刀オタクが異世界転移したので剣豪を目指します   作:かんせつ

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第九十一話

魔王領域が活発になっていた頃。王都もまた普段以上の活気にあふれていたのだ。

王が御前試合の開催を宣言したのだ。御前試合とは数年に一度行われる武芸大会である。王国はもちろんのこと他国からも挑戦する者が多く訪れる。ある意味の祭りであるのだ。

そして剣聖の称号を得るチャンスでもあるのだ。

しかし今回は剣聖だけでなく、勇者も出場する可能性が高いのである。高名な勇者と戦える。それだけでも

戦士であれば誉れ高いことである。よって今年はより多い人が王都を訪れるであろう。

そして静音たちもまた出場する予定であった。そんな中ダンが静音に一つの提案というか要望を出した。

「聞いての通りだが御前試合、これが終わるまでクランにフリーの宣言をしちゃくれないか?」

「あーやっぱ備えたいよね。うん。別に否定するつもりもないし、みんなハメを外さない程度にならね」

要するに御前試合に備えるための時間が欲しいということだった。こんな時に遠征はしないとは思うが一応は保険としてほしかったのだろう。しかしダンが言わなくとも静音自身がそういうことを言うつもりであった。

静音自身も御前試合に備えたいからであった。

静音は工房で鉱物の本を何冊も読んでメモを取っていた。御前試合に向けて新たな刀を用意する算段であったのだ。

「シズネー。御前試合に備えて冒険者たちが注文をするかもだけどどうするんだ?数が多すぎて間に合わないとかなったら大変だぞ」

アルもまた成長して商機、そしてリスクを読めるようになっていた。

「それなんだけどねー。ちょっと出かけたいから店自体一時的に閉めようかなって」

「あーシズネもやっぱ出るのか。いいなー。俺も出たいなー」

「もっと強くなったらね」

「それよりも出かけるってどこに?」

「それはねー。王国中の鉱物産出所だよ」

「鉱物?ってことはまた剣を打つのか?」

「そういうことになるねー」

「今回はどのような剣を打つんですか?」

ミーナも興味津々に目を輝かせる。

「それは秘密。御前試合の前に披露したら面白くないしね」

二人の軽い不満抗議を流しながら静音は行く場所のリストアップを終わらせた。これから御前試合まで約一か月。その間にかなりの距離を移動して鉱物を集めなければならない。どれも特殊な鉱物ばかり。それも御前試合の影響で需要は高まっている。産出所に行けば王都などが注文する前に確保できるだろうという算段だ。もし確保できなくても大抵の産出所は料金を払えば採掘ができるというところもあるので心配はあまり必要ないかもしれない。

そんなこんなで静音は旅の準備を終えて軽やかに旅立っていった。

留守番のアルとミーナは時間ができたからと祭りの前触れを楽しんだら?と言われていたのであった。

 

そして静音は馬を駆って街道をただ走っていた。

今回狙う鉱石はどれも魔力伝導率が高い物であった。しかし全て同じ鉱石でなく、複数の鉱石を得ようよしていた。つまり複数の刀、もしくは剣を作るつもりであるのだ。

この世界では魔法使いは一つの属性を極めるよりも複数の属性を操れる方が効率がいいと言われている。

極めに極めた一つの属性ならばこれを覆せるだろうが効率、時間の問題を考えれば複属性に軍配が上がるのだ。

それは属性の共鳴である。属性は他の属性と反応し共鳴を起こし、さらなる強化、結果をもたらすのだ。

例え魔力を一つしか持っていないとしてもその魔力と違う属性の魔法を使えば魔力と魔法が共鳴し合うのだ。二つならばまだしも三つ目ともなるとその習得の時間を属性魔法の鍛錬に回した方が早い。

今回静音はこの共鳴に目を付けた。複数の属性を同時に操るというのは至難の業と言われている。

しかし、属性をあらかじめ付与した剣を同時に操るとどうなるか?

その答えはどこにも無かった。ただ単に成功しなかったのか、挑戦しようとした人物がいないのか。

どちらにせよ試す価値はあった。

静音は炎と雷の魔力を有して、加えて刀の鍛造に必須ということで氷属性の魔法を少し修めている。

まだ他の属性は初心者レベルだが果たして一か月でどうにかなるのか。それは誰も知らないのである。




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