京浜第3シェルターのアイツ 作:FD一枚ケルベロス
\カカカッ/
| 種族 | 完全造魔 | バーヴァンシー | LV52 | 属性NATURAL-NEUTRAL |
彼女たちが目を覚ましたのは、アンティクトンの吹き荒れる嵐の中。
\カカカッ/
| 種族 | 獣型造魔 | カヴォス | LV57 | 属性NATURAL-NEUTRAL |
食いしばり、彼女たちを庇った英傑ヘラクレスの壁の下で。
\カカカッ/
| 種族 | 導師 | アルトリア・エヴァンス | LV60 | 属性NATURAL-Good |
自分たちを蘇生するために砕け散った
だからここにいる。
一人のシキガミ、一体のシキガミ、一人の少女が。
それに加わるのは。
\カカカッ/
| 種族 | 魔女 | ロザンナ | LV62 | 属性NEUTRAL-CHAOS |
| 相性耐性 | 火炎に強い 電撃吸収 衝撃耐性 破魔・呪殺無効 |
| 攻撃力1段階上昇・防御3段階低下 |
「この一戦でケリをつけるわよ!」
\カカカッ/
| 種族 | 悪魔使い | ヒデト | LV59 | 属性NEUTRAL-GOOD |
| 相性耐性 | 全体的に強く 銃撃・破魔・呪殺無効 |
| 攻撃力1段階上昇・防御3段階低下 |
「全員の力が必要だ!」
\カカカッ/
| 種族 | 降天使 | デカラビア | LV46*1属性 NEUTRAL-CHAOS |
| 相性耐性 | 属性攻撃に強い 破魔・呪殺・神経無効 魔力反射 |
| 攻撃力2段階上昇・防御2段階低下 |
「我の輝きが光って唸るぞぉおお!」
二人の人間と一人の仲魔。生き残っていた二体の悪魔は自主的に送還され、あるいは倒れたまま動けないデモニカの男を拾い上げて跳び下がり、戦いやすい布陣に最適化される
最適化された数は合計六名。
人間が、悪魔が、その使い手たちが、強大なる悪魔に挑む陣形。
「ハーハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
その布陣に、衣装が傷つき、ひび割れた骨も剥き出しにした闘牛士が吠えた。
歓喜の、誉れ高き挑まれるものとしての声を。
「この剣とカポーテに賭け、今宵もまた勝利を誓わん!」
| 種族 | 魔人 | マタドール | LV87 | 属性NEUTRAL-CHAOS |
| 相性耐性 | 氷結反射 物理・銃・破魔・呪殺耐性 即死無効 |
| 攻撃力 |
\カカカッ/
魔人マタドールが現れた。
「いきますぞ!」
「いくわ!」
「やります!」
誓いを掲げる魔人への報復に、カヴォスが、バーヴァンシーが、アルトリアが踏み出す。
もはや恐れはない。覚醒の全能感が恐怖を相殺する。
選択する。
カヴォス――デカジャの石*2
バーヴァンシー――パッシブのスクカジャ・オートから、メディラマを。
アルトリア――攻撃魔法を。
『三名待機!』
発動する寸前で鋭い声が割り込んだ。
シキガミの機能に、アルトリアに貸し与えられていた通信機からの四条翔の声。
ヒデトの悪魔に支えられて、仲介機として役割を準ずることを決めた。
『ここからは俺が仲介し、ヒデトが指揮する!』
「はぁ!?」
『隊列をセットする』
バーヴァンシーの絶句を、無視する有無を言わせない知人の言葉に、淡々とした青年の言葉が引き継ぐ。
| ヒデト | ① |
| ロザンナ | ② |
| デカラビア | ③ |
| カヴォス | ④ |
| バーヴァンシー | ⑤ |
| アルトリア | ⑥ |
同時に視界に表示される映像は、彼のデモニカスーツによるテクノロジー。
「なんだ?」
マタドールにはそれはわからない。
だが震え上がる戦慄が、かつて己と直面した
此処から先が本当の戦いなのだと。
そして、瞬くよりも早く始まった。
「デカジャの石」
―― デカジャの石 ――*3
銀腕の男が、マタドールの強化を剥がす石を放つ。
マタドールの命中・回避力が元に戻った!
