刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第二十五話

工房を持つと言ってもすぐにはできない。掃除や改築に時間がかかるのだ。一週間は欲しいと言われたのでそれまでは冒険者としてお金を稼ぐか魔法学校に行くしうかなかった。

というわけでお金を稼ぐべく私は冒険者ギルドに行くことにした。

「依頼か。手ごろなのは岩熊がでたというのがあったな」

「岩熊?」

「岩山に住む魔獣でどういった生体構造をしているのかは知らんが岩石を食事取るうんだ。大抵食事となる岩石を求めて鉱山などに現れると言う。石を食うだけあって皮膚はかなり硬い。それに岩石を彫る前足や歯はかなり鋭い。どうだ、いけそうか?」

「うーんやってみないとわからないけど倒せそうなら行ってみよう」

「魔法はあまり効果はないと言われています」

「え、そうなの?」

「本来自然由来の者には加護は付きやすいですがエンチャントを始めとする魔法は付着しにくいのです。同じように自然の産物である石を取り込んでいる岩熊には魔法が効きにくいとされているのです」

「うーんそっかぁ・・・」

「ただ討伐時に残る皮はかなり硬く、盾や鎧の一部に用いられるため高価で買い取ってもらえるそうです」

「岩熊はこちらが襲わない限り襲ってこない魔獣でも珍しい温厚な奴だ。緊急ではないらしいから受けてみるのいいだろう」

「よし、行ってみよう」

こうして私たちは鉱山の近くに現れた岩熊の討伐以来を受けることにした。とりあえず数日分の食糧と水を買い、出発する明日に備えた。

 

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朝。待ち合わせの時間にはまだ早いけど私は王都の門のところへ向かった。でもやっぱりリーシャさんが一番乗りだった。

「おはよう。シズネ。よく眠れたか?」

「うん。ぐっすりね」

「皆さん早いですね」

でもすぐにエラムも来て私たちのパーティーは集まった。鉱山のある町へ向かう馬車に乗って私たちは二日の旅を楽しんだ。

・・・といってもずっと馬車に乗っていて体は固まるしお尻は痛くなるばかりであった。そんな思い出しかなかったのだが・・・、

そして鉱山の町、フェーンに着いた。

「ここがフェーンの町だ。あまり来ることは無いのだが、この町は王国でも有数の鉱石を産出しているんだ」

鉱石を産出する町、つまり工房を開く私からすればお世話になる町になるかもしれないわけだ。

「しかしここにも冒険シャギルドはあったはずだしそれなりに腕が立つ者もいるはずだ。それが王都に依頼が届くとはな。ともかくこの町の冒険者ギルドに行ってみるとしよう」

私たちはフェーンの冒険者ギルドを訪れ話を聞くことにした。

「あぁ、岩熊?何人か冒険者が挑んだらしいがそいつらでも歯が立たなかったらしいぜ。ここいらじゃ岩熊が出るのはさほど珍しいことじゃないから大抵のやつは経験者なんだがな。どうやらそ今回出た奴は図体はデカイし皮膚もかなり硬いらしい」

「通常よりも硬い皮膚か・・・」

「あぁ、柔らかいとされる関節の裏側の皮膚なんかが普通よりも硬いんだとよ。セオリーは足の関節を壊してから首元にトドメを入れるんだが、動きを封じれない以上首元にも攻撃ができなくてな。嬢ちゃんたち、岩熊に挑みに来たんだろうけど止めといたほうがいいと思うぜ」

とりあえず聞き込みを終えた私たちは集合して話し合う訳になったのだが・・・。

「通常よりも硬い皮膚を持ち経験者である冒険者でも勝てないとなると私たちでは挑戦しても結果は火を見るよりも明らかだとは思うが・・・」

「でもそれだとここに来たのはただの遠足になっちゃうよ」

「そうだな。戦いを生業とするなら挑むことを止めては名折れだ。今日は休んで明日挑んでみるとしよう」

とりあえず宿に休んで英気を養ってから挑戦することになった。

そして次の日。私たちは岩熊が現れたという山へ向かった。山道はごつごつしていて歩き辛く、それが疲れを倍増させていた。

「うむ。やはり山は鎧姿だと倍以上に疲れるな」

息苦しいのかリーシャさんは兜を外して歩いていた。

「皆さん。あたりの石の様子が違います」

エラムの言う通り岩肌にいくつか穴が開いていた。

「岩熊が出ているから穴を掘るのが仕事の鉱夫も山に入っていない。となると穴を掘ったのは岩熊しかいないな。普通、時間が経てば穴は塞がるが未だにい空いたままなら近くにいる可能性があるな」

