刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第三十六話

ケミルさんから話を聞いて、王都に帰ってきた私はまず看板屋さんに足を運び、店の看板と複数の看板を注文した。

そして数日後、私の工房に看板を付けに来てくれた。

「おい、シズネ。店の看板はともかく、こっちの看板は・・・」

「流石に収益が出ていないといのに弟子を募集するのは・・・」

「いいの。決めたことだから」

こうして看板が取り付けられて明日にも開店の準備が進められていった。

 

そして次の日。私の工房・『シズネ工房』がオープンした。そして店先の小さな看板にこう書かれていた。

『お弟子さん募集』と・

お客さんを呼び込むために冒険者ギルドの方にも話をして広告を出させてもらった。それなりに取られはしたけどね・・・。

三人で店を開いた後、エラムは魔法学校にリーシャさんは訓練所に出かけて行った。私は店のカウンターにちょこんと座っていた。

そして日が沈むまで店にいたけどお客さんは誰一人として来なかった。

「まー当然だよね。どこで技術を学んだとも書いてない一切不明な店なんだから来る人いないよね」

そうして私は店を閉めた。

 

そして次の日。今日も私は店を開いてお客さんが来るのを待った。

そして昼過ぎ。ちょっとウトウトしていた時、店のドアに着けている鈴がなった=つまり誰かが工房を訪れたことになる。

「い、いらっしゃいませ!!」

「やぁシズネ。ようやく店を開いたようだね」

シズネ工房のお客様第一号はレオ王子だった。レオ王子が来てからはレオ王子の相手でつきっきりだった。

「シズネ。広告は出しているようだけど、君が作る特殊な剣は宣伝には使わなかったのかい?あれなら武器だけじゃなく美術品としても売れるだろうに」

「刀は商品にするのはまだ止めておきます。あれは特殊ですから。まずは普通の武器を売って様子を見ようと思います」

「ふむ・・・なるほどね。ウィリアムの意見の通りか。まぁ冒険者が人間を相手取るとなると盗賊が主になるが・・・冒険者自体が盗賊になる可能性もあるからな。色々と考えるのは普通か」

それからレオ王子と少し雑談をした後、レオ王子は帰っていった。ただ一つ大事なことを言ってくれた。

「そう言えば店を開いたのは良いけど、君、商品の見本となる物、おいてないじゃん」

「・・・あ」

そう、店は開いたのはいいものの、実際に売る商品を作ってなかったのだ。

そう言われて私はすぐに工房の奥に入った。炉に火を入れて玉鋼を作った炉がある庭(仮)で鉧から鋼を取り出してまた工房に戻った。そして炉の温度が高くなったのを確認してから私は鋼を炉に入れた。

熱した鋼をハンマーで打ち叩いて伸ばしていく。そして剣の長さにまで伸ばしたらそれを水で急冷して鋼の構成組織を密にする。そして出来上ったのを研いでみた。とりあえずロングソードを一本と短剣を一本作ってみた。

でも形としては日本刀のように細い物になった。折り返し鍛錬をしなかったので強度は刀より劣るだろう。けれど使った鋼自体が不純物をできるだけ取り除いた物であるから一定の強度はあるだろうから見本としては良いと思う。焼き入れをすれば見栄えも違っただろうけどそれだと手間がかかってしまう。

とりあえず仕上げた品を店先のガラス窓から見える位置に置いた。これでお客さん、釣れないかな・・・?

品を出してから結構変わった。最初は通行人は見向きもしていなかったのが、横眼で品を見る程度になったのだ。それでもよく見るロングソードなどとの形は違うから普及させるのには時間がかかるだろう。

そして結局その日もお客さんというお客さんは来なかった。

 

そして次の日も私は店を開けた。朝は結局誰も来なかった。だけど昼過ぎ、ドアの鈴が鳴って誰かが店のドアを開いたことがわかる。

「いらっしゃいませー」

「ふーん。貧乏くせぇ店だな」

入ってきたのは大人の男性が数人だった。リーダーのようなのが一人と子分のようなのが数人。

「おい、本当にこの店から王子が出てきたんだよな?」

「はい、間違いありません」

「おい、ここじゃ何売ってるんだ?」

ちょっと威圧的な人ではあるがお客さんには変わりはない(・・・多分)

「そこに飾っているのが見本となります」

「ふーん・・・ただの鉄の棒を磨いただけじゃねぇか。それに軽い。こんなんじゃ役にたたねぇな。行くぞ」

そう言って男性たちは店を出ていった。

「ま、そう思うよね」

実際の物を知らなければ私が作った剣はただ鉄の棒を平らにして磨いただけに見えるだろう。

それに先ほどリーダー格が王子のことを言っていた。つまり王子が目当て、もしくは王子関連で何かあったのかもしれない。、まー帰ってしまえば知ったこっちゃないんだけどね。

そして結局その日もお客さんは来なかった。日も落ちたので店じまいをしようと看板を下げるために店を出た。そして『OPEN』の看板を変えようとしていたその時だった。

「ね、姉ちゃん。ここの店の人?」

後ろから声が聞こえたので振り返ってみるとまだ幼さが残る少年と小さな妹がいた。

「どうしたのかな?親御さんとはぐれちゃった?」

「あの、この店の偉い人に会えないかな?」

「うーんと私が一番偉い人になるかな?」

「じゃ、じゃぁ・・・俺たちを弟子にしてくだしい!!」

「お、お願いします。できるだけ頑張るので雇ってください」

「えぇっと、まずは話を聞かせてくれるかな?」

これがアルとミーナ、二人の兄妹との出会いだった。




ありがとうございました。コメントで意見や感想を頂けるとと幸いです。
ちょっと前話が気分的にどうかと思ったのでもう一話投稿しました。
続きを書きたい衝動に駆られているので今日か明日に三十七話が上がる予定です。
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