刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

114 / 127
第百十三話

始まった魔獣による侵攻。フォロムにいた一部のクランが王都に招集された。その中に静音たちもいた。

だが集められただけで防衛に出されるわけでもなかった。集められた中では今後を憂う者や戦いはまだかと言う者が多かった。

そんな中、静音はレオに呼び出されてレオの宮殿にいた。その部屋にはウィリアムとオリオンも同席していた。

「あの・・・防衛は大丈夫なんでしょうか・・・?フォロムも魔獣が近づいているんですよね?」

「報告によればそうらしい。だが王国の野戦築城技術は群を抜いている。一週間程度は持ちこたえてくれるだろう。それよりも・・・」

「他国はともかくとして王国内の足並みがそろうかが問題だな」

「こんな時に足並みを崩す人が・・・?」

「案外際どいところを突くものだ。今王宮ではどこを重点的に守るかで論議が続いているのだろう」

「お貴族様は自分勝手だからな」

「こんな時に・・・」

「待たせてすまない」

待っているとレオが不機嫌そうな顔を隠さずに入ってきた。

「その顔を見るに、大方の予想はつきますな」

「あぁ、あえて言うが、まず戦線はめちゃくちゃになるだろう。予想通り南以外の三方向からの侵攻。進んでいる先はここ、王都で間違いはないという点では意見が合った。だが・・・どこを重点的に守るか、それで無駄な時間を付き合わされた」

「それで、どうなさるおつもりで?」

「父上は軍との会議中だ。その間にこちらで先を行く」

「?」

「静音。それぞれ一方面を任せてもいいだろうか?」

「そうきましたか」

「え゛!?」

唐突な司令官への任命。静音はあまりの唐突さに頭が追い付いていなかった。

「えぇっと、防衛の戦力はどこから・・・」

「もっともな意見だ」

「冒険者に徴兵とかってないんですか?あったら軍の方に・・・」

「徴兵なんてない。他国との戦争なんて普通あり得ないからな。冒険者は依頼を受けて動く。なら先に依頼を出して雇えばこちらの戦力として使えるというわけだ。だが正直王国の冒険者と各方面に派遣された軍の数じゃ正直足りないだろう」

「その点なら上手くいくかはわからないが、手が無いことは無いぜ」

「オリオン、本当か?」

「ヨムスヴォルグ。あいつらを動かす」

「ヨムスを?彼らは王国とは仲が良いとは言えないが・・・」

「あいつらが住んでいる土地は北の魔獣の侵攻地点に近い。自分らの土地を守るついでに数を減らすのに協力してもらうってわけだ」

「だが、王国で彼らとの知己を持つのは・・・」

「俺が会ったことがある」

「わかった。なら交渉役を務めてもらっても構わないか?」

「あぁ。そうじゃないと提案しないさ。というわけで、少し時間を貰うな、団長」

「あ、うん。わかった。でも魔獣の大群の近くに行くってわけなら気を付けてね」

「承知の上さ」

「これで北方は少し余裕ができた。だが実のところ、北方が一番層が厚いらしい」

「ところで、まだ暫定ですが、一方面は私が。あとの二方面はどなたが?」

「当然俺が行く。言い出しっぺが出なくてどうするってのさ。それからもう一方面は父上が編成するであろう王国軍に出てもらう」

「戦力の分配はいかがしますか?」

「ふむ・・・ラークを連れていく。これだけで戦力も士気も上がるだろう」

「それだけでは足りませんな。最低でも質も数も上でなければ。あなたは王国唯一の後継者。何かあったときでは遅いのですからな」

「だが王国自体が無くなっては俺はただ出が良いだけの男になってしまう」

「なんといってもこれは譲れません。私も殿下の指揮下に入ります。静音もそれでいいかい?」

「えぇ。王子を危険に晒すことはあってはならないでしょう。戦場に立ってもらわなければ別ですが」

「痛いところを言ってくれる。だが静音のところにも戦力を充てなければならないだろう。指揮官なんてやったことないだろうし」

「そ、そうなんですが・・・オリオン、そこんところフォローしてくれない?」

「なんとも難しいことを。まぁやれるだけやるさ」

「だが正直なところ、オリオンがヨムスを交渉で引き入れたとしたら、言い出しっぺのオリオンがいるところにヨムスが行くことになる。そうなると・・・」

「一番危険なところに私が行くことになるんですね」

「そうなる。辞退するなら今のうちだ」

「いえ、一番にお誘いを受けた以上、断るわけにはいきません」

「君みたいな貴族がいてくれれば、心強いんだが・・・君が味方で良かったと心底思う。だが、ちゃんと対抗する術はあるのかい?最悪の場合、ヨムス無しで北に行くことになる」

「でしたら・・・勝った暁には大量のお菓子を用意してもらえませんか?」

「菓子・・・?まさか子供まで!?」

「いや、そうか。君の縁か」

「どういうことだウィリアム」

「妖精の力を借りるんです。先立って女王から助力について理解を頂きました。これで妖精の助力を得られます」

「だが妖精自体は非力な存在だ。契約してこその存在。今から契約者を探すというのかい?」

「いえ、そうではなく・・・」

そこで静音が発案したことは妖精郷に入ったことがある者しか知らない事実。静音は隠すところは隠して実用案だけを言った。

「なるほど。だが準備は間に合うのか?」

「ですので出発ギリギリまで工房に籠ることになりますね」

「わかった。菓子の方はこちらで用意しよう。後は戦力の依頼はこちらでやっておく。引き入れるところがあったらできるだけ集めてほしいところだ。ともかく、よろしく頼む」

レオの宮殿で行われた一歩先を行く会議。王国内で唯一足並みがそろった集団が生まれつつあった。




評価やいいね、コメントなどの感想を頂けると投稿者が喜びます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。