ただし冒頭で終わる模様。
見切り発車なので続きなんてない。
R-15とアンチ・ヘイトは念の為
「デスゲームだって…!?」
「ふざけんな!! ここから出しやがれ!!」
「いやぁぁぁぁ!!」
阿鼻叫喚、地獄絵図、まさにこの状況を指し示しているかのような言葉だ。
世界初のVRMMO──『
発売前の試運転を兼ねて事前に公表されていた
しかしその実態は、ログアウト不可のデスゲーム。
――ゲーム内での死=現実世界での死
――制限時間は無制限
――唯一ログアウトする方法はゲームクリアのみ
そんな、あまりにも残酷なものだった。
突如
──とある、一人のプレイヤーを除いて。
「注!! もおおおおく!!!!」
――突如響き渡る怒号。
「なんだ…?」
「だれ…一体?」
統一性の欠片もなく、悲鳴と絶叫の入り混じった狂騒がピタリと止み、困惑の声が小さく漏れ出した。
「おい、あそこ!!」
一人のプレイヤーがとある方向へと指さし、数多のプレイヤーたちがその方向へと顔を向けた。
そこには、堂々とした様子で一人の男が高台に仁王立ちしていた。
一目見ただけでも、180cmは超えているであろうと理解できる長身。
筋骨隆々とした体形で、顔つきは険しく――しかし安心感を抱かせるその様は、
「聞け!! 数多のプレイヤーたちよ!!!!」
その声色は凛としており、そして街全体に響き渡っているのではと錯覚するほどの声量でありながらも、落ち着きを感じさせるものだった。
「私は名はアルケイデス!!」
「繰り返す!! 我が名はアルケイデスである!!!」
ギリシャの大英雄ヘラクレス――その幼名を名乗る男の演説は続く。
「私はこの鋼鉄の城、アインクラッドの攻略を目指し、行動を開始する!!」
「フィールドへと足を進め!! モンスターたちを薙ぎ払い!! そしてフロアボスを打ち倒す!!!」
「我々をこの電脳世界に閉じ込めし茅場昌彦の思惑を、打ち破るのだ!!!」
彼の宣言は力強く、必ず実現させるという頑強な意志を感じさせた。
――もしかすれば、出来るのではないか?――
彼ならば、という少しばかりの期待が胸の奥底から芽生え始める。
――しかし、直後に彼自身の手で否定される
「しかし!! それは私一人の力では到底実現不可能な絵空事である!!!」
期待した直後の否定、それは数多くのプレイヤーたちの心をへし折った。
「……なんだよ、それ」
「ふざけんな!!」
「急に出てきて急に手のひら返して、何がしたいんだテメェは!!」
「よくも期待させやがってこのクソッタレ!!」
「全く持ってその通りだ!!!」
広場に響く罵声の嵐に対し、彼はさらに巨大な、広場を覆う怒号で肯定した。
再び困惑で満たされた広場に彼の声が響き渡る。
「私とて人間だ!! 恐怖し、憂鬱な気にもなり、虚無な心持ちにもなろう!! 心がへし折れることもあろう!!」
「しかし、そのように転落してしまうのは独りでいるためだ!!」
「ここで先程の言葉だ!!」
「再び言おう!! 私一人の力では到底不可能である!!!」
「独りで戦い!! 独りで勝利に喜び!! 独りで歩む道のりは、私には到底踏破できないものである!!!」
英雄の言葉としては、あまりにも
事実、彼は己を人間だと言い放ったのだから。
「しかし!! だがしかし!!!」
「私と
彼は言葉を投げかけ続ける。
「共に戦い!! 支え合い!!」
「共に勝利に喜び!!」
「共に歩む同士がいたならば!!」
「この
数多のプレイヤーたちは理解した。
彼は『共に戦え』と、そう言っているのだと。
しかし、多くのプレイヤーは表情に影を落とした。
命の危険がある場所に足を進めるなど、とても恐ろしくて出来ないのだ。
己にそのような勇気はない――そう思い、反論しようとした瞬間
「ここで一つ!! 間違いの無きよう言っておこう!!!」
「私が話す『戦い』とは!!」
「なにも戦場に立つことのみではない!!!」
「――え?」
反論しようと開いた口から茫然とした声がこぼれる。
