俺は…誰だ……?
青年はそう呟いた、先程まで妹と思われる少女と風呂に入っていた、風呂から上がったあと、急に、世界が変わったような感覚があった。予想は的中、先程まで妹と思っていた少女の名前を忘れてしまっていた。他人としか思えなくなってくる…ダメだ、そう思った青年はここから逃げ出すことを決めた。幸い外には直ぐに出られる。近くの窓から飛び降りる……そして着地をする瞬間、何者かが青年を助けた。
「ギリギリだったな、大丈夫か?お前。」
それは少女の見た目をしていた、黒髪ロングで、目は赤い。見た目をしていた、というのはこの少女は窓から飛び降りた青年を素手で難なく受けとめたのだ。
「アンタ…は……?」
「お竜さんはお竜さんだぞ、それよりお前だ、リョーマからここら辺にいるって聞いたから来たんだ。で?お前は吸血鬼ってやつなのか?」
どうやら少女はお竜さんというらしい。
「お、俺はただの男子高校生だ…吸血鬼じゃない…。」
そういうとお竜さんはなんだ、違うのか…と残念そうな顔をした。
「というか、吸血鬼だと思ったやつを救おうとしたのは…なんで?」
「良い吸血鬼と悪い吸血鬼がいるらしくてな、リョーマが言うにそいつらは似た見た目をしていて、良い方はオーラでわかる。と言っていた。」
「そう、僕はそういったね、そしてそこの君。君は自覚がないがその良い方の吸血鬼…という事だ。」
「へ…?」
お竜さんに地面に下ろしてもらって直ぐに、その男が現れた。オールバックが印象的で刀を腰に差した男、この男がリョーマだろうか?リョーマさんは黒のポメラニアンを連れていた。
「俺が…吸血鬼?」
「そうだよ、君は吸血鬼さ。…但し吸血鬼になったのは今さっきのようだがね。なにか無かったかい?」
リョーマさんからの質問に、先程の感覚を思い出す…。そうだ、確か
「妹と一緒に風呂に入っていたんです、俺が上がってすぐ…世界が変わったような感覚があって、その直ぐに妹だと思っていた少女の名を忘れてしまって……。」
「それだ…。以蔵さん、この彼の匂いを覚えて、それで近くに似た匂いがないか探してきてくれるかい?」
「わんっ!」
リョーマさんは俺の話を聞くと、黒ポメラニアン…以蔵さんらしい。にそう命令した。以蔵さんは任せておけ!と言わんばかりに返事をして俺の匂いを覚え、探しに行ってしまった。
「さてと、自己紹介が遅れてしまったね。僕は人外専門何でも屋をやっている…坂本龍馬さ。よろしく頼むよ。」
「お竜さんは敏腕美人秘書のお竜さんだ、よろしくな。」
「あ、俺は小鳥遊…小鳥遊…結月…です。」
「では小鳥遊君。これから君には吸血鬼退治を手伝って貰おうと思う。」
「俺が?なんで……?」
「その吸血鬼はね、君なんだ。」
「俺?」
「君の中の悪感情が吸血鬼となって形を得てこの世界に現界した。鬼は人の心にすまうと言うが…君が住まわれていたのは鬼は鬼でも吸血鬼だったみたいだね。そしてこういう吸血鬼には自分自身がトドメを刺す必要があるんだ。…やれるね?」
「わかり…ました、やります。」
「話は決まったのか?イゾーが帰ってきたぞ。」
「わんわんっ!わわんっ!」
「ありがとうね、以蔵さん。さて小鳥遊君、早速だが行こう!」
「はい!」
「へっ、やっと来たのかよ俺。」
坂本さん達と一緒に以蔵さんに連れてかれた場所……そこは暗く、空気が澱んだ空間だった。広いのに何処か空気が重くてそう感じたのかもしれない。
「本当に俺そっくりなんだな…。」
「そらそうだろ、オレは俺。俺はオレ、元は同一人物なんだからよ。」
そいつは確かに似ていた、容姿も動きも、唯一違うとすれば眼鏡をかけていないとこと獣のような目付きだけだ。
「無駄話はやめてよォ、とっととやろうぜェ?こ、ろ、し、あ、い!」
