FGORPG仮面ライダーセイバーDLCカリバールートRTA   作:かかむりょう

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すみません。後三話ぐらいで終わるみたいなこと書きましたが、もう数話ほど足すことになりそうです。まとめきれなくて本当にすまない……。

最終決戦は色々長くなりそうなので、前編、中編、後編と言う風に分けました。

一応今回の話は独自解釈要素が強めになっておりますので、読まれる際はご注意ください。


荒ぶる竜たちは戦場に舞う(前編)

武たちがオルレアン城の最奥部にてジャンヌ・オルタたちと最後の戦いを繰り広げる数刻ほど前……。

 

(ンンンン……確か彼、このあたりにいたと思うのですがねぇ……?)

 

大広間から離れた場所で、蘆屋道満はたった一人である人物を探していた。

 

(にしてもあのトカゲ娘……本当に恐ろしい音を響かせらっしゃる。拙僧の遮音の結界でも完全には防ぎきれないのは正直驚きましたな。今度からはああいうやかましい音に対する対策も考えておかねば)

 

先ほどまで共に戦っていたエリザベートの地獄のライブを思い出したのか、道満は苦い表情をする。

 

 

 

 

 

武が戦力を分断して先へ進んだ後、道満はエリザベートと清姫と共にアタランテたちを迎え撃った。

 

結果から言えば、戦いは道満達が勝利を収めた。ファントムの分身をものともせず鋭利な爪で瞬殺し、サンソンの剣を意に介さず振り払って剛腕で撲殺し、そしてアタランテの弓を埃を払うかの如く捌いて手刀で心臓を貫いた。そうして道満一人で、戦いとも呼べないような戦いが一瞬で終わったのだ。もっとも、エリザベートの宝具によって弱っていたのもあるかもしれないが。

 

道満がアタランテにとどめを刺す直前、アタランテは血を吐きながら掠れた声で呟いた。

 

「何故貴様のような野蛮な獣が、武と共にいるのだ?」

 

その問いは彼女の本能からくる道満への警戒心と、そんな道満が武のサーヴァントになっていることに納得がいかないと言う怒りが混ざっていた。しかし道満はそんな問いかけに対し、にやりと嗤いながら答えた。

 

「そんなもの……武殿が拙僧を求めてくれたからに決まっているではありませんか♡」

 

道満のふざけたような答えを聞いたアタランテは憤怒の表情を見せるも、それで何かができるわけでもなくそのまま消滅した。そんな一部始終をただ見ていただけのエリザベートと清姫は、内心で道満に対して恐怖を覚えながらも口を開く。

 

「あ、あんた!とんでもなく強いのね!さすがは子犬の手下ってところかしら!」

「……さすがですね、道満さん」

「いえいえ、それほどでもありませぬぞ。お二人の方こそ、見事な戦いぶりでした」

 

互いの戦いぶりを称賛し合う両者だが、その雰囲気はどうもよそよそしい。特に清姫は道満に対して敵意にも似た感情を寄せていた。何故清姫がここまで道満を警戒するのか、それは単純に清姫の嫌いなものに道満が該当していたためであった。

 

(なんですかこの方は……?まるで存在そのものが嘘で出来ているような……)

 

清姫は生前に恋をしていた相手に裏切られた経験もあり、嘘が何よりも嫌いだった。故に清姫は人一倍嘘の臭いには敏感なのであった。清姫視点から見た道満は息をするように平然と嘘をつき、笑いながら人を裏切る獣そのものにしか見えなかったのである。しかしそこまでの存在となると、もはや清姫の中では道満に対する憎悪よりも恐怖の方が勝ってしまっていた。

 

「ん?どうされましたかな、清姫殿?」

「……いえ。何でもありません」

 

とはいえ、今の道満は武のサーヴァントとして戦っている。目的がどうであれ、武への忠誠心が本物であることは清姫もわかっていたため、これ以上の警戒は無意味と判断した。

 

「それではお二人とも、拙僧は用がありますのでここで」

 

