京浜第3シェルターのアイツ 作:FD一枚ケルベロス
おまたせしました
今回は掲示板と日本サイド二つです
★国際情報交換スレ 41スレ目
46:名無しの転生者
んもぉおおお~~!
48:名無しの転生者
最近荒れ狂い過ぎておりませんでして?!
50:名無しの転生者
終末はまだ先ってほんとぉ?
もう世界終わりそうじゃない? 終わってない?
51:名無しの転生者
いいからもう散体しろ!
52:名無しの転生者
ぬわらば!
53:名無しの転生者
サヨナラ!
54:名無しの転生者
世代が分かれる反応だなぁ、おい!
55:名無しの転生者
やめないか! 転生者でも時代が違う事実を突きつけるのは!?
56:名無しの転生者
最近、赤いガンダムに乗ってるのがシャアだよね?
とかサザビーみてほざいてるやついるんだけど、ギレンの野望アニメ化したの?
58:名無しの転生者
しらそれ怖
59:名無しの転生者
がんだあああああああむ!
61:名無しの転生者
国の話を、しろ!
63:名無しの転生者
しかし、ガンダムは世界共通でございやして
65:名無しの転生者
世界のトミノですからね
66:名無しの転生者
でも覚醒してないと駄目だから
68:名無しの転生者
現地人だしなあ
70:名無しの転生者
エジプト地獄だなぁ
71:名無しの転生者
急な温度変化
覚醒してなかったら風邪引いてたわ
72:名無しの転生者
誉れ高いよ
メシアンもついに息切れかぁ?
73:名無しの転生者
エジプト神共程度に返り討ちにあうとかwwww
75:名無しの転生者
いやあでもセトなんて頭おかしいの出たらしょうがないだろ
77:名無しの転生者
セトって強いん?
メガテンみりしら
79:名無しの転生者
なんか聞いたことがあるレベル
81:名無しの転生者
メガテン系後半だと出てくるんちょっと強い悪魔だったはず?
種族は邪神とかそういうの
82:名無しの転生者
あー後半かぁ
じゃあ勝てねえわな ここの連中クソ雑魚だし
83:名無しの転生者
レベル30程度で頂点扱いだもんな~
まあ俺らもそれ以上開けるのマジ人外だから助かるけど
84:名無しの転生者
メガテンやったことがある記憶がうろおぼえのわいでも
まじでお前らそんな偉そうな立場だっけ? なクソ雑魚が
わきゃわきゃしてて草生えてんよw
86:名無しの転生者
お前らセトさんをばかにするなよ!
昔のメガテンだとボス張ったこともあるんだぞ!
87:名無しの転生者
いつ?
89:名無しの転生者
確か真2とか、真3とか?
中ボスだった気がする
91:名無しの転生者
ざっこwww
92:名無しの転生者
どこぞのメガテン主人公様よりは新しいやろ!
そういえばあいつまだ生きてんだっけ?
94:名無しの転生者
生きてる生きてる
確かイギリスで活動してるって聞いたわ
95:名無しの転生者
あいつの戦い動画でみたけど
まじしょっぱいバトルだったわ
96:名無しの転生者
魔人は強かっただろ! いい加減にしろ!
97:名無しの転生者
削られて負けてましたねえ
可哀想に残り瀕死なのをゴリゴリ
98:名無しの転生者
所詮悪魔やし 所詮魔人の中の雑魚よ
あんな泥試合で負けるとか
100:名無しの転生者
現地人らしくていいんじゃない?
ぶっちゃけメガテンヒーローだからやばいスキル連打されると思ってたわ
101:名無しの転生者
魔法も見かけたことあるやつばっかだしな
カジャ系とか連打でとか、おーかわいいでちゅねー て感じ
103:名無しの転生者
我らが黒札の敵ではないわぁ!
