京浜第3シェルターのアイツ   作:FD一枚ケルベロス

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大変遅くなりました
他の魅力的な三次創作と比べると遅筆ですが、なんとか切りがいいところまで頑張っていきたいです

悪魔の所持スキルなどはシリーズごちゃまぜです


じ゛ゃあくなあくまたちをたおしてください

 

 一人の男――少年が笑っている。

 彼はこの島国で活動する敬虔なテンプルナイトだった。

 日々誤った信仰に蒙昧な人々に正しき信仰を布教し、啓蒙する日々。

 

 盲目の羊たちは闇の中に慣れきってしまい、光の元に目を見開くことを恐れてしまっている。

 だから我々はその目を開かせ、闇の中から引き上げなければならないのです。

 多少の傷みはそれを乗り越えるための試練なのです。

 大丈夫。

 主は決して乗り越えることの出来ない試練を与えることはないのですから。

 

 ああ。

 故に私の行いに迷いはないのです。

 痛み、苦しみ、未知に否定する蒙昧なる羊たちよ、恐れることはない。

 その閉じた目を開き、正しき信仰の光を見さえすれば、その心身は救われるのです。

 だから、私は邪を払い、悪魔を退けましょう。

 一人でも多くの目を開かせるために。

 

「聖なるかな、聖なるかな! ああ、ああ、素晴らしき浄化よ、また一度この地にてご覧あれ!」

 

 そして、今、一つ聖務を実行した。

 聖句を歌い上げて、白いコート、内側に十字の紋様の施された外套を纏った少年は愉しげに笑った。

 かつて我々が封じた忌まわしき異界に、呪われた者たちが出入りしている。

 その情報を聞きつけて、彼と彼の守護天使は急行した。

 そして、今まさに天罰は下されたのだ。

 

「天使様、あれが悪魔だったのですね?」

 

≪そうですとも、我が戦士よ。あの忌まわしき気配、汚らわしい悪魔に違いありません≫

 

 なるほど、やはり間違いがないようだ。

 

(道理で教会へ助けを求めないわけだ)

 

 未知を恐れ、正しき信仰を遠巻きにする者たちは悲しいほどに多い。

 だがそれでも、自分たちの身が危なければ勇気を振り絞り、助けを求めてくれるはず。

 しかしその最後の最後まで助けを求めなかったのは何故か。

 勇気がない? 違う、邪悪だったからだ。

 光のもとへ手を伸ばせば、自らが焼き滅ぼされてしまうことを邪悪たちは知っている。

 

(とはいえ)

 

 どうやら側にいた人間も巻き込んでしまったようだが、まあ問題もない。

 天使の使う力は破魔。

 文字通り悪魔を払い、清きものたちを決して傷つけることのない慈悲深き光。

 それで死ねば悪魔、そうでなければ人である。

 単純明快にして、間違いのない結論。

 

 しかし、土煙の晴れた先の光景に、少年と天使は眉を潜めた。

 

「……愚かな」

 

 その無知蒙昧さに、思わず声が漏れた。

 

 

 

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 

 

 痛みはない。

 ただパチパチとレンジの音みたいな音がして、ギュッと閉じていた目を開いた。

 

「え」

 

 ヒデトが、少女に覆い被さるように佇んでいた。

 機械式の右手を空に掲げて、片手で彼女を抱えていた。

 

カバースキル味方一人に対する攻撃ダメージと追加効果を自分に移し変える(*1

 

「ヒデト、さん……? あれ、私生きて――」

 

「破魔は人間には無効だ(*2)。だからといって使っていいわけじゃないけどな」

 

 キュゥンと手首を捻り、腕の機能を起動(サイバネティック・アーム)させながらヒデトが少女を降ろす。

 その視線の先は少女ではなく、反対側。

 晴れた空に一点、白く滲むように浮かぶ翼を生やした異形とそれを従える白い人間。

 心臓が縮みあがった。

 

「め、メシアン!?」

 

「めしあん?」

 

「唯一神教メシア派です! まさかなんで……?!」

 

 見上げて見えたのは間違いない、天使だ。

 それも震えが走るほどに強い。

 

 

―ANALYZE――

 

種族天使パワー(妖魔シワンナ転写)LV32属性NEUTRAL-LAW

相性耐性??????

