刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第五十三話

最近ちょっと手を出したものがある。そう。着物である。

着物という服はこの世界のどこにも無いらしく手に入れるのは困難であった。

刀ほど傾倒していたわけでもないので詳しいことなどはわからない。

だから図面などを書くこともできず、王都の仕立て屋に注文をすることもできなかった。

よって自作するほかがなかった。最初は小さな人形サイズのものを作ってみてみた。だがこれが上手くいかないのである。

別段私が不器用なのが理由な訳ではない(決して不器用ではない)。ただ単にそこまで興味が無かったため知識が乏しかったのである。

それでも始めてから一週間ほどでまぁ納得ができる形が完成した。でも作ったのは上半身だけである。

ただのファッションとしてなら足は袴が良かったのだがこの世界は少しの問題が文字通り足を引っ張り命を

危険にさらす世界である。走りづらい袴は泣く泣く断念した。代わりに少し袴のように折り目を付けたズボンをはくことにした。こっちは仕立て屋さんに上手く説明できたのですぐに完成した。完成度も高く、後は実寸の着物を作るだけであった。

だが時間があるわけでもなかった。

次なる遠征、相次ぐ注文。やるべきことはたくさんあった。だから少ない時間を削ってゆっくりとした速度で進めていった。

そして構想から二週間を経てようやく完成したのである。

と、いう訳で実際に着てみた。

「うん、サイズもばっちり。皮鎧も上から付けれるようにしたから防備も万全。下は袴もどきズボンで動きやすい。バッチリだ」

と、少しテンションが上がった私はぴょんぴょん飛び跳ねていた。

そしてそれを心配そうに見つめる四対の目・・・。

「シズネ・・・変な恰好をして何をしているんだ?」

「きっと何か辛い事でもあったのでしょう」

「んーなんかシズネが何か作ってたみたいだけどそれに似ているな」

「なんだかわからないですけど綺麗だと思います」

そんな声は気にせず私は雫を帯びてみた。

「うん。ついに私も時代劇の一員に!!」

キャッキャと興奮しているが、実際のところ外からみれば笑い声をあげながら剣を振り回す危険な人物である。そう後に言ったのはリーシャさんであった・・・。

興奮も収まったころ。着物には色々と仕掛けというか工夫を凝らしてあるのを思い出した。

使用者の魔力効率を上げる加護。袴には身体能力を補佐してくれる加護を付与してみたのだ。

これは前に時間があるときに適当な服に加護を付ける練習として色々とやっていたためこちらは簡単だった。

効果のほどは試してみないとわからないため私はそのまま訓練場に行くことにした。

訓練場に着いてから、私はかなりの量の視線を感じた。当然である。まったく見たこともない服装の人間がいるのだ。注目を浴びないはずがない。

私はそんな視線を気にせず加護の効果のほどを確かめることにした。

まずは魔力効率の方から。こっちは改造した時雨を使ってみた。日々柄に使わない魔力を貯蓄させていたが今回は私自身が持っている魔力を使うことした。

実際に時雨に魔力を流してみると着物を着る以前と違って魔力の消費が少ない気がした。

着物の方の加護は十分に効果を発揮してくれていた様子であった。

次に袴の方を確認してみた。実際に走ったり跳んだりしてみた。そしたらいつもよりちょっとだけ早く走れたり遠くに跳んだりできた気がした。こっちも加護は働いているみたいだ。

加護といってもまったく経験が無い私が付けた物なので効果は薄いし価値は低いだろう。だが今後のためにはなったと思う。それに服飾も覚えれば武器、いずれ作りたいと思っている鎧に合う服を作って着飾ってもらうということもできるようになるだろう。そうすれば宣伝など幅広く活動することができるようになるだろう。そう考えるだけでワクワクする。訓練場を出て家に帰るときの足取りは軽かった。

 

そして着物が完成してからは忙しい毎日に戻るのであった。注文を受けてナイフや包丁を打ったり、

遠征を計画して数日にわたる狩りを行ったり。収入も増え、お客さんも増えて好調ではあった。

訪ねて来るお客さんも「評判だと聞いて」とか「○○の店が使っていたので」と言ってくる人が増えた。

それだけ私の商品が売れているということなのだろう。

それから数日後。冒険者ギルドを訪れると私とエラム、リーシャさんに通知が来ていると言われた。

「これまでの活躍を判断し、Ⅾランクへの昇格となります」

どうやら遠征などで活躍した結果Ⅾランクへ昇格になったようだ。基準としては依頼を成功させた量や魔石を売った量などで判断されるらしい。

後から聞いたのだが、アリムスさんたちも同じようにⅮランクへの昇格となったらしい。

以前もクランに所属し経験豊富なダンさんたちはⅭランクらしい。

ともかくより高難度な依頼を受けれるにもなりさらなる挑戦が始まったのであった。




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