104:名無しの転生者
お前のじゃねえし 俺のだし
106:名無しの転生者
黒札くんだったら俺の横で寝てるよ
108:名無しの転生者
ひっくり返してターンエンド
110:名無しの転生者
マタドールがあれぐらいってことはトランペッターもあんまり強くなかったとか?
現地で戦ってる転生者っていないっしょ
112:名無しの転生者
わからん
というかアホみたいな被害受けてるの現地人共だから正直測りにならねえんだよな
114:名無しの転生者
蹴り飛ばされる砂のお城だしな
俺らなら楽勝でも、あっちだとうわーもうだめだーって感じだし
115:名無しの転生者
根性なさすぎぃ
117:名無しの転生者
根性じゃなくて才能がないのが問題だから
大問題だ
119:名無しの転生者
どうして弱いの現地人
現地人だからかぁ
120:名無しの転生者
転生してねえやつはこれだから!
121:名無しの転生者
はいはい、そういうのは愚痴スレにGO
モルモット君でうっぷん晴らしなら悪い子スレでおねしゃす
123:名無しの転生者
・・・モルモット?
125:名無しの転生者
知らんほうがいいこともある
実際魔人の強さどうなのよ
126:名無しの転生者
マタドールぐらしか詳細な戦闘データねえしなあ
あれは一般おれらにはドラゴンボール戦闘だったけど
127:名無しの転生者
コメント付きで見ると捗るよ
まじでメガテン主人公くん、才能ないっすねww ってなるから
129:名無しの転生者
K・S・Jのコメントわかりやすかったよね
マタドールの三分の一ぐらいしか動けないし、追いついてないって
130:名無しの転生者
無限再生ドミニオンくん相手に圧勝したK・S・Jくん見習って。
132:名無しの転生者
修羅勢なら相手が動いてる間に、動き合わせるぐらいふつうだしふつうだし~
134:名無しの転生者
殴られながら必死に生きててえらい?
135:名無しの転生者
毎度殴られては立ち上がって、子ども一人に反撃してもらっていてだっさ!
大人としてのプライドないの?
137:名無しの転生者
よさぬか、一応式神もおるんやで
おれらは誰もいねえけどな!
139:名無しの転生者
はかない
141:名無しの転生者
みにくい
142:名無しの転生者
よわい
143:名無しの転生者
はあ~~
こんなのが通じるなんて国外もたいしたことないっすねえ
144:名無しの転生者
ならでろよ
まじでこいよ
人手足りないんだが??
145:名無しの転生者
いやどす! いやどす!
うちには守るべき家とシェルターと家族が!
147:名無しの転生者
式神ちゃんが離してくれないんだ
148:名無しの転生者
たまに遠出して戦おうと思うんだけど、付き合いのあるシスターが駄目です!
って涙目で引き止めてくるんでどうしても、ね
149:名無しの転生者
それメシアンじゃない?
151:名無しの転生者
穏健派だから・・・
152:名無しの転生者
穏健派ならまあええか
154:名無しの転生者
いいのか?
いいかな
155:名無しの転生者
そういえばトランペッター撃退されちゃったけど
穏健派はどうなってんだ? わーわーいってない?
156:>>151
穏健派だし、海外だから別にいいわー
他所様だから別に問題ありません! みたいにいってた
158:名無しの転生者
仲間意識ねえなー!
いや被害者面してたら何様だよとしかいえんが
159:名無しの転生者
ていうか過激派の情報伝わってるんか?
160:名無しの転生者
そういえば穏健派だろ?
エジプト辺りの情報もう伝わってるのかよ
162:名無しの転生者
あんなでかい案件、ネットもあるのにわかってないとやばくね?
164:名無しの転生者
まだ繋がってんのかぁ
165:名無しの転生者
一応交渉パイプなかったら話も出来ねえから気にすんなって
166:名無しの転生者
そういえばあの聖女様
あのメガテン主人公のことまじで嫌ってたな
168:名無しの転生者
海外に追放されてんのに?
