刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第四十四話

朝。みんなで朝食を食べて一日の行動をお互いに言う。今日もまた工房に注文が入ったので私とアルとミーナは仕事である。

炉に火を入れて削りだした鋼を入れて作業を開始する。

もう二人と出会ってからとうに一か月が過ぎていた。二人の成長は著しく、しっかりと鉄を叩けるようになって、柄や鞘の装飾の手ほどきを始めていた。流石にまだ炉の温度をしっかりとは管理できてはいない。私もスキルが無ければ当然無理であったであろう。私の工房にトンカンと鉄を叩く音が鳴り響いていたのであった。

「ふー終わった終わったぁ」

折り返し鍛錬を終えて一休み。みんなで工房のカウンターで簡単にお茶にする。

「なーなーシズネ。明日って勇者が選ばれる日なんだろ?」

「あーもうそんな時期かー」

そう、ついに勇者が選ばれる日が明日まで迫っていたのである。おかげで多くの人が王都に集まっているらしい。これは買いだしに行っていたアルとミーナの報告である。おかげで冒険者ギルドも一杯の様子であわよくば張り紙を見て私たちのクランに入ってくれる人がいないかなーと思ってもみたり。

そんなわけで焼き入れまで終わったら鞘さ柄作りはほっといて私たちも勇者選抜のイベントを見に行くことにした。

 

次の日。王宮の前に人がすごい密度で集まっていた。私たちもその一部なのだが、すでに後ろも塞がっており退くも進むもできないありさまだった。

「多いなー」

「こんなに人が多いのは初めてです」

「うーん、イベント以来かな~」

「さてどんな人が選ばれるのでしょうか」

「さぁ・・・もう何年も行われていないからどういう基準化すらわからないらしい」

そして前の人たちが静かになっていった。どうやら王様が現れたらしい。

「我が国の民たちよ。よくぞ集まってくれた。これより、勇者選抜の儀を行う」

王様が何かをつぶやいていく。それに応じるように聖剣が鞘からひとりでに出た。

「さぁ、魔王を滅する聖剣よ!!真なる主の元へ行くがよい!!」

その言葉に応じるように聖剣は集まっている人の中へ飛び立った。そして一人の少年の元へと降りた。

「え・・・・ボク?」

どうやら集まった人達の中から選ばれたようだ。そして集まった人が波の様に左右に散る。王様が聖剣を受け取った少年のところへ来たからだ。

「聖剣に選ばれ市少年よ。魔王を討つ使命を背負う覚悟はあるか?」

「はい!!この身に変えましても!!」

「ふむ。名は何という?」

「ラークと申します」

「ではラークよ。修練を積み、魔王討伐に備えよ!!」

王様の言葉に応えるかのように新しい勇者の誕生を祝うように拍手が起こった。

「ダメだったかぁ・・・」

「アルは勇者に選ばれたかった?」

「うん。でもよく考えたら普通じゃ倒せないような魔獣とかと戦うんだろ?そう思ったら選ばれなくてよかったと思う」

「私は兄さんに危ない目に合ってほしくないです」

「ミーナ・・・」

その後は私たちは人の波に乗って自分たちの家に帰ってきた。そして人の圧に当てられたのを癒すため休んでいたところ、店のドアのベルが鳴った。

「あ、いらっしゃいませー」

「ここはシズネ殿の店で相違ありませんね?」

「はい、そうですが・・・?」

「ウィリアム様がお呼びです」

「ウィリアムさんが?」

「ウィリアムってあの剣聖の!?シズネ、剣聖に会ったことがあのか?」

「うん、まぁね」

私はやってきた使いの人と一緒に馬車に乗って王宮に来た。うーん。いつも何かあるならウィリアムさんが泊ってる宿で話すんだけど、何かあるんだろうなぁ・・・。

「やぁ、シズネ。よく来てくれた」

「やっほー」

案内された部屋にはウィリアムさんとレオ王子がいた。

「えーっと、どういったご用件でしょうか?」

「まぁ座るといい」

言われるがままに私は椅子に座った。

「ウィリアム」

「・・・こればっかりは仕方がありませんからね。シズネ。単刀直入に言おう。私は君に剣の指導をすることができなくなった」

「え・・・?」

「別に君が何か罪を犯したとかそういう理由ではない。新しい勇者が誕生したのは知っているだろう?」

「はい。私たちも見物していました」

「その勇者とともに剣の修練の旅に出ることになった」

「なるほど・・・」

「さほど驚いてはいないようだね?」

「剣を習うとするならばウィリアムさん以上の人はいないでしょうから」

「本当にすまない。勝手に弟子に誘っておきながらこういうことになってしまって・・・」

「あ、頭を上げてください!!」

「ふむ・・・」

「まぁ、ウィリアムから剣の指南を受けれなくなるのは俺もだからね。こればっかりは仕方がないと割り切るしかない」

「それで、新しい勇者はどんな人なんでしょうか?」

「おや、そっちに興味があるのかい?そうだねー・・・君より弱いだろうね」

「えっ・・・?」

「君は持つ武器に慣れている。かたや勇者は聖剣をまだ上手く扱えない三流の冒険者。今も必要な事を覚えるために文官たちに指導を受けているよ」

「勇者って大変なんですね」

「そうだね。勇者はある意味武器を持った外交官のようなものだ。諸国の要請を受けて強大な魔獣と戦うことにもなるだろうからね。でも勇者一人をポイっと出すわけにもいかず、ウィリアムが同行することになったわけさ」

「ウィリアムさん、お気をつけて」

「それは重々承知しているつもりだ。シズネもこれから大変だとは思うが励むように」

「ではささやかながら師の旅立ちに乾杯」

そうして私たちはささやかながらお茶を飲んだ。決してアルコールは飲んではいないからね?




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