「メディアハン!」
―― メディアハン ――*4
金髪の魔女が、全員の傷を癒やす魔界魔法を発動する。
全員の傷が全回復した!
「テ・ト・ラ・カーン!」
―― テトラカーン ――*5
降天使が、またもや自らの物理弱点*6を防ぐ物理反射の結界を展開する。
デカラビアが無属性反射状態になった!
『フォッグブレス』
「BOW!!」
| フォッグブレス | 補助特技 | 敵全体の回避率と命中率を2段階ダウン |
最初に放たれたスモークノイズと同じくカヴォスが息を吐く。
マタドールの命中・回避が二段階低下した!
「よし」
『バンシーはタルカジャを発動』
「はぁ゛!? わかったよ!!」
| タルカジャ | 補助魔法 | 味方全体の攻撃力を一段階上昇*8 |
言われるがままに
アルトリアたちが攻撃力一段階上昇!
ヒデトたちが攻撃力三段階上昇!
デカラビアの攻撃力が最大段階まで上昇した!
「風よ!」
| 旋風陣? | 魔法攻撃 | 敵全体に耐性を無視した風属性の魔法攻撃で特大ダメージを与える |
「ッ」
その風に纏う衣を破られ、骨の亀裂を深めながらもマタドールは訝しんだ。
(これは衝撃、いや疾風? 違う)
先程はたわいもなく避けた旋風陣*9も威力だけは侮れないものがあった。
だがこの風は違う。
なにかもっと輝けるような――
「は」
マタドールが踏み出す。
自らを引き裂かんとする逆風を逆に引き裂いて。
「はーハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
嗚呼、素晴らしきかな人間!
輝ける可能性の塊よ!
「もっとだ! 魅せてくれ!! もっと!!」
私という
そして。
「その果てに、奪い取る勝利の喝采こそ誉れよ!!」
―― 赤のカポーテ ――
翡緑を引き裂き、赤き衣が翻る。
| 赤のカポーテ | 特殊補助 | マタドール専用スキル。自身の命中・回避を |
音より速く、風より速く、加速する。
選び取る選択は無数にあれども、マタドールが選んだ手は二手。
―― 挑発 ――
| 挑発 | 特殊特技 | 敵全体に『タルカジャ』2回分および『ラク・ンダ』2回分の効果*10 |
――ヒデトたちの
――アルトリアたちの防御力が二段階低下する!
裂帛の歓喜を持って、立ちはだかる戦士たちを強化/弱体化する!
「戦士たちよ!」
マタドールは剣を振り上げ、
「選抜の時だ」
振り下ろす。
叩きつけるは幾度の激突にてもはや破壊され尽くしたイギリスの首都。
「
もはや救うこと無き唯一神に祈っていた宗教の国が反転する。
地球の、星の重力が反転する。
至高の高みから、約束された破滅を導く神の力。
| アンティクトン | 万能魔法 | 敵全体に万能属性で特大ダメージ。攻撃力・防御力・命中・回避率を一段階低下させる。 |
先ほどの失態とは違う。
デカラビアに反射されることも覚悟しての発動。
気に入らぬ力だが、勝つために、倒すために、あらゆる手段を尽くすのは当然。
目に映る色彩すらも剥がれ落ちる万能の波動が、弱体化した戦士たちを飲み込み――
誰も死なずに耐えきった。
「――――――なにっ?」
昂ぶり高まった熱情に、冷水をぶつけられたような驚愕だった。
デカラビアから反射されたダメージに、左腕が吹き飛んだことも忘れる驚愕。
計算が合わない。
挑発は確かに通じた。
防御力は最大まで低下させた、こちらの攻撃力は弱体化させられていたが、
ヤマタノオロチの威嚇を通じてから最大の
奴からねじ込まれたアンティクトン、その威力は気に入らぬがまるで弱まる気配もなく使えた。
だからこその選択。
だというのに。
「デカジャの石」
―― デカジャの石 ――
マタドールの強化を解除された!
