FGORPG仮面ライダーセイバーDLCカリバールートRTA 作:かかむりょう
今回も少し無理やり感があるかもしれません。正直いつも通りRTA方式で執筆した方が楽でした(小並感)
仮面ライダーカリバー――星本武はアルトリア・オルタの消滅を確認すると、ドライバーからワンダーライドブックを取り出して変身を解除した。
『す、すごい…。あのアーサー王を一人で、しかも聖杯のバックアップを受けている敵を倒すだなんて!ていうか武君は本当に何者なんだい!?生身で宝具をかき消したり、挙句サーヴァントを一騎打ちで倒すとか規格外にもほどがあるぞ!?』
通信越しに聞こえるロマニの声が非常にうるさくなっているが、正直この反応は仕方ないとも言える。そもそもの話、人間とサーヴァントとの間には絶対的な力の差がある。ましてや人がサーヴァントを倒すことなど、本来ならば不可能に等しい所業なのだ。だからこそ、武が単独でサーヴァントを倒したという事実はロマニを驚愕させるには十分すぎるものだった。
「すごい…。私が介入する隙がまるでありませんでした」
「あはは…。武は元々剣道部だったから、剣での戦いには慣れているのかもね」
「剣道と実戦じゃわけが違いすぎるわよ!サーヴァントと斬り合うなんて正気じゃないわ!」
オルガマリーは武の戦いぶりを見てしばらくヒステリックを起こしていたが、少ししてやるべきことを思い出したのか口を開いた。
「と、とにかく!ここでの戦闘は私たちが勝ったわ。あとは聖杯を回収するだけよ!」
オルガマリーの声を聞いて武たちは気を取り直して聖杯が置かれている台座を見た。アルトリアを倒した以上、もうすぐこの特異点は崩壊する。その前に聖杯を回収しなければならない。
『武君、その聖杯は回収できそうかい?』
ロマニも気を取り直して武に指示を出す。それを聞いた武が聖杯に近づき、回収しようと手を伸ばしたその時――
「いやはや、実に見事な戦いぶりだったよ、星本武君」
どこかから拍手の音と同時に、聞きなれた男の声が聞こえてきた。
「まさか君たちがここまでやるとはね…。私の計画の想定外にして、寛容さの許容外だ。特に星本武君。君の生死はあの時しっかり確認するべきだったよ」
「そんな…レフさん!?」
そう言いながら岩の陰から出てきた男――レフ・ライノールを見て、武は驚いた声を出す。しかし武を見つめるその瞳は武が知るレフのものとは明らかに違っていた。
「あぁ、レフ!レフ!生きていたのね!本当に良かった…貴方がいなくなったら私、これからどうやってカルデアを守っていけばいいかわからなかった!」
「やぁオルガ。君も大変だったね。元気そうで何よりだよ」
オルガマリーはレフに駆け寄ろうとする。しかしオルガマリーが動くより前に、立香とマシュはオルガマリーを引き留めた。
「ちょっと藤丸!それにマシュも何をしているの!」
「………所長さん、行っちゃダメです。あの人は…私たちが知っているレフさんではありません」
「所長、戦闘の許可を。レフ教授は…いえ、レフ・ライノールは私たちの敵です」
「でたらめを言うのはやめなさい!レフは…今までずっと私を、カルデアを支えてきてくれたのよ?そんなレフが敵なわけないじゃない!」
オルガマリーは信じられないといった感じで叫ぶが、立香はなんとなく感じていた。
彼から放たれている強烈な敵意を。吐き気を催す邪悪な悪意を。
「ククク!クハハハハハハッ!」
すると突然、レフが歪んだ笑みを浮かべて笑い出した。
「レ、レフ?どうしたの…?」
オルガマリーは、レフの突然の変貌に怯えたような声を出す。
そんなオルガマリーを見て、立香は守るようにオルガマリーを抱き寄せ、その二人を守るようにマシュが盾を構える。
それを見たレフはなおも嗤う。自らを信じ、すがるような目を向ける盲目の少女を。
