京浜第3シェルターのアイツ 作:FD一枚ケルベロス
「デビルバスター……」
快活に、ひび割れた骨と擦り切れた闘牛士の装束を纏った魔人が嗤う。
「
「一方的に狩れるほど強くはない」
聖剣を握りしめて
側に佇む魔女は鏡仕掛けのマスク*1を身につける。
そして、反対側に経つ損傷の目立つ
「お望み通りの戦士のご到着だ、喜べ。クソ野郎」
「クハ! クハハハハハハハハハ!! 不思議なことが続く、妙な話だ、何故君がいるのかね?」
「貴公は我が葬ったはずだが?」
ガイア連合製のデモニカスーツを装着した男、四条翔は眼前の魔人に刎ねられた首を叩いた。
「<バイトザバレット>*2 ガイア連合が開発したデモニカ用の戦闘アプリだ。肉体が死亡すると同時に強制的に賦活、魂が抜けないように入れ直す」
さらに事前に自分が戦闘しても契約が解除、逃走しないように<デスマーチ>*3をセット、自分が死亡しても最後まで戦えるように設定済み。
同時に奴が敵対者を倒す度に蘇生困難になるように戦うのを確認したあと、バイトザバレットで蘇生した場合、死んだふりをしてでも自分の肉体パーツを集めておくように指示。
結果、ギリギリのタイミングだったが息を吹き返すことが出来た。
「俺の部下共は間に合わなかったが、仇は取らせてもらう」
葉巻を吐き捨てて、途中から千切れていたデモニカスーツのバケツヘルメットを被る。
ほぼ機能は損壊、修繕も間に合っていない以上、ただの防具装備*4に過ぎないが十分だ。
『ヒデト、戦場を移動させる。出来るか?』
スーツ内通信機から、自分の死骸を引っ張り出してくれた男に呼びかける。
そして、興味を引かないようにヘルメット越しに倒れ伏した少女を四条は見ていた。
動けない。
呼吸も荒い、重傷で戦闘に巻き込まれたら瞬く間に死ぬ。
眼の前の魔人が、人質なんて小賢しい真似をするとは思えないが、それに気を使って戦ってくれるとは到底思えない。。
むしろこちらのやる気を出すためになら眼の前でアルトリアを刺し殺すぐらいはする。
「わかった」
無茶な注文、今からでも命をかけた死闘だというのにヒデトは了承した。
魔女は肩をすくめて、手を打ち鳴らす。己が魔力を持って魔界と繋がり、魔界魔法を呼び出す独特のうねり。
「我が名はマタドール! 戦士よ、名は?」
「ヒデト」
独特のガスマスクを眼前に降ろし、唸りを上げて
「CALL」
銀色の義手が滑らかに動き、数式が表示される。
描かれるのは悪魔を使役するプログラム。
神の計算を超えて、観測者ですらもそれを生み出すのではなく模倣から始めた一人の青年が作り出したプログラム。
―SUMMON――
\カカカッ/
| 種族 | 幻魔 | ハヌマーン | LV60*6 | 属性 LIGHT-NEUTRAL |
| 相性耐性 | 精神・神経・魔力耐性 破魔・呪殺無効 |
≪魔人か。我が主、我が敵に相応しい≫
\カカカッ/
| 種族 | 破壊神 | セイテンタイセイ | LV56*7 | 属性 LIGHT-CHAOS |
| 相性耐性 | 呪殺・魔力・神経耐性 火炎・破魔無効 |
≪いいね、いいね! ぶち殺し甲斐があるじゃねえか!≫
\カカカッ/
| 種族 | 竜王 | ヤマタノオロチ | LV59*8 | 属性 NEUTRAL-NEUTRAL |
| 相性耐性 | 火炎・氷結・電撃耐性 状態異常に強い |
≪肉モ身モナイ骨カ! サッサト壊シテヤルゾ、サマナー!≫
\カカカッ/
