刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第六十四話

色々な騒動が静まり返って日常が戻ってきた今日この頃。静音は訓練所で剣の訓練をしていた。

例え雷の魔力があったとしても基礎体力や技能はあって困ることはない。

色々と試行錯誤を繰り返したり、動作の練度を上げようと必死に努力をしていた。

しかし一日のもっぱらを訓練に割けるわけでもなく、鍛冶師としての仕事もあった。

注文があれば鋼を打ち、頼まれれば刃を研いだりと仕事はあった。

それに時間が空けばクランを率いて遠征を行って生活の資金を稼ぐ必要もあった。

色々と報酬を貰ってはいるがそれでも最悪の事態を考えればお金もなくてはならない物である。

そんな中で静音は大変ながらも毎日を謳歌していた。

そんなある日、静音の店に一人の男性が訪れていた。

「これはどうもシズネさん。お時間を作っていただきありがとうございます」

「え、えぇ。それでどんなご用件でしょうか?」

「あぁ、それはですね。この度はシズネさんが率いているクランと契約を結びたいと思いまして」

「契約?」

「はい。シズネさんの率いるクランは少数精鋭でランク以上の戦果を挙げていると聞いております。特に魔獣の平原には多く遠征を行っているとか」

そんなことを聞いて少し自分の身が探られていることに静音はちょっとだけ不気味に思った。

「それで私どもはスペリア王国とネルミア王国間での貿易を行っております。しかし懇意にしていたクランが拠点を移したとのことで魔獣の平原を渡るときの護衛がいないのです。そこで私どもと護衛契約を結んでいただきたいのです」

「護衛契約・・・つまり荷駄隊の護衛ですか」

「はい。魔獣の平原や鉄の砂漠。それからネルミア王国の灰雲の草原これらを通るときの護衛をお願いしたいのです」

「そうですね・・・。私の一存では決めれません。クランのメンバーと相談してから返事をしてもよろしいでしょうか?」

「はい。それで構いません。では私は自分の商館におりますので名前を言っていただければすぐに通してくれるようにしておきます」

こうして貿易商との交渉は一時中断になった。とりあえず次の日私はクランのメンバーを集めて件の契約について話し合うことにした。いつもみんなはギルドには毎日顔を出すようにしているらしいので伝言を掲示板に書いておけば次の日には集まってくれる。まったくありがたい話である。

「んで護衛契約か。とりあえず魔石の配分はこちらにあるってのは当然だが、二つの国を行き来するなら一回にかかる時間は結構なものだな」

「それに私たちは魔獣の平原しか知らず、それに奥地にも行ったことがありません。未知の地を歩きさらには護衛対象がいるとなると難易度は計り知れないでしょう」

「うーんやっぱ受けるのは無しだね。それともう一つ聞いたんだけど、なんか王都だけでなく各地のクランが拠点を変えているって話、こっちにも流れて来てる?」

「あぁ、確かにクランメンバー募集の張り紙の拠点位置が変わっているところをいくつか見たな」

「確か王国の北の雪山が連なる山脈に新たな魔の歪みが観測されたらしいですね」

「んでそこの魔獣も特殊で骨やらなんやらと残すから新しい物に目が無い商人と金持ちがこぞって求めてるから一攫千金を狙ってそっちに拠点を移したんだろうよ」

「なるほどねー。そんなことがあったんだ」

「現れたのは毛深い巨人や毛深い象のような魔獣らしいな」

「寒冷地ということで毛深いという特徴があるのでしょうね。そう考えると魔獣も普通の生き物とそう変わらない気もしますが・・・」

「ほえー。面白そうだけど、とりあえず契約の件は断るということで決定。急なのに集まってくれてありがとね」

とりあえずこんな感じで会議は終わった。その足で私は貿易商の商館を訪れた。そして契約はできないと話した。

「そうですか・・・残念ですが仕方ありません。一考していただきありがとうございました」

話は簡単に終わって私は商館を後にした。ん、そういえば一つ忘れていたことがあった。

私は件の貿易商の人が取り扱っている商品をエラムと一緒に調べてみた。するとどうやらこの商館は貿易品とは言っているがその実は武器商品だったらしい。武器に使われる鋼などを主に扱い、王国の鍛冶屋とも複数契約を結んでいるらしい。どうして国家間の貿易で武器を取り扱っているのか?その背景は二つの国の違いに合った。スペリア王国は戦略資源に恵まれているらしいが、ネルミア王国はそうではないらしい。ネルミア王国はとりあえずは自国で武具は賄えてはいるが余剰分が出るほどの余裕はないらしく、

また資源が少ないことから研究もあまり進んでいないらしいようで他国に優れた武具があればこうして貿易商を通して入手しているらしいのだ。そしてつい最近私が玉鋼を王国に提唱したためこうして玉鋼を狙ってネルミア王国が手を伸ばしてきたというのがエラムの推察だった。多分護衛契約は建前で本音は玉鋼を使う鍛冶屋である私の鍛冶屋との契約を結びたかったのだろう。

とりあえず何気ない契約でも考えるようにとのお小言をエラムから頂いたのであった。




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