シズネは武者鎧について試行錯誤をしながら加護についても勉強していた。
加護とは物を作った時に宿る者であり付与された物は消せないのが最近までの常識だったらしい。
だが、以前シズネが勇者の聖剣の呪いを祓うため鍛造したところ、呪いを祓うことができた。
聖なる鋼を打ち付けて呪いを祓った。それの応用で後から加護を付けることはできないのだろうか?
そう思って調べてみた。すると一番近いのはエンチャントであった。
静音は元いた世界のゲームなどでエンチャントという言葉は知っていた。
この世界のエンチャントとは加護ごとに必要な材料を揃え、調合し、エンチャントの石を作る。
そしてそれを魔法使いが付与魔法の応用で武器などにエンチャントの石を融合させるらしい。
「ふむ・・・。つまりエンチャントのようにエンチャントの石の代わりにそれに似た鋼を作ればワンチャン・・・?」
色々と考えた結果がこれだ。続けて加護について読み深めていくと気になる点が見つかった。
『加護は稀に使い古した道具に宿ることがある』とあった。つまり年月を経た道具にも加護が宿る可能性があるわけだ。ただしどれだけ使えばいいのかまではわからなかった。
しかし必要な情報は手に入った。静音はすぐに図書館を後にした。
「たっだいまー」
「シズネ。どこ行ってたんだ?仕事はまだあるぞ」
「ごめんごめん」
シズネは工房に戻って仕事に入った。戦争騒動は終わったので武器の注文は減ったものの、ナイフや包丁といった道具の注文は絶えることが無かった。
そして翌日。静音は看板屋に行き昨日注文していた看板を取りに行った。そして持って帰ってきてすぐに店に取り付けた。
その内容は『使わなくなった包丁・ナイフ・剣など・折れた剣も買い取らせていただきます』とあった。
「シズネ。こんなんのつけたら売り上げが減るんじゃないか?」
「ちょっと減るかもだけど、私の予想があってれば逆に収入アップに繋がるはずなんだよねー」
看板を付けてから二日が経った。その間で数本折れた剣と使わなくなったナイフや包丁が集まった。
シズネは日々打った商品を見ていた結果、『鑑定』のスキルを会得していた。
早速買い取った物を鑑定してみた。
・折れた剣
~ステータス~
≪鋭さ≫ E
≪攻撃力≫E
≪耐久≫ C
≪重さ≫ 軽い
≪価値≫ 無し
≪不屈の力≫
とあった。不屈の力とはなんぞやと思って久しぶりにヘルプを開いてみた。
ヘルプには『不屈の力とは折れた武器などに付与されることがあり、能力は武器の耐久が上がる』とあった。
折れた剣なのに耐久だけCだったのはこれが理由らしい。他の折れた剣も鑑定したが、≪不屈の力≫が付与されていたのは二本だけだった。
次にナイフなどの鑑定に入った。
・解体用ナイフ
~ステータス~
≪鋭さ≫ D
≪攻撃力≫E
≪耐久≫ D
≪重さ≫ 軽い
≪価値≫ 微妙
≪手慣れた解体≫
加護の欄にまた見覚えのない加護があった。調べてみると≪手慣れた解体≫は使い古した道具に宿る物で
ナイフなどの刃物であれば鋭さに補正がかかるらしい。
他も調べてみたが加護があったのは数本で全てには無かった。
とりあえず加護があった物を静音は工房の奥に持っていった。今日は柄の作業をしていたので炉は空いていた。静音はまず剣の柄や鍔などを取り払った。次に炉に火を入れて炉の温度を上げて炉の温度が高まったのを見ると一本の折れた剣を炉に入れた。剣が赤く熱されるまで待ち、十分に熱せられたのを確認すると取り出して叩き始めた。刀身に鏨で折り目を付けて折り返すように叩いていく。これを何度も繰り返して剣をただの鉄の塊に仕上げた。叩くことによって剣に含まれていた不純物を叩き出し、これを繰り返したことによってできた塊は元の剣からすれば小さかった。
そしてそれを鑑定してみた。
・エンチャントの塊
~ステータス~
≪不屈の力≫
静音の予想通りエンチャントの塊に変化していた。折れた剣などを打ち直すこともあるだろう。だが大抵は鋼に戻されて別の鋼を足す。この時点で鋼に加護が付与される。打ち直しで加護が付きやすいとあったのはこれが理由なのだろう。
続いて静音はサンプルとして置いていた剣を持ってきた。そしてエンチャントの塊を熱して、それをサンプルの剣に当てて打ち始めた。するとエンチャントの塊はサンプルの剣に吸われるようにして融合していった。そして完全にサンプルの剣に融合した。サンプルの剣にはさして見た目の変化はなかった。
だが鑑定してみると変化があった。
・剣
~ステータス~
≪鋭さ≫ B
≪攻撃力≫B
≪耐久≫ A+
≪重さ≫ 軽い
≪価値≫ 平均より高い
≪不屈の力≫
想定通り不屈の力が付与されてあった。どうやら実験は成功したようだ。加護が宿っている物はエンチャントの塊にするとができ、それを別の武器に移植することができる。多分エンチャントの材料を調合した結果できるのもエンチャントの塊なのだろう。今後もまた研究が必要そうであった。
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