刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第五十八話

静音がエンチャントの塊を見つけてから数日後。今度は静音は正規のエンチャントの塊の精製に挑戦していた。

必要な材料は鉄や銅。それから動物の骨の粉末。さらには鉱石などを採掘したときに得られる特殊な粉。それられに加えて空の魔石だった。空の魔石とは魔法使いなどが魔石から魔力を吸い取った後に残るゴミに等しい物である。しかしエンチャント塊を精製するには必須の素材で会った。

静音は材料を揃えていざ挑戦を始めることにした。

まず材料を全て布で包みばらけないようにする。そしれ包んだものを炉に入れて熱する。

本には十分に材料が溶けたらOKとあったが、この世界でははっきりと物質の融点が解明されているわけではなかった。だが刀に触れていた静音は鉄の融点を知っているためどれだけ炉の温度を高めればいいかはわかっていた。

しかしドロドロに溶けても失敗するため加減が大事であった。

そして十分に熱せられたと判断すると静音は包を取り出した。既に包んでいた布はなく、溶けた銅や他の材料が赤く熱せられた鉄と半ば融合してた。そのまま観察していくと鉄が他の材料をまるで吸うようにして吸収していった。ちょっと見ていて不気味だなと思ったけど、そのまま冷えるのを待った。

空間冷却の魔法を設置して自然に冷えるのを待ったので一日待つことになってしまった。

そして冷えた鉄の塊は無事、エンチャントの塊に変化していることが≪鑑定≫スキルによってわかった。

静音は材料を組み替えてもまた実験を繰り返した。結果、基本の鉄や銅は変えずに、他の素材を変えれば変わった加護を武器に付与できることがわか他った。静音は新たな商材が見つかったと思い、エンチャントの塊を商品の列にならべることにした。

曰く必要な素材を持ち込んでもらえればそれに応じた加護を付与すると。冒険者ギルドにも張り紙を出させてもらい、宣伝に重きを置いた。静音の武器は王都でも有名になっており、これもまた宣伝の役割を果たした。

その効果あってか工房には連日武器への加護の付与を求める冒険者が殺到した。静音はアルとミーナと共にひたすらエンチャントの塊を作っては加護の付与を繰り返した。また加護の付与によってさらにシズネ工房の名前は知れ渡ることになった。

しかしこれを工房組合が黙ってみていることはなかった。

加護の付与は元来一流の鍛冶屋の特権であった。それをまだ立ち上げて間もないところが始めたとなるなど到底認められることは無かった。

「おい、本当に加護の付与なんてできるのかよ」

「えぇ。素材さえあればできますよ」

「一体何をするつもりだ?」

「武器に加護を付与する物を加えるだけです」

「大切な武器を弄るというのか?加護の付与と称して俺の武器に悪さするんじゃないだろうな!?」

工房はこういったようにクレーマーのような者を送って工房の評判を落とそうとしていた。しかし事はそう上手くいくことはなかった。

「なぁ、兄さんよ。そんなに嫌ならしない方がいいんじゃないか?」

「うるせぇ!!外野は引っ込んでろ!!」

「うるさいのはアンタだよ。この店の事を知らないのなら別の店に行きな。正直アンタのような奴が騒いでいるといつまでたっても回ってこないじゃない」

静音の工房を訪れている冒険者たちは日ごろ静音たちが誠心誠意を込めて対応していたことが功を奏したのか静音たちの味方になってくれる者ばかりであった。そうしてすごすごとクレーマーを入れようとしていた者はすごすごと帰っていくのであった。

日を増すにつれて静音の工房の良さは広まるばかりであった。ついには安くて良い武器が手に入ることからオススメの店として紹介されるまでになった。

だが静音の工房ではある問題が起こっていた。

「うーん・・・」

「シズネ、どうするんだ?」

静音は悩んでいた。一日に一件くらいの注文ならよかったのだが、今では王都だけでなく、他の町からもわざわざ王都に出向いて武器の注文をする冒険者まで増えたのだ。玉鋼はまだ王都のみでしか生産されていないため、玉鋼製の武器を求めて他の町からやってくるのだ。そうすると必然的に玉鋼を使って良質な物を作りなおかつ安いとくればそこに行くのが道理であるだろう。そうしてシズネ工房には多くの人が集まっていた。色々と他の町の情勢を知ることもできるのは良い店だったが、如何せん注文の数が多すぎた。

「やっぱり増やそう!!」

悩んでいたのは炉の数であった。最初の予定では静音一人で工房を回していくはずだった。だがそこにアルとミーナが現れ、静音の指導の元、才覚をあらわにしてきた。今ではナイフ程度なら作れることは造作もない。しかし炉の数が一個では商品も一つしか作れない。だから炉を増やすことにした。

増設には無理をいって店は開店したまま作業をしてもらうことにした。

おかげで工房は武器を求める客と炉の増設を受けた店の作業員でごった返していた。そして一週間をかけて二つの炉が完成した。

「これが二人それぞれの炉ね」

こうしてアルとミーナにも炉が与えられた。一般的に鍛冶屋の弟子は炉を使うことが許される=一人前だと認められるというのが一般的であった。しかし新しい炉を与えられるとうのはほぼ聞いたことが無かった。二人にとっては自分のことを認めてくれて、さらに期待されていると思うとなんとも喜ばしい事であった。こうしてシズネ工房はさらに活気があふれることになるのであった。




ありがとうございました。日曜日は更新できず、申し訳ありません。
civが悪いんだよcivが!!(言い訳)
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