静音は目が覚めると花畑にいた。
「ここは・・・妖精郷?」
「久しぶりですね。シズネ」
「テルフィーヌさん。何でかわかりませんけどこっちに来てしまって・・・」
「今回、あなたが来たのは私が呼んだからです」
「何か、あったんですか?」
「妖精の隠れ里、というのは知っていますか?」
「いえ、初めて聞く単語です」
「妖精の隠れ里というのはあなたたちが暮らしている世界に根を下ろした妖精が暮らしている場所のことです」
「その隠れ里に何かあったんですか?」
「最近、あなたがいる場所がその隠れ里に近いのです」
「私がいる場所・・・開拓団のところか」
静音はここまで開拓団のところで何をしていたかをテルフィーヌに話した。
「そうですか・・・人間がそんなところに町を・・・」
「ん・・・まさか」
「何かありましたか?」
「いえ。もしかしたらなんですが・・・。私たちにその開拓団を指揮している人が調査を依頼しているんですけど、町を作るときとかの大事な調査ってのはちゃんとした専門の人がしたからこそ意味が出るわけで、
私たちのような冒険者になんで依頼をするのかなって思ってたんですけど・・・もしかして開拓団の上の人は妖精の隠れ里について何か知っているからこそ調査といって捜索をさせているのかも・・・」
「ふむ・・・もし人間が隠れ里を知っているとなると厄介ですね」
「一つ、いいですか?」
「何か?」
「私たちがいる場所は障害物がほぼない平原なんですけど、そこにいる妖精ってどこに住んでるんでしょう?あ、決してやましいとかそういうことじゃなくて興味本位で・・・」
「あなたの人柄を信じて話しますが、あなたの近くに住んでいるのは土の妖精です。土の妖精は土を好み地下に住処を作るのです」
「そうですか・・・でも町が完成して拠点として活動し始めたら多くの人がやってくるようになります。そうなると見つかるのも時間の問題になるかもしれません・・・」
「そうなるのですか・・・仕方ありません。人をやって妖精たちに別の土地に移るよう言うしかありませんね。何年も住んでいた土地から離れるように言うことは酷ですが仕方ありません。
シズネ、急に呼び足したりしてごめんなさいね」
「いえ、何かの役に立てたのなら幸いです」
そうして静音の意識は妖精郷から遠くなっていった。
――――――――――
朝、静音いつのように起きて朝食を食べて一日の予定を確認する。いつものように調査が入っていたが、今日からは考えて行動しなければならない。できるだけ人と離れたい妖精たち。過去に一体何があったかは知らない。だけど色々と魔力を扱うのに≪妖精の祝福≫は重宝している。それにこの世界について聞きづらいことも今後聞けるかもしれない。利益という点が浮かんでしまうのが悲しい事だが静音は妖精を守るために考えねばならなかった。
「団長。どうしましたか?気分でも悪いですか?」
「え、あ、ううん。ちょっと考え事をしててね・・・」
「そうですか。話せる事でしたら相談してください」
「え、あ、うん・・・」
アリムスに声を掛けられるまで静音はずっと考え事をしながら地面を見ていてしまった。
地面の下に住むという妖精。どんな食生活をしているのかは知らないけど一回も土の下から出ないでいいというのは考えにくい。人目を避けて夜に出て来るのか、それとも視力が良くて何者もいないときにひょっこりでてくるのか。興味本位になってしまうが、考えてしまうのだ。だがこんなことを相談できる人間などいないのだ。
(とりあえず、できるだけ人がいるところで考えないようにしないと・・・心を読むスキルの有無も気になるし何か感づかれるのもマズイしね)
とりあえず静音は平静を装いつつ調査を進めるのであった。
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