「メディアハン」
―― メディアハン ――
ヒデトたち全員の傷が全回復した!
「三度でトライで、テトラカーン!」
―― テトラカーン ――
デカラビアが無属性反射状態になった!
「BOWxoooOOO!!」
―― フォッグブレス ――
マタドールの命中・回避が二段階低下した!
「解除するぜ!」
―― デクンダの石 ――*11
ヒデトたちの能力弱体が解除された!
「吹き飛べぇ!!」
―― ■緑の大渦 ――
マタドールの全身を、輝ける烈風が切り裂く!
傷は深く、剣を握る指が数本千切れ飛び、身を持って庇うカポーテすらも千切れ出した。
―― 赤のカポーテ ――
同じような繰り返し。
―― 挑発 ――
同じ動きだが、気づく。
―― 冥界破 ――
(そうか)
誰も死なずに耐えきった。
勝ったと、ヒデトは確信した。
負けたと、マタドールは確信した。
二
――――お互いのみだった。
(勝利するルートは描けた)
ヒデトは計算する。
血しぶきに塗れながら、マタドールの目にも見えない刃に、腸を割かれながらも、心臓と首と頭蓋だけは庇い、凌ぎながら動く。
(敗北は必死、貫かれれば負けるのみ)
マタドールは看破した。
聖剣をただの盾として振るい、急所だけは凌ぎ避けるヒデトと、その後ろで必死に魔法を、アイテムを使う魔女や悪魔たちを、前を見ながら巨剣を振るって風を放つ少女を見ながら。
(ここからはミスは出来ない)
お互いのダメージを、ヒデトはメタボリズムチェッカー*12で観測する。
お互いの強化を、弱体化を、動き、抗いながらも、意識し続ける。
丁寧になぞり、最後の一手までミスらないように指揮しながら、走り続けろと力を込める。
まだ全てが見えたわけじゃない、目の前の敵は強敵だ、全てを暴き切るまで、倒し切るまで走り続けろ。
(ここからもミスは期待出来まい)
お互いのダメージを、マタドールは燃え盛る眼科の炎で照らす。
お互いの強化を、弱体化を、動き、抗いながらも、意識し続ける。
敗北は必着だ。
大きなミスは目の前の戦士には望めまい、見ろこのギラギラと決して逸らさぬ戦士の眼光を、ここまでも届くソウルの輝きを。
目の前の男は、率いる戦士たちは、我を打ち倒さんと足を止めることはあるまい。
(倒す)
息の根が止まるまで、走れ。
小さなミスは起こすだろう、だから全てを拾いながら辿り着け。
(倒す)
我が魂魄が砕けるまで、挑め。
小さなミスも起こさんだろう、それでも刻み続けろ。
互いに踏み込む。
互いに行動を繰り返す。
互いに定められた演技のように、舞い踊り、剣を、殺意を応酬する。
それはまるでワルツのようで――
なんなんだこの戦いは。
「タルカジャぁ!!」
強化魔法を命じられるままに発動しながら、
(なんだよ、こいつの戦い方は!)
