刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第十八話

ゴブリンの巣を一掃した私は疲れた体を無理やり動かして森を抜けて村まで歩き続けた。村に帰ると先に逃げていたライトさんたちが村長らしき人と揉めている様子であった。

「ただいま戻りました」

「シ、シズネ。よかった。無事で何よりだ」

笑顔で言うライトさんには少し驚愕の表情が見て取れた。どうやら私は見捨てられていたようだ。煙幕玉を私のところへ投げたことと言い。私に撤退の声がかからなかったのがその証左だ。

「それにしても何をもめているんですか?」

「あ、あぁ。俺隊はただゴブリンの巣の掃討で依頼を受けたわけだがチャレンジャーがいるなんて聞いていない!!あれはDランク以上のモンスターだ。こいつらはそれを知っていたのさ」

「言いがかりもやめていただきたい。村の者でゴブリンの巣に入れる者などおりません。それに依頼分にも詳細は不明と書いてあったでしょう?」

ライトさんが慌てて見てみると確かにそう書いてあった。

「クソッ・・・見落としか・・・。依頼は棄権する」

どうやらライトさんは私がチャレンジャーを倒したことを知らないようだ。

「とりあえず俺たちは急いで王都に戻る。チャレンジャーが出たんだ。それなりの報告をしないといけないからな」

そう言ってライトさんたちは馬車を強引に調達し、王都へと帰る準備をしていた。そこへエラムさんが近づいてきた。

「シズネさんはどうするのですか?」

「私?うーんもうちょっと残ろうかな。森のゴブリンだけでも討伐しておけば村の人も安心できるでしょ」

「・・・確かに」

「おい、エラム、シズネ。早く乗れ。早く帰るぞ」

どうやらライトさんたちは是が非でも帰りたいようだった。それほどチャレンジャーという個体が恐ろしいのだ折る。

「あ、あの。できれば村を守ってもらえないでしょうか・・・?」

「無理だ。俺たちじゃチャレンジャーとには勝てない。それに依頼料は祓えるのか?」

「そ、それは・・・」

「だろ?それにチャレンジャーが出たのなら依頼料はかなり高いぞ?」

何か脅しを駆けるようなライトさん。何も知らされてなかったことへの腹いせだろうか?

「ともかく二人も乗れ」

「あ、私はまだ村に残るので」

「・・・私も残ります」

「はぁ?この依頼はもう継続不可能なんだよ」

「それでも村の人が危ないのは確か」

「冒険者は慈善事業じゃねぇんだぞ・・・まぁいい。それなら置いてくぞ」

「その前に依頼書を貰えませんか?」

「あぁ、ほらよ」

ライトさんは依頼書を私に渡すとミーンさんとアリムさんを連れて無理やり調達した馬車で村を出ていった。

「どうして残ったの?」

「これは私の償い。あなたを残して撤退したことへの謝罪と償いをと・・・」

「うーん、そんなに硬くならなくてもいいよ」

「・・・それでシズネさん。これからどうするの?」

「えーっとそれなんだけどさぁ・・・」

私は空間収納の魔法を使ってチャレンジャーの首を出した。

「!!これは・・・チャレンジャーの首!?ウソ・・・」

「いやー何とか倒せましてな。とりあえずゴブリンの巣自体はほとんど無力化できてて後は森に散らばったゴブリンくらいなんだよねー」

「なぜライトに言わなかったの?」

「いやー今言ったら共同の成果になりそうじゃん?それとみんなが撤退するときなんか変な臭いを出す玉が投げられたんだけど知ってる?」

「臭い玉ですね。魔獣を引き寄せる効果があります。・・・ミーンはあなたを囮にして撤退をしたんでしょう・・・。私もあの時は何もできず、ごめんなさい・・・」

「うーn、そっかぁ・・・」

やっぱり私は囮として置いて逝かれたらしい。

「でもギルドに言えば相応の措置をしてもらえるはず。査問官には嘘判別のスキルを持った人がいるからすぐにわかってもらえる。処分は・・・ランクの降格くらいだろうけど・・・」

「うーん今はそんなことは気にしないかな。帰った時に覚えていたらするくらいで」

「いいの?命の危機だったのに」

「まーそうなんだけど、とりあえずは村の人を守らないと」

「確かにそれが先決」

とりあえず私たちはその日は休憩に当てて、翌日に森に入ってゴブリンの残党の掃討をすることになった。

 