「まったく、どいつもこいつも統率のとれていないクズどもばかりだ。魔術もろくに使えない無能であるが故に見逃してやった藤丸立香に、その身に宿した英霊の本来の力を発揮できない出来損ないのマシュ・キリエライト。あぁ、あと私の命令を無視して管制室に来なかったロマニ・アーキマンもいたな。そして未知の力を発揮して単独でサーヴァントを撃破した星本武。本当に予想外なことが起きすぎて頭に来るな。だが最も予想外だったのは……」
そう言うとレフは、まるで虫けらを見るような目でオルガマリーを見る。
しばらくして、邪悪な笑みを浮かべながらレフは口を開いた。
「
「………………え?」
オルガマリーは一瞬、レフが放った言葉の意味が理解できずに呆けてしまった。それは立香とマシュも同様だった。
「何を呆けている?もしかして死んだことで頭の回転まで遅くなったのかな?まぁどのみち不愉快であることには変わりないが」
そんな三人を見ながら、愉快な笑みを浮かべたレフはさらに言葉を続ける。
「実はねオルガ。管制室に仕組まれていた爆弾、あれ君の足元に設置していたんだ」
「ど、どういうこと…?じゃあ、あの爆発はレフの仕業…?なら今ここにいる私は?だって、だって私はここにちゃんといるじゃない!」
レフの言葉を信じたくないがために、必死に否定しようとするオルガマリー。
しかし、そんなオルガマリーを見ながらレフは、残酷な真実を口にした。
「生前君は、レイシフト適性がなかった。だがどういうわけかトリスメギストスは、爆発に巻き込まれて残留思念となった君をこの土地に転移させた。わかるかなオルガ?君は死んだことではじめて、あれほど切望していたレイシフト適性を手に入れたんだよ」
「そんな…嘘…嘘よ…。」
それを聞いたオルガマリーは目から光を失い、譫言を言い始める。やがて光を失った目からはとめどなく涙を流し始めた。
立香はそんなオルガマリーを見て抱きしめる力を強める。
「所長さん!しっかりしてください!ここで弱気になってしまったら、それこそあの男の思うツボです!」
立香は必死にオルガマリーに訴えるが、オルガマリーは立ち直る気配を見せない。
「ならばお前たちにさらなる絶望を与えるとしよう」
レフは追い打ちをかけるようにそう告げると不意に手をかざした。すると背後の孔が空き、その中から真っ赤に染まったカルデアスが出てきた。
「あ、れは…?まさか…カルデアス?嘘でしょう?…なんであんなに真っ赤なの?」
「信じたくないだろうが事実だ。ご覧の通りカルデアスにはお前たち人類の生存を示す青色は一片もない。あるのは只燃え盛る赤色だけ。未来が観測できなくなったことを、お前たちは”未来が消失した”などとほざいていたが実際は違う」
真っ赤になったカルデアスを見て呆然としているオルガマリーに、レフはまるで革命家を気取ったような声で話す。
「未来は消失したのではない。”焼却”されたのだ。分かるか?つまるところこれは人類史による人類の否定だ。お前たちは進化の行き止まりで衰退するのでも、ましてや異種族との交戦の末に絶滅するのでもない!」
レフは激しい口調のまま言葉を続ける。
「自らの無意味さに!自らの無能さに!我らが王の寵愛を失ったが故に!何の価値もない紙屑のように跡形もなく燃え尽きるのさ!」
そう言った直後、オルガマリーの体が突然宙に浮き始める。
「所長さん!?」
「え?……なにこれ…?急に体が――」
「とはいえ、これでも私は血も涙もない悪魔ではない。だからせめてもの慈悲だ。”君の宝物”で死なせてあげるよ。もっとも、カルデアスは君のものではないんだがね」
レフはカルデアで見た時のような張り付いた笑みでオルガマリーを見る。それを見たオルガマリーは、これから起こることを想像したのか顔を青ざめさせた。
「まさか、宝物って…や、やめて。お願い。だってカルデアスよ?高密度の情報体よ?次元が異なる領域なのよ?」
「そうだ。
オルガマリーの懇願を無視し、狂ったような笑みを浮かべてレフは死刑を宣告した。
「いや…いやいやいやいやぁぁぁ!助けて!誰か助けてぇぇ!」
オルガマリーは泣き叫びながら、必死に助けを求める。
「なんで!?なんでいつもこうなるの!?だって私、誰にもまだ褒められたことはない!まだ誰も私を認めてくれてないじゃない!」