バーヴァンシーはモルガンと共に日本から始まり、このイギリスでも何度も戦いに参加してきた。
道具を使う、魔法を使う、特技を使う、魔法を使う、スキルを使う。
どれも当たり前のことだ。
ろくに魔法も使えない現地人のざぁこと違って、転生者とそれに従うシキガミの戦い方を知っている。
イギリスに来てからは露払いには使えるデモニカ部隊とも戦ったり、惚れ惚れするような才能と聖剣を振るう
だけど、こんな戦いは知らない。
―― デカジャの石 ――
―― メディアハン ――
―― テトラカーン ――
―― フォッグブレス ――
―― タルカジャ ――
―― 翠■の大渦 ――
―― 赤のカポーテ ――
―― 挑発 ――
―― アンティクトン ――
―― デカジャの石 ――
―― メディアハン ――
―― テトラカーン ――
―― フォッグブレス ――
―― デクンダの石 ――
―― 翠緑の■渦 ――
―― 赤のカポーテ ――
―― 挑発 ――
―― ソウルドレイン ――
激しく動き回る戦いの中で使われた確かな挙動といえばこれだけ。
そして、今もまたタルカジャを使い、アルトリアが魔法攻撃を放つ。
バーヴァンシーは
彼女には流れの意味がわからなかった。
六体いて、五人が必死に道具に魔法にスキルを使って耐え凌ぎ、アルトリアだけが反撃してる。
これをマタドールがたったの二手で切り返し、こちらが半壊するような理不尽な攻撃を打ち込んでくる。
ガイア連合の誰が見たって、シキガミが見たって何らかの手を打たないと勝てない。
日本人曰く、ジリー・プアー*13
むしろもう負け寸前だ。
だというのに。
「指示通り動きなさい、このままやれば勝てる!」
必死に考えて、使えるスキルを練ろうとした途端にロザンナがあたしの尻を叩いた。
カヴォスも同じような度に、デカラビアに注意されている。
いつ崩れるかもわからない負け戦の動きに、今更引き返せない。
私の
―― デカジャの石 ――
―― メディアハン ――
―― テトラカーン ――
―― フォッグブレス ――
―― スクカジャ ――
―― 翠緑の大■ ――
―― 赤のカポーテ ――
―― 挑発 ――
―― アンティクトン ――
―― デカジャの石 ――
―― メディアハン ――
―― テトラカーン ――
―― フォッグブレス ――
―― デクンダの石 ――
―― 翠緑の大■ ――
―― 挑発 ――
―― 冥界破 ―― MISS!
なんか生きてる! 本当に運だけだが、たまたまマタドールの攻撃を避けた。
奴が初めてたたらを踏んだ。
「反撃だ!」
返す刃でトドメを刺せる!
バーヴァンシーは、カヴォスはそう踏み出そうとして。
「デクンダの石」
―― デクンダの石 ――
味方全員の弱体が解除された!
「メディアハン」
―― メディアハン ――
ヒデトたち全員の傷が全回復した!
「まぐねたいとぉおおおくれえええ! テトラカーン」
―― テトラカーン ――
デカラビアが無属性反射状態になった!
『MP全体回復』
「わう!?」
―― 魔法ビン ――*14
『アルトリアにチャクラポッド』
「ええっ?!」
―― チャクラポット ――*15
『撃ち続けろ』
「りょぉかぁああああああい!!!!」
―― 翠緑の大渦 ――
全回復したアルトリアの風が、マタドールに直撃した。
たった一発だけ反撃。
同じようにしてだけの。
わ け が わ か ら な い。
最大のチャンスを逃した動きに、バーヴァンシーは理解できなかった。
誰が見たって、あそこは総攻撃するべきだった。
だというのにほとんど同じパターンの強制。
(負けたいのかよ!)
戦ってる最中でなければ叫び出したい気分だった。
「か、は! AHAHAHAHA!」
アルトリアの風に吹き飛ばされたマタドールが、もはや原型を留めていないカポーテを翻し。
―― 赤のカポーテ ――
「HAHAHAHAHAHAHA!!」
笑い、叫ぶ。
―― 挑発 ――
「それでこそ!! 人の、我らの敵である!!!」
たった二手、同じ二手を重ねて、
「
マタドールの最大にして最後の最強魔法が広がった。
「まったく……不条理だな」
射程距離から離れたビルの影。
そこで血に濡れて火も付かない葉巻を四条翔は咥えた。
世界の色彩が剥がれ落ちる神の裁きとしか言いようがない光景を見て、彼はくくっと笑う。
デモニカスーツはもはや自動で通信の仲介を行っている。
あとはこれさえ維持すれば目的は達成される。
だから安全圏に移動していた。
そんな彼の視界に影が差した。
「何が起きて、いる」
上げたバイザーから見上げた先にいたのは血の染み付いた装束の美女と、もはや残骸と化し意味のない甲冑を纏った美男子。
「起きたか」
アルトリアたちが挑み、マタドールに蹂躙されるまでの間、ヒデトたちが現れなかったのは出待ちをしていたわけじゃない。
その前の戦闘で上がった爆風と電光に、救援に戻ってきたヒデトたちが爆心地に急行し、そこに倒れていた二人に蘇生処置を施していからだ。
「四条、あれはなんだ?」
蘇生魔法だけをかけて目を覚ますまで時間がかかったのだろう転生者――モルガン・エヴァンスは、見える光景を信じられないとばかりに汗を拭った。
彼女の視界に映るのは己が二人の愛娘と愛犬たちが、異邦の戦士たちと共に戦う姿。
自分たちがありったけの戦力を注ぎ込んでもなお勝ちきれなかった魔人に、膠着……膠着でいいのか?