そのまま掘られた岩肌に添って少し進むと巨大な灰色の物体が見えてきた。それはモソモソと動いていた。

「あれが岩熊だ。今は食事を終えて休んでいるのだろうか」

岩熊はこちらをみてもグォォと鳴くだけで興味を失くしたのか視線をそらした。

「よしとりあえず岩熊は私が引き付ける。今回はシズネの鋭利な剣が要だ。頼むぞ」

「わかった」

私たちはエラムの先制攻撃で視線を外した岩熊に向けて進み始めた。大ぶりな前足の攻撃をリーシャさんが大盾で受け止める。まるで金属同士が勢いよくぶつかったような音が響いた。私はリーシャさんに注意が向いてる岩熊の後ろに回りこんで、後ろ足の膝のうらの関節部分に突きを放った。

「グア?」

しかし渾身の力で放ったはずの突きは効くことは無く、手が痺れただけであった。岩熊の注意はこちらに向かなかったためその後も、突きや切払いを放ったがまったく通らなかった。

「リーシャさん!!私の刀でもダメみたい!!」

「・・・そうか。やはりダメだったか。撤退するぞ。幸い奴の動きは遅いし執拗に追っては来ない。急いでここから離脱するぞ」

「ちょっと待って。まだ試したいことがあるの」

「何?」

「エラム。火属性の魔法と氷属性の魔法は使えるんだったよね?」

「使えますが・・・魔法は効かないはずですよ」

「威力は今回は必要ない。ただまずは火属性の魔法を連続で当ててみて!!」

「・・・何か考えがあるようですね。やってみます」

エラムは膝の裏へ向けて火属性の魔法を連続で放った。その数十発に及んだ。

「今度は氷属性の魔法を撃ってみて」

「今度は氷を?わかりました」

そして氷の魔法を放った。そして一発目が当たった瞬間、パリンと大きな音が響いた。その途端、岩熊の右足が地面に突き、態勢が崩れた。その隙を逃さず私は突きを繰り出した。

「グモァァァァ!?」

山に木魂するくらいの悲鳴が響いた。今度は突きが通じたのだ。

「一体何が・・・」

ともかく岩熊は完全に態勢を崩し、背中から地面に倒れた。何度も立ち上がろうとしているが右足が動かないためモゾモゾと動いているだけだった。

「ともかくチャンスだ。シズネ、首元だ!!」

私はゆっくりと岩熊の首元に近づいて刀を添えて突き刺した。それが決め手となったか岩熊は悲鳴を発し、動かなくなった。そして死んだ岩熊の身体は塵となって消えた。そして岩熊の背中のものと思われる皮と岩熊の魔石が残っていた。

「なんとか討伐できたか・・・しかし何が起こったのか説明してくれるか?」

「うんとね、石って熱してその後に一気に冷やしたらヒビが入るんだ。だから同じように岩の皮膚を持つ岩熊の肌をエラムの火属性の魔法で熱してその後氷属性の魔法で冷やしてみたんだ。そしたらうまくいって皮膚にヒビが入ってそこを突いてみたんだ」

「なるほど・・・。詳しくわかったが、シズネはよくそんなことを知っていたな」

「色々あってね。ともかくこの皮大きいね」

「はい。これだけで一つ鎧が作れそうです。魔獣の者ではありますが岩熊の皮は自然由来の物に近く加護が付きやすいと言われています」

「うーん、リーシャさんの盾かなりボロボロになったね・・・」

「岩をも掘る前足の爪に何度もさらされたからな。こうなるのは覚悟の上だ」

「そうだ。この皮いくらで売れるかわからないけど売った資金はリーシャさんの盾を修理する資金にあてようよ」

「いや・・・流石にそれは・・・」

「今回はシズネの機転とリーシャさんの尽力あってのものです。それがいいかと」

「・・・すまないな。好意に甘えさせてもらおう」

とりあえず岩熊の皮を空間収納の魔法に入れて私たちは山を下りた。そしてそのままの足で私たちは冒険者ギルドに行き、達成の報告と魔石の換金を行った。岩熊の魔石は一個で5千ゴールドになった。依頼金が6万ゴールドで合計6万5千ゴールドになり一人当たり大体2万3千ゴールドになった。