170:名無しの転生者
あそこの幸子、うちらにはペコペコしてたのに
珍しいなー
まあ現地人だから俺らとはちがうか
171:名無しの転生者
現地人っていうけど
あいつどこからきたのよ?
172:名無しの転生者
知らん
そこらへんから勝手に湧いてきたんじゃね?
173:名無しの転生者
マイクラじゃねえんだから
174:名無しの転生者
話ずれまくるわあ
ここスレ違いなんですけど
175:名無しの転生者
すれ違いなだけに
176:名無しの転生者
草
178:名無しの転生者
座布団あげる
179:名無しの転生者
地方出張からきかーん!
PCもねえのはまじでかす!
Wi-Fiぐらいいれておけよなー!
過去ログざっとみてたんだけど、エジプトでトラペ死んだってまじ??
181:名無しの転生者
まじまじ
183:名無しの転生者
死んだかわからんけど返り討ちにあったってよ
185:名無しの転生者
どっから情報入ったん?
エジプト支部なんてあったっけ?
186:名無しの転生者
イタリア支部からじゃなかったっけ?
あっちはあっちでエジプトのマシなやつ受け入れとかやってたはずだし
188:名無しの転生者
このままエジプトくん
調子こいてメシアンと対消滅してくんねえかなあ
189:名無しの転生者
セトくんがんばえー!
191:名無しの転生者
セトくんが勝ったらどうなる?
192:名無しの転生者
勝ったほうが我々の敵になりそう
194:名無しの転生者
両方死んでくれ!
いやセトのほうがめんどくさそうだから
いい感じに削ったあと死んでくれ!
195:名無しの転生者
だけど所詮セトだしなあ
大したことねえだろ
197:名無しの転生者
トランペッターなど我々の知ってる魔人の中でも最強だったはずなのに
198:名無しの転生者
リアルだとこんなもんだったってことや
200:名無しの転生者
しかしまじで海外は激動の時代やなあ
これからどうなるんだ?
・
・
・
「はい。はい、情報収集と監視を続けてください。なにかあったらまず私に連絡を、最優先で」
メシア教団日本支部。
穏健派と言われるメシア教団の派閥、その指導者に当たる少女は忙しなく電話越しに指示を出していた。
カチンと音を立てて、今どき珍しくなってきた有線の受話器を置いて、重い息を吐く。
「……トランペッターの回収は成功。大量の生贄と引き換えに治療中ですか、治ればまた再びエジプトに攻め込むでしょうね」
過激派の、それも海外にまで展開しているメシア教団。
その内部の動きを保持しているコネクションを含めた内通者からの情報に、聖女と呼ばれるまだ幼い銀髪の少女は室内を歩き回る。
「メシア教団はもはや止まらない。負債ばかりが積み重なった十字軍が幾度にも結成されたように」
カツンカツンと足音を立てながら、円を描くように歩き回る。
「……完全に破綻するまで止まれない」
カツン、足が止まる。
「完全に破綻したら困るのです」
聖女は考える。
(過激派は出来るだけ削れて欲しい、これはガイア連合も私たち穏健派も共通している認識です。ですが、完全に消えてしまったら困るのは私たちです)
考えている。
自分たちのこれからを常に考えている。
「過激派がいなくなれば……次の吊し上げになるのは我々穏健派の”メシア教団”です」
過激派という絶対的に無視出来ない敵対勢力があり、それの緩衝材であり、それの情報源となっているのが穏健派のメシア教団。
つまり聖女たちがいる組織であった。
日本国内で、ガイア連合とそれを除く弱小の退魔組織とは名ばかりの有象無象。
戦力だけを比べるならば有象無象たちよりも抜きん出ているが、ガイア連合と比べれば大差のない弱小の現地組織。