見た目だけならジリ貧の、絶望しか待ち構えていない戦場のはずだ。
しかし、あの繰り返す行動は、戦い方はなにか見覚えがあるような気がする。
(グランドクソ野郎とアステリきゅんでやっていたような。あとマシュは第一部に限る)
脳内に浮かぶ前世の
「メガテンバトルだ……」
「アーサー?」
横から発せられた言葉に回想を打ち切る。
横目で見る夫は、信じられないものを見た顔をしていた。
「嘘だろ、リアルで出来るのかよ。IMAGINEじゃないんだぞ」
「どういうことだ、アーサー。あれがなにか知ってるのか」
高レベル故の人外じみた視力で、王と王妃は戦いを見つめている。
二人の視界に映るのは
繰り返す、同じ手順を。
繰り返さない、僅かな微修正を加えて。
繰り返す、同じ膠着になるように。
モルガンが理解したのは二度目のアンティクトン……ソウルドレインから、次にマタドールが放ったあとの攻防からだった。
「は??」
まさか、と息を呑む。
まさか、と疑う声を漏らす。
いや、もっと早く理解するべきだった。
彼女が愛する娘たちは……自分よりも一回りも下のレベルの子たちが、戦えている時点で理解してもおかしくなかった。
出来なかったのは、理解をしたくなかっただけ。
誰が信じるか。
「
口にして。
モルガンは馬鹿としか思えない言葉だと思った。
「
だが、アーサーは肯定した。
目に映る戦いから目を逸らさないまま。
「ふざけないでください!! これは、この世界はリアルなんですよ!?」
信じられるわけがなかった。
「ゲームじゃないんです! スマホで、タップで、ポチポチ選んで動くわけじゃない! みんな生きてるし、みんな動いて、行動しあってる! 出来るわけがない!!」
ゲームじゃないのだ。
現実で、この前世とは違う
少し鍛えれば、悪魔だろうが、人間だろうがひねりつぶせる。
少し唱えれば、悪魔だろうが、人間だろうが、魔法で消し飛ぶ。
誰もが足を舐めて、神を名乗る悪魔共がせせら笑い、
軽く頭を振る。
常ならば娘たちが、楽しげに梳いてくれる銀糸の如き髪は血と埃で汚れていて悲しかった。
「出来るわけがない」
繰り返す。
現実を教えるように、モルガンは言った。
「私たちにすら出来なかったんだ」
正確に言えばそんな必要すらない。
転生者の格は次元が違う。同じレベルにあらず、悪魔との戦いでも必要がない。
いや必要がなかったというべきか。
転生者たちの中でも経験を積んでいるほうの自分たちでさえも、あんな戦い方は考えたことすらもなかった。
あんな複雑な戦いなんてリアルじゃない。
現実感がない、殴って、魔法を使って、スキルを使って、適当に覚醒して、工夫なんて考えた事があるやつが何人いるか。
敢えて上げるなら虫姫や、白夜叉、幼女ネキぐらいか。
虫姫ならばたった五体程度しか制御出来ない元祖版悪魔召喚プログラムを、遥かに凌駕する使役も精度もある。
白夜叉ならば聖剣を使わねば複数回数の斬撃も出せない、ただのデジタルサマナーの男よりも優れたスキルも剣腕もある。
特に私たちのレベルすらも超えている幼女ネキならば、あのヒデトという男とパートナーも優に上回っているだろう。
もしも戦うことになれば軽く粉砕してしまうに違いない。
(私たち以外にはツナか、あとはアメリカにいる狩人くらいか?)
