FGORPG仮面ライダーセイバーDLCカリバールートRTA 作:かかむりょう
ティエールから命からがら逃げだした武たちは、出発する前に滞在していた森に避難した。森に辿り着くころには辺りはすっかり夜になり、暖を取りながら武たちは傷を負った体を癒していた。
『道満、みんなの容態はどうだい?』
通信越しにロマニの質問が道満に投げかけられる。現在道満は、傷を負った者たちを癒すために式神などを駆使して治療を施していた。
「ンンンン、まずはマスター……武殿とアルトリア・オルタ殿はほぼ治療が完了しております。武殿は全身の傷に加えて一部の骨や内臓がやられていましたが、現在は全く問題ない状態まで回復しました。いやはや、さすがは我が主です」
『そ、そっか……よかった……』
ロマニはひとまず武の傷が癒されたことに安堵するも、すぐに顔を険しくして口を開ける。
『他には……立香ちゃんとマシュは!?それに他のサーヴァントたちは……』
「まぁ落ち着きなさってくださいドクター殿。順を追って説明します」
それから道満は、現在の武たちの現状を簡潔にロマニに説明した。
・清姫とエリザベートは何とか一命を取り留め、現在は治療を終えて眠っている。彼女たちへの説明は彼女が起き上がり次第行う予定。
・エミヤ、小次郎の二人は瀕死の重傷を負っていたが現在は治療済みで、ある程度の戦闘ならば可能。ジャンヌに関しては怪我の具合が非常に悪く、あのままでは治療が間に合わずに消滅してしまっていたため、消滅一歩手前だったマリーとアマデウスが自身の魔力をすべて分け与えることでなんとか生存し、現在は眠っている。ジャンヌに魔力を譲渡したことによって、マリーとアマデウスはこの特異点から完全に消滅した。
・マシュと立香は一命は取り留めたものの、現在も意識は戻っていない。命の危険はないがこれ以上の戦闘は不可能。
「……と言った具合ですかね。正直もっと被害は大きいものだと思っていたのですが、立香殿たちは思った以上に健闘したようです」
『……だけど、マリーとアマデウスは……』
「そこはもう仕方ないかと、ドクター。彼女たちは納得してジャンヌ殿に魔力を分け与えたのですから。最後にマリー殿から『私の素敵なお友達をどうかよろしくお願いします』という伝言も預かっております。アマデウス殿も同様に。ならば我々がすべきことは、彼女たちのためにも必ずこの特異点を攻略すること。これ以外に彼女たちの想いに報いる術はございませぬ」
『……そうだね、君の言う通りだ道満。それじゃ落ち着いたら、また連絡してくれ』
「承知いたしました」
報告を終えた道満は通信を切り、武たちの方を見る。するとアルトリア・オルタと話していた武は道満を呼び、これからのことについて話を切り出した。
「道満、今こちら側の戦力に戦える奴はどれくらいいる?」
「そうですねぇ……武殿にアルトリア・オルタ殿、それに拙僧とエミヤ殿に小次郎殿と言ったところですな。それに清姫とエリザベート・バートリーも戦えるとなれば、全部で七人ほどの戦力になります」
「………………厳しいな」
アルトリア・オルタは苦虫を踏み潰したような表情で呟く。相手陣営の戦力はジャンヌ・オルタ、ジークフリート、ファントム・ジ・オペラ、ランスロット、シュヴァリエ・デオンの五人。対するカルデア陣営は七人。これだけを見れば、戦力的には有利なのかもしれない。
しかし実際はその逆である。まずカルデア陣営の中でまともに戦えるのは武、アルトリア・オルタ、道満ぐらいだろう。エミヤと小次郎もある程度戦えるが、オルレアンに攻め込むには万全の状態とは言えない。それはエリザベートや清姫も同様だ。しかも立香やマシュは未だに意識が戻っておらず、その間の立香達の護衛はジャンヌ一人ではあまりに心細い。故にエミヤと小次郎は当然として、エリザベートと清姫も立香達の護衛につけるとなれば、事実上の戦力は三人しかいない。
加えてジャンヌ・オルタ陣営はまだ何人かのサーヴァントが控えているうえに、聖杯によっていくらでもサーヴァントの補充が利くため、戦力差はさらに大きくなる。そんな絶望的な状況の中でジャンヌ・オルタの陣営を壊滅させ、彼女らが所持する聖杯を回収しなければならない。
「となれば、やっぱ方法は一つだよな」
「…………奇襲か」
「その通り」
武の言葉にアルトリア・オルタは口角を上げる。アルトリア・オルタもまた、この状況下で聖杯を回収するには奇襲ぐらいしか思いつかなかったからだ。
「ンンンン……しかし武殿、我々だけで奇襲をかけるのはいささか無謀では?」
「そこは大丈夫だ道満。ちゃんと策はある」
「…………承知いたしました」
道満は武の顔を見てそれ以上の追及をやめた。何故なら道満には確信があったからだ。
――主は必ず自分たちを勝利に導く……と。