| 種族 | 魔神(技芸族) | トート | LV58*9 | 属性 LIGHT-NEUTRAL |
| 相性耐性 | 物理に弱い 呪殺弱点 火炎・電撃・衝撃・氷結・精神・神経・破魔吸収 |
≪オヤまあ、魔人だネン。本当に飽きないね、チミたちは≫
\カカカッ/
| 種族 | 魔女 | ロザンナ | LV62 | 属性NEUTRAL-CHAOS |
| 相性耐性 | 火炎に強い 電撃吸収 衝撃耐性 破魔・呪殺無効 |
「レベルだけでも魔王級ね。全力で行くわよ」
\カカカッ/
| 種族 | 悪魔使い | ヒデト | LV59 | 属性NEUTRAL-GOOD |
| 相性耐性 | 全体的に強く 銃撃・破魔・呪殺無効 |
「皆、頼むぞ」
\カカカッ/
| 種族 | ガイヤーズ | 四条 翔 | LV51 | 属性NEUTRAL-NEUTRAL |
| 相性耐性 | 銃撃無効 破魔無効 呪殺耐性 |
「俺はサポートに回る、頼むぞ!」*10
死闘が始まった。
| 種族 | 魔人 | マタドール | LV87 | 属性NEUTRAL-CHAOS |
| 相性耐性 | 氷結反射 物理・銃・破魔・呪殺耐性 即死無効 |
\カカカッ/
魔人マタドールが現れた。
―― スモークノイズ ――
「奴に躱させるな!!」
宣戦開始。
四条が先んじて煙幕弾を射出する。*11
妨害煙がマタドールを飲み込む。
耐悪魔用の麻痺やスクンダ効果など未覚醒者が喰らえば指一本動かせなくなる化学兵器だが、魔人ほどの上位悪魔には効果が薄い。
肝要なのはその煙幕。
普通ならお互いに姿が見えなくなるものだが、
「またかね?」
「何度でも、だ!」
(使い損ねた最後の一発だがな!)
抱え落ちして死ぬところだったが、ここで切らずにして何時使う。
『回避二段階低下!』
≪ウォオオオオオン!≫
―― ダイ・ハード ――*12
龍王ヤマタノオロチが吠え猛る。
――ヒデトたちの防御力と命中率が一段階上昇する!
―― ラク・カジャ ――*13
幻魔ハヌマーンが手慣れた仕草で防護の結界を張る。
――ヒデトたちの防御力が一段階上昇する!
―― テトラカーン ――*14
魔神トートが、自分の弱みを埋める反射結界を構築する。
――ヒデトたちが物理反射状態になった!
≪余裕だネン? あの魔人≫
永世ライドウと呼ばれた悪魔召喚士に仕えていた魔神が、忠告するように囁く。
「跪きなぁ!」
悪魔合体にて作られた破壊神が吠え猛けた。
| いかく(威嚇) | 補助特技 | 敵全体に『ラク・カジャ』7回分(最大段階)および『タル・ンダ』4回分の効果*15 |
「ぬっ?!」
――マタドールの防御力が最大まで高まり、攻撃力が四段階低下した!
自らの赤のカポーテ同様、だが違う方角性の、それも敵を強化/弱体させる特技。
これが撃たれたということは。
―― デカジャの石 ――
ロザンナが強化解除の道具を発動させる。
――マタドールの防御力が元に戻る!
残るは足が鈍り、手の動きも半減した魔人。
そこにサマナーが踏み込んだ。
聖剣エクスカリバーの閃光が三度魔人の骨を削る。外套を貫いて、とっさに首を振るうマタドールの頬骨を砕いた。
「悪魔召喚士が、踏み込むか!?」
「それしか能がない、悪いか?」
「いいやちっとも!」
風を切る、音すらも置き去りになるほどの超人と魔人の動き。
本来のレベル差ならば機械仕掛けの義手とデモニカスーツの補助があってもヒデト程度の超人ならば一撃で撥ね飛ばせる力がある。
だが四段階の
なんと計算された殺し間か!