そして道満はエリザベートと清姫に一言伝えると、そそくさとその場を後にする。その場に残されたエリザベートと清姫は道満の姿が見えなくなった途端、全身から汗を流してその場にへたり込んだ。

 

「な、なんなのよあいつ!?すっごく怖かったんだけどっ!??本気で食べられちゃうかと思ったわ!」

「………………」

「……ちょっと、どうしたのよ清姫?あんた私よりも顔真っ青じゃない」

「……なんでもありません。早く安珍様たちと合流しましょう」

 

清姫は誤魔化すように立ち上がり、最奥部へ向けて歩き始める。エリザベートは文句を言いながら清姫の跡を追うが、そんなことよりも清姫の内心は道満への恐怖と武への心配でぐちゃぐちゃになっていた。

 

(あのようなケダモノが安珍様のサーヴァントになっているのは納得いきませんが、今は先を急がなければ。安珍様には、帰るべき場所がありますから!)

 

かつての想い人と武の姿を重ねながら、清姫は恋する乙女の如く足早に武のもとへと向かうのであった

 

 

 

 

 

そうして清姫たちが最奥部へ向かっている最中、道満は目当ての人物を見つけていた。

 

「ご機嫌麗しゅうございます、ジル・ド・レェ殿。いや、青髭殿と呼んだ方がよろしいかな?」

「き、貴様はっ!?」

 

道満の姿を見たジル・ド・レェは顔面を蒼白させながらスペルブックを取り出し、魔術を唱えて大量の海魔を呼び出す。しかしそんなもので道満を止められるはずもなく、一瞬で海魔を全滅させた道満に懐に潜り込まれる。

 

「失敬」

「ぎゃああああっ!?」

 

そしてそのまま、道満の逞しい筋肉質の腕から放たれた手刀がジルの胴体を貫いた。ジルは夥しい量の血を口から吐きながら、スペルブックをその手から落としてしまう。

 

「………………ふむ、どうやら()()()、聖杯を持っていらっしゃらないようですねぇ」

「………………ケダモノが!貴様ごときに、聖杯は渡さぬ!」

「ンンンン!あなたがそれを言いますか。無垢な子供を殺すことしか能のない下等な魔術師以下の分際で」

「ぐぎゃああああ!」

 

道満はジルの体内で腕を動かしながら、じっくり嬲るように内臓をかき乱す。臓器の一つ一つを掴み、数秒ほど味わった後に破壊する。魔術を用いてできる限りジルを延命させながら、道満は凌辱を楽しみ続ける。そしてしばらくジルを痛めつけた後、道満はゆっくりと口を開いて問いかける。

 

「ではそろそろ質問をば。聖杯はどこですか?」

「ごふっ……貴様に教えるとでも思ったか?」

 

無論ジルはその問いには答えない。たとえ自らが狂った殺人鬼になり果てたとしても、聖女(ジャンヌ)に対する忠誠心は決して揺らぎはしないのだから。しかしそんなちっぽけなジルの信念など道満の知ったことではなく、笑みを浮かべながらジルに向かって言い放つ。

 

「ええ、もちろん!何せあなたの霊基を、少しばかり弄らせてもらったのですから!いずれ素直に教えてくれるようになりますとも!」

「……っ!?何をバカな!私には、精神攻撃の類は一切通じぬぞ!」

「ンンンン……信用していただけないとは、なんとも悲しいものですな。なら実際にその身で確かめてくだされ」

 

その言葉を聞いたジルは再び顔を青くしながらも、最後の足掻きと言わんばかりに奇声を上げながらもがく。道満は心底どうでも良さそうな顔をしながら、再び口を開いた。

 

「もう一度お聞きしますぞ?………………聖杯はどこだ

「……っ!?!?!?」

 

しかし今度は先ほどよりも低い声で、質問と言うより脅迫するような形で尋ねる。しばらく奇声を上げてもがいていたジルは突然静かになると同時に、瞳を虚ろにしながら道満の質問に対してこう答える。

 

「……我が手にあった聖杯は、主の元へ………………」

「ご親切にありがとうございます。では、さようなら」

 