「それじゃ二人とも、詳しい作戦を……」
「ちょっと待ちなさい」
武が作戦会議を開こうとした時、それに待ったをかける声がはさまれる。
「その作戦、私も入れて頂戴」
「私も是非お願いします」
いつの間にか目を覚ましていた少女……エリザベート・バートリーと清姫が、自分を戦力として加えてほしいと願い出てきたのだ。ティエールでの戦いで負った怪我は治ってはいるものの、まだ本調子ではないのか苦しそうな表情をしている。しかしそれがどうしたと言わんばかりの強い意志が、二人の足を支えていた。
「エリザベート・バートリー……それに、清姫も……」
武にその名を呼ばれた少女たちはどこか懐かしむようにクスっと笑いながら、武の顔をまっすぐ見つめて口を開く。
「私たちもあんたの力になる。あの放火魔に吠え面を掻かせてやりたいのよ」
「でも二人は……」
「心配しないで。足手まといにはならない。必ずあんたたちの役に立って見せる……信じて」
「どうかお願いします。貴方がたの戦いに私も連れて行ってください。私は貴方がたと比べて力も覚悟も何一つ足りませんが……それでもこのまま終わりたくはないのですっ!」
エリザベートと清姫は確固たる意志をもって武に願い出る。エリザベートと清姫もまた、ジャンヌ・オルタになすすべなく敗北して嬲られた悔しさが溢れそうになっていたのだ。その悔しさを浮かべた表情を見た武は、二人の覚悟を見て手招きする。
「二人ともありがとう。正直、二人が参加してくれるのはありがたい。おかげでより成功に近付ける」
エリザベート達に感謝を告げた武は、改めて作戦会議を始めるべく口を開く。
「それじゃ、作戦についてだけど――」
***
「この作戦は夜明け前に決行する。頼むぞみんな」
サーヴァントたちは武の言葉に頷き、夜明けまでの時間で少しでも万全な態勢で作戦に臨めるように休息を取ることとなった。武もまた、作戦を必ず成功させるために英気を養うべく休息をとる。
「んっ、ここは……?」
「……っ!?立香、意識が戻ったのか!?」
すると今まで意識が戻っていなかった立香が、ゆっくりと目を覚ました。それに続いて、マシュとジャンヌも目を覚ます。無事に目を覚ました三人を見て、武たちは心からの安堵の表情を浮かべた。
それから武たちは立香たちに、ティエールから撤退した後のことを簡単に説明する。
「そっか……そんなことになってたんだね……」
「そんな……マリーさんと、アマデウスさんが……」
「マリー……っ!」
全ての事情を聞き終えた立香たちの表情は、どれも浮かばれない表情をしていた。特にマリーと友情を育んでいたジャンヌは、友達が自分のためにその命を捧げたことに深いショックを覚え、瞳から涙を流していた。
「……私が弱かったから……私が、もっと強ければっ……皆さんを守れる強い力が、私にあればっ!」
ジャンヌは己の無力を恥じて強く拳を握り締める。握り締めた拳は血が滲み、いかにジャンヌが弱い自分自身に怒りを向けているのかを表していた。立香やマシュ、それにエミヤや小次郎もジャンヌと同じようにジークフリートに敗れた不甲斐ない自分を恥じていた。
「……三人とも、今はゆっくり休んでくれ。特に立香とマシュはまだ安静にしないといけない状態なんだ。少しでも体力を回復させないと」
「……わかった」
「……すみません」
立香とマシュは少しでも早く回復できるように、再び目を閉じて眠り始める。二人が眠ったことを確認した武は、エミヤと小次郎とジャンヌを呼び出して、先ほどの作戦の概要を共有した。
「……それで、武たちがオルレアンを攻略する間、我々はここでマスターを守ればいいのか?」
「そうだ。立香とマシュは戦えない上にここから動けないからな。その間は完全に無防備になるから、三人で立香たちを守ってほしい」
「あいわかった。マスターとマシュは必ずや守り抜いて見せよう」
エミヤと小次郎は先の戦いでの失態を取り返さんとする意志を瞳に宿す。しかしジャンヌはどこか納得できないと言いたげな顔をしていた。
「私も、ですか……?」
「そうだ。ジャンヌ・オルタは俺たちがどうにかするから、ジャンヌは二人と協力してここで立香たちを守ってくれ」
「……分かりました。彼女たちの護衛は任せてください」
悔しさを隠すこともせず、渋々武の頼みを聞くジャンヌ。本当ならこのまま座して待つことなんてできない。それにジャンヌ・オルタに関しても、武たちにすべて任せるなんてことはしたくない。しかし現在戦えるカルデアの戦力の中で最も足手まといになってしまうだろうと自覚しているジャンヌは、一緒に連れて行って欲しいとはどうしても口に出せなかった。
「それじゃ、立香たちのことは頼む。勝利報告を楽しみにしておいてくれ」
「……武」
「どうした、エミヤ?」