凄まじいと言う言葉すらも陳腐なほどに研鑽されたヒデトの剣も相まってマタドールは眼窩の奥に燃える炎を輝かせた。
歓喜。
その色は歓喜であった。
戦士と戦士、悪魔とヒト、その決闘とは生存競争に他ならない。
自らの持ち得る手札を全て費やし、環境すら整えて殺しにかかる。それに何の非礼があろうか。
自らが闘技場に招かれ、狭い闘技場に押し込められたバッファローであるならば、挑みかかる闘牛士はデビルバスターたちに他ならない。
溢れんばかりの殺意と全身全霊のソウルの輝きこそ、マタドールにとって万雷の喝采に等しい。
「ハハハ! ならば我も全身全霊で挑もう!」
歓喜の笑い声を響かせて、ヒデトの聖剣から弾かれるように距離を取る。
僅か二歩の間合い、それで十分。
―― 赤のカポーテ ――
マタドールは自らの
| 赤のカポーテ | 特殊補助 | マタドール専用スキル。自身の命中・回避を |
撒かれていた煙幕が消失する。
ヒデトが踏み込む、一歩。その剣閃は鋭く。
「
その踏み込みが――反転した。
否、マタドールとの距離が広がる。無属性の、■H■Hが魔人に授けた最優の万能魔法。
「この程度で死んでくれるなよ?」
| アンティクトン | 万能魔法 | 敵全体に万能属性で特大ダメージ。攻撃力・防御力・命中・回避率を一段階低下させる。 |
「がっ!?」
音すらも生み出さない不可視、不透明の存在否定の波動が、ヒデトの足を止める。
それだけではない周囲の命あるものが、悪魔の残骸すらも消え去って、距離を詰めたロザンナや仲魔たちをも蝕み、弱らせる。
ヒデトたちの全能力が一段階低下する。
それはさながら神の意思めいて。
「真4のスキル仕様か!」*16
後方、ある一箇所めがけて移動していた四条は外から見て気づいた。
メタ知識を持つ転生者は気づかない。
ロザンナは、ヒデトは、ハヌマーンは気づいた。
(この魔人は!)
「耐えたか、それでこそ!」
マタドールの眼窩が燃える、楽しげに、愉快げに。
そして、マタドールの
―― 冥界破 ――
周囲一体を全て破壊する斬閃、否、破滅が吹き荒れた。
物理反射の結界すらも紙のように貫通し、命を失った大地が粉砕された。
≪ヤバいのねん! アデュー!≫
魔神トートが僅かに斜め前に踏み出して、砕け散る。
ヒデトが、ロザンナが、仲魔たちが各々の動きと姿勢を持って、生き延びる。
深手を負わせながらもたった一体しか落とせなかった手強さにマタドールは闘志を輝かせる。
その期待に答えるようにヒデトたちは立ち上がる。
「解除する!」
―― デカジャの石 ――
四条が遠くから投げ込んだデカジャの石が、マタドールの速度を解除する。
タイミングから見て冥界破とほぼ同時、ヒデトたちが立ち上がることを確信してなければ無駄撃ち。
≪よくもヤッテクレタナァアアアア!≫
―― ダイ・ハード ――*17
龍王ヤマタノオロチが再び吠え猛る。
――ヒデトたちの防御力と命中率が一段階上昇する! これで元通り!
≪奴の手先か。油断なさらず!≫
―― ラク・カジャ ――*18
幻魔ハヌマーンが手慣れた仕草で防護の結界を張る。
――ヒデトたちの防御力が一段階上昇する! これで元通り!
≪ちっ≫
破壊神セイテンタイセイが音も立てずに、ある方角へと走り出す。
―― メディアハン ――*19
「これで立て直し!」
ロザンナが回復の魔法を行う。
傷が塞がり、なによりも体力が戻る。踏みしめる全員の足に力が宿る。
「CALL」
―SUMMON――
| 種族 | 降天使 | デカラビア | LV46*20属性 NEUTRAL-CHAOS |
| 相性耐性 | 属性攻撃に強い 破魔・呪殺・神経無効 魔力反射 |
≪我は天を見限り、魔界へと降り立ったデカラビア以下省略! 怖いのでテトラカーン!≫
星型の堕天使が、魔神トートの穴を埋めるように召喚される。
| テトラカーン | 結界系魔法 | 物理攻撃を跳ね返す魔法をひとりに作る |
物理反射の結界を、デカラビアが纏う。
そして、
(見事。本来の私ならば手も足も出ないであろう)
あの魔神トートの物理結界の見事さだ。
本来ならば10秒として消え去るはずの反射結界を死してもなお味方に残して散った。
だが残念ながら今のマタドールにそれの意味はない。
ある時を境に魔人たる自分に与えられた
そして与えられた使命感。
極東外に蔓延る転生者を殺せ、■殺しを消せ。
万物に等しく凶事を与える魔人を傀儡にするかのような啓示。
――我が記録に残るあの美しき救世主が消し去られた時のように。
――我が記録に残るあの修羅たる人でも悪魔でもなき少年が大天使に屠られた時のように。
――我が記録に残る堕天使の主が、■魔王へと置換された時のように。
それに自らと相争っていた四騎士共はあっという間に狂い、辛うじて逆らえているのは黙示録に関わりのない【だいそうじょう】や【ヘルズエンジェル】、そして【獣の女帝】ぐらいだろう。
屈辱ではある。
だがしかし、それでも力には間違いはない。
今の自分の全霊を振るうことこそが、決闘者への礼儀。
(全てを殺し、鍛え上げ、気に入らぬものを消し去ればよいのだ!)
