刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第百十八話

本格的な城塞での抗戦が始まって二日。半ば完成された城塞を放棄することは魔獣を王国に近づけるのと同じであり下がるほどそれは許されることではなくなっていた。

しかし戦線を支える戦士全体に疲労感が溜まり、終わらない戦いに嫌気を訴える者も出始めていた。

死者こそ出ていないものの、一度出れば一気にマイナスに振り切ることは明白だった。

しかし朗報が一つあった。

「ヨムスが一人、エーリク。盟約により同胞とともに参陣した」

ヨムスヴァイキングの援軍が到着したのである。総勢は少ない者の、一人ひとりが纏う雰囲気は歴戦の戦士のようで王国の戦士たちに希望を見せた。

「よし、突撃!!」

何度も繰り返した城壁に斜路の板をかけて近接勢が怒涛の勢いで魔獣の群れに突撃を開始した。

しかし先陣を切ったのはヨムスヴァイキングの戦士たちだった。

誰よりも雄々しい雄たけびを上げながら伝統的な斧と盾を持ち突撃した。

彼らは密集せず、横に広がり個々で魔獣を相手取っていた。

「我らが斧に栄光あれ!!」

先陣を切っただけのことはあり、彼らの武功は目覚ましいものだった。

盾で魔獣を受け止め、反撃として斧を振りかざす。一人ひとりの腕力が凄まじいのか斧の一断で大抵の魔獣は両断されていた。

それを見てか特に王国の冒険者たちも勇気が出たのか本来の力量に近い実力を発揮していた。

だがそれをもみ消すような事が起きる。

「大物が出たぞー!!」

体色は白いので変異種のホワイトウルフと推測されたが、一際大きいらしく、黒に近い色ばかり持つ魔獣の群れの先からでも目立つ存在だった。

そしてホワイトウルフは戦線の薄いところを見つけたのか脅威的な跳躍を行って魔獣の群れを飛び越して一気に戦士たちにその牙を突き立てた。

「くそっ。ただデカいだけじゃないってか。負傷者を急いで壁の中へ。動けるものは時間を作るぞ!!」

そして穿たれた穴を塞ぐべく別の戦士たちがホワイトウルフに挑もうとした。

だがホワイトウルフの咆哮で吹き飛ばされた。ただの咆哮ではないことはそれを見た人間なら誰でも危機感を感じ取った。

そしてさらなる咆哮で他のワイルドウルフが不吉なオーラを纏い始めさらに凶暴さが増し始めた。

「くっ・・・一気に押され始めたぞ・・・退くか?」

「だが退いたとしてもあの壁で持ちこたえられるか?」

形勢が一気に魔獣側に傾きつつある中、静音は現状を打開するため、後方にいるオリオンを呼ぼうとしていた。

「おう、どうにかできそうか?」

「オリオンが号令をかけて。私はみんなの方に働きかける」

「働きかけるって・・・まぁ、いい。やってやるさ!!」

オリオンがその弓を掲げ大声で叫んだ。

「王国を憂い集まった戦士たちよ!!怯むな!!臆せず立ち向かえ!!故郷の友と家族のために勇気を

振り絞れ!!」

オリオンが号令をかける中、静音は妖精の魔力を稼働させ始めた。だが、自身を強化するのではなく、

纏うオーラを戦線に広げていっていた。事前にファティに聞いていたのだが、妖精の魔力は特殊で人族には作用するが、魔獣には作用しないらしい。魔力のオーラを広げることで周囲の人間を強化できるらしいのだ。

そして纏う力が強くなればおのずと自身も出てくる。そこへオリオンの号令が刺さり王国側も戦意を取り戻し始めた。

自身の身に何が起こったかはわからないが勇気が出たのは事実。そして再びヨムスヴァイキングを先頭に魔獣の群れに挑み始めた。

静音もまた支援だけでなく、最前線に立って大物ホワイトウルフに挑むことにした。

「こりゃまた大きい奴だな」

「異常に異常が重なるとどんなイレギュラーも起きるという訳ですか・・・」

「とりあえず片づけるよ!!」

静音を先頭にアイアン・イグニスの近接組が仕掛けた。ホワイトウルフも咆哮で追い払おうとするも、

「せい!!」

静音の炎と雷の魔力で生まれた斬撃波で咆哮を相殺され、左右から一気に挟撃される形になった。

「一気に決めるよ!!」

「おう!!」

「わかりました!!」

「任せろ!!」

静音、リーシャ、ダン、アリムスが一気に魔力を稼働させる。

「まずは私が!!」

リーシャが土の魔力を使ってホワイトウルフの足場を崩して不安定にさせ体勢を崩した。

「次は私ですね」

次にアリムスが水の魔力でホワイトウルフの全身を水浸しにする。

「ダン、仕掛けるよ!!」

「おう!!」

静音が炎と雷の魔力を込めた斬撃波。そしてそれを追うようにダンが風の魔力で暴風を生み出す。

雷の斬撃波はアリムスが仕掛けた水に反応して感電。炎の斬撃波はダンの暴風と混ざって爆炎となった。

二つの衝撃波を受けてホワイトウルフは悲鳴を上げた。だがそれでも震えながらなんとか直立していた。

「これでも足りないか・・・」

「俺を忘れてもらっちゃ困るな」

一連の連携の間に最大限魔力を込めたオリオンの一射がホワイトウルフの頭を撃ち抜いた。

「何とか仕留めれたな」

「うーん、やっぱオリオンの火力が一番かぁ・・・」

「いんや?全員で奴の表皮を削ってくれたおかげで俺の矢が通ったんだ。俺たち全員の手柄さ」

大物を片付け、静音たちも再び前線で魔獣の群れと戦うのであった。




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