静音たちが戦いの訓練をしている頃。魔王領で変化が起きていた。
土から生まれる魔獣は日々増えており、そしてそれらが生まれて間もないにもかかわらず殺し合いを始めていたのだ。大地は魔獣の体液で塗れ、屍をさらしていた。そして勝った魔獣はまた別の魔獣との死闘を繰り返す。そんな異常が見られていた。
「陛下、お呼びでございましょうか?」
「あぁ。例の国の様子はどうだ?」
「やはりあの忌まわしき剣の復活は本当かと」
「ちっ嘘であればよかったと思うことがあるとはな。で、肝心の戦士の力はどうだ?」
「恐れながら・・・未だ実力は不明でございます・・・」
「そうか・・・あの国とて切り札は隠したいだろう。そう言えば戯れで放った魔族、あれは殺されたんだったか」
「はい。帰還していないということは殺されたとみるべきでしょう。まさか裏切りなど・・・」
「魔獣と人間は共存などできん。殺されたということにしよう」
「しかし、魔族を殺せる相手など・・・」
「いるではないか。少し剣が上手いだけの奴がどこの国にも数人はいる。大方その内の一人にでも出くわしたのだろう」
ふぅっと一息をつく玉座の人影。
「で、魔獣たちの状態はどうだ?」
「今しばらくは糧争いの時間が必要かと」
「今の数では足りないと?」
「数は揃えようと思えばいくらでも揃えられます。されど、腕に自信のある戦士と戦うとなれば駒が足りませぬ」
「魔族はあまり生まれぬか」
「申し訳ございません。魔族に匹敵する魔獣ならば生まれておりますが、魔族へと至ったのはほんのわずか・・・」
「よい。これは時間が解決してくれるだろう。それから、門の様子はどうだ?」
「状態は万全と言ってよろしいかと。陛下の軍勢を送り出す準備はいつでもできております」
「そうか。では後ひと月ほど待つとしよう。量、質問わず魔獣を生み出すのだ」
「承知いたしました」
控えていた人影は暗闇に混じるように消え、玉座には一体の人影が残るばかりであった。
「もうじきだ・・・長い年月であった。我らの聖なる大地を取り戻すのだ・・・」
人影は何かに取り憑かれたように何度も同じ言葉を繰り返していた。
外では魔獣が共食いを繰り返し、雄たけびを上げる。それが魔獣の戦いの準備なのであろうか。
一定以上の強さを得た魔獣は戦いから離れ、もっぱら争っているのは生まれたばかりの魔獣であった。しかし殺し合うだけの魔獣が生まれるというのは異常といっても過言は無いだろう。
人間界への危機が迫りつつあるのはこれを目にしたらわかるであろう。
お待たせしました。二週間ほど投稿が無かったのは話数も増えてきて、矛盾や間違いが無いか。それから今後の方針に間違いは無いかの確認で時間を取ってしまいました。また再開していきます。