一人では戦えないと、だから共に戦場に立ってくれと、そう言ったのではないのか。
理解が追い付かず、ただひたすら先程の言葉を反芻していた思考に、言葉が投げかけられる。
「無論、共に戦場に立つ同士がいたならば、確かに私も心強い!! ゆえに歓迎しよう!!!」
「だが!! 全てのプレイヤーが戦場に立てる訳ではなく、私も全ての者たちにそうあれかしと望んでいる訳ではない!!」
「私の話す『戦い』とは!!」
「『折れるな』ということだ!!!」
「――あ」
一部のプレイヤーたちは察した。彼はこう言っているのだ。
ゲームクリアを諦めるな――と。
「一部のプレイヤーたちには周知の事実だろうとは思うが!!」
「数か月ほど公開されていたβテストにおいて、攻略されたのは全100階層の中でも下から何層かといったところだ!!」
「それもデスゲームではなく、死亡が可能な環境下であったにも関わらずだ!!」
「しかし!!!」
「私は必ず!! このゲームをクリアしてみせる!!!」
「ゆえに諦めるな!!」
「決して折れるな!!」
「それこそが!! 私が諸君らに望む!!」
「『戦い』である!!!」
「――そうだ、負けて堪るかよ」
奮起する声がこぼれる。
「諦めてやるもんか…!」
それをかわぎりに、戦うことを誓う者たちが現れる。
「俺は戦うぞ!! 絶対、折れてなんてやるもんか!!」
「俺も!」「俺もだ!!」「私も!」
心を折られてたまるか、と――戦うことを誓う者が、次々と。
「勇敢にも!! 今ここに戦うことを誓った者たちに敬意を表する!!」
「もう一度名乗ろう!!」
「私の名はアルケイデス!!!」
「この
「この最悪のデスゲームを!! 攻略する者だ!!!」
眼下のプレイヤーたちが雄たけびを上げる様を見下ろし、アルケイデスは密かにほくそ笑んだ。
――予想よりかは上手く煽動できたな――
――まあ、こんな環境下だ。まともに頭が動かなくとも無理はない、か――
――だが油断は禁物だ。逸らず、慎重に、そして確実に行こう――
アルケイデスには、数多の人々を救おうなどという崇高な思想がある訳ではなかった。
そもそも、ゲームクリア自体も彼にとっては優先すべきことではなかった。
ただ、どれだけの人々を
――ゲーム内で死んでも、本当に死ぬのかどうか
――戦場に立ち、モンスターと戦って生き残れるのか
――そもそも、本当にクリアできるのか
冷静に考えれば、様々な不安点が無辜のプレイヤーたちにも浮かび上がるだろう。
だが、それらの障害を乗り越え、大勢の人々を生かすことができたならば――
ただ殺すだけでは
傷つけ、陵辱し、嬲ることなど
しかし、生かすとなれば難易度は跳ね上がる。
人は簡単に死ぬ。
首を切れば死ぬ。過度な失血で死ぬ。呼吸が止まり続ければ死ぬ。
病気、飢え、怪我、凍傷や火傷、挙句にはストレスでも死ぬ。
それらを防ぎ、生かし続けるのは実に
現代の平和な地方ならば話は別だが、ここはゲームの中。命の危険はいくらでもある。
いくらでも、楽しみ続けられる。
その為だけに、柄でもない
――ありがとう、茅場昌彦。これはまさしく最高の
――さて、この後はどうしようか――
静かに今後の展望を思案しながら、彼は楽し気に嗤うのだった。
「さあ、ゲームスタートだ」
アルケイデス
_主人公,コンセプトは「悪党ではない悪人」,某ソシャゲのオ〇ガマリーやゴル〇ルフのような「悪人ではない悪党」とは真逆のスタンス,
プレイヤーを虫や小動物のように嬲って殺すことを楽しむPK組とは対照に、プレイヤーを生き永らえさせることを楽しんでいる,別に救おうとしてるとかではない,
多分目の前で誰かが死んだら「ミスったな、次は気を付けよう」くらいにしか思わない,
キリト
_原作主人公,中学生のまっくろくろすけ,本作では出番なし,
深夜テンションと厨二心という薪を寝ぼけた頭に焼べてプロットもクソもなしにパッと書いたものなので、続く予定は無い