刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第六十八話

平原の奥地をゆっくりと進む静音たち。ここはとても強力な魔獣が住む領域である。例え最初に数体倒せたとしても体力が続かなければ、移動もままならないような状態になってしまう。

だがここは一体一体が非常に体力を削る戦いとなるため、状態を見極めるのが大切であった。

「うーん。後戦えても2,3回程度・・・。帰ることも考えたら後一回ぐらいかな」

静音は少し考えながら進んでいた。

「団長、前に影が」

「ゆっくりと近づこう。できるだけ馬が暴れないようにね」

ゆっくりと見えた影に近づいていく。影は段々人型のように見えてきて、そしてさらに近づくとそれは鎧を着ていることがわかった。

「オーガ、でしょうか」

「多分そうだと思う。全員戦闘準備!!」

余り近づきすぎると馬が拒否し、離れすぎては馬の護衛班が孤立するので降りる距離は大事だった。

そして近づいていくと、オーガもこちらに気づいたらしく咆哮を上げ、武器を振りかざして走り寄ってきた。

「まずは私が相手だ!!」

まずリーシャが前へ出た。オーガの重い一撃がリーシャの盾を襲う。

「ぐぅっ!!」

オーガの武器がぶつかるとかなり鈍い音がした。凹んでこそいないものの、リーシャは手が痺れるような間隔を覚えた。

「嬢ちゃんにかまっきりじゃダメだぜ!!」

「たぁぁぁ!!」

リーシャの左右から静音とダンを中心にメンバーが攻めたてた。しかしオーガの鎧は頑丈で、隙間を狙わなければダメージは与えられなかった。

「やぁぁぁ!!」

しかし、静音の雷の魔力を纏った一閃だけはオーガの鎧は通用しなかった。足を切られ、オーガはバランスを崩し、そして態勢が崩れたところへ追撃で武器を持った手首を切り落とされ、もがき苦しむ間に背後に影が現れた。

アリムスが無防備なオーガの背中をよじ登ったのだ。そして首の後ろから剣を突き刺し、そして抉り、切払い、首を落とした。オーガは悲鳴を上げながら塵と消えた。

「ふー、何とかなったね」

「お疲れさまでした」

「アリムス、いい奇襲だったな」

「団長が隙を作ってくださったおかげですよ」

段々と連携が密になっていくのを実感した。そしてオーガの身体が消えた場所にはちょっと大きめの魔石とオーガが付けていた鎧が落ちていた。

「オーガの鎧に使われている金属は特殊なものです。説明は後にします。とりあえず回収してください」

急いで鎧などを回収していると、一人、ダンだけは回収作業に参加せず、地面に耳を当てていた。

「ダン、何やってんだ。お前も手伝え」

おもむろにダンは顔を上げて叫んだ。

「団長!!回収は急いだほうがいい!!」

「どうしたの?」

「でっかい足音が近づいてくる。それも複数!!」

「わかった。これで最後だし、みんな、急いで馬に!!」

静音たちは急いで馬に乗ってその場を後にした。そして走りながら後ろを振り返ると数体のオーガがさっきまで自分たちのいたところに集まってきていた。

「一体どういうこと?」

「最初オーガがこっちに気付いて吠えただろ?普通こっちを威嚇するために吠えるならこっちを向くはずだ。だが頭はこっちじゃなく上を向いていた。それでが俺は狼の遠吠えに見えてな。色々と耳をすませていたら、みんなの声に混じって遠くでオーガの咆哮が聞こえた気がしてな。そう近くは無かったと思ったからとりあえず前の戦闘に集中してその後は様子を伺ってたわけだ」

「なるほど・・・ダンが気づいてくれなかったら私たちは袋のネズミになるところだったよ。ありがとう」

ともかく窮地を脱した静音たちはそのままフォロムに向かった。とりあえず汗を流し、ゆっくりしてから会議を開いた。

「えぇっと、戦ってみてわかったと思うけど・・・私たちはまだ平原の奥地じゃ通用しないのは明白だと思う」

「悔しいですがそのようですね。一体一体が強大でさらに厄介な特性も持っている可能性が大きい。いくら数を狩ってきたとはいえ、質が大きすぎると手に負えませんからね」

「あぁ、言っちゃぁなんだが全員が団長みたいに突出した力があればいいんだが残念だが持ってない。とりあえず全員の出力を上げるほうが優先だろう」

「うーん、武器はみんなほぼ同じだし・・・魔力の獲得が一番の手かな?」

「そうですね。全員ともいわず、少人数でも魔力の獲得ができれば大分変るでしょう」

「じゃぁ、当面の目標は魔力の獲得で。じゃぁゆっくり休んで、帰ろう」

こうして平原の奥地への遠征は失敗こそしたものの、新たな目標を打ち立てることができたのであった。




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