刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第三十九話

アルとミーナと出会って一日。私は決戦の会議が終わるのをレオ王子の執務室で待っていた。

「やぁ、待たせたね」

そしてレオ王子がハインさんを伴って入ってきた。

「ど、どうでした?」

「父上は喜んで承認してくれた。他の主だった人間も首を横に振ることは無かったよ」

「つまり・・・」

「俺たちの勝利って訳だな」

「よかったぁ・・・」

「ではハイン、予定通りに頼むぞ」

「承知いたしております」

「さて、シズネ。君も店があるだろう?」

「はい。失礼させてもらいます」

私は勝利のままレオ王子の執務室から出た。これで孤児院の子供たちも孤児院に入れないような子供たちも救われる。それが例え自己満足だと言われようとも、それで救われる人がいるのならば喜んで罵られようと私は思う。そして私は自分の店に帰ってきた。

「あ、シズネ。お帰り。お客さんが来てるよ」

「お、お客さんが?すぐ行く」

どうやら運が回ってきたのかお客さんが来ているらしい。私は急いで工房に向かった。

「お待たせして申し訳ございません。私が店主のシズネと言います」

「ど、どうも。使える剣を探しているんですが・・・」

「レプリカはご覧になりましたか?」

「はい。子供たちに勧められて触ってみました」

アルとミーナには午前中に簡単に接客のことを教えていた。どうやら上手く仕事ができたらしい。

「それでどうでしたか?」

「そうですね。この店には他の店と違い良い物を作ってくれると思いました」

「そ、そうですか・・・。まだウチは名も知れ渡ってませんよ?」

「私の剣の先生に言われたんです。『剣は作る人、使う人によって変わる』と」

「な、なるほど・・・。それでは話を詰めさせてもらってもよろしいですか?」

「はい。お願いします」

「ではまず刃の長さはどれくらいにしましょうか?」

「そうですね・・・レプリカのロングソードより少し短めでお願いします。洞窟内でも使えるように」

「なるほど・・・では柄の長さも同じくらい短くする方向でよろしいでしょうか?」

「はい。両手で持てるくらいでお願いします」

「重さは多分レプリカとそう変わらないと思います。何か気になる点とかはございませんか?」

「あ、値段は幾らくらいかかるんでしょうか?」

「そうですね・・・鋼の相場からして6千シルバーほどになりますね」

「ろ、6千ですか!?あの、使う鋼って鉄ですか?」

「はい。鉄を原料にした玉鋼ですね」

そういえば私が発案した玉鋼の名前は結局玉鋼になったんだっけ。

「た、玉鋼でこんなに安くなるんですか?」

「おや玉鋼をご存じで?」

「はい。冒険者ギルドでも玉鋼製の物がよく切れると話しているのを聞いたので」

「そうでしたか。では他に気になる点はございませんか?」

「はい、ありません、ではよろしくお願いします」

「あ、お名前を聞いてもよろしいでしょうか」

「あ、僕はアリムスと言います」

「アリムスさんですね。では剣は明後日にはできますのでそれ以降に来店なさってください。料金は完成品を見てからで」

「わかりました」

こうして初めての注文が入った。アリムスさんを見送ると私は気合を入れなおした。

「アル、ミーナ。仕事だよ!!」

「わかった!!」

「わかりました」

鈴のなるように二人は返事をする。まずは鉧から鋼を取り出すところから始める。二人に丁寧に教えながら鉧から鋼を取り出した。そしてその後工房に戻って炉に火を入れる。まず炉に取り出した鋼の破片を入れて熱してくっつける。

「これがどうなったら剣になるんだ?」

「それはねー見ていけばわかるよ」

鋼の破片がくっついたのを確認する。これも二人に実際に見せた。そして鋼を取り出しス・

「じゃぁこれからこれで鋼を叩くの」

そう言って二人に柄の長いハンマーを渡す。とりあえず私が鋼の向きを調整しながら二人に叩かせた。最初は上手く叩けなかったけど、数をこなしていく内にみるみる上達して上手く叩けるようになった。

こうして折り返し鍛錬を練習も含めて30回ほど行った。二人はへとへと寸前だったけどあともう少しだと鼓舞した。

そして最後に鋼を棒状に伸ばしていく。その後刃の部分を平べったくなるように叩いた。

後はちょちょいと私の方で作業をして一日目は終了した。お疲れの二人を労わりながら夕食を終えて眠りについた。

 

次の日。今日は昨日打った剣を砥石で磨いていくことから始めた。砥石を何度も変えながら磨いていく。今回は値段相応にするために焼き入れを省いた。だけど磨いていく内に折り返し鍛錬を経てできた地金の輝きがでてきた。実際に磨かれた剣を見て二人も驚いていた。

「父さんが使っていた剣と違って輝いてる!!」

「綺麗・・・」

うっとりしている暇は残念ながらなかった。その後柄の部分に木材を合わせて柄の基礎を作り、接着させて持てるように削っていく。その後皮を巻いて上から紐で縛り、柄の端っこに金具を付けて頭で縛る。そして日本刀で言えば鍔、西洋剣でいうガードを付け、その上から鎺を付けてガードを固定する。これで剣自体は完成した。

続いて剣に合うように鞘を作っていく。二つの木材に刃に添って線を引く。これは二人にさせてみた。

その後ゆっくりと削らせていった。二つあるので一人一個削らせてみた。その後私が調整して二つ合わせるとちょうど剣の刃がスルリと収まった。その後は木材を刃を収めたまま接着させる。うまく固定出来たら鉋で形を整えていく。上手く削ったら上から皮を巻いて接着させて完成となる。

完成した後三人で喜び合って後はアリムスさんが店を訪れるのを待った。

 

そして次の日。アリムスさんに完成すると伝えた日だ。その日の昼過ぎ、アリムスさんは店にやってきた。

「お待たせいたしました。こちらが注文された剣です」

実際にアリムスさんに剣を見せた。

「こ、これが注文した物ですか?」

「はい、そうです」

「すごい綺麗だ・・・。冒険者ギルドで見た剣と全く違う。す、すごいですね」

「これが当店の売りでございます」

「ほ、本当にこれが6千ゴールドでいいんですか?」

「はい、6千ゴールドで間違いありません」

「わ、わかりました」

アリムスさんから6千ゴールドを受け取る。こうして初の納品が終わったのであった。アリムスさんが帰るのを見届けてから三人でハイタッチをした。

「やったね」

「おめでとう。シズネ」

「おめでとうございます」

「うん、ありがとね。これがウチの仕事内容の全てになるね。ついてこれる?」

「がんばる」

「がんばります」

小さな決意とともにシズネ工房は歩み始めた。

そしてエラムやリーシャさんと依頼もこなして店と両立した生活が始まって一週間が過ぎた。

レオ王子から孤児への教育施設ができあがり、実際に教育が始まっていることを聞いて私は少しうれしかった。




ありがとうございました。コメントで意見や感想を頂けるとと幸いです。
これで孤児関連の騒動は終わりとなります。お付き合いいただきありがとうございました。
勢いで書いてあるので今日の分で誤字脱字があったらすみません・・・。
もしかしたら静音たちが偽善者に見えてしまうかもしれませんが温かく見守っていただければ幸いです。
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