答えを聞いて満足した道満は、そのままあっけなくジルを魔術を用いて体内から爆殺した。塵となって消えていくジルを見ながら、道満は内心で考えを巡らせる。

 

(ふむ……聖杯があの小娘のもとにあるということは、最終手段として自分ごと武殿を始末する切り札として使う算段でもあるのでしょうな)

 

そう推測しながらも、道満の顔からは笑みは消えない。何故ならこれもまた、道満にとっては懸念する要素にすらなり得ないからだ。

 

「さて、無事に一仕事終えたことですし、拙僧は特等席で我が主の勇姿を見届けるとしましょう」

 

(いざとなれば、拙僧の手で片付けてしまえばよいだけの話ですし……)

 

そうして道満は、式神を数体ほど武の元へ向かわせてその場から移動する。後に残っていたのは、道満によってそこら中にまき散らされた凄惨な殺戮の跡のみであった。

 

 

 

 

 

それから時は戻って現在、オルレアン城の最奥部では熾烈な戦いが繰り広げられていた。

 

「はぁぁぁぁぁ!」

「ふんっ!」

 

ジャンヌ・オルタとジークフリートは、魔力を全開にしながら剣と槍の猛攻撃をしかける。そこに一切の手加減も慈悲もなく、ただ相手を殺すための純粋な暴力をもって、武たちを滅ぼそうとする。

 

「この程度か!」

「おぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

しかし武とアルトリア・オルタは、そんな彼らの暴力を同じ暴力……いや、それ以上の暴力を持って返り討ちにする。アルトリア・オルタ自身の膨大な魔力放出によるパワーはもちろんのこと、武の変身したカリバーの魔神の如き強大な力は、徐々にジャンヌ・オルタ達を追い詰めていく。

 

「ちぃぃぃぃ!やってくれるじゃない!オルレアンにカチコミかけてきただけはあるわね!」

「……ふっ。ふふふふふっ。いいぞカルデアの剣士。ここまで血を流したのは久しぶりだ。さぁ、もっと俺を楽しませてくれ」

 

武たちの激しい剣の猛攻に削られてどんどん焦りを見せていくジャンヌ・オルタに対し、ジークフリートは狂化による殺戮衝動に駆られながらも純粋に戦いを楽しんでいた。不死身の肉体に傷をつけられるだけでなく、それどころか自分を滅ぼしかねない力を持つ武との戦いは、ジークフリートの戦士としての血を沸き立たせるには十分すぎた。

 

「だがそろそろ終わりにしよう。これ以上自分の欲望を優先させると、マスターの怒りを買うからな」

 

ジークフリートは一度その場を退き、バルムンクを両手で構える。その直後、ジークフリートの持つバルムンクの柄に埋め込まれた青い宝玉から、膨大な真エーテルが刀身を纏い始める。

 

(まずい!あれはおそらく、宝具の構えだ!)

 

それを見た武はジークフリートの宝具発動を阻止すべく動き出す。しかしその行く手を阻む者がいた。

 

「行かせないわよ、武。あんたたちはこれからあの呪われた聖剣によって惨たらしい死を迎えるのだから」

 

あざ笑うようにそう言い放つジャンヌ・オルタは、武の足元に無数の槍を突き立てる。即座にその場を飛び退いて躱した武だったが、それが致命的な隙を見せた。

 

「幕引きだ、カルデアの剣士よ。……幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)

 

真エーテルを限界まで纏ったバルムンクから魔力が火柱となって放たれる。ジークフリートがバルムンクを武目掛けて振るい、火柱が武を飲み込まんと迫る。防御も回避も間に合わないと判断した武は、闇黒剣月闇を必冊ホルダーに納刀して居合の構えを取る。

 

『月闇居合!』

 

(一か八か……やるしかない!)