オルガマリーは叫んだ。まるで親に捨てられた子供のように。
「誰も私を評価してくれなかった!誰もが私を嫌っていた!私はただ、一度でいいから認めてほしかった!一人でもいいから一緒に笑ってくれる友達が欲しかった!」
いくらオルガマリーが叫ぼうとも、その手を取ってくれるものはいない。
「なのにこんな…信じていた人にも裏切られて!カルデアスに放り込まれて死ぬなんて!いやぁ、いやぁぁぁぁぁぁぁ!!お願い!助けてぇ!だってまだ私、何もしてない!それに――――生まれてからずっと!誰にも一度も!ただの一度も認めてもらえなかったのに!こんな終わりなんていやぁぁぁぁぁぁぁ!こんなところで死にたくないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
少女は死に際になって本当の想いを口にした。しかし、今更何を言ってももう遅い。
「ハハハハハ!絶望と恐怖に塗れたいい泣き声だぞオルガマリー!この特異点の崩壊を飾るにふさわしい、最高のエンディングテーマだ!」
レフの愉悦じみた笑い声が響き渡り、オルガマリーはカルデアスの方へ吸い込まれていく。オルガマリーは絶望しながら目を閉ざそうとした、その時だった。
「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
突然レフが苦しそうな声を上げる。レフが何事かと思い自分の体を見てみると、
「な、なんだこれは!?一体何が起こっている!?」
レフは慌てて戦闘態勢に入ったが、いつまで待っても攻撃がくる気配がない。レフは周囲を見渡すが特に変わったところはない。――ただ一つを除いて。
「奴は…星本武はどこへ行った!?」
先ほどまでいたはずの星本武の姿がない。一体奴はどこへ?そう考えていると不意に声が聞こえてきた。
「………………え?」
「さっきから黙って聞いていれば、ずいぶんと好き勝手なことを言うんだなレフさん?」
レフは声のする方へ顔を向けると、そこにはいつの間にかオルガマリーを抱えて立香の下へ移動している武がいた。オルガマリーはそのままカルデアスに飲み込まれるはずが、いつの間にか先ほどまで立っていた場所に戻っていることに困惑している。
「貴様!いったい何をした!なぜオルガマリーがそこにいる!」
「そんなことどうでもいいだろ?」
武はレフの質問にそっけなく返すと、立香にオルガマリーを預けた。
「立香、所長さんを頼めるか?」
「任せて!所長さんは絶対に守って見せるから!」
立香は力強く答えると、オルガマリーを強く抱きしめた。今度は絶対に離さないように。
「ふん!貴様は先ほどのセイバーとの戦いで消耗している!そんな状態で一体どうしようというのだ!」
「おいおい、一人で戦うなんて一言も言ってないぞ?」
「何?…まさか!?」
レフは即座にその場から飛び退いた。するとさっきまでレフが立っていた場所が轟音を立てておもいっきり抉れる。
「ちっ!躱したか。意外とすばしっこい野郎だな!」
舌打ちをしながらそう言ったのは、武のサーヴァントであるアシュヴァッターマンだった。
「あんたのご高説を聞かされてからものすごくイライラしているみたいでな。悪いけど憂さ晴らしに付き合ってやってくれ」
「ちぃ!ふざけた真似を!」
レフは戦闘態勢を取るが、その直後にアシュヴァッターマンの蹴りを喰らって大きく吹き飛ぶ。
「おら!まだまだいくぞゴラァ!」
「ぐっ!調子に乗るな!」
アシュヴァッターマンは戦輪を振り回しながら、レフに嵐のような猛攻を加える。
「ははははははっ!どうした!さっきまでの余裕はどこに行ったんだぁ!?」
アシュヴァッターマンは戦輪から飛び出たスパイクを何度も蹴って火球を飛ばす。それに対しレフは魔術による火球をぶつけて相殺しようとするが、戦輪から放たれる火球を捌ききれずに数発喰らい、大きくよろめく。
レフはアシュヴァッターマンの凄まじすぎる攻撃に対して、完全に防戦一方となっていた。