「よし、行こうか」

私たちは森に入ってとりあえず先に洞窟を見に行くことにした。散らばったゴブリンが帰ってきているかもしれないからだ。

「ギッギッ」

そして案の定洞窟にはゴブリンが戻ってきていた。数は10体くらいか。とりあえずエラムさんが洞窟に落ちていた石を魔法で浮かせて持ってきていた。

「それって魔法?」

「えぇ。魔法です。操作の魔法って言って、私は放出しかできませんが極めれば物を自在に操れるとか」

なるほど。面白い魔法もあったものだ。私も極めたら刀を浮かせて手数を増やせないものか・・・

「へへ・・・」

「どうしました?」

おっと。まだ見ぬ興奮に顔が緩んでしまったらしい。とりあえずエラムさんの魔法で浮かせた小石でゴブリンを奇襲させ、その後私が突っ込むことになった、

「行きます!!」

魔法で浮いた小石がゴブリンたちを襲う。不意の突かれたゴブリンたちは慌てふためく。以前いたゴブリンたちと違って戦い慣れていない個体だったのだろう。≪慧眼≫で見た限りレベルも低かった。

「ハッ!!」

私は混乱しているゴブリンを次々と斬っていった。私の足が強化されていたのは先のゴブリン退治でレベルが上がったことで習得した≪速歩≫というスキルが影響しているらしい。気になって昨日の夜に自分のステータスを見てみたらレベルが5上昇し、スキルの増加を確認できた。

そしてすぐに私たちは洞窟のゴブリンを掃討することができた。私が怯んだゴブリンを斬り、復帰しつつあるゴブリンはエラムさんが魔法で牽制し、時間を稼いだ。なかなかのチームプレイができた思う。

「とりあえずこれで終わりかな」

「楽に勝てましたね」

とりあえず魔石を拾って洞窟を後にした。待ち伏せするという手もあったが、森のゴブリン全てが来るとは限らないからだ。エラムさんから聞いたことなのだが、今回の場合は元々自然発生する森と違って、今回のゴブリンはリポップすることはないそうだ。村の人に確認したところ、ゴブリンと戦えるのはわずかだという。だから私たちはできるだけゴブリンを討伐することにした。

洞窟の規模からして数は40から多くても50ぐらいだとか。とりあえず初回で20体、洞窟で24体倒しているからもう森にはゴブリンはいないだろうと判断し、私たちは村に帰ることにした。

詳細を村長に話して、依頼は完了となった。少数のゴブリンならば戦えると言っていたので安心だろう。

ライトさんから依頼書にサインをもらって村からのお礼ということで馬車を出してもらえることになった。

王都への道中。私たちは身の上話に花を咲かせることになった。

「そうですか。シズネさんは流浪の一族の出で鍛冶師なんですね」

「エラムさんはどこで魔法を習ったんですか?」

「王都の魔法学校で学びました。費用はいりますが、検査で合格すれば誰でも学ぶことができるので。冒険者からすれば学びたいときに学べるので便利ですよ」

「なるほどなー私もお金が溜まったら行ってみようかな?」

「チャレンジャーの魔石は1万ゴールドほどになるはず。チャレンジャーの首も加工師に売ればいい金額で売れるはずです。貴族がよく飾りなどに用いますから」

つまり私は大金を手に入れる術を二つも持っているということになる。話しているうちに日も暮れてきて、完全に夜になる前に王都につくことができた。私たちは馬車を出してくれた人にお礼を言って冒険者ギルドへと向かった。

「えぇっと、魔石の換金と依頼完了の報告を・・・」

「わかりました。では依頼書の提出をお願いします」

「え、お前ら依頼を達成したのか?」

後ろから声がかかったものだから振り返ってみるとそこにはライトさんがいた。

「はい。チャレンジャーも倒して、予想される数のゴブリンも倒したので村の方から依頼達成としてもらうことができました」

「ちゃ、チャレンジャーを倒しただって!?」

ライトさんの大きな声でギルド内がざわめく。

「おいおい、チャレンジャーを倒しただって?」

「二人でか?ならCランクか?」

そんな声がざわざわと広がっていく。

「では依頼書ですが、当初の報酬金でよろしいですね?」

「はい。それで構いません」

「それから魔石の方ですが、ゴブリンの魔石が32個で6400ゴールド。それからゴブリン・マジシャンの魔石が一個で1200ゴールド。それからゴブリン・チャレンジャーの魔石が一個で1万2千ゴールドとなります」