 

種族メシアンスキャナーズLV32属性NEUTRAL-LAW

相性耐性衝撃に強い、呪殺に弱い

 

 

「レベル32か」

 

「えっ」

 

 ヒデトの漏らした言葉に、少女が耳を疑った。

 

(さんじゅう、にって……オオヤマツミ様より上?! そんな、嘘)

 

「何の用だ。悪魔使いだからといって、問答無用でデュエルするのは礼儀知らずだろう」

 

 マントを羽織り、悠々とヘルムを付けながらヒデトがそういった。

 その言葉に白いコートの人間――テンプルナイトが奇妙なほどに平坦な声を上げた。

 

「すみませんが、そこをどいてもらえますか? 悪魔を討伐したいので」

 

「悪魔などいない。ここにいるのは人間だけだ。いや、そこの天使も含めるならいるが、お前の仲魔だろう」

 

「天使は悪魔ではない!!! 一緒にするナ!」

 

 金切り声を挙げて、テンプルナイトを聖書――いや、聖書型のPC? を振り上げる。

 

≪落ち着きなさい、我が戦士よ≫

 

 それをたしなめたのは横の天使だった。

 哀れなと顔に浮かぶような表情で、されども口元には確かな嘲りを浮かべて天使は告げた。

 

≪人は無知ナルもの、正しき信仰を知らない悲しみを祓うのが我らの使命デス≫

 

「祓うとはどうやって?」

 

 ヒデトは淡々と訪ねた。

 そばにいる少女から見れば息が詰まり、立っていることすらも奇跡のような上位存在に対して。

 

(凄い、ガイア連合の人ってこんな凄いの?)

 

 ヒデトを見る少女は自然と息が楽になるのを感じていた。

 頼れるもの、立ち向かえる大人、英雄への忠誠。

 それが安定を齎している。

 例えそれがかつてこの国を蹂躙し尽くし、あらゆる嘆きと絶望を敷くことになった創造神の玩具と相対することであっても。

 

≪無論。浄化です≫

 

「穢れた悪魔の血を消し尽くし、この国の拭い残った汚れを消すのです」

 

 天使とテンプルナイトは指摘するように指を指した。

 ブスブスと煙を上げて、わずかに掠めた少女の足先を。

 破魔の光にて消えかけた肉体を、おぞましいものだという目つきで見る。

 

「見なさい、そこの少女を。かのものは貴方が庇わなければ浄化の光にて消え去っていました」

 

≪そこの少女は人の姿をした悪魔です。消し去らなければなりません、悪魔と触れ合ってはいけません≫

 

「今からでも遅くありません、早くその悪魔を捨てるのです」

 

≪貴方には高潔な魂を感じます。この忌まわしき異界を滅ぼした戦士ともあれば、神の国に相応しい聖戦士となるでしょう≫

 

「どうですか? 私はメシア教徒として相応の地位についています。その歳でレベル29ともあれば相応しい待遇として迎え入れられます」

 

(勧誘? ヒデトさんを?!)

 

 あれほどの激情をしていたのに、平然とした顔で勧誘を行うテンプルナイトの振る舞いに、少女は信じられなかった。

 そして、嘲る顔から、ニコリと慈愛を思わせる微笑みへと切り替わり、ヒデトへと手を差し伸べる天使。

 気色が悪かった。

 理解が出来ない立ち振舞い。

 

 それが悪魔の行動原則。

 

 もはや失われた悪魔との交渉、対話、恫喝などの悪魔会話(トーク)

 これを理解できるものは今のこの国では多くなく。

 

「なるほど」

 

 ヒデトは。

 

「断る」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()

 少女を庇うように義手を掲げて、プラズマソードの柄を抜く。

 電子音が鳴り響き、悪魔召喚プログラムが待機状態から起動し始める。

 

≪……愚かな。すでに悪魔に誑かされていましたか≫

 

「女の体を真似た肉にて浅ましくも取り入ったのだろう。嘆かわしい、せめて脳だけでも救出出来ればよいのですが」

 

 あっさりと表情を切り替え、テンプルナイトも天使も戦闘態勢へ。

 聖書型COMPを稼働させ、嘆くような言葉を囁きながら高速詠唱による魔法を発動――

 

 

 

 

「ガブリエルとミカエルは来てないのか? 俺と交渉するつもりなら連れてくるべきだろう」

 

 

 

「――は?」

 

「え?」

 

≪??≫

 

 その言葉に少女も、テンプルナイトも、天使すらも硬直し。

 

