静音が目指したのは王国中の鉱山であった。御前試合の影響で鉱物の取引合戦が起き始めていた。
そんな中で買えるかもわからない状態で待つより自分で手に入れに行く、それを静音は選んだ。
とりあえずまずは魔力伝導が優れている魔導鉱石を採掘しに来た。
「ん?あぁ冒険者か。金の臭いには敏感だな」
嫌味を言われつつも入場料を払って鉱山に入ることができた。そのまま静音は勘を頼りに坑道を歩いた。
とはいえ綺麗な坑道は既に掘りつくされた後か、道のために掘られたのだと推測する。
なら行くのは奥深くである。
「あぁ?小娘がこんなところで何やってんだ?」
と鉱夫の人から何度も聞かれたが静音は鉱石のためだと言ってそのまま進んでいった。
勘とは先ほど入ったが実際は人を辿って進んでいたのであった。
そして実際に採掘されているであろう場所にたどり着いた。
「さーて始めますかー」
静音はツルハシを取り出して何度も叩いて掘り始めた。
(こういうのをするのって最初の依頼の時を思い出すなー)
感慨にふけりながらも静音はツルハシを振るい続けた。
ある時は魔獣に刀を振り下ろし、またある時は鋼を叩くために槌を振り下ろす。そんなことをやっていた静音には苦ではなかった。
そして岩石を砕いていると岩石とはまったく別だとわかるような石がでてきた。
「ふむ、これかな?」
試しに取ってスキルで鑑定してみた。
魔導鉱石
品質 C
魔導鉱石の大きさは小さく、普通じゃとても使えるような代物ではなかった。
「あー残念だな嬢ちゃん。それじゃぁ誰も買い取ってくれねぇぞ」
「あー、実はですね、魔導鉱石なら大小も品質も関係なく、鉱石自体が欲しいんですよ」
「?何に使うかはわからねぇが、そんな小粒の奴は売れないから上の選別所にたくさん置いてあるぜ」
「あ、そうなんですか?ありがとうございます」
突然耳寄りな情報を手に入れて静音は坑道を出て選別所に向かった。
「なるほどね。魔導鉱石であれば何でもいいと。正直誰も買わないから倉庫を圧迫していてね、特別価格でどうだい?」
「じゃぁお言葉に甘えて・・・」
そう言って静音はかなりの量の魔導鉱石を仕入れることができた。静音は買い取った魔導鉱石を収納空間に入れて鉱山を後にした。
時間は有限である。既にここに来るまでに五日かかっている。次の場所に向かうのにも時間がかかる。
静音は最小限で休んで旅を続けた。
次に静音が訪れたのはとある山の頂だった。
ここはかつて王国を炎で包もうとしたドラゴンが住んでいたという場所であった。
どこからともなく現れたドラゴンは王国の村を町を焼いた。理由は結局のところ不明である。
魔獣の中でも特殊なドラゴン、竜種は共存もできないことはないがそれでも人との差は歴然である。
故にドラゴンは思いのままに行動する。そして王国はドラゴンと交渉することもなく、討伐隊を派遣。
多大な犠牲を払って討伐したのである。そして最も貢献したのがウィリアムであった。
そしてこの巣は英雄の偉業の地として公開されていた。
静音はそんな中を歩いて最も巣に近い場所に来た。
既にドラゴンが討伐されて十数年。どこも風化しているが、確かに何かが住んでいたことはわかる。
静音は魔導鉱石を持ってゆっくりと地面に手を付けた。そして魔導鉱石を中継して地面に魔力を流した。
すると魔導鉱石がすぐに反応を示した。
「当たりだね」
魔導鉱石は魔力を流すとそれにとてもよく反応する。静音は大地に残留していたドラゴンの魔力を引き寄せたのだ。元々行き場を失っていた魔力は触媒があれば容易になびく。しかしそれはその魔力を扱うことができることが条件であった。静音が扱えるかどうかは不明ではあったが物は試し。やってみたら成功したという図であった。その後も静音は数個の魔導鉱石にドラゴンの残留魔力を引き寄せた。
「んー・・・」
一応の目的が終わってから静音は背伸びをする。
旅の目的は両方とも完遂することができた。後は上手く他に注文した物が集まることを願うばかりである。と言っても静音が注文した物は大抵が今回の御前試合には重用されるようなものではない物ばかりであった。まぁ鉄鉱石の方は入手経路を探すのが困難だった。だが事前にアルとミーナに頼んでいたから
入荷次第工房に運び込まれるだろう。そんなこんなで静音が王都に帰るころには御前試合は二週間後と近づいていたのであった。
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