武者鎧を作ってファティにプレゼントした後、静音はもう一揃いの武者鎧を作った。
そしてそれを参考にアルとミーナにも手伝ってもらい時間があるときは鎧作成を始めた。
「なぁシズネ。鎧作るってことはこれも売りに出すのか?」
「うんにゃ。これは非売品かな」
「非売品・・・ならどうして?」
「うーん、ちょっとやってみたいことがあってね・・・ファティが上手く炊きつけてくれると良いんだけど・・・」
武者鎧を作り始めてから数日後。冒険者ギルドに新たな狩猟地が解禁されたとの宣伝があった。
「なるほど。例の開拓団のところかぁ」
「しかしフォロムなどとは違って宿の料金などはわからないですね」
「狩りに関係する換金所が一式揃ってる時点で初めて来た奴にふっかけようって算段か?」
「しかし露骨すぎると人は寄ってこないでしょうけどね・・・」
「結局魔獣ってあんまり見なかったよね」
「そうだな。調査の時もあまり遭遇しなかった」
「そうなると・・・あそこの収入は宿屋などでしょうか」
「行ってみるか?団長」
「うーん、開いたばかりだろうし良し悪しはわからないのは当然だけど、今はまだ帰ってきたばかりだし美味しい食事とか食べたいでしょ?」
「確かにまだあっちに行っていた分の酒は飲んでないな」
まったく欲望に素直なものである。まぁ私としてもおいしいお菓子とか食べたりないわけですし・・・。
とりあえず静音たちは休日を謳歌することにした。
「とはいっても趣味に時間が費やせるのは良い物だなぁ・・・」
カンカンと鋼を打ちながら静音はそう口にした。店主が帰ってきたということで注文が増えて来ているのだ。
実際売れ行きが良いと聞くとありがたいものだ。とはいえたまに大剣や槍を頼まれてそれをできないから断るというのは少し心苦しい物があった。だが大剣などを扱っている工房は規模がかなり大きいのが多い。
色々と作業場を確保する都合上そうなるのだろう。それに人手もいるだろう。だが静音はこれ以上工房を大きくする考えを持ってはいないため片手剣類で進める方針である。
そんな中、工房に来客があった。訪れた人物はこれまた商人らしい服装であった。
「ウチに投資・・・ですか?」
「はい。見たところこの工房はまだ大きくできそうな様子。もしよければ支援をさせていただきたいと思い」
「うーん、これ以上大きくするって考えはないので、即答になってしまいますがお断りいたします」
「なんと。しかし大きくすればもっと稼げますぞ」
「ウチ、あまり稼ぎとか気にしていないので・・・」
「仕方ありませんね。でも気が変わったらぜひお声掛けください」
そう言って名刺のような物を渡して去っていった。投資・・・やはり最終的な狙いは取り込みなのだろうか・・・。
「うーんどうしようかなぁ・・・」
正直たまにこういう人が訪れてくるのだ。王都の人間だけでなく、他の町からきた名士に分類させる人なども来る。正直断る一択だから良いのだが毎回断るのも悪いことをしているわけでもないのに何か感じが悪い。だが投資を受ければ冒険者として動く時間がほぼ無くなって鍛冶一筋になってしまうだろう。
クランを立ち上げて人を集めた以上そんなことはできない。
ただ自分がいない間はアルとミーナが応対するわけだから少し厄介なことではある。おとなしいのならいいが、恫喝などしてくるような相手だと問題であるからだ。
開拓団に移動してしまったため途切れたアルの訓練を再開するべきだろう。そうして少し自信と力を付けてもらう必要がある。ただ訓練だけではダメだろうからいずれは本人の希望通り狩りにつれていくべきだろう。あ、乗馬の練習もしなければならないだろう。
「ん?そう言えば元居た世界で馬なんて乗ったこと無かったっけ・・・どうやって教えれば良いんだろ・・・」
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