「俺も第二位・智天使(ケルビム)以下とはほとんど出会ったこともないんだが、なるほどな」

 

 次の言葉に動揺し。

 

第五位・能天使(パワー)ならこんな感じか」

 

≪貴様、なにを戯言を。智天使が、大天使が貴様如きを知るわけがないだろう!≫

 

 

 

「俺を殺しに、Y.H.V.Hから命じられたわけじゃないのか」

 

 

「?」

 

 ヒデトが告げた単語を、少女は認識出来なかった。

 何と言ったのかすらもわからない。

 だから小首を傾げて。

 感情の全てが抜け落ちた天使とテンプルナイトを見た。

 

≪ああAAAAAAHAAAAAAAAAAAA!!!!≫

 

「!!!?!!!!!! この冒涜者がぁあああああああああああああああ!!」

 

 顔色の一切が抜け落ちた二体が発狂したかのように、否、発狂同然に咆哮を上げた。

 光が溢れる。

 狂乱した天使とテンプルナイトが襲いかかってくる。

 

 それに。

 

 

 

「コール」

 

 

 

―SUMMON――

 

 

 

 

 

 

種族地霊アトラスLV25(50)*3属性NEUTRAL-LAW

相性耐性火炎・氷結・電撃・破魔に強い 魔力にやや弱い

 

≪世界を支える我がここに、今再び立ち上がろうぞ≫

 

 

種族妖精ルサールカ*4LV24属性NEUTRAL-NEUTRAL

相性耐性爆発に弱い 火炎・電撃・凍結・衝撃・破魔に強い 呪殺無効

 

≪愛にて溺らせ、恋にて輝かせるわけでもなし。貴方たちのそれは美しくないのです≫

 

 

種族幻魔クーフーリンLV25(40)*5属性NEUTRAL-NEUTRAL

相性耐性衝撃に強い 破魔無効 弱点なし

 

≪我が槍を覚えているか! 葛葉ライドウの名を思い出させてやろうぞ!≫

 

 

 ただの一息で、仲()を四体。

 どれもが最初少女が見て驚愕するほどの力を、そしてその最後に。

 

 

種族国津神オオヤマツミ*6LV23属性LIGHT-CHAOS

相性耐性破魔・呪殺反射

 

≪唯一神の手先め! 今再びこの国を荒らさんとなれば討ち滅ぼすのみ!≫

 

「オオヤマツミ様!」

 

 

 今先程打ち崩し、荒御魂から和御魂へと荒ぶりを鎮め――ヒデトの仲魔となった国津神が降臨した。

 天地を支える巨人、洗礼を受けられずに死した少女の変じた水の精霊、夜の国にて修練を受けて伝説を残した光の御子。

 

 今はまだ存在しないはずの――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 それが邪神の策謀によって産み出された天使召喚プログラムと相対した。

 

 

 

 

 

 

 

 戦いは一息を持って情勢を決めた。

 風を突き破らん速度で神の戦士と天使が踏み込む、常人には反応すらも出来ないだろう超越の領域(LV30超過)

 

≪テトラジャ!≫

 

テトラジャ補助(天啓)魔法味方全体を破魔&呪殺属性の攻撃から守る

 

 オオヤマツミが呪殺・破魔を無効にする結界を展開する。

 

≪蹴散らす!!≫

 

≪かっきれろぉ、デスバウンド!≫

 

暴れまわり物理スキル敵グループに突撃属性の物理ダメージを与える

 

デスバウンド物理スキル敵1~2体に剣相性大ダメージ

 

 見上げんばかりの巨人が大地を粉砕する凄まじさを持って、天使とテンプルナイトの居た場所を踏み潰し。

 それを凌いで駆ける改造人間たる神の戦士を、巨人の肩から駆け飛んだ槍の英雄の魔槍が貫いた。

 

「がっぁ?!」

 

 胴体半ばから引き裂かれて血反吐を吐く。

 それを横目に飛び荒ぶ能天使が、冷酷な目で判断する。

 

≪破魔無効。破魔の雷光は通じませぬか、ならば!≫

 

 呼気を鋭く、妖魔シワンナ――米国にてネイティブアメリカ、プエブロ族に伝わる精霊。

 雲の人、精霊と死者を意味する天への導き手。すなわち()使()()()()()()()姿()

 そのスキルを転写、全てを溶かし尽くし、その邪悪なる力を封じる聖気を吐く(フォッグブレス)

 敵の編成はどれも力自慢ばかり。

 全てを透かせばおそるるに足らない。

 

 その思考を打ち破るように銃撃が轟いた。

 

≪ごぶ?!≫

 

 デザードイーグルの銃撃が、天使の腹部を正確無比に撃ち抜いていた。

 呼吸が乱れる、スキルが上手く使えない。仮初めのものであるがゆえに。

 

(あの悪魔使い!)