必要ならば他のメシア組織と同じようにガイア連合に叩き潰されるだろう。
それがされていないのは穏健派が【よきメシア教徒】であり、連合にとって【都合の良いよき奴隷】だからだ。
頑張って消し飛ばすほどの理由がないし、頑張って探せば代わりはいるだろうがかなり面倒な奴隷。これを手放すのは面倒だ、だから苦痛だ、だから出来るだけ避けたい。
そう思わせるために彼女たちは努力し続けた。
信仰を伴う忠誠を捧げて、相手が望む行動を捧げて、相手が好む女や可愛らしい男も捧げてきた。
当初はかなり警戒していたガイア連合の人員たちも逸脱した霊的素養や力に比べて、勧誘に対する警戒心や技術は素人か付け焼き刃の素人同然。
キリスト教から離脱したが、その長きに渡る歴史の蓄積からの莫大なノウハウで絡め取るのは簡単だ。
式神という理想的なセックスパートナーがいて安堵している彼らは多いが、残念ながら普通の人は多情だ。
大事にするべきパートナー以外にも【別に壊してもいい肉枕】が欲しくなるのが人というもの。身を捧げ、献身的に尽くす相手を嫌いにはなれない人の弱さが彼らにはある。
いや信仰さえすれば多かれ少なけれ答えてくれるところは神を名乗る悪魔共に近い。
今はまだまだ一部だけだが、次の世代には半分以上を、その次の世代には中枢を含めた私たちの信仰が宿ることだろう。
(そのための手段も啓示されていますし)
聖女は自分の腹部を撫でた。
まだ未通の、穢れを知らぬ胎。
――いずれ救世主を宿すことになる胎を撫でて、ニコリと優しく微笑む。
約束された未来に笑みがこぼれる。
「ですが」
笑みが終わる。
厳しい目つきに切り替わり、聖女が現実を語るように言葉を続ける。
「ですが、それが崩れる可能性が出てきた」
決して滅びることの無いはずだったメシア教団の過激派。
いや穏健派を含むメシア教団の本拠地、約束の地を守護する魔人トランペッターのまさかの敗北に不安が過る。
トランペッター以外にも大天使や、教化されたメシアンたちに、転化された聖霊たちもいて、それこそ多神連合が総戦力でも結集させるか、ガイア連合の全精力を傾けるかでもしない限り落ちることはない。
アメリカの方舟さえ完成さえすれば、それさえも意味がなくなり、完全なる新世界が訪れる。
千年王国が始まる。
救世主の生まれ出ずるこの国をあえて残して、全てが浄化された世界で新しき”創世”が始まる。
そのはずだ。
そのはずだったのに。
「セト」
何故だ。
何故あの悪魔がエジプトごときに使役されている?
エジプトの悪魔ども如きもはや駆逐は必然。次なる千年王国のための礎となるはずだった。
だが生き延びた、息を吹き返すどころか、黙示録の喇叭を退けた。
それもセトを。
魔王のセトを。
ガリッ。
指を噛む。
親指を噛んで、聖女はまた歩き出す。
「セト、セト、セト……何故あれがいる、何故あれがここにこない、なんでセト……そんなのに気にかかるのです」
聖女は歩く。
カツンカツンと足音を立てながら、円を描くように歩き回る。
見えていたはずの道を見失い、迷い子のように歩き回る。
頭痛がする。
頭が痛む。
目が痛む。
息が重くなる。
ガイア連合という規格外の、どこか驚きと共に待ち望んでいたものを知ったあの時の高揚感とは裏腹。
じわじわとストレスを感じる、背筋に釘を打ち込まれているような痛み、歯ぎしりが止まらなくなる苛立ち。
あの遠き彼方から響いた稲光を聞いてから、生まれた痛みだ。
いや、正確には。
「ヒデト」
誰だ。
名前に聞き覚えはない、啓示にもない、予言にも記されていない。
ただの男。
ただの人間。
ただの変哲もなかったデビルバスター。
