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私、アーシア・アルジェントは今……混乱していた。
時間はさかのぼりプール掃除をするための水着を忘れた私は部室に向かって急いでいた時の事だ。
校門から誰かが入ってくるのが見えた。
それは見覚えのない銀髪の少年。
流石に学校関係者でないことはすぐに分かった。
あれだけ格好の良い人だ。学校に在籍していればあれくらいの人ならうわさの一つや二つ流れてもおかしくはない。だと言うのにそんな噂は聞かない。
なら、あれは誰なのだろう?
そう思って私はその男の子に声をかけた。
「あの……この学校に何か御用のある方ですか?」
「うん? 君は……アーシア・アルジェントか」
「っ!」
その人は私を知っていて、私は相手を知らないその事実は私が彼を警戒するのには十分で、裏側の人間だと考えるには十分な情報だった。
「……あなたは誰ですか?」
「ふふっ、さあ? それより君には俺は興味がない。俺が探しているのは自分のライバルさ。因縁のね」
「……あなたに因縁をつけられるような人はこの学校にはいないと思います」
そう、この学校の人々は皆優しい人だ。外国人である私に浴している人々ばかりそんな人たちが因縁をつけられるようなことをするわけがないそう思ったからこそ出た言葉だった。
「ふっ、そうか。まあ俺自身そいつに何かをされたわけじゃないさ。ただ運命と言える因縁だからね期待はできないけど……顔を見ておこうと思ってね。コカビエルの時には挨拶もそこそこだったからね」
コカビエル……。その名を聞いて思い出したのは白い鎧の男だった。私達と生徒会の皆さん。それ以外だとするのなら他に思いつく人物がいなかった。
「白龍皇っ!」
「そう。だから今代の赤龍帝に会いに来たのさ」
「狙いは一誠さん……ですか」
「そうだ。アーシア・アルジェントだから君には用は……」
白龍皇は何かを考えるようなそぶりを見せてから何かいたずらを思いついた子供のような笑みでこちらを見た。
「いや、君を出汁に彼と戦うと言うのも面白そうだ」
「っ!」
「君を殺すのもありかもしれない」
そう言って伸びてくる白龍皇の手。その手に怯え後ずさりをする私。
「ふっ、じょうだ──」
「──一誠さんに手を出さないでください!」
この時私は自分でも何を言っているのかわからなかったが、兎に角何かを言わなければ頭がおかしくなりそうだった。だから、彼の言葉に耳を貸さず言いたいことを言いきることにした。
「私がどうなっても構いません! でも、一誠さんだけには手を出してほしくありません!」
「……俺が彼に手を出したらどうする?」
「……」
私にはその言葉の答えを言えるわけがなかった。彼を倒す力もなく、ましてや智謀にたけているわけでも何かしらのつながりがあるわけでもないからだ。
「ふん、力もないそれをかなえる事も出来ない。君には何もない……つまらない女だな。アーシア・アルジェント」
「……っ」
「君にかまっている時間は無駄だったようだ」
「……まっ」
待って、そう言っても彼は止まりしない。それはわかったし、彼は一誠さんに会いに行こうとするだろう。それだけは止めようとして私は無意識だったのだろう。彼を攻撃していた。
弱い魔力弾。貧弱すぎて話しにもならないそれを彼に向けて打ちだしていた。
「へぇ」
「一誠さんの所に行かないでくださいっ!」
「アーシア・アルジェントこれくらいじゃ俺を傷つけることも出来ない」
「それでも、です」
「……」
彼は無言で歩み寄ってくる。私には先頭の機微などわからないけど、ここで目をそらしたら負けだと私の心が言っていた。
「ほら、撃たないのかい?」
「あなたの答えを聞いてからです」
互いに互いを睨み付ける。まるで獅子に顔を向けられたネズミのような気分を味わいながら私はそれでも顔を背けなかった。
「くくっ、気に入った。今日は手を出さないでおこう」
「へっ?」
「それに最初に言っただろう? 俺はあいさつに来たんだ。手を出さないさ」
「へぅ」
私は今多分顔を赤くしていることだろう。それが自分でもよく分かった。
「また会おう。アーシア・アルジェント俺は君が気に入ったよ」
これが私とヴァーリーさんとの出会いで、まぁ色々あってなぜか好かれることになるのだった。
「俺はヴァ―リー。アーシア・アルジェントの夫になる男だ」