<<出来ることなら、全てのウマ娘ちゃんの輝きをこの目に焼き付けたい>>
──アグネスデジタルの朝は早い。食堂に毎回一番に向かうのが彼女の日課だ
「まずはウマ娘ちゃん達の1日の始まりを目にしたいじゃないデスカッ! 朝というのはウマ娘ちゃんそれぞれの個性が特に発揮される必見の時間なんです。ほら!あそこにグラスワンダーさんがいますが、朝から気品溢れる佇まいですね……これぞ大和撫子ッ!
それに対してあちらにいるトウカイテイオーさん! 実に眠そうで、朝食を食べながらウツラウツラしてますね。トウカイテイオーさん、普段はあんな様子見せないんですよ。でも寝起きだから油断してるんでしょうね……あっ! 鼻提灯がっ!! ……っ! うひゃー!自分の鼻提灯が割れた音でビックリしてる!!! 今のはこの時間だからこそ見られた光景です! SRレアッ!!
他のウマ娘ちゃん達も見てください! その佇まいは千差万別! 十人十色!! ……それがたまらないんですよね! みんな違ってみんな良いっ!! つまりみんなデジたんの推しッ!!」
──彼女の興奮は止まらない
「みみみ見てください向こうの席を! なんとライスシャワーちゃんがライスを食べています!! ライスシャワーちゃん、普段は朝はパン派なんですが……たまにライスを食べる時があるんです! なんと今日、その貴重な光景をこの目に焼き付けられるとは……これはSSRレアッッ!!いや~眼福眼福⭐︎」
──食堂に来てから1時間。トレセン学園に向かう生徒が増え、気づけば周りには誰もいなくなっていた。
『アグネスデジタルさんも、そろそろトレセン学園に向かった方がいいんじゃないですか?』
「……ちょっと待ってください」
──彼女は必死に何かを考えているようだった。意外だった。彼女の性格を考えると良きタイミングで食堂を出て、通学途中のウマ娘の様子を観察すると思っていたからだ。
「まだ……来ていない……これから急いで朝食を食べ始めるとして……時間的には……ギリギリ…………行きましょう!!」
──何かを察したように彼女は食堂を後にしてトレセン学園へと向かった。我々も急いで車で追走する。凄まじい速さだ……ようやく追い付き横並びになる。
(テロップ:この道路は高速車両なので、道路交通法的には問題ありません)
『い、いったい何が?』
「事情は後でお話します! ……んっ? あそこにいるのは…………今すぐ車を止めてデジたんと一緒に隠れてくださいっ!!」
──前方に見えた人影を目にした瞬間、急いで彼女は物陰へと隠れた。あそこにいるのは……サイレンススズカだった。
『車はいったん駐車場に停めておきました』
「ご苦労おかけしてすみません。でも、その苦労を忘れるくらいの感動がこの後見られるはずです……」
──彼女が物陰に隠れてから約10分。とうとう動きがあった。
「……き! 来ましたよ! ほら見てください! 向こうからくる人影をッ!!」
──私たちが通ってきた道を全速力で走る人影があった。あれは……スペシャルウィークだ。どうやら口にパンを加えてている。
「口に食パンを加えながら全力疾走する美少女ウマ娘!! これを生で見られるとは!! スペシャルウィークさん、普段はもっと早めに起きて食堂に来るのですがどうやら昨日のレースで疲れていたんでしょうね。寝坊しても朝食だけは欠かさない! これぞスペシャルウィークさんですッ!!」
──スペシャルウィークは私たちを通り過ぎ、そして……前方にいたサイレンススズカと合流し、少し足を止めた後に共に走り始めた。
「むはーー!! たまりませんなーーー!!!」
『えっ、どういう事ですか?』
「今のは……奇跡的瞬間なんです!! サイレンススズカさんは早めに食堂を出てトレセン学園に向かっていた。にもかかわらずあそこで立っていたのは……スペシャルウィークさんと一緒に登校するためなんですよ!!
おそらく2人が合流した時に
[あれ、スズカさんどうしたんですか!? ]
とか
[スぺちゃんを待ってたの……一緒に行きたかったから]
みたいな会話が行われていたはずなんです! これはSSR完凸クラスの超レアシチュですよ!!! 尊い!!!」
『なるほど』
「本当はサイレンススズカさん、起こしたかったはずなんです!! でも……でも! あえて!! 心を鬼にして起こさなかったはずなんです……!
[スペちゃんならきっと、自分の力で起きられる。だから私、待ってる……]
と。
……キャアアアァァァ!!! …………しゅき」
──興奮の余り昇天している彼女を見て、私は別の意味で感動した。
--食堂に来ないスペシャルウィーク--
--登校途中に立ち止まっているサイレンススズカ--
それらの情報から、ここまで的確にその後の状況を予測するとは。心理を推測するとは。
『ところで、時間は大丈夫ですか?』
「へっ? ……遅刻だ──────!!!!!」
──その時の彼女の脚力は、昨年の天皇賞・秋を彷彿とさせるほど見事なものだった。
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「あぁ! スカーレットちゃんとウオッカちゃんがまた萌え喧嘩を!! ハァハァ……」
「ブライアンさんが会長さんにデレた!? ひぃぃぃ、ありがたやありがたや」
「なんと!!ハルウララちゃんがライスシャワーちゃんのホッペについたケーキを直接ぺろっと!嗚呼……神様仏様ウラライス様」
──絶妙なシチュエーションを常に捉えるその動きは、例えるならプロカメラマンの様だった。
『朝から見てばかりですが、自分から話しかけたりはしないんですか?』
「ファッ!?いえいえいえいえ!自分から話しかけるなんて恐れ多すぎます!!その……以前、ドトウさんが悩んでる時にアドバイスなんていう恐れ多い行為をしてしまった事はありますが……あれは特例中の特例です!……こんなにも近い距離でウマ娘ちゃん達の姿を見られて、同じ空気を吸えて、更には一緒に走れて……今この瞬間が奇跡なんです!」
──気づけば夕方になり、各ウマ娘達が帰路についていた。
『本日はありがとうございました』
「いえいえ、こちらこそありがとうございました! えーと……初めはあたしなんかが取り上げられるなんて恐れ多くてお断りしようと思っていたんですが……で、でも!あたしがこうして表に出る事で、ウマ娘ちゃんの更なる魅力に気づいてくれる方が1人でも多くいたら本望です!!」
〜以上ON AIR映像 以下は取材記者の雑記〜
──アグネスデジタル、出会いから別れまで終始実に謙虚だった。
「「あたしがこうして表に出る事で、ウマ娘ちゃん達の更なる魅力に気づいてくれる方が1人でも多くいたら本望です!!」」
──彼女の願いは間違いなく叶えられるだろう。この放送がON AIRされる事で一体どれだけ多くの人がデジた……『アグネスデジタル』というウマ娘の更なる魅力に気づく事だろうか。
──そう、私のように。
アグネスデジタルの一人称ですが
通常テンション時 → あたし ハイテンション時 → デジたん と使い分けています。