孤児騒動からあってから一か月が過ぎようとしていた。私はたまにエラムやリーシャさんと依頼をこなしたり、数少ない注文を受けてアルとミーナと剣を打ったりした。武器の注文は月単位で見れば少ないだろうけど始めたばかりの私たちにとってはありがたい物であることに違いはなかった。
何もない日は三人で炭切りをやっている。後は練習用に伸ばした鋼に向けてハンマーを打つ練習をしたりと
やることは色々あるのである。
それに黙ってカウンターに座っているよりも何か作業を、特に炭切りとか他の店がやっていないようなことをやって見せていれば自然と注目を集めるようになるのだ。そうやってお客さんを釣ろうとしているわけなのです。そんな日を過ごしていた。そんな時リーシャさんがある提案をした。
「シズネ。クランというのは知っているか?」
「クラン?」
「知らないか。クランというのは冒険者や事業主などが集まって形勢するグループのようなものでな。上手く機能すれば依頼の時に必要な食糧や武器を安く手に入れることができたり、依頼を共有したり、事業主の方も固定された顧客を得ることができたりと色々とメリットがあるわけだ。」
「なるほど・・・。あ、私が店のことがあるからパーティーが組めないからクランで依頼をこなしたいってこと?ごめんね、最初に誘っておいてこんなになっちゃって・・・迷惑だよね・・・」
「迷惑とは思っていないさ。人にはそれぞれ事情があるのは当然だ。私がシズネのことをとやかく言うつもりはない。・・・だが、冒険者なら少なからず栄達を望むからな・・・。依頼をたくさんこなしたいという気持ちもある」
「やっぱそうだよねー・・・。パーティー解散する?」
「そ、それは急すぎるだろう。別段このパーティーが悪いという訳ではないし、むしろ制約がない分楽しいからな」
「そっか・・・。エラムはどう思ってる?」
「個人的にはお金が欲しいので依頼をこなしたいという気持ちもありますが急いては仕損じる可能性もありますから今のままでも十分です。ですがクランに入ると色々と情報などを共有できたりするので入ってみるというのもありかと」
「うーん、クランって派閥見たなものですしょ?王都にどれくらいあるのかな」
「大きいものは王都には無いですね。大抵は町になどあるようです。王都には中小のクランがいくつもあると聞いたことがありますね」
「クランの数と王都の鍛冶屋。どっちが多いと思う?」
「規模を問わないのであればクランの方が多いかと。制約として事業主は複数のクランに所属することはできないようになってます。まぁ、所属はしなくとも商品の売買などはするところもあるかもですが」
「うーん・・・冒険者三人に名の知れてない鍛冶屋。受け入れてくれるとこってあるのかな?」
「・・・いっそ自分で立ち上げてみるのはどうですか?」
「え、自分で?」
「はい。既存のクランなどは所属する条件として依頼報酬金を少し納めなくてはならなかったり、商品を安く売らなくてはならなかったりと制約がつくんです。ですが自ら立ち上げればこういった制約はなしに自由に動くことができます」
「なるほどねー。でも人、集まるかな?」
「先ほど言ったように冒険者は制約などを考えてフリーのままでいることも多いです。ですのでそこを
上手く利用して得になるような条件を付ければ自然と人は寄ってくるでしょう。ただ緩すぎたりすると他のクランからよからぬ言いがかりなどを付けられる可能性もありますが・・・」
「ふむふむ・・・。クランってかなりの寄合になるよね?そうなると依頼の取り合いというか人が集まれば集まるほど収入って減りそうじゃない?」
「クランは依頼をこなすこともあるが、大抵は魔獣の森奥深くに住むというオークやオーガ。西のネルミヤ王国との間にある草原に住むワイルドウルフの群れや」ミノタウロス。こういった魔石換金率が高い魔獣を狩りに遠征にでることがもっぱららしい。魔獣の森も西の草原も魔獣は尽きることなく生まれてくるからな」
「つまり人数が少なければ依頼を、多ければ遠征にとで収入を得る訳か・・。とりあえず立ち上げて見よっか」
「集めるだけならタダだからな。稼働するまでは収入は得られんだろうが・・・やってみなければわからんだろう」
「あ、肝心な話なんだけどクランって税金取られたりする?後どこで募集するの?」
「いえ、クランには税金はかかってないですね。募集については冒険者なら冒険者ギルド。事業主なら自分から交渉に行くしかないですね」
「なるほどねー。当面は冒険者を取り込まないとだから冒険者ギルドに張り紙を出してもらおう」
「あ、手数料が多く取られるでしょうが他の町にも募集を出した方がいいですよ」
「うん?それはどうして?」
「町の冒険者は大抵時間が経つと自然にそこの大手のクランに所属することが多くなるのです。理由はクランが依頼を独占とまではいきませんがそれなりに保有しますし、一人の冒険者なら達成できない依頼でもクランなら人が集まって達成できたりとしますからね。ただ長く入っていると納めなくてはならない金銭問題や人間関係などに不満を持ち、抜けたいけど他のアテがなくそのまま所属しているっていう人が少なからずいますからね。そう言った人を呼び込むためです」
「なるほど。それも冒険者ギルドでしてくれるのかな?」
「はい。そうですね」
「わかった。行ってくるー」
「ちょっと待った」
「グエッ」
駆けだそうとした私の首根っこをエラムが掴んだ。
「シズネ。クランを立ち上げるなら先に条件を決めなければなりません。特に金銭面。シズネは甘いですからね。しっかりと決めなければなりません」
「うーん・・・まずは冒険者ギルドに行って他のクランの情報とか見てみようよ。私基準がわからないし」
「そうだな。それがいいだろう」
ということで冒険者ギルドを訪れた私たちであった。
「これが今出されているクランの広告ですね」
何枚かエラムが広告を持ってきてくれた。
「どこも似たり寄ったりだねー。あ、でもどこも専属の鍛冶屋が無いよ」
「真っ先に目についたのはそこか・・・。確かにシズネならそうなるだろうが」
「後は納めるお金の方は・・・依頼報酬金の3%、2。5%・・・。大規模遠征の場合は収入の〇%がクラン運営資金に割り当てられる・・・。大体どこも同じだね。あ、クランホールありってのもある」
「クランホールはそのままクランの拠点となる建物のことですね。クランで違いますが宿舎を兼ねてたりと色々です。私たちが立ち上げるとなると新たに用意しなければならないですね。流石に住まいに他人がたむろするというのは気分がいささか・・・」
「うーんクランホールってどれくらいするのかなぁ?」
「規模にもよりますが500万は必要でしょう」
「500万かぁ・・・」
「まぁ最初は無くても良いでしょう。問題はそれをどうやって調達するかです」
「だよねー・・・」
「まぁここは同じくらいの金額にしておくのが良いだろう。無用な軋轢は勘弁願いたいからな」
「だね。じゃぁ依頼金の2%、遠征時の総収入の8%をクラン資金とするっと。んじゃ出してくるね」
こうして私たちのクランが立ち上がった。まだアルとミーナもいれて五人しかいないけれどね。
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今日は二話上げてみました。