合わせて約1万7千ゴールドを手に入れることができた。依頼の方は4千ゴールドだったのでエラムさんと分けて2千ゴールドを貰った。最初はエラムさんが要らないと言っていたけど、次の日に手伝ってもらったということで押して受け取ってもらった。しかしそれに難色を示した人がいる。

「あー、その。俺たちも同じパーティーだったろ?だから・・・」

「・・・それからもう一つ。パーティー内で許可を得ずに一人を囮にして他のパーティーメンバーが敵を前に撤退した」

エラムさんが言った言葉にギルド内はさらに騒がしくなる。

「おいおい、つまりあの優男がやったってことか?」

「確か女ばっか連れている奴だったよな?」

言葉が増えていくうちにライトさんの顔が青くなっていく。

「ちょっと!!あの時は仕方なかったのよ!!それにFランクでも倒せたんでしょう?なら囮じゃないわよ!!」

ミーンさんが何かフォローをしようとするがそれがさらに群衆を騒がしくすることになった。

「Fランクがチャレンジャーを倒した?何かの間違いじゃないか?」

「どこかの傭兵だった奴が転職したのかもしれないぜ?」

「とりあえず規約違反の可能性があるため、審査を受けて貰います。パーティーはエントリーしていた人たちですね?」

「それで問題ないです」

エラムさんが淡々と答えていく。

「ま、待ってくれ」

「では明日の朝審査を行うことにします。参加されなかった方は強制的にランクの降格とペナルティを課せることになります」

結局審査が行われることになった。まぁ、命に係わることだから私も何も言うことは無かった。とりあえず私たちは自分の泊っている宿に戻って夜を越した。

 

そして朝、私とエラムさん。それからライトさんとミーンさんにアリムさんと全員揃っていた。そして私たちはギルドの部屋に案内された。そこには二人の人が座っていた。

「では審査を開始します。まず、パーティー内にて故意で一人を取り決め無しに囮として、他のパーティーメンバーが撤退した。これに嘘はありませんね?」

「それで間違いない」

淡々とエラムさんが答えていく。

「ま、待ってくれ。あの時はチャレンジャーを見て混乱していたんだ。ミーンも混乱していて煙幕玉を投げるのを誤ったんだ!!」

「違う。煙幕玉と一緒に臭い玉も投げていた」

「なるほど。その意見に嘘偽りは無いようですね」

「ま、待ってよ!!」

「故意に囮としたことに間違いは無いようですね。ではシズネさん以外のランクを降格。それからペナルティを受けて貰います」

「えーっと、いいですか」

「何か?」

「エラムさんは償いとして次の日に残ったゴブリンの討伐に手を貸してくれました。依頼遂行への心意気は確かにあったと断言します」

「ふむ・・・そうですか・・・」

「おい、待てよ!!なんでソイツだけ庇うんだ!!」

「では結果を言い渡します。ライト・テラール、ミーン・アニスタ、アリム・ホーロの三名をFランクに降格。それからペナルティとして一定期間依頼報酬金のギルドへの提出を課します。エラム・テルシアは特例としてランクの降格は無し。一定期間の依頼報酬金のギルドへの提出のみとします。ではステータスプレートを提出してください」

こうして判決が下った。解散となってからはライトさんとミーンさんは私に悪態をついて去っていった。

「その、すまんかったな。置き去りにして・・・」

唯一アリムさんはお詫びの言葉を言って帰っていった。

「シズネさん。ありがとうございました」

そしてエラムさんが頭を下げてお礼の言葉を言ってくれた。

「いいのいいの。お咎めが空かなかったのもエラムさんの心意気がちゃんとしていたからだよ」

「そう、ですか・・・」

「それにしてもこれでパーティーは解散だろうね・・・」

「あの・・・良ければ私とパーティーを組んでもらえないですか?」

「え?」

「あ、ですぎたことを・・・今の言葉は気にしないでください・・・」

「ううn、いいよ。組もうよ。パーティー!!」

「良いん、ですか?」

「うん!!」

「ありがとうございます・・・」

「あと私のことはシズネでいいよ」

「私も、エラムでいいです」

「んじゃぁ、よろしくね、エラム」

「はい、シズネ」

こうして一つのパーティーが解散となり、そして新しいパーティーが生まれたのであった。




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