「ッ…!小鳥遊君!来るぞ!」
「ええ、分かってます!」
坂本さんは槍を(どこから出したんだあれ)構え、俺は来る途中に以蔵さんから受けとった(なんでこんなもの持っていたのだろう)刀を構える。相手…以下は悪結月と呼ぼう。悪結月は鋭い爪を構え、俺の方へと真っ直ぐに突っ込んでくる。
「お前を殺して食い、オレは完璧な小鳥遊結月へとなる!それが目的でなァ!潔くしんで俺の糧になれ!」
「ふざけんな…!その為に妹のことを俺の中から消したのか!あの少女のことを!」
「あぁそうだ!その通りだ!」
距離が縮まり、その爪で襲いかかってくる…が、それを俺は刀で弾く(初めて刀なんて使ったが、何とかなったようだ)。だが直ぐに繰り出されたハイキックは防ぎきれず吹き飛ばされてしまう。
「小鳥遊君!」
「大丈夫…です…!坂本さんとお竜さんは隙を狙って攻撃して下さい!コイツ、俺しか見えてないみたいなんで!」
「あぁ、わかった!」
「オイオイ誰と喋ってんだよォ結月ィ!」
「チッ、同じ顔のヤツに名前で呼ばれるとか気持ち悪いな…っと危ない!」
「外したか!オラオラもっと攻めてやるから防ぎきってみろよ!」
蹴り、爪による切り裂き、蹴り、拳、とテンポ良く繰り出す悪結月、俺の方は防ぐことしか出来ない…。
「俺の姿で、俺の声で、その耳障りな口を止めろよテメェ…!」
「ハッ、止めてみやがれってんだ!」
「なら…!お望み通り止めてやる…!坂本さん!お竜さん!今です!」
「「あぁ!」」
「アァ…?グッ…ァ!」
坂本さんとお竜さん、2人の息のあったコンビネーションが放った攻撃により悪結月の動きが止まった、よし、これなら…!
「共に地獄に落ちるぞ…来い!」
「チッ、離せェ!」
悪結月の首をつかみ、思いっきり飛び跳ね………空中に浮かび…悪結月を下に向けて地面へと激突する。
「ガァ…ッ…!クッソ…!」
「終わりだ…悪なる俺…!」
そしてトドメとして、刀でその心臓を貫いた…。
「オレは悪…か…!ならお前は偽善だ!今日俺を消したこと、死ぬまで後悔するが良い…!」
そう言って、悪結月は消えた。
「小鳥遊君、お疲れ様。」
「おーお疲れ様だぞ、ユヅキ。」
「わんっ!」
「ほんと……疲れました…。あぁ坂本さん、お竜さん、ありがとうございました。あの攻撃が無けりゃ俺負けてました。」
「何、僕達だけじゃアイツは倒せ無かったんだ。お互いに頑張った、という事さ。」
「そう…ですね。…じゃあ俺はこれで。何かあったら俺の事呼んでくださいよ、坂本さん。」
「どうしてだい?」
「俺、今吸血鬼になったんですよね?ならこの力で坂本さん達の手伝い出来るかもじゃないですか。他にもいるんですよね?俺みたいなの。」
「ああ、いるよ。…そうだな、ならもし、もし何かあったら、その時は力を借りるとしよう。」
「えぇ。」
「お兄ちゃん、どこ行ってたの?」
「よぉ鈴蘭、ちょっと自分探しに吸血鬼退治をな。」
小鳥遊結月
吸血鬼になってしまった男子高校生、人外専門なんでも屋の手伝いとしてこの後色々と活躍するらしい。妹に鈴蘭という少女がいる。
小鳥遊鈴蘭
結月の妹
坂本さん
ランサーの坂本龍馬、と同じ見た目をした坂本さん。なんか人外専門のなんでも屋やってた。ちなみにこの夢の続きでは坂本さん、お竜さん、ポメ蔵の二人と一匹の旅の話もあった。なんか船とか乗ってた。
お竜さん
実物(実物って言うのかアレ)凄い美人で死にましたありがとうございます。ほんと助かった、お竜さんいなかったら最初ら辺でバッドエンドでした。坂本さんの手伝いをしてる。
ポメ蔵
以蔵さんはポメラニアンでの登場でした、人外専門なんでも屋で買われてる不死身のポメラニアンみたいです。クソもふもふしてた