「おいおい嬢ちゃんたち。岩熊を倒したってらしいがホントに倒したのか?どっかで岩熊の魔石を買って報告したんじゃねぇのか?」

私たちの報告を疑う野次馬たちがいた。

「そんなことはない。実際に討伐した」

「ドっから来たのかしらねぇが、場慣れしている奴らが枯れなかったのを嬢ちゃんたちだけで狩ったなんて信じれるか」

「なら・・・」

私は野次馬に見えるように岩熊の皮を収納空間から出した。ズシンと皮は落ちた。

「デケェ・・・。普通の岩熊の皮じゃないぞこれ」

「あぁ。実際に何度も岩熊を狩ってきたがこれほど大きい皮は見たことが無い」

どうやら私たちのことを信じる数の方が多く、言いがかりをつけてきた男はすごすごと去っていった。

「なあなあお嬢さん。どうやってデカイ岩g妻を倒したんだ?」

今度は私たちは質問攻めにあうことになった。

「うーんっと・・・」

正直に言おうとする私の口をエラムが閉じた。

「ここで馬鹿正直に言うよりギルドに言って情報料を取った方がいいですよ」

「そんなので貰えるの?」

「はい。今回の場合、通常の岩熊にも効く可能性高いので貰えるかと」

「ざy、じゃぁ情報はギルドに言うのでそこで聞いてください」

逃げるようにして私たちは受付に戻った。

「岩熊の効率のいい倒し方?では奥の方にどうぞ」

私たちはギルドの奥の方へと通された。その部屋には一人の男性が座っていた。受付の人が何やら耳打ちをしていた。

「ふむ。岩熊の効率の良い倒し方を知っていると言ったが、どのようなものなのかね?」

「はい。しかし実証するには現物が無いと・・・」

「ふむ。用意させよう。討伐した岩熊の皮がどこかにあったはずだ。実証はここでできるかね?」

「はい」

少し経って岩熊の皮と思われるものが持ってこられた。

「で、これを実験体とするが。これをどうすれば効率が出るのかね?」

「えっと、エラム。火を持続的に出せる?」

「はい。できますよ」

「ではまず皮を熱します」

エラムに魔法で岩熊の皮を熱してもらった。

「対象を熱し温度を高めます。そしてそこにエラム、今度は氷をお願い」

「了解」

実際に熱した岩熊の皮の上に氷を落とした。するとパキンと岩熊の皮が割れた。

「お、おぉ・・・。岩熊の皮がこんなに簡単に・・・」

「こうすることで岩熊の皮を割ることができます。今後、今回でたような皮が硬い個体に対しても有効かと思います」

「おぉ、これは重要だ。苦心して叩き折るしか加工する方法が無かった岩熊の皮をこんなに簡単に割れるとは・・・。これは割れる範囲を固定できるのかね?」

「熱する部分を変えればおおまかには可能かと思われます」

「これは大発見だ。狩猟だけでなく加工にも役に立つ。元来必要とされてなかった魔法使いにも立場を作ることができる。よくぞ知らせてくれた」

「えぇっと・・・」

「うむ。言わずともよい。報酬のことであろう。君たちのパーティーは三人かね?」

「はい」

「いや、この考えを出したのはシズネだけだ。報酬はシズネだけでいい」

「確かに」

「そ、そうか。ではシズネとやら。これを本にして売ること権利を貰う代わりに報酬として10万ゴールドを祓う。これでどうか?」

「はい。それで構わないです」

「うむ。これで岩熊の研究も進んだ。すぐに新しい研究本の準備に取り掛かるとしよう」

こうして副産物として10万ゴールドを得ることになった。ギルドから帰る途中私は気になったことを聞いた。

「よかったの?倒したのは私たち3人な訳で・・・」

「考えは生み出した者の物だ。私たちは実行しただけにすぎん」

「欲を出したら罰が下る。それは前に学んだ」

「それに私は岩熊の皮の代金を修理費に当ててもらう立場だ、これ以上何もせずには受け取れない」

「そ、そう・・・」

とりあえず胸のつっかえは取れた。こうして私たちは依頼を完了させて副産物も得て王都に帰るのであった。




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