 

眼前に迫りくる蒼炎を、武は限界まで引き付ける。そしてあと少しで自分を滅する距離まで火柱を引き付けた瞬間、

 

『読後一閃!』

 

「るあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

限界まで練り込ませた闇の斬撃が一閃し、火柱を真っ二つに両断してみせた。両断された火柱は形を維持できず、一瞬で四散してしまう。しかしそれを見て尚、ジークフリートは焦りの表情を見せるどころか普段では絶対に見せないような獰猛な笑みを浮かべて剣を構える。

 

「ほう、今のを凌ぐか。マスターの拠点たるオルレアン城を壊すわけにはいかないと思い全力は込めなかったが、それでも俺の宝具の一撃を両断したのはお前が初めてだ」

「お褒めいただきどうも。というか今ので全力じゃなかったのかよ」

「そういうお前もまだすべてを出し切ってはいないだろう?全力じゃないのはお互い様だ」

「そうかい。ならここからは様子見じゃなく本気で勝ちに行かせてもらう!」

 

そうして再びジークフリートと剣戟を繰り広げながら、武はアルトリア・オルタの様子を見る。武が見た先では二人の少女が血で血を争う斬り合いを繰り広げていた。

 

ジャンヌ・オルタは剣と旗の連撃を放ちつつ、所々で炎や魔力の槍を加えた猛攻を。対するアルトリア・オルタは自らに備わる膨大な魔力を放出しながら、爆発的なパワーを用いた斬撃を。

 

もはや並みの英霊の宝具に匹敵するほどの魔力を放出しながら、お互い一歩も引かない攻防を繰り返していた二人。だが先のランスロットとの戦いで消耗していたアルトリア・オルタが段々と押され始め、血しぶきが舞い始める。

 

「ぐううっ!やってくれるじゃないか放火魔。相も変わらず容赦のない。さすがは竜の魔女……とでも言っておくか」

「そう思ってんなら、とっととくたばってくれないかしら?もうそろそろあんたじゃなくてあいつの方に行きたいんだけど」

「まぁそういうな。せっかくの一騎打ちなんだ。もう少し楽しんでいけ!」

 

煽りを入れるアルトリア・オルタは、一瞬の隙を突いてジャンヌ・オルタの腹を斬りつける。斬られる寸前でかろうじて後ろに下がったため致命傷にはならなかったが、それでも少なくない量の血がジャンヌ・オルタの腹から流れる。

 

「ぐっ!さすがね腹ペコ女!腐っても騎士王名乗ってるだけあるわ!けどそろそろ終わりにするわよ!」

「そうだな。これ以上貴様に付き合ってやる道理はない。決着をつけよう」

 

鎧が所々剥がれ、むき出しとなった透き通るような綺麗な肌に痛ましい切り傷や火傷がついていく。互いに決して軽くない怪我を負ったジャンヌ・オルタとアルトリア・オルタは、次の一撃で決めるべく構えを取る。

 

「さぁ……出番よジークフリート!」

「なにっ……!?」

 

しかし次の瞬間、ジャンヌ・オルタがその場から飛び退き、先ほどまで武と戦っていたはずのジークフリートがアルトリア・オルタの前に躍り出る。

 

「ごきげんよう剣士さん!ここからは私が相手よ!」

 

そしてそのジャンヌ・オルタはと言うと、ジークフリートが先ほどまで戦っていた武の目の前に躍り出ていた。直後に武に向けて無数の火球を放つが、武は月闇を振るってすべて切り払う。

 

しかしジャンヌ・オルタは気にすることもなく、そのまま剣による猛攻を加える。時々武の頭上や足元から槍や炎による牽制も行い、徐々に逃げ場を失わせていく。最初は全て対処できていた武も、自らを省みずに無茶苦茶な強化を施して苛烈さを増していくジャンヌ・オルタの猛攻を受けて、次第に攻撃を喰らう回数も増えていった。

 

「くそっ!まさかお前ら、最初からこの状況を作ることを考えて……!?」

「そうよ。今の私たちにとって最も脅威なのはあんた。だからこそ、あんたはサシではなく数で圧殺することにしたのよ。そのためにまずは邪魔な腹ペコ女に退場してもらう。ま、ジークフリートは文句を言うでしょうけど、戦士の誇りなんざ私には知ったこっちゃないわね」

 

(くそ!確かジークフリートのバルムンクは、アルトリアとの相性が……!)