「くっ!たかがサーヴァントとはいえ、この戦闘力の高さは分が悪いか!」
レフは一瞬の隙をついてアシュヴァッターマンから距離を離すと、自らの周囲の空間を歪ませる。どうやらどこかへ逃げるつもりらしい。
「今回のところは引かせてもらおう。どのみちこの特異点はじきに崩壊する。お前たちが無事に脱出できたところで人類の破滅の未来は変わらん!」
「あ、おい!どこに行くんだゴラァ!」
アシュヴァッターマンはレフに追撃を仕掛けようとするが一歩遅く、レフは捨て台詞を吐きながら特異点Fから完全に撤退した。
「わりぃ。逃がしちまった。次は必ずぶちのめす」
「あぁ。ありがとうアシュヴァッターマン。おかげで助かった」
「はっ、マスターばっかりいい恰好させられるかってんだ」
アシュヴァッターマンはそう言いながら武の下へ戻った。それと同時に特異点の崩壊が始まったのか、地面が揺れ始める。
「そうだ!聖杯を回収しないと!」
武は月闇の空間移動で聖杯の近くまで移動する。聖杯の周りには光の壁のようなものがあって近付けそうになかったが、武は月闇で光の壁を破壊して聖杯を回収した。回収を済ませると同時に、再び空間移動で立香たちのもとへ移動する。
「立香、マシュ!それに所長さん!もうここは限界だ!急いでここから脱出しよう!」
「脱出って…私はもう死んでるのよ!?カルデアに帰ったら、私の意識が消えてしまうじゃない!」
オルガマリーはどうしようもない現実に泣きながら武に指摘した。彼女の言う通り、カルデアにいるオルガマリーの肉体は爆発によって既に死んでいる。このままカルデアに帰還すると、残留思念であるオルガマリーは完全に消滅してしまう。しかし武はまだあきらめてはいなかった。
「所長さん…方法ならある」
「……………え?」
武はオルガマリーにその方法を簡潔に説明する。それを聞いたオルガマリーはどこか信じられないような顔をしながら武に尋ねる。
「本当に大丈夫なの…?」
「確証はない。これは言ってしまえば、一種の賭けに近い。けどあなたを助けるにはこれが今とれる最善の方法だ」
武はそう言いながら、まっすぐにオルガマリーを見つめる。
「それに、俺たちはまだあなたに事情を説明してない。なんでカルデアに来たのかも言えてない。だから――信じてくれますか?」
オルガマリーは武の言葉を聞いて、少しした後で口を開いた。
「わかったわ。あなたを信じます。やってちょうだい」
その言葉を聞いた武は闇黒剣月闇を所長にかざす。するとオルガマリーは闇に包まれ、闇黒剣月闇に吸い込まれるように移っていった。それを確認した武は、通信越しのロマニに向かって叫ぶ。
「ドクター!所長さんの魂は確保した!今すぐここから脱出させてくれ!」
『わ、わかった!今からそこにいる君たちをレイシフトでこちらに引き戻す!』
その言葉と同時に、武たちの体が量子に変換されていく。
「はぁ…何とか無事に生きて帰れそうだな」
「うん………ねぇ武」
不意に立香は武の手を取ると、武をまっすぐ見つめて口を開いた。
「私、強くなるね。私は武のように強い力も覚悟もないし、これからもきっと持つことはできないかもしれない。けど…それでも武を隣で支えられるように必ず強くなって見せる」
立香がカルデアに来る前の快活な笑顔でそう言った。その笑顔に武もまた笑顔で返す。
そして武たちの体は完全に量子に包まれ、カルデアへと引き戻されていった。
小説方式のみの話は、これからもちょくちょく出していこうと思っていますのでよろしくお願いいたします。
オルガマリーがなぜ助かったのかは次回明らかになります。
それから皆さんに、またアンケートの協力をお願いしたいと思います。
現時点でマシュはホモ君のサーヴァントですが、正直RTA的にもストーリー的にもまずいのではと感じ始めています。一応はこのまま進めていくつもりですが、これから本作を進めていくうえで参考にさせていただきたいので、何卒よろしくお願いします。
というわけで失踪します。