刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第八十九話

アルの訓練を再開した静音。基礎体力作りから軽い打ち合い程度までを重点的に指導した。

とはいえ、一つ嬉しい誤算として静音が開拓地に行っている間にもアルが一人で体力を鍛えていたのだ。

例え二か月といえこの差は大きかった。えてして静音との打ち合いも鍛えられた体力によって数をこなすことができていた。これによりアルの動きはメキメキと育っていった。

とはいえ静音も詳しい訓練を受けた訳でもないため、実際に得た経験でしか指導できていないのが少しの不安であった。

「弓?」

「うん。まずは弓かなって」

「でも今まで剣の練習してきたじゃんか。それがいきなりどうして」

「いきなり実践で剣を振れって言われても無理だと思って。実際危険だと思うし。だからまずは安全な後方で戦いの成り行きを見てもらおうかってね」

「・・・わかった」

とりあえずアルの弓の練習に入った。と言っても静音も弓はほとんど扱ったことが無い。

暇つぶしに開拓団に行っていた時に触ったくらいだ。だから足りない知識はクランメンバーで弓を使う人や本で補完していた。

流石に工房の空間で練習は無理なため、有料の弓の訓練所に行くことにした。静音も今回のことを契機に弓を扱ってみようとしていた。

周りの人に混じって真新しい弓を構えてみる。と言ってもいきなり弓を引いて綺麗に射れる訳がなかった。

多くの人が弦を話すのを失敗して跳ね返った弓を落としたりあられもない方向に矢が飛んで行ったりと

阿鼻叫喚一歩手前の状態だった。

「うーん、教官とかいないのかぁ・・・場所だけ用意したから後は自分でやれって感じかぁ・・・」

「結局シズネも触ったこと無いのか。大丈夫なのか?」

「とりあえず練習してみようよ」

と、自分たちの番が来たので実際に弓を引いてみたがまったくもって上手くいかなかった。

とはいえ静音は少し触ったことがあったため真っすぐとはいかずとも弦は綺麗に離れていた。

とりあえずコツというか感覚をどうにかこうにかアルに教えようとした。

とりあえずその後も番が回ってきたもののその日は上手くいかずに終わった。

 

その後もアルは体力、剣技、弓技と練習を繰り返して戦いの技術を深めていった。ときおりクランメンバーに頼み込んで変な癖がついてないかなどを見てもらったりした。

それから真面目に弓の腕を磨くために弓を扱うルークやハリルに教えを乞うことにした。

流石に本職なだけあって指導は徹底されていてアルの腕はメキメキと上がっていった。

静音もまぁまぁの上がりであった。

わずか二週間ほどでアルは五本ほと撃てば一本は命中するぐらいの腕になった。

しかし静音は伸びることはなかった。

「なぜだ・・・なぜ私は・・・」

「うーん、人によって得手不得手はあるじゃん?シズネは剣技が良いからそれでいいじゃん」

「むむむ・・・」

とりあえず戦いの技術は一通り学んだとも言えた。しかしそれは徒歩での技術で会った。まだ一番の課題である乗馬が残っていた。

「うーん。こればっかりはどうしたものか・・・」

静音はなぜか一発で乗れたため練習方法などもまったくわからない。かといって気軽に人に聞くと出自を怪しまれてしまう危険があった。だから実際に乗せてみることにした。

静音はアルを連れて厩舎に向かった。

「すみませーん。私の馬とできればおとなしい馬を一頭お借りしたいのですが・・・」

「あぁ、馬は初めてかい?ならいいのがいる」

そう言って厩舎主は静音の馬ともう一頭馬を連れてきた。

「コイツは大分おとなしいヤツだ。初心者ならこれで慣れると良い」

「ありがとうございます」

二人はは馬を引いて王都の外に出た。

「じゃ、実際に乗ってみようか」

「え。なんか無いのか?」

「こればっかりは慣れるしかないかな?」

ほぼ行き当たりばったりの指導にアルは不振がったが結局やるしかなかった。

「よっと・・・おぉ、高ぇ」

「どう?馬上の景色は」

「良いもんだな」

「それにしてもほんとにおとなしい子だね。まったく身じろぎしないし。じゃ、進んでみようか」

静音が馬を引いて、実際にアルが手綱を握る。

「まずゆっくりと馬のお腹を足で押してみて。そうしたらゆっくりと進みだすから」

「わ、わかった」

実際にゆっくりと押してみると馬は少し嘶くとゆっくりと歩きだした。どうやら静音の速度に合わせてくれているのかカッカと歩いてくれた。

「おぉ、歩いてる・・・」

「じゃぁ今日は歩きの練習だね」

そうしてゆっくりとアルは乗馬の練習に励んだ。




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