刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第五十話

クランシンボル作ったり、新しく注文を受けたりですぐに一週間が過ぎてしまった。

クランのメンバーには悪いと思っていたけど、アリムスさんたちは自分たちで依頼をこなしているらしく、

「大丈夫ですよ。団長は団長の仕事をやってください」と言われた。

既に注文を受けた数は30ぐらいになったかな?今日も忙しく三人で鉄を叩くのである。

そんな中店のドアベルが鳴った。

「あ、いらっしゃいませー」

入ってきたのはちょっと品の高い服を着た人と護衛らしい人が二人。とりあえず作業を中断して対応に当たる。

「ご用件は何でしょうか?」

「えぇ、えぇ。初めまして。私は工房組合の者でして。少しお時間よろしいでしょうか?」

工房組合。スペリア王国の工房を取りまとめている組織。といってもやり方は強引と言った方が良いだろう。

現に私の店も少しお客さんが来ているというだけで

「組合に入らなければならない」「上納金を寄こせ」と言われるくらいだ。

そんな工房組合の人がまた来たのだ。警戒するに越したことは無い。

とりあえず店のカウンターの席で話を聞くことにした。

「えぇっとお話とは?」

「えぇ、えぇ。最近お店が賑やかなようですねぇ」

「え、えぇ」

「それに作られている武器はこれまで見たことがない形をしていて、さらに耐久性が頭一つ抜けているとか」

「はぁ・・・そうですか」

「他の工房からもぜひ作成法を知りたいという声が多く寄せられてましてね。工房組合としてもぜひ学習生の受け入れをお願いしたいのです」

かいつまんで言うとこうだ。「お前良い武器作ってんな。その技術教えろ」ということだろう。しかし工房組合の名前を出してきたなら断りやすい。

「私、工房組合に入ってないので」

「おや。工房組合に入ってないのですか?」

わかり切ったことを・・・。

「それならぜひ工房組合に加入してもらえませんか?あなたの技術は素晴らしい物です。ぜひとも組合でその技術をさらに上へと昇華させませんか?」

もう漏れちゃっているよ・・・。

「いいえ。私は自分の技術でやっていくつもりなので」

「そんなことは言わずに・・・」

「組合に入るかは事業主の判断に任せる。そう法律で決まっているのです。押し売りはやめていただきたい」

「・・・そうですか」

そう言うと男性は店を出ていった。とりあえず護衛の人を使って強引に事を運ぶのかと構えていたけれど何もなくてよかった。特にウチはアルとミーナがいるからね。

とりあえず私は作業を再開することにした。

「なぁ。さっきの何だったんだ?」

「あ、見てたの?」

「兄さんが勝手に・・・」

「いいのいいの。別に見られてマズイものじゃないし。ただの押し売りだよ」

ひとしきり二人の折り返し鍛錬を見てきたけどそろそろかな?休憩に入った時にちょっと思いついた。

「ねぇ。二人で商品を作ってみない?」

「え?」

そう。いくら工房で未知の技術を使っているとはいえ、広まるまでに時間はかかるし冒険者だけではすぐに需要は尽きてしまうだろう。なら新しい口を用意しないといけない。

「色々と見て回ったんだけどね。やっぱりお客さんを増やすならナイフや包丁が一番かなって」

「包丁、ですか」

「そ。食事から食材や素材の加工によく使われるでしょ。うちの剣はよく切れるって評判ならこういう人に勧めても便利だと思わせることができるんじゃないかなって」

「それが俺たちに打たせるのとどう関係があるんだ?」

「うーんそろそろ二人も慣れてきた頃合いかなって。まだ炉に関しては経験が必要だろうけど包丁ぐらいの大きさなら二人でもできると思って。どう?やってみない?」

「・・・やってみたい。やらせて!!」

「やらせてください」

「うんうん。やる気があるようで何より。じゃぁ注文がはけたら一本作ってみようか」

ということでシズネ工房に新たな商品が加わることになった。そして二人のやる気のかいあってか注文の商品は目覚ましいスピードで完成し、空き時間を作ることができたのは二日後だった。

「じゃぁやってみようか」

とりあえず炉も触らせることにした。アルが真剣な眼差しで炉を見ている。しっかりと炉と、入れた鋼を見るように言ったからだろう。

「今だ!!」

アルが勢いよく炉から鋼を取り出した。鋼はしっかりと熱せられているのがスキルでわかった。

そしてアルが鋼を持って小槌で叩き、ミーナがハンマーで大きく叩いていく。

「シズネ。もういいだろ?」

「うん。そこでタガネを使って・・・」

折り返し鍛錬を何度も経験したことによっていつタガネを使えばいいかのタイミングもわかるようになっていた。そのまま十回鍛錬を行って最後に切っ先を整えて熱してそれを水で急冷して終了となる。

「うんうん。二人でもできたじゃん。おめでとう」

「あ、ありがと」

「ありがとうございます」

「後は磨いて柄と鞘を準備するだけだね。今日はここまでにして明日、続きをしようか」

こうして工房に希望の星が輝きだしたのである。




祝!!五十話!!これまでありがとうございました。これからもよろしくお願いします。コメントで意見や感想、お待ちしております。
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