騎士王の誇りが、怨嗟のように使命感のように内側から突き立てながら、手足が全然動かなかった。
守りたかった人たちは皆死んだ。
無敵だと思っていた両親は死んだ。
家族だった人は自分を守って砕け散った。
それなら。それなら、なんで。
「もぅやだ」
騎士王は、否、騎士王になれなかった
子供のように。
ただ泣いていた。
ぼろぼろ、涙がこぼれた。
あの妖精たちが、精霊たちが囃し立てた騎士王の帰還なんて姿はなかった。
ただの幼子が泣いていた。
「どうやら貴公は戦士ではなかったようだな」
見下すような、呆れるような声が聞こえた。
それに怒りすら覚えない。
ただボロボロにひび割れた小手で顔を覆って、うずくまる。
心が折れていた。
聖剣は吹き飛ばされて、手に握れてなかった。
だから。
「子供が戦士でいいわけがないだろう」
その声に、間違いだと思った。
顔を上げる。
その先には掲げられた聖剣があった。
「此処から先は俺が相手だ」
義手の、
いないはずの男が、金髪の魔女と、ヘルメットを失った装甲服を着た男と共にいた。
「貴公らは戦士か?」
「デビルバスター」
短く、まっすぐな声。
怒りに震えるただの人間が、そこに聖剣を握っていた。
「お前らのような悪魔を滅ぼす奴だ」
ヒデトがそこにいた。
味方がBOSSの情報を得るための判定に成功するたび チェックを行う
BOSS1体を対象とし、そのBOSSの相性特性を知る。
また、対象はシナリオ終了時まで、相性変化系の自動効果スキルの効果を失う。
これにはアイテムによる付加スキルの効果も含まれる。
本来ならば 相手に対する3レベル以上の絆(因縁)が必須だが、【それら前提条件を無視する】
転生者たちはこれに酷似した性質をBOSSに限らず、圧倒的な霊格による差で現地人たちの努力も耐性すらも嘲笑い踏みにじることが出来る、格下相手である限り
ヒーローは必ず駆けつける
子供が泣いていればなおさらだ
2025/02/09
パーヴァンシーの氷結魔法が反射されていないミスを修正
加筆修正を行いました
近日、最新話投下予定です