刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

79 / 127
第七十八話

突如として現れた魔獣に対しクランの総力を挙げて討伐を始めた静音たち。

静音もまた近辺に魔獣が現れたという村を訪れていた。

「なるほど。山に魔獣が」

「ですじゃ。けども男たちは戦えねぇしで困ってたんですじゃ」

「形とかはわかりますか?」

「緑っこいって言っていました」

「ふむ。わかりました。では早速討伐に行ってきます」

村長から情報を得て、静音はエラムとリーシャを連れて山に入った。

「シズネ。村長の話だと相手はゴブリンのようですね」

「そうだね。だけど・・・」

「何か気になることでもあるのか?」

「突然変異」

「あぁ、それですか」

「今は今までなかったことが起きている。ならこれも頭に入れておかないと」

唐突に現れた魔獣たち。これまでの規則も何もかもがつじつまが合わない現象。こうなるとこの先何が起こるのかさえわからないのであった。

そうして山を捜索していると足跡を見つけた。

「足跡ですね・・・しかし、ゴブリンのものにしては大きいようですね」

「人?いや、魔獣が出ている状況で山を歩くか?」

「ゴブリンと遭遇した人の物でしょうか?」

ともかく手がかりを元にさらに捜索を進める。そして進んだ先で静音が唐突に止まった。

「どうした?」

「何かいる」

静音は雷の魔力を使い、周囲に微弱な電流を放っていた。それを使い、動くものがいないかを探査していた。そして電流の網に何かが引っかかったのだ。

三人はそれぞれ得物を取って戦闘態勢を取る。そして草むらを通り抜けると・・・

「ゴブリン!!」

そこにいたのは緑色をした小人であった。しかしゴブリンというのは無理であった。

「なんだ・・・このゴブリンは・・・」

三人が見たゴブリンは少し身長が高く、それでいて異常になほどの筋肉を備えていたのである。

「ギャ?ギャァ!!ギャァ!!」

こちらに気付いたのか、ゴブリンたちは叫び始めた。

「ともかく片付けるよ!!」

静音を先頭に、リーシャがそれに続いてエラムが後方から援護を開始する。

しかし静音の剣閃は空を切った。

目標としていたゴブリンが消えていたのだ。

「シズネ!!上です!!」

「上!?」

ゴブリンはその発達した筋肉を使って恐るべき速さで上へと跳んだのである。たかがゴブリン。そう侮っていた静音は油断を突かれた形になった。

「っ!!」

ゴブリンの上からの蹴りをかわす。しかしゴブリンの動きはこれだけでおさまらなかった。

リーシャを標的としたゴブリンたちは周囲の木を足場代わりにして飛び跳ね続けリーシャを攪乱しようとしていたのである。

「クソっ。見えん・・・」

リーシャが一瞬視線を別に逸らした瞬間、複数のゴブリンが一気に襲い掛かってきた。

「しまっ・・・」

しかしそのゴブリンたちは爆炎によって跡形もなく消し飛ばされた。

「助かったぞ、シズネ。」

静音は自分の相手よりも苦戦していたリーシャのゴブリンを先に討ったのだ。

そして一匹になったゴブリンを静音は≪慧眼≫で見てみた。

 

ゴブリン  狂

lv35

(狂ってなんだろ。それにレベルが高い。これは魔獣の草原並みだ)

「どうした静音?」

「ううん。なんでもない」

しかし少し考え事をしていて動きが止まった静音の隙を突いて残されたゴブリンは一気にその場を離脱してしまった。

「しまった・・・」

「うーん。まぁいっか」

「いいわけないだろ。群れならともかく一匹のゴブリンなんて探すのにどれだけ時間がかかるか・・・」

「多分さっきのゴブリンは別の群れに向かったんだと思う」

「何?」

「最初に私たちを見つけた時ゴブリンが騒いだでしょ?でもその口は全員上を向いていたんだ」

「上・・・遠吠えか」

「だから群れがいるんじゃないかなって」

「よしなら探索を進めるとしよう」

こうして静音たちは山を捜索して、ゴブリンの群れを二つ討伐することができたのであった。

「しかしどれだけゴブリンがいるのかわからないな・・・」

「あ、それならちょっと待ってて」

そうすると静音は自分の手のひらに何か文字を書いた。すると桃色の光があふれだした。

光が治まるとそこには小さな人型がいた。

「ヤッホー、シズネ。ドウシタノ?」

「シズネ、それは」

「そ、妖精。契約して色々と教えてもらっていたんだ。ちなみにこの子の名前はファティ。

それでファティ。この近辺に魔獣はまだいるかわかる?」

「チョットマッテテ」

ファティは手のひらを合わせた。そこから光が生じそしてそれを頭上に掲げる。すると光のうっすらと霧のようなものに変化しそのまま広がっていった。

「ンーアノキライなカタマリはモウナイカナ」

「そっか、ありがと。じゃ、これお礼ね」

そういって静音はビスケットを二枚渡した。

「ヒャッホー。ミンナにジマンデキルゾー」

「自慢して取られないようにね」

「シズネのカタでタベルカラダイジョウブ」

「私の肩は椅子じゃないんだけどなー。とりあえず山を下りようか」

こうしてゴブリン討伐は終わった。静音たちは村長にゴブリンの討伐が完了したことを伝え、依頼書にサインをもらった。そして一晩家を借りて泊った後、王都には戻らず、そのまま新しい依頼の村へと向かった。




ありがとうございました。評価やコメントでの感想を頂けると投稿者が喜びます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。