 

 ヒデト、人間がこしゃくなる銃を持つのは当然想定していた。

 貧弱なる無知な羊たちはどれも弱い。

 そのためメシアンでもクラリックと呼ばれる最下級の悪魔祓いたちは銃社会であるアメリカの思想を伴って、銃を基本装備としている。

 だから銃自体は驚くほどのことではない。

 これまでに密かに拉致したガイア連合の異端者も、その親類関係者を守ろうとした羊たちも持っていた。

 だがしかし。

 戦闘ヘリの転換速度にも匹敵する、風すらも追い抜く戦闘状態の天使を、当たり前のように命中させるなど。

 

()()()()()()()()()使()()()()()()

 

 踏み込み、左手に銃を持ち替えて、右手から抜いたプラズマソードで、首を掻っ切ろうと剣を振り下ろ(ギロチンカット)した刃を受け止める。

 スキャナーズの怪力を、金属の戦車すらも破壊する斬撃に、その機械式義手は軋みも上げず。

 平然と受け止めていた。

 

≪マハザン!!≫

 

マハザン衝撃魔法敵グループに衝撃相性の魔法小ダメージを与える

衝撃高揚パッシブ衝撃相性の攻撃力1.5倍

 

 轟!

 テンプルナイトが突き出した掌から爆発的な衝撃が吹き荒れた。

 山をも震わせる超自然的な鳴動。

 魔力を引き上げる改造措置に、衝撃高揚と呼ばれる特性を付与された彼のマハザンは、マハザンマの領域にすら届き得る。

 人間などザンの段階で四散、ザンマともなれば原型すらも残さずに砕け散る。

 覚醒者であろうとも手足がもげ、あるいはその衝撃と痛みから呻き、シキガミと呼ぶ悪しき霊の守護されたものたちは泣きわめくばかり。

 舞い上がった土煙の先で、ギュルギュルと音を立てて塞がりつつある腹部を気にせず、残りの悪魔をどう始末するか思考を巡らせ。

 

 

「回復」

 

≪メディア≫

 

メディア回復(祝福)魔法味方全体のHPを小回復

 

 ルサールカの呪文が美しく響き渡り、悪魔たちの傷が癒えていく。

 ――その物理スキルの代償に消費したHPが。

 ――衝撃に強い耐性のままに、少女を守った精霊の肉体が。

 ――眼前で衝撃魔法を叩き込まれ、頬肉の半分と片目が千切れ飛んで、なお平然と指示を下すヒデトの傷を。

 

「貴様、その傷で!?」

 

「何を驚く」

 

 癒えながらも、平然と振り下ろされたヒデトの剣を、テンプルナイトが受け止める。

 覚えのない太刀筋。

 どこの流派なのか、幾十にもデビルバスターとの戦闘経験が、戦士としての教育を受けた神の戦士にもわからぬ剣筋。

 

「まだ死んでないなら動くものだろ」

 

 だが恐ろしく洗練された刃。

 数百数千の悪魔を殺し尽くし、あらゆる魔王の首を切り飛ばした、ただその身体能力のみが全盛期に届かぬだけの剣。

 ヒデトにスキルはない。

 使えたとしても得意なプログラムによるコンピューター戦によるCOMP操作。

 彼の親友のような魔法も、彼とともに戦い抜いた魔女のような魔法もない。

 ただ悪魔と仲魔になれるだけ。

 ただ悪魔と共に戦えるだけ。

 

 ただそれだけで。

 

 

「悪魔を倒すのはいつだって諦めない心だ。お前らの神様もそうやって討ち倒した」

 

 

 彼は、神殺しを成した男である。

 

 

 

*1
TRPG版スキル

*2
ただし全裸は除く

*3
旧約Ⅱ(真・女神転生)

*4
魔神転生Ⅱ仕様

*5
旧約Ⅱ(真・女神転生)

*6
真・女神転生if




???「おやおやなにか面白い気配がするぞ」

???「私以外の悪魔召喚プログラムはないはずのだが?」

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