伝えるべきことを伝え終えた武がその場を離れようとした時、エミヤが武を呼び止める。そしてエミヤはただ一言だけ告げた。
「……死ぬなよ」
「……わかってる」
武もまた一言だけ告げると、その場を離れた。
それからしばらくして夜明け前となり、武たちは行動を開始する。立香たちを守るためその場に残るジャンヌたちは、彼らの武運を祈りながらその背中を黙って見送った。
星本武。蘆屋道満。アルトリア・オルタ。エリザベート・バートリー。清姫。
それぞれの想いを心に秘めるたった五人の決死の作戦が、今始まろうとしていた。
***
武たちが行動を開始したと同じ頃。ジャンヌ・オルタは玉座の間にて一人、目を閉じて自分の世界に旅立っていた。
(……武)
ジャンヌ・オルタの脳内に浮かんでくるのは、かつて共に戦ったマスターとの思い出。思い出の内容は日々を追うごとに薄れていくが、それでもジャンヌ・オルタは忘れてたまるかと内に燃える炎を燃やすように何度も思い返す。
楽しかったこと。辛かったこと。嬉しかったこと。悲しかったこと。
ジャンヌ・オルタの思い出の中には、どんな時でも彼の姿があった。
(……もうすぐよ。もうすぐ、全て終わる)
これまで何度絶望を味わったか、ジャンヌ・オルタは数えていない。一度や二度どころではない、途方のない数の武の末路を見る度にジャンヌ・オルタは怒る。武を殺した仇に。世界に。運命に。そして何よりも、一度たりとも彼の運命を変えられなかった自分自身に。
「でもそれももう終わり。ここであいつを……完全に終わらせる」
「じゃ、ジャンヌ!大変でございますっ!」
改めて決意を固めるジャンヌ・オルタの前に一人の男が現れる。男の名はジル・ド・レェといい、ジャンヌ・オルタをこの特異点に生み出した張本人だった。彼もまたサーヴァントであり、彼女の腹心の部下として常に行動している。ジャンヌ・オルタもまた、自分のために働くジルに信頼を寄せている。
そんなジルが慌てたような顔をして自分のもとに来たのだから、きっと何かがあったのだろう。ジャンヌ・オルタは大体予想が付きつつも、ジルに問いかける。
「何があったのですか、ジル?」
「しゅ、襲撃です!このオルレアンを攻め落とすために、カルデアのマスターが襲撃をかけてきました!」
「来ましたか。昨日撤退したばかりなのに、案外早かったのですね。それで人数は?」
玉座から立ち上がったジャンヌ・オルタは、落ち着いた様子で敵軍の規模を尋ねる。ジルはそんなジャンヌ・オルタの姿に感心しつつも、ゆっくりと口を開いた。
「…………一人です」
「…………え?」
「たった一人でオルレアンに襲撃をかけてきたのです!!しかもその襲撃者は、例の『マスター』です!彼一人だけが、このオルレアンに攻め込んできています!」
「…………は?」
ジャンヌ・オルタは文字通り開いた口が塞がらなかった。それはそうだろう。サーヴァントが攻めてきたわけではなく、ましてやサーヴァントを引き連れてきたわけでもなく、マスターただ一人だけが敵の本拠地たるオルレアンを攻め落としに来たというのだから。
(そういえば、さっきから外がすごく騒がしい気がするけど……まさかね)
「……ただの小競り合いでしょう。心配することはありません」
いくらあいつだとしてもそんなバカなことするわけがない。何かの気のせいだろうと、ジャンヌ・オルタは再び目を閉じようとする。
「きゃあ!?何、今のっ!?」
その直後、ジャンヌ・オルタの耳に何かが破壊される音が聞こえ、ジャンヌ・オルタはビクンと跳ね上がった。しかもその音は壺や窓ガラスが割れたとかのレベルではなく、壁が破壊されたようなとんでもない音だった。
だんだん嫌な予感がしてきたジャンヌ・オルタは、玉座の間を出て全速力で城の外に急ぐ。そして城を出たジャンヌ・オルタは、そこであり得ないもの見た。
「ちょっ!?なんか壁ぶち壊されてでっかい穴が空いてるんですけどっ!?」
城の周囲を囲んでいる壁が、思いっきり破壊されていたのだ。あまりに突然の出来事に頭を抱えそうになるジャンヌ・オルタだったが、そんなジャンヌ・オルタの目にさらに追い打ちをかける光景が映った。
彼女の目に映っていたのは……。
「オラァァァァァァァ!!今度はこっちから来てやったぜぇぇぇぇ!!とっとと
バイクに跨るイカれた
敵を引き付ける囮役を担ったホモ君が、敵の本陣にそのまま突っ込んでいったときのサーヴァント達の反応
腹ペコ王「聞いていた話と違うが?(ただの陽動だと思っていた)」
リンボマン「ンンンン!さすが我が主!」
エリちゃん「頭おかしいわよあの子犬!」
きよひー「…………(言葉が出ない)」
何はともあれようやくオルレアン本陣にカチコミをかけました。
オルレアン編はあと3~4話ぐらいで終わる予定です。