ただの悪魔を宿してもいない、連合の誰よりも劣る価値の存在、はずなのに。
ズキンズキンと腹部が痛む。
切り裂かれたような、貫かれたような、討たれたような痛みがあって。
「消えろ、消えろ、消えてください」
痛みに耐えかねるように祈る。
険悪のこもった祈りを捧げる。
主よ、どうか我らを救い給え。
「ああ、セト。早く、早く」
来てくれと、祈る。
何故それの名前を呼ぶのかもわからぬままに聖女は祈る。
「悪魔は消え去ることはない」
熱に魘されるように呟いた言葉を――聖女は覚えていなかった。
・
・
・
ガイア連合岩手支部。
そこに付属するジェネス……ガイア連合グループが経営する大型複合ショッピングモール。
日本人以外にも、アラブ人を始めとしたギリシャ系、トルコ系……一般的には
年齢としては若い、子ども世代が多く、平日の昼から賑わうジェネス。
その片隅、関係者しか立ち入れない区画においてVIP専用の部屋から出てきた四人の青年がいた。
彼らの後ろには付き従う美貌の令嬢、彼らの中の一人の式神。
「はぁーはぁーモンハン生活、きっつい!」
「モンハン飯*1があるだろ、がんばれ!」
「もっとこーがーって食いてえというか、環境耐性つくアイテムない!? つけめん*2とか効果あるような無いようなだしさ」
「らあめんとかビアンカとか、うなぎバーガーとか効果があるのかないのか」
「あるだろ。俺等レベルだと伸びが実感しにくいせいで」*3
従業員通路を歩きながら彼らが向かうのは、同じく従業員専用の区画。
奥深くにある支部長室と呼ばれるオフィス。
「失礼するぜ」
軽くノックをして、返事が返ってくるのと同時に入室。
支部長室の中にいたのは豊かな金髪をたたえたどことなくスチュワーデスを思わせるスーツに身を包んだ美女。
が、ガリガリと書類の山と格闘していた。
「大丈夫か、愛宕ネキ」
艦隊これくしょんの愛宕と良く似た風貌から愛宕ネキと呼ばれる美女。
愛宕ネキはこの岩手支部の支部長だった。
うず高く詰まれた
「大丈夫大丈夫、まだ三日は経過してないから……」
「寝ろ!」
「睡眠不足は覚醒で補える作用はありません」
「寝てないやつは酔っ払いと変わらないぐらい信用ならないんだぞ??」
「ダイジョブ大丈夫、これが終わったら、ゴキュゴキュ、
新たなカフェイン(しかもブラック缶)を最後の一滴まで飲み干し、片手で缶コーヒーの上からグシャリと握り潰す愛宕。
手慣れた仕草だった。
グシャリグシャリと薄っぺらい板になっていき、金属音を立ててカン・ビン分別のダストボックスに放り込まれる光景に、入室した一人が少し震えた。
(どう考えても俺のせいだよな、エジプト難民の全面的な受け入れ……)
「話をしましょう、セツニキ。お二人も座ってください」
セツニキ――セッツァーが頷き、同行していた二名もソファに腰掛ける。
式神の女性は座ること無くその側で佇むが、いつもの定位置なので誰も気にしない。
「本題から始めます。エジプトについては?」
「今回は俺も後から知った――トランペッターが墜ちたそうだな」
トランペッター。
新しめのメガテンシリーズをやっていれば知らないはずがない最高位の魔人。
あの【人修羅】を除けば、敵として最強の魔人と言えるだろう。アリス? 今のところ見かけてないから知らん。
と、少しズレた考えを浮かべながらもセッツァーは言葉を続けた。
「今回は”友人”からの情報もなかった」
「占術も、ですか?」
多神連合におけるエジプトの離反とそれに伴う切り捨て。
これらに纏わる騒動や難民問題にいち早く取り掛かったのがこの岩手支部。
その時にはセッツァーの情報網から連絡が入り、先んじて行動が出来たのだが……
