刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第六十話

静音はレオ王子から届いた書類を見て色々と考察していた。魔獣に有効なエンチャントについてだ。

魔獣が嫌う物は聞いたところによると神官が聖なる魔力を注いで作った聖水。

それから聖域にあるという神木。

そして霊山と呼ばれる山で極稀にしか取れない鉱物、オリハルコン・ミスリル。

しかしどれも高価で研究に使うとはどうしても言い出せない物ばかりであった。

唯一聖水だけは流通していて手に入れることはできた。

「あ、そう言えば鋼を冷やすときに水を使うけどそれを聖水に変えたら・・・」

一つ、静音の頭にアイデアが浮かんだ。早速教会に行って聖水を少しばかり購入してみた。

聖水にも原液とそれを薄めた物があり、原液が聖なる魔力を注いで作った物でそれを薄めた物が回復薬などに使用される。静音は思い切って原液を買ってみた。

そして早速鋼作りに取り掛かった。まずいつものように鉧から取り出した欠片を合わせて熱して一つの塊にする。そうしてできた塊をさらに熱して叩いて形を整えていく。塊が板状になったら聖水の原液を垂らした水につけ一気に冷却する。そうして冷えるのを待ってから引き揚げてみる。そして鑑定をしてみた。

〈聖鋼〉

・ランク C

・魔獣に対して有効な加護が付与される可能性がある

「よし、上手くいった」

そしてそのまま鉄や銅、空の魔石と合わせて熱し、エンチャントの塊が完成した。

早速前にアルが練習で作っていた剣にエンチャントを付与してみた。そして鑑定してみた結果は

〈鋼の直剣〉

・製作者 アル

・分類 剣

~ステータス~

≪鋭さ≫ C

≪攻撃力≫C

≪耐久≫ B

≪重さ≫ 軽い

≪魔獣に対して攻撃力上昇≫

予想通り魔獣に対抗できるエンチャントを付与することができた。早速静音はレオに成果を見せに行った。

「なるほど。ウチに鑑定士にも見せたが成功したようだね。よくやってくれた」

「ではこれを付与した武器を量産すればよろしいのでしょうか?」

「あぁ。その方向で構わない。ただこれを公にすると聖水の値段が上がるだろうね。さて、どうしたものか・・・宰相に相談するとするか。では仕事の方、頼んだよ」

レオにも成果を認めてもらって、静音は本格的に武器の量産を始めた。

シズネ工房は三つある炉をフル稼働させて毎日ひたすら鋼を打っていた。

今回は量が量なので柄に関しては王都の柄専門店に柄を作ってもらうことにしていた。

全てを作っていては時間があっても足りないからだ。それからクランのメンバーにも前もって頭を下げていた。ここ二週間はクランの活動に参加できないということと自分が王級鍛冶師で国から仕事を受けたことを包み隠さず話した。メンバーからは励ましの言葉を貰うことができた。

そして一日一人三本ほど刃を作り続けて約二週間が経った。

柄専門店に作った物から順に送っていたため、プラス二日ほどかかったが、

頼まれていた剣や槍が総計100本余り、ナイフも同じ数作ることができた。途中玉鋼を製造したので時間はかかった。だが何とか成し遂げることができた。

そして一日体を休めて静音はレオのところへ完了の報告をしに行った。

「お、もうできたのかい」

「ウチのできる最大の速さでやりましたから・・・。あ、品質も問題ないですよ」

「では兵士たちに取りに行かせよう。工房に保管してあるんだったけ」

「はい。流石にあれだけの量は空間収納にも入りきらなかったので山のように積まれてますよ・・・」

「わかった。後で取りに行かせる。あぁ、報酬は君の口座に送っておくから」

「これで終わりですね」

「また何かあったら頼むとするよ」

後はレオお抱えの鑑定士が問題ないと判断すれば仕事は完遂したことになる。

とりあえず頑張ってくれたアルとミーナにほぼ完了したと伝えた。流石の二人も約二週間にわたる激務で疲れ果てていた。

そして仕事が終わったことをどこから聞きつけたのか、クランのみんなが静音たちを慰労する宴会を準備してくれていた。流石にちょっと涙腺が緩くなったけど何とかこらえた。みんなの暖かさを嬉しく思いながらその日は三人とも楽しんだ。

そして数日後、納入した武器に問題はないという報告を受けて無事仕事は達成された。

それから魔獣に対する魔獣に有効なエンチャントに関しては他の研究者が発表した論文も踏まえて精査した結果、

第一発見者は静音ということになり、静音名義で魔獣に有効なエンチャントの存在が発表された。

こうしてまた静音は一つの功績を打ち立てたのであった。




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