刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第六十九話

静音たちは初の遠征の失敗という事態に見舞われたが、それに負けず、次の遠征のための修練に励んでいた。

と言っても属性の魔力の獲得など一朝一夕でできるわけでもなく、修練は難航した。

唯一属性の魔力を持っている静音の経験でもいつ手に入れたかもあやふやで、手段もわからなかった。

本人曰く「気づいたらあった」であるからだ。当然クランのメンバーはその返答に頭を抱えたのは目に浮かぶ光景である。しかしそれでも技能向上のために諦めることは無かった。

静音たちが取り組んだのは属性の魔力の獲得だけでなかった。戦闘時の連携、基礎体力の向上といった基本的なことにも取り組んでいた。やれることはやって力を付けようということである。

それからギルド資金でボルトシューターを配備しようという案も出たが、対応力がまだ難しい敵に対して使うのは危険だということで一旦保留となった。

静音も修練に混ざることもあったが、自分の工房のこともあって全てに参加することはできないでいた。

ここ最近はシズネ工房への注文自体は落ち着いてはいた。それでも少数、他の町からやってきた冒険者などが王都の冒険者ギルドの冒険者の話を聞いて注文をしてくれているのだ。そしてそのやってきた冒険者が自ら所属するクランなどにシズネ工房製の武器を見せ、クラン全体に広めようといった流れがあったりするのである。なのでたまに大量注文が入ったりするので静音もおいそれと工房を任せっきりにはできないでいた。

「うーん、確かに自分は工房を持ってるから抜ける時もあるっては言ってるけど、何とかならないかなぁ・・・」

考えても境遇とは簡単に帰ることなどできないのである。

それから静音はエラムと共に王国内で活動している商団と契約を結べないか試行錯誤をした。

前回のような行ったことが無い土地を行くのではなく、見知った王国内で活動する商団であれば対処できるだろうという判断である。当然これもクランメンバーには話は通してある。

とはいえそういう商団はすでに他のクランなどが契約を結んでいるためこちらも難航していた。

鉱山などの護衛は鉱山の経営者が私兵を雇うことが多く、商団は自身が信頼したクランに依頼を出す。

新参の静音たちのクランは王都では戦績は上の方にあるだろうが、存在としての格は小さいのである。

後契約を結びたいと寄ってくるのはシズネ工房の技術目当ての工房組合程度である。

つまり相手が見つからないでいた。何時までも依頼や遠征で生活費を稼ぐ半根無し草では安定しないのは明白である。

だからと言って収入が降ってくるわけもなく、途方に暮れていた。契約を求めに行った商団から断られてクランハウスに帰る途中。静音はある物を見つけた。

「うん?これってサツマイモに似てるなぁ」

「どうしたんです?あぁ、紅芋ですか」

「紅芋?」

「麦などに比べてすぐに実のが特徴ですが、何分用途が限られていて蒸かす程度しかなく、あまり人気の食材ではないんですよね」

「ふーん・・・ねぇ。エラム。今蒸かすぐらいしかないって言った?」

「えぇ、そうですが・・・」

「じゃぁさ、もし紅芋を有効活用できる手段があるとしたら?」

「あったとしても長期的な計画でさらに収益が見込めるかどうか不明ですよ?」

「うーん、そうだよねぇ・・・。じゃぁ今作っている人から買い上げてみるってのはどう?」

「そもそも作っている人が少ないんですけどね」

「うぐっ・・・」

(確かサツマイモの生育期間は4から5か月程度、待つにはちょっと長いような気もするなぁ・・・それに資金もないし・・・)

とりあえずサツマイモ改め紅芋の事は一旦保留として静音はクランハウスに戻った。

「そうか、やっぱダメか・・・」

「うん、やっぱり出来立てのウチじゃぁ相手にしてくれそうにないよ」

「うーん、やっぱ前の場所が成功してたのは年月を経て成長していたってのが一番か」

「多分ね。やっぱりまだウチは遠征とかで稼ぐしかないかな」

「それしかないな。後は人数を増やして存在感を増やすというのもあるが・・・人数が増えればその分一人当たりの稼ぎは減りかねないんだよな・・・」

「だからと言って頻繁に遠征を行ったとしても経営は難しいでしょうね」

「やっぱそう?・・・どうしようか」

「とりあえずは現状維持に努めるしかないだろう。それに主力の実力が上がれば後々やれることは増えるしな」

色々と試行錯誤をしながら静音たちは経営という難しい壁を乗り越えようとしていた。




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