 

ジャンヌ・オルタの言葉を聞いた武は、今の状況がどれほどまずいのかを察していた。

 

ジークフリートを竜殺しの英雄たらしめている宝具……バルムンクは、竜種の特性を持つ者に対しては聖杯の力すら上回る威力を発揮する。今ジークフリートが相対しているのは、竜の心臓によって竜種の特性を得た騎士王アルトリア・ペンドラゴンだ。もちろんそれだけでも相性最悪なのだが、それに加えて威力が高い割に燃費や速射性の高いバルムンクに対して、エクスカリバーは威力が絶大である分大量の魔力を消費するため燃費が非常に悪い。そして極めつけはジークフリートに備わった不死身の肉体を体現する宝具『悪竜の血鎧(アーマー・オブ・ファヴニール)』の存在によってエクスカリバーの真名解放ですら倒しきれない可能性もある。

 

故にアルトリアにとってジークフリートは、あらゆる意味でまさに最悪の天敵なのだ。

 

このままではアルトリアがやられる。そう考えた武はすぐさま助けに向かうべく動き出そうとするが、ジャンヌ・オルタが邪魔をして動くこともままならない。

 

「来るなっ!!」

 

しかしアルトリアは、強烈な圧を放って自分を助けに来ようとする武を制する。

 

「けどお前……奴の宝具は!」

「言われなくてもわかっている!」

 

アルトリアは眼前にいるジークフリートを睨みつけながら、堂々たる面持ちでエクスカリバーを構える。その立ち振る舞いからはかつて円卓の騎士たちを率いた騎士王としての威厳が際限なく溢れ出していた。

 

「案ずるな。私を信じろ、武」

 

アルトリアが笑みを浮かべた次の瞬間、アルトリアの持つエクスカリバーに膨大な魔力の奔流が流れ込み始めた。使い手たるアルトリアの魔力が黒い光となって収束、加速していく。やがてエクスカリバーの刀身には、限界まで収束された黒き極光が纏われる。

 

「……来るか」

 

ジークフリートもまた、再びバルムンクに真エーテルを纏わせる。しかし今度のバルムンクは、先ほど武に放ったものとは比べ物にならないほどの巨大な火柱を生み出していた。

 

「卑王鉄槌……極光は反転する……光を呑め!」

「邪悪なる竜は失墜し……世界は今、落陽へ至る!撃ち落とす!」

 

アルトリア・オルタとジークフリート。二人の英雄が持つ剣に纏われた魔力が、それぞれの詠唱と共に最高潮に達する。

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)!!」

幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)!!」

 

次の瞬間、互いに振るわれた剣から二つの特大の光線が放たれた。

 

「ぐっ……おおおおおおおおおおお!!」

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

片方は全てを飲み込む黒き極光。もう片方は邪悪を滅する黄昏の剣気。

 

あまりにも強大な魔力の波が辺り一帯を巻き込みながら、眼前の敵を滅するべく激突する。二人が振るう剣はどちらもAランクに位置する最高峰の宝具であり、その力と物量はほぼ互角であった。

 

「……見事だ、ブリテンの騎士王よ。最強の聖剣と呼ばれるエクスカリバー……そしてそれを自在に振るうお前は、まさに騎士王の名に恥じない最高峰の戦士と言えるだろう。だが……」

 

その時、ジークフリートの持つバルムンクから、さらなる真エーテルが放出される。

 

「すまないが、今は俺の方が強い。そもそもの相性の問題もあるが、俺にはバルムンクに加え……聖杯による強化もある」

「くっ……!?」

「今この瞬間において……貴様に勝ち目は万に一つもない!」

 

直後、ジークフリートは魔力放出と同時にバルムンクの出力を大幅に上げた。それまで拮抗していたエクスカリバーとバルムンクの一騎打ちは、徐々にバルムンクの方に形勢が傾き始める。

 

(まずい……!押しきられる!)