日本本土にいる霊視を始めとした黒札筆頭たちを除いた歴戦の転生者を想起する。
それぐらいには上回る者たちがいる。
そもそも彼らの限界レベルは84だと聞いている、まだまだこちらも到達していないが鍛えていけば超えられるだろう。
彼らよりも強く成れるし、追いつかれるわけがないのだ。
こちらのほうが強い、こちらのほうが圧倒的に上だ。
だから。
だから?
だから、なんだ?
(何を言い訳してるんだ、私は)
自覚する。
自分の考えがおかしいことをモルガンは自覚した。
(私は、言い訳をしている)
まるで目を逸らしたいように、いいや目を逸らしている。
私は嫉妬しているのか。
いいや、そんなものじゃない。
私は――
(怯えている?)
(――くだらん言い訳をするな!!!)
私たちが勝てなかった魔人相手に、戦局を拮抗させているのが彼らだ。
レベルが20以上も上の格上の、悪魔の中でも規格外の魔人相手に。
なおも言い訳をこなそうとした本能を、モルガンは己が意志力でねじ伏せる。
――この瞬間、彼女は己が罪業を凌駕した――
このことをまだ彼女は自覚をしていない。
そして。
「ああ、そうだ」
夫は愛する妻の言葉にゆっくりと返事を返した。
「これを、僕たちは
熱を帯びた瞳を浮かべたまま。
今にも駆け出そうと、娘を助けにいこうと震え上がる自分の全身を、意思だけで押し留めて。
「よく見るんだ、モルガン。あれこそが」
その全てを見届けると睨みつけている。
噛み締めすぎて、歯がひび割れさせながら、アーサーは見ている。
「これが、これこそが、彼の――悪魔に立ち向かう人の戦い方だ」
何もかも拾い上げて、これからのために、決して邪魔にならないために、娘を信じる親として。
「メガテンというクソッタレな残酷に立ち向かうヒーローがあそこにいる!」
僕らは、彼らのように強くならねばならない。
アーサー・エヴァンスは魂で理解した。
かつて愛した
幻想の
ヒーローと共に戦う娘の光を信じて、アーサーとモルガンは手を握り合う。
そんな光景に、四条は肩をすくめてバイザーを降ろした。
招かれた異邦人たる三人が見つめる戦場。
その決着はまもなく――
人型シキガミなら誰でも使える程度の価値を、アーサー・エヴァンスは決して譲らなかった
グレイマルキン(A)※FGO
イングランドに伝わる魔女の足跡、猫の妖精の名を冠したFateのスキルを再現したもの。
モルガンとしてはさらに上位スキルを習得させようとしたが今だ叶っていない。
原作ではAランクなのに、元の持ち主は一日で世界を一周する程の速度を持つというがどれほどの速度を? と首を傾げた。
この上位スキルは魔獣 ネコマタがレベルアップで習得する
SWORDのペルソナ<アーサー>が所持する
アームターミナルの戦術支援システムの一環として、装備者の体調を分析、警告を発するシステム
付随のセンサーを装着させると。装備者以外の簡単な病状もチェック出来る
付近の友好的なアイテムもチェッカーの管理化に適応可能
戦闘中の味方ステータスの常時把握などに活用出来る
竜の炉心(B)※Fate
イングランド、すなわちブリテン島の赤き竜の因子を引く人身竜心の炉心としてのスキル
かつてアーサー王は卑王ヴォーティガーンを討ち果たしたが、それが竜の血を飲み干し姿を変えた怪物というのはFateという創作でのエピソードである
故に父アーサーと母モルガンの二人は、シキガミなどでのFate再現でもなければスキルとしてアルトリアに宿るわけがないと常識的に判断していた
だがしかし、かつてアーサー王のモデルでもあった名もなき英雄が、その手で滅びたる化身であるドラゴンを討ったとは知らなかった
メシア様に 悪魔が 取りついてしまうなんて