サイドエフェクト:身体能力制限解除体質

要するにリミッターがない。



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ワートリ杯ギリギリ間に合ったー!!!!!


身体能力制限解除体質少年の話

 

 

「広瀬って、握力計壊せるってマジ?」

 

 体育の授業。

 新年度の始まりということもあり、今日からうちの学校は二日かけて体力測定を行なっていた。

 ちなみにオレ──広瀬晴也のクラスは、初めは握力測定から。

 順番を待っていると、隣にいた出水公平がニヤリと笑いながらそんなことを聞いてきた。

 

 出水とは、二年に上がって初めて同じクラスになった。

 席が隣ということもあり、すぐに打ち解けた。基本的にオレはコイツと米屋陽介というもう一人の友人と一緒にいることが多い。

 ちなみに米屋は今握力を測っている。

 

「……米屋から聞いたか?」

「ああ。なんか去年、そんな話を聞いてな。本当なら見てみたいなって思って。

「なるほど」

 

 納得した。

 米屋とは去年同じクラスだった。積極的に関わるようになったのは最近だったが、アイツもどうやらオレの握力結果を知っていたようだ。

 

「握力計壊せるって、おまえ何キロあるんだよ」

「さぁな。そんなだから、オレはほら、握力測定免除なんだわ」

 

 記録用紙を見せると、出水は「マジかよ」と目を見開いた。

 記されているのは測定不能の文字。

 

「うへぇ、じゃあ、リンゴとかも潰せるわけ?」

「スイカもいけるぞ」

「ヤベェな」

 

 何なら花山薫みたいなことだって出来る。

 

「うーす、終わったぜ〜」

 

 カチューシャで止めたオールバックが特徴的な男、米屋が戻ってきた。

 

「どんなだった?」

「48! 去年とあんまり変わんかったわ」

 

 48キロか。けど、平均値が40だと考えるなら、普通にいい方なんじゃないだろうか。

 

「広瀬は測んねーの?」

「ああ。壊れるから測定不能扱いらしい」

「ハハ、やっぱそっか。去年、松崎先生オマエのこと珍獣でも見るような目で見てたもんなぁ」

 

 握力計を三本も破壊してしまい、体育の松崎先生が目を向いていたのは鮮明に覚えている。

 

「でも、オマエのあの握力計ぶっ壊すヤツ、もう一回見てみたいな」

「俺も見たい」

「無理言うなよ。放課後反省文コースは流石にゴメンだぜ」

 

 そりゃそうだ、と二人は納得する。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

「絶対におかしい」

 

 昼休み。

 屋上で出水と米屋と飯を食っていると、出水が唐突にそんなことを言い始めた。

 購買戦争の戦利品である焼きそばパンを咀嚼し、飲み込んだ後、オレは「何がだ?」と訊ねる。

 

「広瀬の身体能力の話だよ。握力の件でおかしいと思ってたけど、他の測定を見て確信した。

 それは絶対にただの身体能力じゃない」

 

 握力計の後にやったのは、ソフトボール投げと反復横跳び、あとは50m走か。

 ソフトボール投げは場外、反復横跳びは測定不可、50m走は2秒だった。

 確かにおかしいかもしれないが……紛れもないオレの身体能力であることには違いない。

 

「ならドーピングしてた説」

「殺すぞ米屋」

「体力測定でドーピングする奴なんていたら一周回って笑えるわ」

 

 体力測定ガチ勢かよ。

 まぁ、そんな話は置いといてだ。

 

「ただの身体能力じゃない、ってのはどういう意味だ? オレにはよくわかんないけど」

「それだけ異常だってことだ。ソフトボール投げや握力測定、まぁ反復横跳びは許容範囲にしても、50m走2秒っておかしいだろ。どう考えても」

 

 ……言われてみれば確かに。

 

「アレじゃね? リミッター?が常に解除されてる的なヤツ」

「んな漫画みたいな話ないだろ」

 

 米屋の言葉にオレは反論する。

 リミッターというものは確かに人に搭載されてはいるらしいが、そう簡単に外せるものじゃない。

 危機的状況などの極一部の特異的な環境でなければリミッターが解除されることはない。

 それに、リミッターというのは防衛本能と同じだ。

 通常以上の力を引き出すことで肉体が崩壊することを防ぐためにそれらは存在している。

 もしもオレのリミッターが解除されているのなら、オレはまともな生活を送れていない。

 

「いや、米屋の言ってることはあながち間違っちゃいねー──というか、ほぼ俺と同じ考えだな」

「!?」

 

 まさかのリミッター解除説の支持者が現れたことにオレは驚く。

 

「……リミッターが解除されてんなら、オレは今頃病院送りなんだが……」

「広瀬のそれが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 これは俺の予想なんだけど、と出水は指を立てて言う。

 

「広瀬、おまえはそもそもそういう体質なんじゃないか? 

 リミッターが解除されているんじゃなくて、()()()()()()()()()()()()()()()()

 そんで、代わりにどんどん身体がそれに合わせて強くなっていって、今に至る」

「……可能性としちゃあるけど、根拠がないだろ」

 

 仮説としては赤点ギリギリと言ったところか。

 辻褄は合っているが、証拠が存在しない。

 

 しかし、出水はその返答も予想していたようで。

 

()()()()()()()()()()

 

 と、答える。

 

「どういう意味だ?」

「そのまんまの意味だ。なぁ、米屋?」

「ん? ……ああ、なるほど! そういうことかよ!」

「おい、オレにもわかるように話せ」

 

 ハッハッハッ、と笑い声を上げる出水と米屋にオレは困惑を隠せない。

 ついにイカレちまったか。

 米屋がバカなのは知っているが、まさか出水もそうだったとは……頭良さそうな雰囲気あるのにな。

 

「悪い悪い。ま、けど、広瀬の身体能力の謎を解明出来る方法を俺と米谷知ってるんだよ」

「何……?」

 

 出水と米屋が知っている?

 研究所か何かか?

 いや、コイツらにそんなコネがあるとは……。

 

 ()()()()()

 

「オマエら、まさか──」

 

 ニヤリと出水は笑う。

 

 

「そう。ボーダーで確かめてみようぜ」

 

 

 

 

 




ワートリ杯ギリギリ間に合ってよかったです。


【登場人物紹介】
・広瀬晴也(ひろせ はるや)
身体能力が明らかにおかしい男。他作品で言うと、虎杖レベルの身体能力がある。
性格は温厚で、面倒見がいい。一年生の頃は、米谷の勉強を見てやっていた模様。
ボーダーの入隊試験を受けなかった理由は、あまり興味がなかったから。

・出水公平
玉バカ。
実はワートリで一番好きかもしんない。わくわく動物野郎とかいう最高のネーミングセンス。
ボーダーに呼んでみたのはいいものの、コイツにトリオン体付けたら逆に弱体化するのでは?と思ってる。

・米屋陽介
槍バカ。
と、思うじゃん? が好き。
さっきBBF見たら、学力が太刀川さんより低くてビビった。次代の単位危機一髪男は君だ。
一年生の頃、広瀬にリンゴ潰してみて、って言ってガチで潰したのをみて少し冷や汗をかいた男。





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