 

先ほどまでのジャンヌ・オルタとの戦いでさらに消耗を重ねていたこともあり、追い詰められていくアルトリア。それでもその場を退かないのは、共に戦うマスターたる武の前で無様な姿は見せられないという意志の表れだった。

 

しかしそれも、長くは続かなかった。

 

「終わりだ」

「ぐっ、がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

更に重ね掛けするかの如く真エーテルを放出したバルムンクの光線がエクスカリバーの黒い極光を飲み込み、そのままアルトリア諸共辺り一帯を吹き飛ばす。同時に巻き起こった爆風の余りの強さに武もジャンヌ・オルタも思わず顔を覆ってしまう。そして爆風が収まり、段々と視界が戻ってきた武の目に映ったのは……。

 

「…………」

「……っ!」

 

全身から血を流し、力なく横たわっているアルトリアの姿だった。ここに来るまでの戦いで所々にひびが入っていた鎧は完全に破壊され、露になった年頃の少女らしい肉体は見るも無残に血と火傷に塗れた痛ましい姿になっていた。

 

武はすぐさまアルトリアの元へ駆け寄り、両手で抱きかかえると大声で呼びかける。

 

「アルトリア!大丈夫か!?しっかりしろ!」

「……すまない、武。あれだけの大口をたたいておきながら、結局私は何の役にも立てなかった……」

「そんなことはない!お前がいなければ、俺はここまでこれなかった!何度もお前に助けられた!役に立ってないわけないだろ!」

 

かろうじて息をしながら、敗北した己を自虐するかのような物言いをするアルトリア。そんな彼女に対し、称賛と敬意の言葉で否を突きつける武。

 

「のんきなものね!ここはまだ戦場のど真ん中だっての!」

 

そこへ剣を構えたジャンヌ・オルタが迫る。今の武はアルトリアを両手で抱えているうえ、ジャンヌ・オルタ達に背を向ける形になっていることもあって隙だらけであった。しかし武はアルトリアをゆっくりと横たわらせると同時、瞬時に回転して回し蹴りを放つ。

 

「シャアアア!!」

「っ!?」

 

その蹴りは目で追えないほど素早く力強い一撃であり、ジャンヌ・オルタは防御が間に合わず腹部にもろに受けてしまい、大きく壁際まで吹き飛ばされた。そのまま武は後ろを振り返り、仮面の下で笑みを浮かべながら口を開く。

 

「……アルトリア、ありがとう。後は俺に任せろ。必ず勝って見せるからな」

「……どうかご武運を、マスター」

 

仮面に隠れている主の笑顔を感じ取ったアルトリアは、その一言だけを言い残して完全に意識を手放した。それを見た武は闇黒剣月闇を構え、瓦礫の山から出てきたジャンヌ・オルタと一言も発しないジークフリートを殺意を持って睨みつける。

 

「いったいわねぇ……。今のはかなり効いたわ。怪我でもしたらどうすんのよ?」

「……お前ら、うちの可愛い騎士王をよくもやってくれたな」

「あら、仲間がやられてお怒りかしら?マスターより先に倒れる役立たずなんて、いてもいなくても一緒じゃない?」

「黙れ魔女。これ以上、お前らと話すことは何もない」

 

薄ら笑いを浮かべるジャンヌ・オルタに対し、武は問答無用と言わんばかりに圧を放つ。それを肌で感じ取ったジャンヌ・オルタ達は、それ以上言葉を発することなく黙って武器を構える。

 

「…………行くぞぉぉぉぉぉ!!」

 

そして武は雄叫びをあげながら、全力で突撃を仕掛ける。オルレアン城での最終決戦は、ここからが本番だった。




正直なところ、ジークフリートとアルトリアの相性ってどうなんでしょうね?

ジークフリートにはバルムンクとかの宝具や本人のスキルも相まってアルトリアに特攻がぶっ刺さりますが、対するアルトリアにはアヴァロンと言う名の最強の鞘があるし……。

個人的にはアヴァロンがある場合はアルトリア、ない場合はジークフリートが勝つと言う風に解釈しています。なので今回はアヴァロンを所持していないアルトリア・オルタが敗北することになりました。まぁそれまでの本人のコンディションも万全とは言い難かったし、仕方ないよね!

次回の中編はRTAパートです。
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