「ああ。妨害をされていると考えるべきだろう」
ガイア連合の、そして長年磨き上げてきたセッツァーと肩を並べる覚醒者たちの技術は贔屓目なしで世界トップクラス。
そこらの有象無象の悪魔はもちろん、自称”神”共でさえ足元に及ばない。
エジプト神たちが離脱した時の動きも、当然遠視や占術などの妨害はされていたが造作もなく突破出来ている。
だがそれが今回通用しない。
「能力では塞がれているが、実際のカメラや現地での声までは遮断出来なかったみたいだな」
「だな。おかげでイギリス支部のほうから連絡が入ったわけだし」
「ローマのほうも監視を続けてるんだろ? 誤差としても数日あるかないかぐらいだぜ」
戦友二人の言葉に、頷くセッツァー。
「となると、人間の連絡網に疎いか」
「それも気にしないだけの余裕がエジプト神にあるか、というところですね」
「セト程度の呼び出しで随分と調子乗ってんな、あのクソ共」
「はい。それでですが……」
「発生した難民の回収だろう、まさか船に問題でもあったのか?」
ガイア連合の技術を使った高速船で、岩手支部は秘密裏にエジプトの難民を回収、岩手支部へと保護をしている。
難民発生初期から段々と回収される連中の質は、色々な意味で低下の一途だが、それを受け入れることへの長期的なメリットを踏まえて目を瞑っているのが現状だ。
無論、ガイア連合らしく色々と教育を施し、終末後のための大事な人材として教化を行っているが。
「いえ、船に問題はありません」
「というと?」
「回収は今回で終わりとなります。エジプトの人間はもう全滅寸前ですので」
『!』
室内の人間が思わず片眉を上げた。
上げなかったのは、現地の、海外の有象無象の命になど一切の興味を持たない式神のみ。
「最後の回収となりますが、今回は危険性が著しく高くなるとみています」
「信仰を失うことは痛手だろうからな」
「メシアン共から守れなかった力不足も気にせずか?」
「自分たちの手で殆ど壊滅させてるようなもんのくせにな」
「今まで何度も逃がしていた難民たちですが、それも死亡や悪魔被害に紛れて、あくまでも境界から脱した人間に絞っていました。ですが、今回は違う。クレオパトラが誘導し、保護している最後のエジプトの民を逃がすことになります。この作戦に関しては本部に関しても認証を受けました」
「本部に?」
「セト及びエジプト神の零落のためにです」
グビリと新しく開けた缶コーヒーで喉を潤し、愛宕は告げた。
「エジプトという神話を終わらせ、奴らから神の座を剥奪します」
「――まさに神殺しだな」
ヒュウと誰かが口笛を吹いた。
「なるほど、だから俺たちか」
手に拳を叩きつけ、獣じみた凶相で笑う。
「まあセトの相手ならな、
この場にいる男四人。
セッツァーことセツニキ、男鹿ニキ、蛮ニキ、誠一郎ニキの四人。
星霊神社の地下、星祭とされる下層領域の探索者であり、最下層への到達者であり。
日常ルーチンとして出現する各神話の主神及びそれに準ずる高位神たちのポップする高位分霊を狩り続けている修羅たち。
エジプト神話のセトなど、
「地上で出てきたセト程度、いつものようにぶちのめしてやるよ」
魔人には一回ぐらい挑みたかったけどなと、首を鳴らしてセッツァーは薄く笑う。
そんな彼らをみて、愛宕は頼もしく微笑んだ。
約束された勝利を信じて。
彼らは知らない。
既に世界は、邪悪なる者共は手段を、力を選ばなくなったことを。
この世界は地獄だということを思い出すことになる。
【カオ転三次】最速で出会った俺らのガイア連合活動記録
Lilyala様より
黒髪セッツァーことセツニキと関係者の皆さんをお借りしました
エジプトでの戦いをお楽しみに