「えぇっと、まずは名前を聞かせてくれるかな?」
「俺はアルって言います」
「わ、私はミーネと言います」
「君たち、親御さんは?」
「父さんは王都で冒険者をやっていた。だけど一年前に死んだ。母さんは知らない男の人に着いて行って家を出たまま帰ってこない」
「今まではどうやって生活してきたの?」
「俺が冒険者登録をして依頼をこなしてた。施設のゴミ拾いとか。孤児院じゃ拾ってもらえなかったから」
つまり要約すると彼らの父親は死んでしまい、母親は再婚したか別の男に着いて行ったまま育児放棄したわけだ。そして孤児院が面倒を見るのを拒否したと。そんなところへリーシャさんが帰ってきた。
「どうしたんだ、その子たちは?」
「えぇっとここで働きたいらしくって」
「・・・ふむ。君たち、少しここで待ってなさい。シズネ、ちょっと来てくれ」
リーシャさんは二人の返事を聞く前に私を連れて二階へと上がった。
「ど、どうしたの?」
「あの二人、孤児だろ?」
「う、うん」
「なら雇うのはやめておけ」
「ど、どうして?親に捨てられた子だよ。できるなら面倒を「それはダメだ」ど、どうして・・・」
「いいか?私はシズネがどういう環境で育ってきたかは知らない。だが王都で暮らす以上知らなければならないことがある。王都での孤児は珍しくない。むしろ農村などよりも多いかもしれん。つまり孤児はあの子たちだけじゃない。あの子たちを雇えば次の子たちが話を聞いてやってくる。その全員をお前が面倒を見れるとでも言うのか?」
「そ、それは・・・」
「可哀そうだがこれが王都の暗黙の了解ってやつだ。あきらめろ」
「・・・やっぱりできないよ」
「だがな・・・」
「確かに話を聞いて他の子たちも来るかもしれない。でもね、私には少し隠し財産があるんだ。だから・・・」
「隠し財産・・・。そんなことを聞いたら孤児院が子供を引き取れと言ってくるぞ」
「・・・ねぇ、王都での孤児って何歳くらい?」
「10歳前後が一番多いな。流石に乳飲み子や幼児は孤児院などで保護されているはずだ」
「ならさ、十分働けると思わない?」
「いいや。まず孤児は文字が書けない。言えて自分の名前くらいだ。下男にもならないだろう」
「なら読み書きを教えればいいんだよ」
「いいか、学校は「小さな子供が寄る辺もなく、こんな日が暮れた後でも仕事を探してるんだよ!!それを知っていて私だけ暖かい食事と寝床で寝ることなんて私にはできない!!」シズネ・・・」
「来るなら来い!!来たら全員教育して働ける場所を探してやる!!」
「決意は見事だが容易くは無いぞ?」
「わかってる。でも知ってしまった以上私に放っておくっていう選択肢はない」
「わかった。お前はここの家主だ。私は何も言わない。だが私たちは共に冒険者でパーティーを組んでいるということを忘れないでくれよ?」
「いいえダメです。私は反対です」
そう言ってリーシャさんはため息をついて了承してくれた。だけど新たなる敵、エラムが現れた。
「エラム・・・」
「良いですかシズネ。あなたがどれだけの財産を持っているのかは知りません」
「あ、そこから聞いていたんだ」
「茶化さないでください。いいですか?王都には孤児院がいくつもあります。なんとか今は国の補助で生活ができていますがそれでも貧しい暮らしなのには変わりありません。そんな時、一部の孤児だけが働き口を得て少しでも解放されたとなると、他の子たちや孤児院の人が黙っていませんよ」
「そ、それは・・・」
「現在王都にある孤児院は六個。そしてどこも30人近くは孤児を抱えています。そして孤児院にすら入れない孤児も何人もいるでしょう。孤児院が面倒を見れないから断ったり、理由は色々あるでしょう。それら全員・。・いいえ、半分でも押し寄せてきたらどうするんですか?」
「確かにできない・・・」
「でしょう?可哀そうですが・・・」
「・・・それでもできないよ。」
「ですがシズネ・・・」
「孤児院の子供はともかく、寄る辺もない子たちは見捨てられないよ」
「ですが・・・言いたくはないのですが最悪の事を伝えておきます」
「何?」
「これはこの国とは別の国で起きたことです。実際にシズネのような志を持った貴族がいました。その貴族は財産を投げ打ち寄る辺のない孤児を拾い上げました。確かに貴族は志通り、寄る辺のない孤児を救い安定とまではいきませんがそれでも貧しい暮らしから脱却させることに成功しました」
「な、なら私もそれを真似すれば・・・」
「最悪なのはここからです。貴族が孤児を大成させたことを聞いた孤児院が孤児を捨てたのです」
「えっ!?」
「孤児院としても仕事なのです。ですが国によって給料なども違い、最悪自分の給料を使ってまで孤児と同じ生活しかできないところもあると聞きます。そんな中一部の孤児が大成したと聞くなら自分の生活を引っ張る孤児を捨てて面倒を見てもらおうとしたのです」
「そんなことが・・・」
「そしてその貴族はその孤児の面倒まで見ることになり、結局のところ破産寸前にまで追い込まれました」
「それでどうなったの・・・?」
「拾った子たちが多すぎて仕事を斡旋することや読み書きなどの教育ができなくなり、闇商人を通じて奴隷売買に走り、その後奴隷の使用で捕まったとのことです」
「拾った孤児たちは・・・?」
「保護をしていた貴族が捕まったことで元の生活に逆戻り。孤児院に戻れたかまではわかりません。ですが孤児院は拒否した可能性が高いですね」
「そ、それはどうして?」
「その国で奴隷売買が活発かしたと聞きました。そしてその多くが子供だと」
「そんな・・・」
「だからシズネ。あの子たちには可哀そうですが諦めてください。この国で同じことが起きるかもしれないのです」
「・・・ちょっとあの子たちの相手をしていてくれない?ちょっと行きたいところができたから」
「諦めないんですか?」
「・・・これが上手くいかなかったら諦める。だけど・・・足掻けるのなら足掻いてみる」
そう言って私は家を飛び出していった。そして私が訪れたのは・・・。
「急用でございますか?しかし今日のところはお引き取りください。王子もすでに休まれる頃ですので・・・」
「お願いします!!子供たちの命がかかっているんです!!」
私は声の限り叫んだ。この建物の主に届くことを願って。
ありがとうございました。コメントで意見や感想を頂けるとと幸いです。
まだ続きを書きたい衝動に駆られているので今日か明日に続きが上がる予定です。