―― 挑発 ――
| 挑発 | 特殊特技 | 敵全体に『タルカジャ』2回分および『ラク・ンダ』2回分の効果*21 |
マタドールの眼光が、強者のソウルを活性化させる。
それは先程の威嚇とはまさに正反対に。
―― 赤のカポーテ ――
そして、再びマタドールは最大速度を得る。
| 赤のカポーテ | 特殊補助 | マタドール専用スキル。自身の命中・回避を |
「永遠に踊ろうか! この素晴らしき闘争を!」
「アンティクトン」
無が生まれた。
世界が再び反転する、大地が反転し、その防備が下がったヒデトたちを選別するかのように飲み込んで。
「力に溺れたな、闘争の魔人」
その虚無が、星型の堕天使に。
「なにっ!?」
マタドールは己の、与えられた力に――打ち据えられた。
ヒデトたちと同じく、いやそれ以上の勢いで吹き飛び、地面に転がり叩きつけられる。
大破壊から残された人々が抵抗を続けた果ての、
天に逆らいし聖王が洪水に呑まれる前の時代を知らない。
彼らは、その先の、絶望だけの世界を進んだことを知らぬがゆえに。
「が、あ」
下がった力はもはや下がる余地はない。
速度は僅かに下がったが、それだけ。
ただ防護が僅かに弱まった、その軋みに失策を理解する。
自分のあまりの醜態に、顔から火が出そうだ。
「くっ」
そして。
跳ね上がるように起きて見た。
――視線の先にて、砕け散る光を。
――そして、その先で立ち上がる3つの人影を。
一人のシキガミが立っていた。
赤く輝く髪をなびかせて、半ば千切れたドレスを纏いながら手を打ち鳴らしていた。
もはや泣くことを止めた少女だった。
\カカカッ/
| 種族 | 完全造魔 | バー・バンシー | LV52 | 属性NATURAL-NEUTRAL |
一匹のシキガミが立っていた。
灰色の毛並みをなびかせて、片目から血を流しながらも、唸る番犬だった。
もはや負けぬと誓う守護者だった。
\カカカッ/
| 種族 | 獣型造魔 | カヴォス | LV57 | 属性NATURAL-NEUTRAL |
一人の少女が立っていた。
その手に英雄から託された美しき巨剣を握りしめて、涙の跡を残しながらも前を見る。
冠をかなぐり捨てたただの少女だった。
\カカカッ/
| 種族 | 導師 | アルトリア・エヴァンス | LV60 | 属性NATURAL-Good |
「「「我ら三名、ここより決闘に乱入させてもらう。よいですか!?」」」
「力を貸して欲しい、俺たちだけでは勝てない」
「「「承知!!」」」
リカームドラにて蘇生され、覚醒を果たしたものたちが参戦を開始した。
リカームドラ※IMAGINE
死亡した者の身体に作用し、蘇生を施す魔法。
使用者は死亡するが、対象と、その周囲の味方に対して、最大HPの40%を現在HPとして、復活させる。
基本的に死亡者、瀕死者を復活させる効果はない(DDSAT1・2 ペルソナ2を除く)
導師の覚醒条件リスト
・PC本人の死亡
・PTの全滅
・内面への旅における自己との暗い面との対決
・悪魔との合体
・転生の神との出会い