刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第七話

ウィリアムさんとの戦から一夜明けた朝。私は待ち合わせのために冒険者ギルドを訪れていた。まだウィリアムさんは来ていなかったようなので私は自分のステータスを見ることにした。lvは5に上がっていて、スキルに≪闘争心≫が追加されていた。lvはウィリアムさんと戦ったことで上がったのだろう。だが、スキル ≪闘争心≫の取得理由がわからなかった。ヘルプの説明では敵対者とのレベル差があるほど戦闘補佐を得ることができるとあった。私がウィリアムさんと戦えたのはこのスキルがあったからだと私は思う。しかしそうなるとこのスキルは一体いつ取得したのか。その疑問に突き当たるのであった。考えているうちにギルド内が騒がしくなっていた。

「待たせてしまったようだ」

騒がしい人の波を割ってウィリアムさんがやってきた。

「では行くとするか」

「はい!!」

私はウィリアムさんの後ろを歩いて冒険者ギルドを出た。そして町の門に近いところにある馬車の停留所のようなところに着いた。

「あの、これからどこに向かうんですか?」

「あぁ、王都だよ。王からもし弟子を取ることになったらその者を引き合わせるようにと言われていてね」

(い、いきなり王都?まだこの世界のことを何も知らないのに王都・・・王様に会うなんて・・・絶対ボロを出してしまう・・・)

静園は心穏やかではない状況で言われるままに馬車に乗ることにした。そしてゆったりと馬車はゲーンの町を出発した。そして町を出て少ししたころ。

「どうやら心穏やかではないと見える」

「え?・・・あはは。やっぱそう見えますか?」

「自分の正体が露見することを危惧しているのであろう?」

「え゛!?」

思わず変な声を出してしまった。≪心眼≫というのは他者の心の内も見えてしまうというのだろうか?

「その通り。私の≪心眼≫は他者の心も見抜く。ただまぁ、安心するといい。別に私は君を糾弾することも断罪することもしないし、君の正体を公言するつもりもない」

「え?本当の素性がわかっているのなら危険人物に見えませんか?」

「天より遣われし御子。実はね、私は一か月ほど前に夢で啓示を受けたのだよ」

「啓示を?」

「お告げにはこうあった。『私は天より遣われし一人の少女と出会いこれを育てるべし。その行いはやがてこの世界を包む混沌を祓う偉業となろう』とね」

「天より遣われし御子・・・確かに私は天使?から説明を受けてこの世界に来ましたけど・・・世界を左右する人間って危険視されないんですか?」

「確かにこの世界は混沌に包まれようとしている。ここで歴史の勉強とでもしようか。この世界は確認されているもので数度、魔王というのが出没している」

「魔王・・・魔獣の王ですか?」

「そう。そして魔王が出没する兆しというものがあってね。魔獣を従える魔族というのが多く見られるようになると魔王が出没すると伝わっている。そして現状、魔族の出現報告が数度上がっている」

「つまり魔王がすでに出現、もしくは出現しようとしていると?」

「そう。魔王が出現すると魔獣は恐ろしいほどに活発化する。スタンピードと呼ばれる通常の生存圏以外に大量発生することもある。君からすればこの世界、とでもいうべきか。この世界は数度魔王と対峙し、これを打ち払ってきた。だがそれは神から選ばれし戦士、勇者と呼ばれる者がいてやっと互角に渡り合えるかどうかというレベルなのだよ」

「つまり勇者がいないと魔王は倒せないと?」

「そう。そして魔王が現れるのと同時期に聖剣によって勇者が世界から選ばれるのだが・・・」

「?」

「これは公にはなっていない機密事項でね他言無用で頼む。実は先代魔王の奸計によって聖剣が破壊されたのだよ。破壊といっても砕かれたわけではなく、機能、加護を失ったのだよ」

「え!?つまり勇者を選ぶ聖剣が無いということは・・・」

「そう。勇者が現れることはないというわけだ。聖剣を保有する王国、スペリア王国は極秘裏に優秀な鍛冶師を集めて聖剣の具合を見てもらったがどの鍛冶師も首を横に振るだけだった」

「じゃぁかなり危機的な状態なんですか?」

「そう。だから王国はできるだけ戦える戦士を募集している。偽りの召集令だけどね。それで、君はこの世界にはない鍛冶の技術を持っているんだったね」

「えぇっと。はい、そうです」

「もしよければ聖剣を見てはもらえないだろうか。口伝では聖剣は神から与えられたものだという。神に近しい天から遣わされた君なら何かわかるかもしれない。どうだろうか?断っても私は君の出自は黙っていると誓おう」

「私が役に立てるかはわかりませんがやってみます」

「そうか。ありがとう」

ちょっと重苦しい話はそこまでだった。それからは私の世界の話になった。ウィリアムさんは興味津々で私の話を聞いていた。特に殺伐とした世界でないということに驚きを隠せないでいた。私の話を聞いてウィリアムさんはこう言った。

「君の世界はこの世界と比べればとてもまぶしい。だが私のような戦うことしかできない者からすれば生きづらいのかもしれないな」

その顔には少し影が見える気がした。




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